かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『パラダイス・ナウ』
2007年 03月 29日 |
抑制された演出で真摯に訴えかけてくる、シンプルながら力強い。

イスラエル占領下のナブルスに住むザイードとハレードが、自爆攻撃を遂行することになった48時間を描く。



この『パラダイス・ナウ』という映画のタイトルを認識したのは去年のアカデミー賞ノミネート作品発表後のことだった。本作が外国語映画賞部門にノミネートされたことに対し、イスラエルの自爆攻撃被害者の遺族たちが、ノミネート中止を訴えたというニュース報道があり、必然的にこの映画について興味をもった。やはりアカデミー賞受賞はならなかったけれど、ノミネートされるほどの作品である以上、日本でも一般公開されることになってよかったとつくづく思った。本作が自爆テロを正当化しているというのがその時の遺族の訴えの理由だったらしいけれど、その遺族たちはこの映画をちゃんと観てくれていたのだろうか。

イスラエルで自爆テロ、○人死傷、なんていうニュース記事は、何度となく新聞紙面で目にしてきた。爆弾によって、不特定多数の人を巻き添えにして、自らの命をも無惨に断ち切るなんて、あまりにも凄まじい行為。ショッキングではあるけれど、それは外側から見る限り、パレスチナの人々にとってイスラエルとの関係によい効果をもたらすとは決して思えない。比べるとすれば、戦中の日本のカミカゼ特攻は、それが戦場に送られた兵の行為だから、命令によって遂行せざるを得ないものだったのだろうと理解できる。だけど、パレスチナの普通の人々が、そのまま暮らし続けることを捨てて、自爆の道を選ぶという状況は、想像しがたいものがあった。そんなパレスチナの人々の境遇に歩み寄ることのできる誠実な姿勢の意義深い映画がつくられたのだ。
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その占領下の町で暮らすパレスチナ人は日常的に、横暴なイスラエル兵に迫害されて、屈辱感を味わっている。憎しみを募らせるのは当然のことだろう。理不尽でも、一般市民は、銃器を携えた兵には逆らうわけにはいかない。ずっと屈辱に耐えていくしかないのか?目には目をというやり方で抵抗しようとする動きが起こるのも自然なことなのかもしれない。そうなのかもしれない、追い詰められた気持ちもわかる。それでもやはり、それは選ぶべき道ではないのだということをしみじみと感じさせてくれる誠実な作品である。そのことを明らかに訴えているわけでもなく、ただパレスチナの青年のおかれた状況をリアルに描写しているだけなのだけど、その48時間にはいくつもの矛盾が見えて、滑稽でさえあり、神の名のもとに行われるような行為ではないことを思い知らせてくれる。

最後の晩餐ショットがステキ。ナザレで撮影されたのだそう。

ハッとしたのは、彼らザイードとハレードが、自爆決行に向けて、ヒゲを剃り、髪を短く刈られたこと。そういえば、忘れていたけれど、フライヤーの写真の2人の青年はヒゲのない短髪だった。映画が始まって登場した主人公2人はムスリムの男性らしく、髪も長めでヒゲをたくわえていたのだった。それが、その任務のために、このような姿にされてしまうんだということが痛ましい。アラーの加護のもとで行動するのなら、ムスリムの男らしい姿でコトを行うほうがふさわしいのじゃないかと思ったりしたのだけど、結局はイスラム兵に怪しまれないことが大事だということなのか。むしろ剃髪なんて仏教的なんだけど、殺生を忌む仏教とはもちろん対極的。そして、ダークスーツを着て結婚式参列者を装うなんて馬鹿げているよ・・・。

もの悲しき不条理を炙り出すビデオ撮影のシーンも印象深い。組織の幹部達はそうやって、自爆攻撃を行った者を英雄として記録する。世の中に衝撃を与え、後に続く者を呼び起こす効果もあるのだろうか。ビデオの不調による撮りなおしで、宣誓が空々しく虚しく響いていく描写は見事。そんなビデオが町の電気店で、販売されたり、貸し出されたりしているという状況にも苦笑いしてしまう。当事者が神聖な気持ちで命をかけて行ったことも、所詮はそんなふうに取り扱われてしまうなんて。英雄であるはずの自爆した殉死者のビデオもイスラエル側に密告をして処刑された裏切り者の密告者のビデオも同列の扱いなのである。そして、人気があるのは密告者のビデオの方だという。

やるせない気持ちになったのは、サイードの父のことを知らされた時。そのことを負い目に感じていて、父の汚名を返上すべく、自分は勇敢な行動に出ようとしたんだということが不憫でならない。イスラエルへの憎悪と復讐心が増幅する一方で、自爆攻撃行為は英雄的なものだという意識が刷り込まれていくことがいたたまれない。結局、『ミュンヘン』で描かれていたことと同様に、組織は個人を駒として利用しているだけじゃないか。結局、自爆攻撃行為で達成感を感じるのはパレスチナの組織の幹部だけで、それがパレスチナの解放へはつながっていかないはずなのに。それでもイスラエルが空爆をしてくるんだから、自分達の抵抗手段は自爆しかないのだと無謀にあがく追い詰められた人たちいるのだということをただ重く受け止めるしかない。フランス育ちの彼女の言葉には心心動かされたけれど、彼女が語ったように別の方法を模索していってほしいと願う。

パラダイス・ナウ PARADISE NOW 公式サイト
2005  フランス/ドイツ/オランダ/パレスチナ
監督.脚本 ハニ・アブ・アサド
製作 ベロ・ベイアー   撮影 アントワーヌ・エベルレ
出演 カイス・ネシフ、アリ・スリマン、ルブナ・アザバル
(東京都写真美術館)
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by CaeRu_noix | 2007-03-29 13:00 | CINEMAレヴュー | Trackback(22) | Comments(18)
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Commented by moviepad at 2007-03-29 23:40 x
かえるさん、こんばんわ!

この映画の内容では、アカデミー賞の受賞は難しいでしょうね。
ハリウッドはユダヤ人が多いから。

日本人にはあまりにもわからないことが多すぎるパレスチナ問題を扱った作品。劇場公開してくれたことにまず感謝です!
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-30 11:56
moviepad さん♪
配給劇場公開感謝ですね。
ハリウッドにユダヤ人が多いから、こういう内容のものは受賞しないだろう、、とは私は直接は思わなかったんですが、ノミネート反対の署名運動がおこったことで、受賞はないだろうなとは思いました。まぁ、ノミネートされただけでも快挙かもしれませんね。そのおかげで、パレスチナの問題がちっとも身近でない日本でもこの映画が公開されたのですもんね。劇場鑑賞することができてとにかくよかったです。
Commented by 睦月 at 2007-03-30 21:12 x
かえるさん、こんばんわ。
『約束の旅路』へのコメントありがとうございました。

かえるさん。
私ね、この作品と約束の旅路を間をおかずに観てしまったんですよ。
私、このあたりの背景に関してかなり無知だったため、キチンと理解把握しながら観れたか?というとそうではなくて・・・今更ながら後悔しています。自分の勉強不足に・・・・。

ただ、あんなに普通に生活している青年が、突然テロリストとして名誉のご指名(?)を受けてしまうなんてちょっと理解しがたく、観ていてしんどかったです。

でも、そんな彼らの在り方・・・それを知れただけでも価値ある作品だったなあと思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-03-31 11:31
睦月 さん♪
パレスチナの問題はわかりにくいですよねー。本作はパレスチナの人々の置かれている状況を具体的に描写してくれてはいるけれど、確かに予備知識がないと掴みづらいのかもしれませんね。でもとにかく、そこで暮らす彼らは、その町に飛び交う砲弾やイスラエル兵たちに脅かされ、屈辱的な思いを抱えて希望もなく貧しい暮らしをしているということなんですよね。自爆攻撃をすることで犠牲になる人のことを慮る余地もなく、ただイスラエルに抵抗することを潔しとして、自らの命を差し出してしまえる状態に在るということなんですよね。平和な国にいる私は、目を覚ましてくれよって思うんだけど、そこに生きる彼らにとっては、それが必然に思えてしまうほどに息詰っているという・・。
去年『ミュンヘン』を観て、犠牲者が出るばかりでも虚しく続く復讐の繰り返しにゾッとしたものだけど、今回はちょっと違って、50/50の復讐の連鎖というカンジではなく、空爆に抵抗する自爆という構図を見せてもらったのが興味深かったです。
そうやって、いろんな切り口のものを見て、いろんな角度から知ったり考えたりしていけばよいのかなと思います。そうそう、観て知ることに価値があると思いますー。
Commented by sabaha at 2007-04-01 23:03
こんばんは。
この作品は、確かに最低限の知識がないと(いかに日々彼らが屈辱にさらされているか、等)彼らの行動の根源に対して「なぜ?」となってしまうと思うのですが、それでもいいと思うんですよね。「なぜ?」って思うこともなく、「テロリスト」=「イスラム原理主義」=「話の通じない野蛮な人」みたいな図式に、ほんのちょっとヒビでも入れば。そういう意味で、観やすくストーリーのある作品だったことがよかったと思いました。
私はちょっと、観終わった後席から立ち上がれない作品、大事な作品になりました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-04-03 00:47
わかばさん♪
そうですね。予備知識がないためにピンと来なくて映画を楽しめなかったというならもったいないけれど、それでもいいとは思います。知ることができて、興味をもつきっかけになるならばよいですね。
イスラエルの方でも多くの人が観たらしいですね。映画館に足を運ぶ人は少なくても、海賊版のDVDが出回ったりしたそうで。映画を通じて、敵対心しかなかった人たちが、野蛮なテロリストも悩める普通の同じ人間なのだということを実感してくれるのが意義深いですよね。
私は最後の最後は結構冷静に観ちゃったかな。『マッリの種』のようにはいかなかったなぁって。
わかばさんにとっては久々の大絶讃作品のような気がするので(笑)何よりと思います。
あ、そちらで書くのを忘れていたんですが、スーハは『愛より強い旅』の ルブナ・アザバルだったんですねー。観たことある顔に思えたものの全然結びつきませんでした。わかばさんのレヴューを読んで、あらナイマだったのねーって嬉しくなりました♪ <気づけよー
Commented by hyoutan2005 at 2007-04-03 20:21 x
かえるさん、こんばんは。
私は監督のトークイベント付き試写会で鑑賞したので、映画を観たあとに監督の作品に対する思いなど聞くことが出来ました。
テロに向かう青年たちが、ごく普通の日常を送る普通の人々であることに衝撃を受けました。長い歴史が作ってきた対立の構図には、私達が知らない面がまだまだあるのだと思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-04-04 13:37
hyoutan さん♪
監督のトークイベントによって映画をより深く味わうことができたのでしょうね。よかったですねー。ブロガー試写会って、全部がそうではないかもしれないけど、そういう有意義なものであればとても魅力的ですねー。
私は劇場ロビーに貼ってあった記事などを読んで、監督の姿勢に感動した次第です。ホントに命がけの撮影だったんですよね。スタッフが身代金目的で誘拐されたこともあったなんてビックリです。
こういう作品を見て、私たちには身近に感じられない世界の問題を少しずつ深く知っていくことができることがまた意義深いですよね。
Commented by orange at 2007-04-13 00:19 x
こんばんわ☆かえるさん。
コメント&TBありがとうございました~!

僕も昨年のアカデミー賞の時に、こんな作品が世に出てきたのかと思った覚えがあります。
普段何気ない生活をしている彼らでも、どこかにすがりつくものもあり、逆らえないものもあるという事実を淡々と語るラインに驚きつつも、結果はどうなっていくのだろうと不安に駆られながらの鑑賞ともなりました。
どこかで映画情報を取り違えたのか、この作品観るまでは、自爆テロを行おうとして右往左往するコメディ作品だと思っていましたので、びっくりものです。
新聞の紙面に当たり前のように中東のテロ行為が流れていきますが、それを眺めているかのように映像に映る彼らもまたそこに生きる人々であり毎日何かしらを感じているのもこの地域の日常なのだと思うと言葉がありません・・・
ラストのあの表情・・・今でも偶に蘇ってきます。
Commented by CaeRu_noix at 2007-04-14 12:39
orange さん♪
去年のアカデミー賞ノミネートの時から注目でしたよね。
何しろ、基本的には、パレスチナは国家と認められていないからと、以前『D.I.』という作品は外国語作品賞ノミニーの対象外だったんですよね。それが今回は、複数の国との共同製作というカタチだったから、やっとそういう資格が得られたそうで・・・。署名運動で物議をかもしたことも含めて、そのような問題作が世界各国で公開されていることは感慨深いですね。
彼らのおかれている立場はホントに息苦しいものでした。
コメディだと思われたというとやっぱり『D.I.』を思い出してしまいます。あまりにも悲劇的な状況はもはや笑ってしまおうというのもありですよね。でも、本作のように、じっくりとそのリアルな状況に迫るというのもまた素晴らしく、強く訴えられるものがありますよね。無機質な新聞記事の文章とはまるで違う感触をもたらす生の実態でした・・・。
Commented by mar_cinema at 2007-04-27 23:49
かえるさん、こんばんは。
パレスチナ問題という社会問題を抜きにしても、
素晴らしいって思った作品でした。
とは言っても、パレスチナ問題に関しては、
100%パレスチナ寄りなんで、評価が高いのかもしれませんが・・・
でも、この作品をアメリカで公開され、
アカデミー賞にノミネートされた事は、すごく意義があると思ってます。
Commented by CaeRu_noix at 2007-04-30 01:23
mar さん♪
素晴らしい作品でしたよね。やや、それを抜きにはできないと思いますが・・・。テーマがまずあって、その取り組み方、表現の仕方が素晴らしいんですよね? そして、パレスチナばかり擁護するような描き方をしていないところがよいのだと思うので、観客の方が100%パレスチナ寄りだから高評価なのかも・・・なんて思う必要はないんじゃないかなと。(笑)
私たちが観ることができたのは、アカデミー賞ノミネートされたおかげなのかもしれませんね。
Commented by 狗山椀太郎 at 2007-06-03 09:12 x
こんにちは。
自爆決行を前にしたビデオ撮影のシーンでは、テロリズムや自爆攻撃への批判姿勢が窺えますね。組織の主義主張は、結局「建前」に過ぎないことが、ユーモラスに暴かれていたと思います。
そういう部分を含めて、この映画では、組織の「建前」と、若者たちの「本音」を、しっかりと切り分けて表現されていると感じました。
私は、そこに制作者の誠実さを見た気がします。

あの「最後の晩餐」のショットは絵画的でしたね。
あと、サイードが家族と最後の夕食をとる場面や、ビデオ撮影の際に男性がパンを手にしている場面など、けっこう「食べる」光景が印象に残っています。
Commented by CaeRu_noix at 2007-06-04 15:14
狗山椀太郎 さん♪
ビデオ撮影のシーンは肝でしたよね。シニカルに多くを伝えてくれる秀逸なエピソードでした。そのビデオがセル/レンタル商品になっているという二段オチ?がまた素晴らしいです。自爆攻撃を繰り返すパレスチナを一括りで描くのではなく、建前で若者を利用している組織と、血迷って犠牲になってしまう個人を照らし合わせてくれるところがよいですよね。
じっくり真摯にこのテーマに取り組みながらも、押し付けがましくなくて、ユーモアをもって描き出しているところがとてもいい。撮影は命がけだったというのに、そんながむしゃらさは伝わってこなくて、ジワジワあぶりだされてくるところに唸りました。
おお、「食べる」光景が印象的でしたか。他のブロガーさんmakoさんに教えてもらったんですが、監督によると、食べるという日常の行為を行うことで平常心を装い、自爆という非日常的な行為をする者たちへの感情移入をあえて断っている場面なのだそうですね。
あと、日本のミニマリスト映画ってのは青山監督のユリイカなどをイメージしているそうです。
Commented by acine at 2007-07-05 23:02
かえるさん TB有難うございました。
結局自分達は、彼らの言う”遠巻きに眺めてるだけ”という存在で、
あんまり意見を言ってはいけない身分だよなぁ・・・と、もどかしくもあり
どよん・・・と考え込んでしまう映画でした。
ほんと、かえるさんが書かれてる通り、決行するためにはムスリム色を
薄くする・・・それも悲しいものがありますね。そして、ビデオやポスターにもビックリ。
原始的な方法と言っても、現代風な方法もちゃんと取ってるんだなぁと
驚きでした。 それにしても日本では考えられない厳しい境遇ですよね。
自分も含め、タラタラ生きてる日本人、あまりにもノホホンとあぐらをかきすぎていると思ったりして。
それしても、世界中には無名でもいい俳優さんは本当に一杯いるもんだだなぁ・・・と思いますね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-07-06 07:44
acine さん♪
コメントありがとうございます。
そうなんですよね。もどかしいです。平和が当たり前という日本で生まれ育った私たちの境遇とはあまりにも違いすぎて衝撃。でも、映画を観て、ニュースを読んで、居たたまれない気持ちになるのだけれど、それだけのことで遠巻きに眺めてるだけなんですよね。普段は彼らのことなんて忘れていますし・・・。でも、関心をもち、知る機会・考える機会が与えられたのは有意義ですよね。
自爆テロ事件いうのは、多くの人を巻き込み注目される結果を考えると、なんとなく派手に行われるものというイメージがあったから、その決行場所に辿り着くまでは変装みたいなことまでして、こっそり赴くものだなんて意外でした。それも、ムスリム食を薄くしてっていうのは皮肉ですよね。正当化している行為のわりにはずいぶん虚しいものだって感じますよね。そんな行為の繰り返しはもうやめてほしいですが・・・。
世界的に有名な俳優さんっていうのはメジャーな映画に出る一握りに過ぎないでしょうけど、よい俳優さんやよい映画は世界中にあふれていると思いますー。
Commented by 真紅 at 2007-12-17 22:26 x
かえるさま、こんにちは。
この映画、割と早くDVDになってくれてよかったです。
GG受賞やオスカー候補になっただけのことはあり、映画作品として素晴らしいと思いました。
サイードの心の葛藤が、とってもよく描かれていましたよね。
DVDには撮影風景や監督インタビューの映像も入っていて、本当に危険と隣りあわせで作った映画のようでした。
正装して、「結婚式」のフリをするなんて、彼らにとっては「ハレの日」ってことなのかなって切なく思いました。
あと、「汚染された水」とフィルターの話が繰り返し出てきて、とても印象的でした。
彼らが普通に恋愛したり、映画観たりできる日が来ればいいのに、と思いますね・・・。
TBさせていただきました!ではでは~。
Commented by CaeRu_noix at 2007-12-18 09:39
真紅 さん♪
そうですね。これは配給がアップリンクなので、普通の劇場公開作品のようにドッカーンと興行するんではなく、ソフトの販売にも力を入れつつ、スクリーン上映も地道に続けているという感じでしょうか。いわゆるエンタメ映画とは違うラインだと思うんですが、普通にレンタルされているのでしょか?それは嬉しい限り。
そして、DVDだとそういう特典映像が観られるので、また魅力的ですね。興味深い内容だったのでしょうね。
自爆するために、正装をするなんて本当に皮肉ですよね。でもそうか、皮肉ながらも、彼らにとっては堂々、ハレの日だったのかもしれませんね。ムスリムといえば、豊かなひげ姿が象徴的なのに、すっかりそり落としちゃうところは痛々しい気持ちになりましたが。
問題は根深すぎて、込み入り過ぎて、簡単に解決には辿り着かないでしょうけど、こういう映画で、自爆攻撃してしまう若者の事情もくみ取って、改善の道が進めたらいいなと思いますよね。
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