かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『絶対の愛』 TIME
2007年 03月 27日 |
愉快、痛快。ギドクの独創性は、時と共に衰えることはないのか?

セヒは、つき合って2年のジウに飽きられてしまうことを不安に思い、美容整形手術をして別人になることを思い立つ。



キム・ギドクワールドの魅力はその強引さ。主人公達はいつも思い余って、普通ではありえないような過激な行動をとる。そんなわけないじゃーんとツッコみながらも、その人の一途な思いに胸をうたれて、屈折した形でしか愛を表現できないことにむしろ感銘を受けてしまうのだ。ギドクの強引さには屈服せざるを得ないのだ。

もともとの設定が非現実的であればあるほどに私は入り込みやすい。水上ものの『弓』、『春夏秋冬』、『魚と寝る女』のようなシチュエーションがベター。『うつせみ』のように、舞台は現代的な邸宅内であっても、主人公がなぜか言葉を話さないという不思議な状況に最初から投げ込まれるとすんなりとそこに身をまかせることができる。

それらに比べて、現実的で現代的な街で普通に暮らす学生や社会人が主人公の物語だと、そこに展開する突飛な行動にノリきれないこともある。ノリきれないながらも、強引に引っ張ってくれるのがギドクの力なんだけど、そうやって幾分冷静に突っ込みながら楽しむパターンより、頭で考える余地も与えずにその世界にどっぷり浸らせてくれる非現実的系の方が、私にとっては満足度の高いお気に入り作品になるのだよね。

そんなわけで、この整形物語は、直接感情に訴えかけてくる部分は少なく、それよりも展開の強引さを面白がったり、それを眺めながら自分の中で思考して楽しむというタイプのものだった。もうとにかく、そのアイディアがおもしろいじゃないか。美容整形手術がごく当たり前になされている韓国で、愛を求めるがゆえに整形手術に踏み切る女がいるなんてまったくもっておもしろいじゃないか。ありえないけれども。

おもしろいけど彼女のその発想はあまりにも馬鹿げている。不細工な女が、男を振り向かせるためにキレイになることは、効果があるとは思うけど。2年つき合っている彼氏の愛情をつなぎ止めるためには、顔の造形を変えるしかない!と思い立つですと? はぁ、そんな人はいませんって。体は変えなくていいのかな。恋に落ちる時は容姿も関係あるだろうけど、2年つき合った後の問題は外見じゃないということをみんな知っていると思うけどなぁぁ。おもしろいからいいんだけど、ありえなさすぎー。と、もっていき方の強引さに乗りきれない部分はあったけれど、そこに描かれている命題は興味深かった。

絶対の愛なんていうまやかしの言葉にとらわれている場合ではない。そう、原題は「TIME」なのだった。別人になるために整形を試みた彼女が、結局恋のライバルは過去の自分自身であるという状況に陥るというのが素晴らしい。整形という手段によって、ライバルは周りの美しい女でも誰でもなく、過去の自分であったという衝撃的な構図が浮き上がってくるという、誰も思いつかないようなストーリーを生み出すギドクの独創性はやっぱり見事だ。2年つき合って倦怠期に悩んだ彼女は、もう一度別の形で取り戻すことのできない「時」の流れの残酷さを目の当たりにする。思い出の写真の中の笑顔が幸せそうであればあるほどに、時の流れの非情さに胸を締め付けられるのだった。

流れた時は取り返しがつかない。後戻りはできないから、前に進むしかない。その勢いに飲まれて、噂の整形返しにはちょっと感動してしまったかな。

絶対の愛 TIME
2006 韓国  公式サイト
監督.脚本 キム・ギドク
撮影 ソン・ジョンム
出演 ソン・ヒョナ(スェヒ)、パク・チヨン(セヒ)、ハ・ジョンウ(ジウ)
 (渋谷 ユーロスペース)
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by CaeRu_noix | 2007-03-27 13:10 | CINEMAレヴュー | Trackback(21) | Comments(16)
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Tracked from この広い空のどこかで今日.. at 2007-08-14 11:52
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Tracked from シネマ de ぽん! at 2007-08-20 12:31
タイトル : 絶対の愛
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Tracked from 茸茶の想い ∞ ~祇園精.. at 2008-05-14 01:20
タイトル : 映画『絶対の愛』
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Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2009-03-05 21:00
タイトル : 絶対の愛
 コチラの「絶対の愛」は、韓国の鬼才キム・ギドク監督が、美容整形が一般化している国として知られる韓国の社会事情を背景に、壮絶な男女の運命を描いたラブ・ストーリーです。キム・ギドク監督の13作目の作品。あたしが観るのはまだ7作目なのだけど、う〜ん最新作の「悲...... more
Commented by at 2007-03-28 12:44 x
相変わらずにギドク・ワールドを楽しみましたが、あえて不満を言えば、彼らしい風景に欠けていたことでしょうか。「水系」の風景はもちろん彼の本領ですが、都会を舞台にしても『悪い男』の売春宿、『サマリア』のラブホテル街、『うつせみ』の高級住宅地のような、都市のなかの異界を感じさせる風景のショットがなかったような気がします。
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-29 17:41
雄 さん♪
その展開は決して予想できないギドクワールドは今回もおもしろかったですよねー。けれど、そうなんです。私はギドク作品のアート性にも強く惹かれるので、ハッとするような風景に出会えなかったことは残念でした。そうですね、『うつせみ』の空間は普通の住宅内なのに、異界を漂っているような感覚を味わいましたもんね。『悪い男』はあの売春宿の光の美しさに引かれて観に行ってしまったし。今回の彫刻公園は、画的には面白かったんですけど、それほどの存在感ではなかったんですよね。
Commented by kimion20002000 at 2007-03-30 02:24 x
TBありがとう。
あれ、整形シーンのなかに、胸を大きくする手術が入っていましたよ(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-30 11:56
kimion さん♪
胸もいじってましたかー。いやぁ、手術シーンは直視できませんでしたもので・・・。どんな胸からどんな胸になったのでしょう?じゃあ、整形返しの彼の方もひょっとして・・・。
Commented by シャーロット at 2007-03-30 22:27 x
こんばんはー。
「絶対の愛」ってすごい邦題名だなあと思いましたです。それよりもHPのURLがゼッタイ-ラヴってなってるのが何気に可笑しかったんですけも;

私はあまりギドク作品を見てない事もあるのですが、どうも今回は意外性なところに変に感動してしまいまして;
確かに強引さは感じますね。それに非現実的系の方が満足度が高いとおっしゃるのも納得です。私もどっちかというとそういう方が好きなんですが、なんとなくこの作品は十分私的に非現実的に感じてしまったような。
過去作品も気になってるんで、レイトではなく再上映してくれるギドクマンダラは楽しみにしてまする。
それはそうと、たくさんご覧になってますね~
記事になってないものがたっくさんあるじゃあないですか!
早く読ませてくだされー。
私もクロッシング・ザ・ブリッジは見てきました。
すごく良かったんでもう一回くらい見たい。って記事に関係ない事ですんません。
Commented by 現象 at 2007-03-31 08:51 x
枯れませんねキム・ギドク。
常にやってくれるなぁと裏切り知らずであります。
非現実的のほうが入り込みやすいってなかなかおもしろいですね。
僕は逆にリアリティを求めるんですが、
突拍子もないものやシュールなもの、あり得ねえだろってのも割と好き。
結局はその映画が個人的趣向にあうかどうかってところで、
嫌いだったら何かと難癖をつけるという後付け理由だったりします。
冷静に突っ込んでるつもりが的外れだったりも多々ある僕です。
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-31 12:40
シャーロット さん♪
ゼッタイ-ラヴ!その文字をTシャツにプリントしたい。
ギドク作品はいつも意外性にあふれています。そこに感動するのは必然かも。ただ、私の場合は、10作を観た中で、本作はその世界にぐわーんと取り込まれてしまった感じじゃなかったんです。普通ならありえないような方向に進むので強引さも感じるんですがでもそれで冷めたりしないその力強さが魅力。
もちろんその物語展開は非現実的なんだけど、設定がTVの恋愛ドラマのように一見身近で現代的じゃないですか。『弓』みたいに船の上で少女と暮らすという尋常ではない設定を最初に提示されるとそこで何が起こってもついていけるんです。ハリーポッターが魔法使いという設定を受け入れられるように。が、街に暮らす普通の女性が主人公で恋愛に悩むという身近な設定だと、その心情や行動にリアリティを求めてしまうみたいで。外側から眺めておもしろい展開だなと楽しみつつも、でもそんなのありえなさすぎー強引すぎーと苦笑いしている自分もいたのでした。あとやっぱり私は、台詞が少ない方が好きなんだと実感。
ギドクマンダラは是非通っちゃってくださーい。やはりワールドを語るなら3、4作以上は観てほしいです♪
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-31 12:42
現象 さん♪
枯れませんねぇ。みなぎるパワー
非現実的の方が入り込みやすいってないですかね?
現象さんはハリウッド映画はあまりご覧にならないから、そういう感覚はないかしら。ファンタジーやSFにはまれるというのと一緒なんです。片や、設定が現実的だと、登場人物の思いや行動に綿密なリアリティを要求してしまうみたいで。
ギドク物語の多くは概ねどれも強引さがあるんだけど、多くは感情がバクハツした瞬間の衝動的な行動だった気がするんですよね。だから、それほどにありえなさを意識せずに、暴力や死を受け入れられた感じ。でも今回のは、悩んだ末に整形して他人になろうと考えて決意して相談して手術台にのぼったという流れだったから、それ、ありえないって!と強く思ってしまったんです。ま、その後の展開の見事さを思うとやむおえませんね。
突拍子もないものやシュールなものは私も好きですよん。ちょっとしたさじ加減で自分の感じ方も変わるから一概にはいえないことばかりかな。そうそう、結局は定義するのは難しい個人的趣向。私も自分が好きになれずに世間で評判のいいものはしっかり難癖をつけますー。的外れだっていいんだもーん。
Commented by orange at 2007-04-13 00:27 x
こんばんわ☆かえるさん。
私・・・この作品、ありえないと思う前にギドクワールドにどっぷり浸かってしまい、疑問も差し込む事無く映画に呑みこまれてました。

『春夏秋冬』はつい最近観たのですが、これもベストですね。ラストの歩行には思わぬ感動・・・どちらにせよギドク作品ってリンクがあるものの、それぞれにお気に入りの部分があったりしてどれも好きみたいな状態にはなってるのですが、まだ観てない作品もあるので祭りと共に今年は彼の作品全て残りも観る予定です~!

時が無常にも奏でる男女の演技もまた凄かったのですが、デフォルメや対比映像、性的な公園などなど観る所ばかりで全く持ってギドク監督は純度が激しいですね♪
Commented by CaeRu_noix at 2007-04-14 12:40
orange さん♪
どっぷりでしたかー。
私の場合、あり得ないよーってツッコむ自分も意識されたんですが、何だかんだいってその面白い展開にすっかり引き込まれてしまいました。物語の運びそのものは強引なんだけど、あぶりだされるテーマ、本質にハッとさせられてしまうんですよね。
『春夏秋冬』もご覧になりましたかー。私としてはそれがベスト1かなーって思います。映像・雰囲気の素晴らしさに加えて、仏教思想の散りばめ方にもグッときてしまいました。
ギドク作品には似ている素材が繰り返し出てきたりしてそれもまた興味深いですよね。『絶対の愛』はとりわけ、過去作品の自己引用みたいなのが多かったみたいです。
ギドク作品は、ビジュアルに限らず、登場人物の行為などに対比や反復がとてもおもしろく見受けられますよね。キテレツなのに、そういうまとまりがあるのが気持ちよかったりします。彫刻公園も見事なロケーションでした。
私も今度のマンダラでギドク作品全制覇を目指しますー
Commented by kimaguren at 2007-05-16 19:22 x
かえるさん こんにちは~ きまぐれです。初めてこちらへお邪魔するので緊張気味です(笑)。今日「絶対の愛」を観て来ました。
邦題から 顔を変えたことを知ったら恋人はどう反応するのか、というようなテーマを期待して行ったので、顔のみならず名前まで変えて別人として恋人の前に現れたのは意外だったし、少し残念でした。でも ジウまで整形したことや「耐えられないでしょう。。また整形しますか?」の医者の言葉に 少~~しだけニッと口を歪めてスェヒが承諾したのはギドクらしくて怖・面白かったです。
それから、顔写真のお面や大きなマスクとサングラスをつけた可笑しいようなおぞましい姿も。

冒頭シーンとラストシーンが同じでしたが、1度整形を始めたらキリがないよ っていう風に受け止めたけれどどうなのかしら?

それから ジウが6ヶ月経過した後もスェヒの前に現れなかったのは 整形後の顔が酷かったとか、それとも ‘スェヒと同じ状況になってまた足並みそろえて二人の新しい愛が始まる’な~んてことが夢物語だと確信してしまったのでしょうか、。。でも どうして逃げ出したりしたのかしらね~
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-16 23:39
kimaguren さん♪
いらっしゃいまし。うぇるかむです
ご覧になりましたか。悪い男後、きまぐれさんはもうギドクは観ないのかなと思っておりましたのよ。
そうですよね。名前まで変えて別人になりきるという発想は普通はしませんよね。別人になったら、相手にまた好きになってもらえるとは限らないような気がするし・・。とても素っ頓狂で強引な展開ではありましたが、異常さも含めてギドク・ワールドは面白いって感じですよね。マスク、サングラス、赤いコート、お面、ビジュアルも最高
冒頭とラストは、整形後の彼女と整形前の彼女がすれ違うショットでしたよね。現実的にはありえない、SF風味の劇的場面。無限地獄!って感じでしょか。整形はキリがないと、ジャイケルが実証してくれるのとは別次元で、人間の欲望は思うようには充たされないものであることや、失った後でその価値に気づく人間の愚かさやら思いながらもただ、メビウスの輪のようなぐるぐる感にゾクゾクするのみー
ジウは逃げちゃったんですっけ?取り返しがつかない・後戻りできないことを悟ったのかな。行為を反復するのはギドク映画の定番ゆえ、深く考えずに必然的にとらえました。
他の作品もぜひお試しあれー
Commented by kimaguren at 2007-05-17 05:56 x
レスありがとうございました。気になっていた『噂の整形返し』の意味も調べてわかりました。パンフにこの語句があったんですね!なんか笑える。。

>行為を反復するのはギドク映画の定番ゆえ、深く考えずに必然的にとらえました。

そうなんですか~考えるよりも感じる映画かな~。
以前お話した時言葉ではけなしたかもかもしれませんが実は「悪い男」微妙に心に残っているんですよ。「春夏秋冬そして春」も古典のような寓話のようなその想像力には驚きましたし、「サマリア」の現実っぽさから非現実的なバイオレンスへの変化にもびっくりでした。「うつせみ」はレンタルしてありますし♪「弓」も是非観たいです~
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-17 13:00
kimaguren さん♪
そうなんです。整形返しは、映画のキャッチコピーというか、宣伝文にも盛り込まれていました。整形返しという言葉のために、展開に予想がついてしまう部分があったにもかかわらず、やっぱり細部は意外性に満ちていたので、なるほどコレかー!という感じで楽しめましたー。
これは台詞の多い映画だったのでまたちょっと受け止める時の感覚が違ったような気がしますが、最近の多くのギドク作品は、理屈ぬきで直感的にビジュアルから感銘を受けるものが多いです。もちろん一次的には感じる映画って感じ。それでいて、考えて、多様に解釈しても、より楽しめるんじゃないでしょうかー。ツッコんで、笑いながら観るのもアリだし、そこにあるせつない思いに共感しちゃうという見方もアリかと。多様な楽しみ方のできる個性派映画ですよねー。
好き嫌いは別として、とにかくそのアイディアとストーリーテリングには感嘆することが多いんですよね。キワモノだけどオモシロイっす。
イヌ好きな人は見ない方がいい「受取人不明」も実は観てほしいー
Commented by 狗山椀太郎 at 2007-06-14 00:03 x
こんばんは
独創的なアイデアに満ちた作品ではありましたが、正直なところ、私もあまり馴染めませんでした。やっぱり『うつせみ』と『弓』の心地よさから抜け切れていないのかな(苦笑)。あの2作品には、言葉がないゆえに、想像力をかき立てられる楽しさがありましたね。
本作では、言葉、言葉のリアルな応酬ばかりで、ちょっとしんどかった気がします。男が女にやり込められる場面は、なんだかミヒャエル・ハネケの映画を見ているようでもあり、心理的に息詰まる思いでした。ああいうテイストはあまり好きじゃないのです。
キム・ギドクは私たち観客を翻弄しながら、次はどんな世界へ導こうとしているのでしょうか。というわけで早々と次回作にも期待を寄せていたりもします。
Commented by CaeRu_noix at 2007-06-14 00:16
狗山椀太郎さん♪
ですよねー。一連のギドク作品の中では、あんまり好き度の高くない作品でした。おもしろがれる部分はあれこれあったんだけど、心地よさに酔いしれるっていうのはなかったですよねー。やっぱり台詞の応酬は、TVドラマみたいであまり魅力を感じないのですー。
私にとっては、ハネケはもうちょっと冷徹な目線で見つめているという感じで、ギドクは、もっと熱く力ずくっていう感じかな。でも、「心理的に息詰まる」ということは、結構心つかまれての鑑賞だったんですね? 私はニヤニヤ、ツッコミながら見ていた部分の方が多かったような気がします。好き嫌いでいうと、やっぱり私はそんなにギドク好きでもないかも・・・。ハネケ、トリアーは意地悪だけど好き。
そんなこんなで、次回作ブレスにも期待ですねー。チャン・チェーン!

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