かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『ユアン少年と小さな英雄』(ぼくとボビーの大逆転)
2007年 04月 19日 |
ハートウォーミングー

19世紀のスコットランドに実在したテリア犬ボビーの物語。



19世紀のエジンバラの石畳の街を躍動感いっぱいにとらえた赤茶けた映像の色味がステキ。旧市街の貧困地区の猥雑さもいい雰囲気で見入ってしまった。セピアがかった町の中を真っ白なテリア犬ボビーが駆け抜ける姿がとてもいい。この手のものは、ストーリーから受ける感動は予想通りのものになりがちだけど、映像のタッチは想定範囲外の好みのものだったのが嬉しい。その時代の人々の姿もリアルに細やかに描かれていて興味深く。市場や紡績工場の様子がおもしろかったな。

可愛くってとっても賢いボビーは、ユアン少年のものではなく、警察官ジョン・グレンの飼い犬だった。ところが、疫病の蔓延るこの時代、警察官の主人は病で帰らぬ人となってしまう。そして、忠犬ボビ公ったら、教会の敷地内にあるご主人のお墓に寄り添って暮らすのだ。可愛いったら、ありゃしない。見かけが可愛くてもおバカな動物ではなりたたない物語。その可愛さと賢さ、まっしぐらな姿に微笑んだり、心うたれたり。私利私欲に満ちた人間よりもよほど犬の方が素晴らしいじゃないかと思うことしきり。ボビーと出会って、ユアン少年も成長していくところもまた嬉しい。悲しみも乗り越えて、出会ったものや経験をちゃんと糧にして、前に進んで行ってくれる強さに勇気づけられる。
d0029596_139058.jpg
工場経営者スミシーと孤児院理事ジョンソンが徹底的に悪役だったことはちょっと残念で、高い立場にある大人の2人が、人気者の犬一匹をどうにかしたいがためにそこまで躍起になって策略を練るというのは極端すぎるように感じられた。児童向けっていうんじゃないよね?でも、善人側はもうちょっと柔軟な感じで、牧師さんの自由な発想と地道さがよかったな。ユアン少年にもよくしてくれた墓地の管理人ジェームスのキャラクターも重要。そして、町のならず者タムの存在が楽しくてとてもいい。底辺の鼻つまみ者にそういう役を与えるところが好きだなぁ。

そう、貧困地区で暮らす労働者たちが主人公の物語であるところにしみじみと感動してしまうんだよね。真っ白なテリア犬なんて、今なら、豊かに優雅な暮らしする人のペットちゃんというイメージなのだけど、このボビーは、貧しい人々に愛されて、ワイルドにアクティヴに生きているから、とっても胸がすくのだ。いいお話です。

人間の登場人物にはならず者にもスポットをあててくれたのに、犬の1番から43番の命はボビーとは大違いで誰も気にとめなかったのがちょっと悲しかったけど。

ユアン少年と小さな英雄 GREYFRIARS BOBBY
2005 イギリス 公式サイト
監督.脚本ジョン・ヘンダーソン
撮影ジョン・イグナティウス
出演 ジェームズ・コスモ、オリヴァー・ゴールディング、ジーナ・マッキー、ショーン・パートウィー、グレッグ・ワイズ
 (日比谷 シャンテシネ)
[PR]
by CaeRu_noix | 2007-04-19 19:32 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(2)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/5199210
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from カノンな日々 at 2007-04-23 18:16
タイトル : ユアン少年と小さな英雄/ジェームズ・コスモ
100年前のスコットランド、少年、犬、そして実話。これだけ大好物が揃ったらワタシ的には観逃すわけにはいきません。当然なから泣く気ムンムンです(笑)。 出演はその他に、オリヴァー・ゴールディング、ジーナ・マッキー、ショーン・パートウィー、グレッグ・ワイズ、アー...... more
Tracked from 海から始まる!? at 2007-05-07 21:11
タイトル : 日本で公開されたスコットランド映画(1935~2007年)
 映画『ユアン少年と小さな英雄』、『ラストキング・オブ・スコットランド』が公開されるのに合わせて、スコットランド映画について、まとめてみました(ただし、『ラストキング・オブ・スコットランド』は製作にスコティッシュ・スクリーンが一枚噛んでいるのと、監督がスコットランド出身であること、一部ロケーションをスコットランドで行なっているらしいことを除けば、映画の内容そのものはほとんどスコットランドには関係ないようですが)。... more
Tracked from 龍眼日記 Longan.. at 2007-07-07 23:16
タイトル : ユアン少年と小さな英雄
「犬」が出ている映画はよっぽどのコトがない限り自動的に観るコトになっている。 そしてそのほとんどが「・・・DVDで十分だった」と思う結果になる。 この作品もまたその例外ではなかった・・・。(悲) ま、そういう結果になるのはなんとなーくわかってはいたんだけどね。 でも一応押さえねばいられないこのわが身の悲しさよ。(笑) だから今回は映画の日を狙って安く鑑賞してみた。 スコットランド・エジンバラに住むユアン少年は警察官ジョンが飼う犬のボビーが大好き。 そんなある日ジョンは病死して...... more
Commented by sabunori at 2007-07-07 23:21
かえるさーん、ご覧になったもののレビューを書かれていないのかと
勘違いしちまっていました。失礼!
この時代、今とは違ってまだ若いのにヒトがどんどん死んでいきますよね。
ジョンもユアンのお母さんも。
忠犬ボビ公は走り回っているからいつもお腹と足元がドロドロなのが
かわいかったです♪
それにしてもやっぱりボビ公以外のわんこのコトが納得いきませんねぇ。
Commented by CaeRu_noix at 2007-07-08 01:38
sabunori さん♪
いえいえ、昼間はTBを失敗しておりました。
疫病がはびこっていたり、ジメジメ大変な時代だったようですね。
一見明るいイヌ映画だったので、そんなことはすっかり忘れていましたが。
ボビ公の元気に駆け回る姿はホントにラブリーでした。そうそう、どろどろなのがご愛敬。
1番から43番のイヌのことを誰も気にかけないのにはびっくりでしたよねー。愛犬の命だけが大事なんて、人間はエゴイスト!
<< 『映画館の恋』 (劇場前) PageTop 『ホリデイ』 >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon