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かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『パリの中で』 Dans Paris ☆☆☆☆☆
2007年 04月 17日 |
チェックのトランクスな弟ルイ・ガレルが白のボクサーブリーフな兄ロマン・デュリスをなぐさめる現代のヌーヴェルヴァーグ!

--傷心の兄ポールが、父と弟ジョナタンの住むパリの家に戻って来て、部屋に閉じこもっていた。--



パリ、ジュテーム!クリスマスを迎えるパリの街に心躍る。
でも、それ以上に温かなものを感じさせてくれたのは、パリの中の部屋の中、ユニットバスルームの中、ベッドの上。
そこで交わされる言葉たち、リラックスした親密な空気に何だかグッときてしまう。
パンツ一丁で向き合って、心を開放しようー

とにかく、とても気に入った。『キングス&クイーン』を観た時と同じような感銘を覚えた。いえ、こちらはそれよりももっともっとシンプルなのだけど。ルイ・ガレルの飄々としたコミカルなキャラクターは『キングス&クイーン』の喜劇担当マチュー・アマルリックに通じるものがあったからそう感じたのかな。悲しみをユーモアで包み込んでいく様が本当に素晴らしいの。

私が、ルイ・ガレルの演じる軽快な弟キャラを見て、まず思い浮かべたのはかのマチュー・アマルリックであり、あるいはセドリック・クラピッシュ作品の中のロマン・デュリスだった。でもそう、その飄々としたお調子者ぶりは、ジャン=ピエール・レオー扮するアントワーヌ・ドワネルくんなんだよね。だから、ヌーヴェルヴァーグ風味なのかな。何をもって"現代のヌーヴェルヴァーグ"と評されているのかは私は知らないけれど、そうなのホントに、ロメールやゴダールの映画を観た時と同じような心地よい幸福感に満たされる映画なのだ。

これまで観た3つの出演作のルイ・ガレルはいつも、憂いを帯びていたり陰のある役柄だった。だから、今回の明るいコミカルキャラはとても新鮮で可愛かったな。ふさぎ込んだ兄を和ませるために、パンツをかぶって、「僕のトランクス、知らない?」なんてギャグをやっちゃうところはもう最高。つい、クスっと笑顔がこぼれてしまう兄の姿を見て、それはもう嬉しくなってしまう。逆に、ロマン・デュリスは、定番のお調子者キャラとは違い、序盤から恋人との不和で苦悩する表情ばかりを見せる悲しみにとらわれた男。ことの経緯がわからなくても、その悲哀と混迷に引きずり込まれてしまいそうになる迫真の演技。最初に登場した時は、ヒゲぼうぼうで何かヘンな髪型で少しもステキじゃなかったのに、やがて傷心から立ち直って、終盤にはとてもいい表情を見せくれた。やっぱり役者だなぁ。

タイトルのイメージとは裏腹に、室内のコミュニケーションが肝だった。だからこそ、屋外のシーンは格別な解放感と躍動感をもたらしてくれた。身軽なプレイボーイ、ジョナタンが街を闊歩する姿は爽快で、ケンカしていた彼女アリスとバッタリ出逢って戯れるシークエンスも楽しくて大好き。これは何ごっこなの?目隠しする2人がすごく可愛い。街角の『ラスト・デイズ』と『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のポスターの前に彼が立つショットに嬉しくなり。そして、夜に浮かぶエッフェル塔も、ショーウィンドウの中の機械仕掛けのトイがスクリーンいっぱいに映し出されるのも夢のようにステキ。

パリに暮らす若者が駆け抜ける日常のパリを味わった後にまた、安らぎのホームへ。リアルタイムで描かれているのはほぼたった1日ほどのことに過ぎないのに、この家族の姿が見えてくる。母の存在、クレールのこと。正反対のキャラクターのように見えた兄弟が、同じ思い出、同じ悲しみを共有してきたという当たり前の事実に気づいて温かな気持ちになる。極めつけの冬のセーヌ川DIVEという過酷な体験をも共有した後に、兄弟がベッドの上で寝そべって仲睦まじく語らう。チーズをほおばりながらね。絵本を読むところは感慨もヒトシオ。その部屋に充満する親密な柔らかい空気がそれはもう至福なの。

ベッドに川の字で眠るスリーショットに愛おしさを覚えて。
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-キャスト-
ロマン・デュリス ・・・ ポール
ルイ・ガレル ・・・ ジョナタン
ジョアンナ・プレイス ・・・ アナ(ポールの恋人)
ギィ・マルシャン ・・・ ミルコ(パパ)
マリー=フランス・ピジエ ・・・ ママ
アリス・ビュタール ・・・ アリス

監督.脚本:クリストフ・オノレ(Christophe Honore)

この作品は2001年にロマン・デュリスが南仏のギャロン川の辺りで僕のために「ローラの歌を歌ってくれた時に生まれた。
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by CaeRu_noix | 2007-04-17 18:09 | CINEMAレヴュー | Trackback(1) | Comments(4)
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Tracked from エッフェル塔 at 2007-04-19 14:38
タイトル : エッフェル塔
フランスのパリのエッフェル塔についてのサイトです。エッフェル塔に興味のある方はぜひご覧ください。... more
Commented by sally at 2007-05-04 23:56 x
かえるさん、この作品どこでご覧になったのでしょうか?
フランス映画祭??
うー、めっちゃ観てみたいですー。
ロマン&ルイの兄弟に現代のヌーヴェルヴァークだなんてー。
素敵。
学生時代、結構ヌーヴェルヴァークの作品を観て妙な感銘を受けていたものでした。あの頃は若かった・・・(爆)
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-06 22:11
sally さん♪
これはですね。東京日仏学院で観ました。フランス映画祭の特別上映イベント「ジャック・ドゥミ特集 結晶(クリスタル)の罠」のプログラムで、ジャック・ドゥミ以後の映画という位置づけで選ばれた作品でした。「Inrockuptibles」誌が去年のベスト1に選んだ作品なんですよー。ちゃんとした日本語字幕はついていなかったんですけど、私は何が何でもと、イヤホンで同時通訳を聴ける回のものを鑑賞しました。それがなかなか感慨深かったです。朗読のような響きの日本語。
人によっては何てことのない映画だと思うんですが、ヌーヴェルヴァークが好きならばいけるんじゃないかと思います。sallyさんにもご覧になっていただきたいですー。一般公開を祈ります。
Commented by marikzio at 2009-08-21 15:38
CaeR_noixさん、お邪魔しま~す♪
これ、日仏学院でやってたんですか~?
自分は、女優や歌手、そして作家として活動しているエレナ・ノゲラがちょい役で出演している、ということが気になって、仏語能力も不十分なのに、DVDを買いました。ガレル君がナンパするスクーターに乗ってた女性です。

http://marikzio.exblog.jp/10045691/

もちろん、オノレ作品+ルイ・ガレル出演というのも大きな魅力です。
CaeRu_noixさんによる日本語解説が読めて良かったです♪
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-22 01:18
marikzio さん♪
いらっしゃいませ。訪問ありがとうございますー。
そうなんです。幸運にもスクリーンで観ることができたのです。
これはもうもう、めちゃめちゃ気に入りましたよー。二回観ちゃった。
フランス語はちいともわからないですが(取ってたのに)DVDはほしいかも。
エレナ・ノゲラさんって、知りませんでした。で、覗いてきました。
そのシーンは俄かに憶えていました。とてもチャーミングな人ですねー。
ナンパのシーンも軽やかで楽しかったなぁ。
日本語字幕がちゃんとついたものも観てみたいものですー。
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