かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『蟲師』
2007年 04月 15日 |
世界観が気に入った。大いなる日本の自然に圧倒。



100年前の日本。動物でも植物でもない、妖しき生き物「蟲」(むし)を感じ、それらが引き起こす摩訶不思議な現象を鎮め、人々を癒す特殊な能力を持つ“蟲師”ギンコの放浪の旅。
漆原友紀の大人気コミックを、『AKIRA』の大友克洋監督が実写映画化。

原作について知っているわけでもない私には、どうしても本作と『どろろ』が似たようなイメージの存在に感じられていた。コミックが原作、昔の日本舞台の不思議な怪奇現象、旅する物語と複数の共通イメージがあったから。でも、『どろろ』はエンタメしているアイドル映画な印象だったから、それなりにおもしろくはあったものの、私には丸ごとよかったとは言い難く。片やこちらは、ヴェネチア国際映画祭出品されただけあって、日本の風流を感じさせるアート系作品という感じで、エンタメなおもしろさには欠けるものの、個人的には結構気に入ってしまった。

静寂が素晴らしいじゃないですか。不気味な虫が人間に巣くい暴れるなんて、ホラー映画みたいな恐ろしい状況なのに、恐怖感を煽るような大仰な音楽をつけたりせずに、ゆったりゆったり場面の一つ一つが描写される。こういう設定の物語だったら、ホラー、ミステリー、アドベンチャー、アクション、どこかの部分でエンタメ映画の王道的な演出がされてしまいそうなものなのに、とことん神秘的な自然の存在感を大切にし、静かに静かに物語られていくところがよかった。退屈だと感じる人も多いのだろうけど、私はむしろ、その空気感を満喫しようと、耳をすまし食い入るように見つめてしまった。楽器の音より、虫の音がいい。

無国籍な設定だか何だかで、『どろろ』はニュージーランドロケなんてしちゃっていたけれど、もうそれが残念ポイントだった。今にも白馬の騎士が出現しそうな広大な美しい草原は、東洋ならではの妖怪が登場するおどろおどろしい雰囲気にそぐわなかったような。それに比べて、『蟲師』のロケーションの素晴らしさには惚れ惚れ。日本はやっぱり、平原じゃなくてしっとりとした山でしょう。3ヶ月をかけてロケ地探しをしたというだけあって、その琵琶湖周辺や富士の樹海などの風景は、自然の神秘の魅力にあふれ、美しくて畏敬の念を抱かせる。そんな日本特有の世界観がとにかくよかったな。

初め、オダギリジョーの声と話し方は「師」というタイプに似合わない気がした。どっちかというと現代劇の等身大キャラの方が魅力的に感じさせる俳優かなぁと。でもだんだんと、蟲師という特別な存在であるからこそ、異邦人的な異質感を持つことがむしろいいのかもしれないと思えてきた。銀髪鬼太郎ヘアが近未来SF風味と思えるほどに異色でも、周りの庶民からは浮いた存在であるのが丁度よい"蟲師"なのかもしれない。人々に馴染むことなく、放浪するのが蟲師なのだなぁ。

VFX映像もなかなかおもしろかったけど、やっぱり山の自然、日本の原風景が何よりも素晴らしかった。それだけで意義あり作品。

蟲師 2006  公式サイト
監督.脚本 大友克洋
撮影 柴主高秀  美術池谷仙克
-cast-
ギンコ・・・オダギリジョー
ぬい・・・江角マキコ
虹郎・・・大森南朋
淡幽・・・蒼井優
庄屋夫人・・・りりィ
たま・・・李麗仙
.
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by CaeRu_noix | 2007-04-15 10:47 | CINEMAレヴュー | Trackback(8) | Comments(8)
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Commented by あ~る at 2007-04-16 01:11 x
こんばんわ。
僕も同じような意見です。(どろろは僕にはハズレだったけど)なんか、映画映画って言うより環境映像を観ているようなリラックスできる作品でした。VFXは虹が良かったですね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-04-16 12:08
あ~る さん♪
おお、そうですか。嬉しいです。
(私も「どろろ」は満足度としては低かったです。)
そうですね、リラックスしながら、その自然を堪能できました。人工的なものばかりを見せられるより断然よかったです。アニメの監督作品というから、どちらかといえばVFXや奇抜な映像表現がウリなのかなと思っていたので、意外な喜びでした。虹もよかったですね。虫たちはありがちな感じだったかな。
Commented by 風情♪ at 2007-04-17 14:46 x
こんにちは♪

ボクも原作は未読で、正直なところあまり期待はしてなかった
こともあって、考えていた以上に素晴しく、感動しちゃいました。
そうそう、【静】ってぇところがポイントですよね。
日本の自然美に拘った映像も素晴しいの一言でした♪ (゚▽゚)v
Commented by CaeRu_noix at 2007-04-18 22:55
風情さん♪
感動しましたかー。それは何よりです。
どろろとかフリージアとか、エンタメ系のコミック原作ものはあまり面白いと思えなかった私も、さくらんや本作のようなアート路線のものには満足でした。
日本ならではの自然の美しさがじっくりと映し出されていて素晴らしかったですよねー。
Commented by ミチ at 2007-04-20 10:17 x
こんにちは♪
こちらにはTBは受け付けておられないのね?
なんでオダジョーがこの映画のオファーを受ける?ってちょいと心配だったのですが、悪くはなかったかもと思いました(結局は彼に対して甘い???)
時代劇の要素があるのですが、彼は時代劇特有の大げさな語り口を嫌っています。
あくまでもリアリティあるセリフを押し通そうとするんですね。
それが却って時代劇では悪目立ちするところがあります(「SHINOBI」ではまさにそうでした)
この作品でもそれが如実に現われていて、他の役者さんたちとの応酬で違和感を感じる部分もありましたが、ま、特別な能力を持って放浪を続ける「蟲師」ですから、その違和感もまたアリなのかなと思いました。
ギンコのテンポに癒されました。
長々とゴメンなさい。
Commented by CaeRu_noix at 2007-04-20 16:09
ミチ さん♪
すみませんです。TB、にわかに受け付けます。
そうなんですか。オダジョーは時代劇の大げさな台詞回しが嫌いなんですね。なるほど納得。歌舞伎役者にはなれませんね。舞台演劇もダメかしら。うん、でも、確かに似合いません。現代ものが一番しっくりきます。SHINOBIは明らかにイマイチな感じでしたし。
いやいや、ホント、悪くはなかったですよー。原作の「蟲師」がどういうものか知らないので、個人的なイメージにおいての話になりますが。士ではなくて、師なので、こういうキャラもよいんじゃないかと思えました。さすらいのスナフキン風味というか。違和感を感じなかったといえば嘘になりますが、大友監督もオダジョーの異質感をあえて求めてキャスティングしたというようなインタヴュー記事も読みました。だから、違和感さえも狙い通りだったのかな。こんなコスプレも見られてよかったですー
いえいえ、オダジョーへの愛のこもったコメント嬉しいです。
Commented by mar_cinema at 2007-05-04 04:35
かえるさん、こんばんは。
この作品の日本の風景を観れただけで良かったです。

原作者が、オダジョーをギンコにって要望したっていう事を
どっかで読んだ覚えがありましたが・・・
原作、読んでますが、雰囲気は違うけど、
オダジョーのギンコは悪くないって思いました。
まぁ、原作ファンっていう事もないので・・・
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-06 21:45
mar さん♪
すばらしい風景でしたよね。息を呑んで見入ってしまいました。
自分の足を踏み入れたことのある山はこんなにも神秘的じゃないですもん。こういうカタチで自然の凄さを感じさせてくれるのは実写映画ならではですよね。
原作を読まれたうえで、オダジョーのギンコはOKなのですね。ウエンツくんよりキタローヘアの似合う顔立ちだと思いまする。
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