かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『パパにさよならできるまで』
2007年 03月 09日 |
女性監督の描く繊細な可愛らしい物語

1969年、アテネに住む10歳のイリアスはアポロ11号の月面着陸を心待ちにしていた。



その邦題によって物語の全貌が見える。10歳の少年がパパにさよならできるようになるまでのお話。別段、予想外の展開もなく、想定外の怒涛の感動があるわけでもないのだけれど、やはり健気な少年の思いにせつなくうたれて、温かな気持ちになれる、ささやかな可愛い作品。少年の心を宇宙遊泳するのだ。

イリアスのパパは行商の仕事で留守がちだから、ママは寂しくて不満がいっぱいで、パパが帰ってくるとケンカをする。お兄ちゃんもパパには反感をもっている。だけど、イリアスはパパが大好き。そんなふうに皆が仲良く円満でもないから、少し心配になって、健気なイリアス少年と家族の姿をハラハラと見守ってしまう。パパが帰ってきた時に大喜びのイリアスに微笑んでしまうのだ。パパのブルー車に乗せてもらって、砂浜をくるくると回るシーンが最高にステキだった。楽しくてファンタスティックな映像。こんな風に遊んでもらえたら、パパが大好きになるよね。

パパの車のブルーがとてもステキな色だったり、ママの着ているオレンジの服が、キッチンのタイルのイエローに映えていたり。ファッションやインテリア、小物のカラフルで柔らかな色彩に何度も目を奪われる。予備知識はなかったのだけど、これはきっと女性監督に違いないと思った。学校の教室のまでもがさりげなくアートしているんだもの。女性の感性で描かれたその映像世界に魅了されて、イリアス少年の小宇宙に浸ってしまうのだった。そんなわけで、あらすじが予想通りでも私は退屈することもなく、好きだなーと思える映画。宣伝で引き合いに出されていた『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』にはもちろん及ばないけれど、月面着陸の宇宙のイメージが人工衛星に乗せられたライカ犬を思い出させたこともあって、同じような手触りを感じた。子どもが主人公の物語はやっぱりヨーロッパものが好みなのだ。

大人だって愛する人の死は簡単には受け容れられるものじゃない。死というものをまだきちんと理解できていない子どもにとってはなおさら難しいこと。もともと留守がちだったパパだから、約束した月面着陸の日にはひょっと帰ってきてくれるんじゃないかと思っていまう期待は子どもなら当然。それが理解できるから、イリアスのささやかな葛藤にハラハラし、お兄ちゃんやママの戸惑いにせつなくなる。それぞれの思いに共感した末だから、おばあちゃん宛の手紙にはとても胸をうたれてしまうのだった。

Hard goodbyes : my father /Diskoli apocheretismi: O babas mou
2002 ギリシャ  公式サイト
監督.脚本  ペニー・パナヨトプル
出演:ヨルゴス・カラヤニス、ステリオス・マイナス、イオアンナ・ツィリグーリ
 (渋谷シネ・アミューズ)
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by CaeRu_noix | 2007-03-09 07:04 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(2)
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Commented by こべに at 2007-03-19 13:07 x
こんにちわ。かえるさん♪

おそれいります・・・
お手数おかけして申し訳ないのですが削除してくださいませ。
大変失礼いたしました(汗)

ロケットがカタカタっと動いてくる~んとか
浜辺で円を描くよにくるくる回る自動車のシーンも
パパとボクとのステキな関係が伝わってきて
じ~んとくるし、たまらなくスキ。なんですが
途中からもう眠らせてください、、、になってしまいました。
いっぱい感じるものがある映画なのに、ワタシには感じきれなかったようです(汗)
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-20 12:15
こべに さん♪
ぜんぜんおけーです。
あ、正しくパリジュテの方の記事にトラバしなおしていただければ、こちらは速やかに削除いたしまするー。

ううう、この映画は、私はかなり気に入ったのですけど、世間一般ではイマヒトツの声も多かったようで、早々と上映回数縮小されてしまったようですー。ありがちっちゃーありがちな物語でしたからね。
>浜辺で円を描くよにくるくる回る自動車のシーン
はとびきりステキでしたよねー。あのシーンの高揚感で大幅ポイントアップしました。あと、とにかくインテリアや小道具、衣装の色取り合わせが可愛かった。
が、確かにかなり眠くもなりましたー
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