かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『華麗なる恋の舞台で』
2007年 03月 07日 |
女優ジュリアの人生劇場は舞台のように楽しくて元気を与えてくれる。

1938年のロンドン。舞台の人気女優ジュリアは、親子ほど年の違う米国青年と恋に落ちる。



ゴールデン・グローブの女優賞をとったアネット・ベニングが活き活きとして申し分なく魅力的なのだ。ジュリアの輝きに惹きつけられて、その物語に一喜一憂。ジュリアは恵まれた環境にいる華々しき女優で、描写の仕方によっては鼻持ちならない主人公になってしまいそうなものなのに、私たちはジュリアに好感を持たずにはいられない。だって、ジュリアは映画の観客の私たちにとても素直に感情を表してくれるんだもん。恋の悦びを抑えきれずに、1人で笑い出してしまうジュリアが大好き。そんな彼女は、舞台の上では完璧な女優で、思い立ったなら舞台の下、プライベートの時間でも完璧な演技を披露するのだ。そんな姿に微笑まずにはいられない。

Bunkamuraル・シネマで上映され、いかにもル・シネマダムズにウケがよさそうな女性主人公の映画というと、ひねくれ者の私はつい斜めから見てしまいたくなるのだけれど、これは確かに文句なく面白くて、人に薦めたくなるタイプかも。すぎおに賛同するのはイヤだけど。

原作小説「劇場」は読んでいないけど、私の読んだサマセット・モーム小説「月と六ペンス」や「人間の絆」は決して明るいイメージのものではなかった。だから、モーム原作でこんなにも明るく晴れやかなドラマが仕上ったのが意外。それ以上に、重厚でシリアスタッチの映画を手がけていたイシュトヴァン・サボー監督がこんなにもテンポのいい軽やかで愉快な物語をつくりあげたことが意外。そんなふうにイメージを覆す、小気味いい楽しさが魅力のバイタリティあふれる女性の物語。

映画ならではの粋な登場人物、マイケル・ガンボン扮するジミー・ラングトンの存在が最高にお気に入り。それから、付き人のエヴィーも素晴らしい。ムッツリした表情で仕事をこなし、何度となく笑いをもたらしながら、実はジュリアとはちゃんと信頼関係ができているんだってことに感動させられる。見渡せば見渡すほどにジュリアは幸せ者なのだ。一時的であれ、恋の歓びをもたらす若き男性が現れたり、束縛しない夫がいて、親思いの可愛い息子がいて、下心なしに慕い続けてくれるチャールズ卿のような友人がいる。そんなふうに恵まれているからこそ、ジュリアは輝いていられるのだろうし、ジュリアの魅力が周りの人々を惹きつけるともいえる。そして、そんなにも皆に愛されているのに、1人でビールで乾杯するジュリアの女っぷりが心底カッコいいと思えるのだ。そんなふうに背筋を伸ばして生きていきたいものだよね。

華麗なる恋の舞台で BEING JULIA
2004  公式サイト
監督:イシュトヴァン・サボー
脚本:ロナルド・ハーウッド 原作:サマセット・モーム「劇場」
出演:アネット・ベニング/ジェレミー・アイアンズ/マイケル・ガンボン/ブルース・グリーンウッド/ジュリエット・スティーヴンソン /ミリアム・マーゴリーズ/ショーン・エヴァンス/ルーシー・パンチ
(渋谷 Bunkamura ルシネマ)
.
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by CaeRu_noix | 2007-03-07 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(12) | Comments(12)
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Commented by keko_m at 2007-03-08 01:14
こんばんは〜。ご無沙汰してます。
久しぶりに寄ってみたら、素敵な文章〜♪
これ、とても観てみたくなりました。
こっちでもやってるかな? 調べてみます。
Commented by マダムS at 2007-03-08 10:39 x
ジュリアったら、本当に恵まれていますよね^^ ジミーもエヴィーもステキですが、チャールズのような異性(と言っていいのか?)の友人が私も欲しいー(笑) でも考えてみればおっしゃるように彼女が輝いて魅力的だからなのかもしれませんよね~
こちらは音楽もステキでした。
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-08 15:35
keko さん♪
お久しぶりです。再訪ありがとうございまーす。
文章はあんまりステキじゃないんですけど、ステキな女性の映画ですよ。
もしもお近くで上映中でしたら、是非ご覧になってみてください。
いわゆる恋愛映画ではないんですが、とても楽しくて元気になれるはず。
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-08 15:36
マダムS さん♪
ジュリアったらたら、ホントに幸せものですよねー。これって、自分の好きじゃないタイプの女優が演じていて、かつ脚本がイマイチだったら、私はこのお幸せな主人公に共感できなかったかもしれないんですが・・・。しっかりジュリアのバイタリティに好感をもってしまいました。恵まれているのは彼女自身に徳があるからなのかもしれませんねー。
私もチャールズのような異性の友人がほしいです。安心して抱きつけますし。ひょっとしてそういう人じゃないかと何となく思っていた私ですが。
音楽もよかったですねー。
Commented by 隣の評論家 at 2007-03-08 22:43 x
かえるさん、こむばむわー
TB&コメントありがとうございました。
本当に楽しい作品でしたね。かえるさんが仰るように、ジュリアはとても恵まれていると思いました。それでも、ひがむのではなくて。寧ろ、自分もジュリアの輝きに魅せられておりましたよー。
マイケル・ガンボンの存在感は凄かったです。エヴィーに触れるのは自分くらいかなぁ と思ってましたけど。結構、触れている方がいるので嬉しいです。かえるさんも♪ あの信頼関係は、何てことないようで素敵に見えましたねー。
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-09 12:59
隣の評論家 さん♪
こんなにコミカルな路線だとは思っていませんでしたよ。いわゆるラブコメとは違うタイプなんだけど、明るさがポイントの作品でした。てぃー・おー・えむ、などなど可笑しかったです。ジュリアはホントにステキな女性でしたよねー。人気女優なりの豪傑な面も見せつつ、愛嬌のあるところが魅力的でしたよね。そんなふうに歳を重ねたいものですー。
マイケル・ガンボンはもちろん、付き人エヴィーの存在には心ひかれずにはいられないでしょうー。ジュリアと周りの人たちの温かなやり取りによって、ジュリアの人間性が見えてくるというつくりがよかったですねー。
Commented by かいろ at 2007-03-09 22:15 x
かえるさん、こんにちは。TBとコメントありがとうございました。
M.ガンボンよかったです!そしてこの世にいない彼までスタンディングオベーションしてしまうほど感激させるなんて、ジュリアは本当にただものではないですね。大女優おそるべし、です。そしてかえるさんのおっしゃるとおり、あんなにたくさんの人に愛されて大事にされて、彼女は本当に果報者。う、うらやましい・・・。
それではこの辺で失礼いたします。
Commented by sally at 2007-03-10 16:08 x
かえるさん、こちらにもお邪魔します♪
とっても粋で素敵な映画だったのですが、私の隣のルシネマダムは開始直後から気持ちよくおやすみになっていたのですよー。かなりはっきりと寝息が・・・爆
もったいないですよねー。
つい若者に目がいってしまう私(笑)は母に色々と(?)報告するロジャー君がかわいいな~なんて見てました。TOMよりずっといいな~とか(笑)
ジュリアが恵まれてるのは、子供もですよね♪
それもこれも、彼女自身が人生劇場でつかんだものなのでしょうか。
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-11 19:33
かいろ さん♪
M.ガンボンの存在はよかったですよねー。辛口なんだけど、そのあけすけさがほほえましく。そんな彼を感激させるというのだから、女優ジュリアは本物なんですよね。そして、劇中劇、物語の中で演技がうまいという設定のものをちゃんと説得力をもって表現できるアネット・ベニングも巧みですばらしいということなんですよね。
ジュリアの境遇はかなりうらやましいですよねぇ。でも、彼女ほどに輝いている女性なら恵まれていても当然でしょうと思ってしまう好感度でしたよねー。
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-11 19:41
sally さん♪
隣のルシネマダムったら!ルシネマでは確かに睡魔に襲われるような静かな作品(クリムトとか)も上映されがちですけど、本作はテンポも軽快で楽しくて、眠くなるヒマなんてなかったですよね?? ホントにもったいなーい。
はいはいはい、私もロジャーくんはかわいいなーと思いました。母思いでしたよね。いやー、T.O.Mも最初はすごく好青年に見えたんですよ。それがだんだん軽薄な男に見えてくるから不思議。それほどに演技もうまかったんだなぁと思いました。女優の息子というとイマドキならぜいったくに育って、麻薬で逮捕されたりするんですけど(笑)、ロジャーくんはほんとに素直ないいこでした。彼女がすばらしき人生劇場で得た最大の宝物かもしれませんね。
Commented by めかぶ at 2007-03-19 01:28 x
こんばんはー。
んーっ、またもや女性映画ざます。観に行こうかどうしようか微妙に悩むところだったんですが、言ってよかったですー。珍しくブログに即日UPしました。考えるところがあったので忘れないうちにーと思って。(いつもそうしろよ!)
うふっ。かえるさんと観点が似てましたわ。そうそう、ガンボンも支えの一人ですよね。ジュリア自身の内なる声にも感じられてこれこそ誰かの支えが自信に繋がってるってことの最大の表れかも。

一昨年前のアカデミー賞。オスカーはリース・ウィザースプーン(ウォーク・ザ・ライン)でしたか。妥当かと思ったけど、これ観ちゃったらベニングにあげたかったなー、と思ってしまいました。

余談ですが、私もあんなお友達欲しいです。マジで!(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-19 12:40
めかぶ さん♪
女性映画絶好調ですよねぇ。そう、私も予告を観たカンジでは、こういうルシネマダム好みなテイストはちょっと私のツボ映画ではないんじゃないかなと思ったんですよ。でも観てみたら、自分だけのお気に入りになるタイプじゃなくとも、誰もが楽しめるであろうステキな映画だわって実感。手ごたえアリの作品でしたよねー。
いやいつも、気持ち的には映画を観てすぐにレヴューを書きたいんですが、気力集中力がついていかないのですよねぇぇ。
ガンボンの存在も深いですよねー。彼女に話しかけるガンボンは一見ただの虚構表現のようだけど、彼女が過去にガンボンに教えられたことが、今自然と亡霊と対話するという形をとって、自分の行動や選択の原動力になっていたのかもしれないですね。彼はもはや彼女の一部なのかな。
そうそう、私もあの時は、リースのオスカーは当然と思ったけれど、こちらを観たら、本当の意味で主演女優なアネットの方がふさわしいなと思いましたよー。
ゲイトモはうらやまですよねー。
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