かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ワサップ!』
2007年 02月 13日 |
自分らしくパンクに生きるってクール。がんばれ、ラティーノ。

L.A.サウス・セントラル。スケボーとパンクロックを愛するラテンアメリカ系移民の少年たち。



写真家から映画監督にシフトし、生々しいほどのティーンエイジャーのリアルを撮り続けてきた『KIDS/キッズ』のラリー・クラーク。アメリカで上映禁止となったという 『KEN PARK/ケンパーク』は観ていないのだけど、『Bully/ブリー』は後味の悪いものだった。『KIDS/キッズ』の方は嫌悪感を覚悟して観たら、意外とせつないものだったりしたのだけど。ドラッグやセックスに溺れるティーンエイジャーの姿があまりにも生々しくて痛々しい、そんな青春を切り取り続けてきたラリー・クラーク。だけど、今作は意外とさわやかな余韻をもたらした。

今やアメリカで、ラテンアメリカ系移民ラティーノの数はアフリカ系よりも多いというけれど、ここL.A.のサウス・セントラルで幅をきかせるのはアフリカ系で、音楽といえばヒップホップなのだ。そんな場所で、ジョナサンたちはパンクをこよなく愛し、アフリカ系の少年少女たちにからまれ、時には銃で脅されたりしても、自分達のペースで街を駆け抜けている。
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何だか小汚くて、くだらない話ばかりして、子どもじみたおふざけを繰り返す彼らを、カメラは丹念に映し出す。そんな赤裸々な描写にはやっぱり初めは馴染めずにいるのだけど、そのうちにだんだんと彼らのことを好きになっていくから不思議。そして、パンクロックのリズムと風をきって走るスケードボードのスピードに気持ちはググッと高揚。やっぱり青春ムービーはいいよねっ。公園の遊戯物で吐くまでグルグルまわり続けてみたり、"9つの階段"に何度もチャレンジする彼らのひたむきさが何だかとってもカワイイ!男の子って、いいなーってしみじみと思った。

ずっとダラダラした感じの日常模様で進むのかなと思ったら、後半は思いのほかアドベンチャーしていてワクワク楽しい。ラティーノ少年の目線で見たビバリーヒルズの住人達は何だか滑稽なのだ。誰も彼も"メキシカン"と一まとめにしやがるけど、そんなことには慣れっこだから冷静に「エルサルバトル人だ」ってつぶやくのだ。街には多くの偏見や差別、危険があふれているのだけど、それを飄々と受け止めて、悠々とまた走り出す姿が微笑ましくてすがすがしいんだな。人種に対する偏見もあれば、そんなことは関係なく、外見が好みのキュートな少年だったら大いに需要がありという構図もあったりして。人間界のジャングルは面白い。それでいて、時には取り返しのつかない悲しい出来事にも遭遇するのだけど。

ああ、こんなふうに生きている少年たちがいるんだなーっていうこと、たったそれだけのことが嬉しくなる。いつもよりもその視線があたたかいと感じられるのは、もはやラリー・クラークにとって、少年達は孫の世代であったりするからだろうか。浅はかで向こう見ずでやんちゃな少年たちだけど、そのままありのままで生きていってほしいなって思う。ノリノリで軽やかな青春ムービーなのに、ただ楽しいっていうだけじゃなく、そこにあるリアルにキュッと心掴まれた。

ワサップ! WASSUP ROCKERS 2005 公式サイト
監督.脚本 ラリー・クラーク
製作総指揮 シャロン・ストーン
撮影 スティーヴ・ゲイナー  音楽 ハリー・コディ
出演 ジョナサン・ベラスケス ・・ ジョナサン
フランシスコ・ペドラサ ・・ キコ
ミルトン・ベラスケス ・・ ミルトン
ウスバルド・パナメノ ・・ ポーキー
エディー・ベラスケス ・・ エディー
ルイス・ロハス・サルガド ・・ ルイ
カルロス・ラミレス ・・ カルロス
ローラ・セルナー ・・ ジェイド
ジェシカ・スタインバウム ・・ ニキ
(渋谷 シアターイメージフォーラム)
.
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by CaeRu_noix | 2007-02-13 19:56 | CINEMAレヴュー | Trackback(4) | Comments(2)
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Commented by 栗本 東樹 at 2007-03-12 21:36 x
こんばんは。
仔細な観察記録、どうもでした。
いったい何事かと思いましたよ(笑)。
そのカップルはほかにどんな映画観てますかね?
愛ルケは観てる気がするな。・・・どーでもいいや!

しかしこれはいい映画でしたね。
『ケンパーク』 で描き切ったという何かがあったんじゃないでしょうか?
ぜひ観てみてください。
なにより彼らがヒップホップよりパンクというところに好感持てましたよ。
まぁかく言う俺は昭和歌謡なタイプなんですが♪
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-13 22:51
栗本 東樹 さん♪
どーでもいいハナシを無理矢理きいていただきありがとうございましたー。
だって、シアターイメージフォーラムがどういう位置づけの映画館で、ワサップやキムチを売る女がどういう映画なのかを知っている人じゃないと私のどよめきは理解してもらえないと思いまして・・・。
うーん、そのカップルは普段は映画は観ないのじゃないでしょか。映画を観る習慣があったら、もうちょっと一般的な観たい作品があったりすると思うわけで・・・。どーでもいいが。

はい、これはよい映画でした。さわやか青春映画。
なるほど。『ケンパーク』 が区切りにもなっていたんですか。それは是非とも観てみなくちゃ。この地域でパンクを貫くっていいですねー。
栗本さんもまわりに流されることなく、昭和歌謡魂を貫いてくださいまし。
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