かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『13/ザメッティ』
2007年 05月 08日 |
魅惑のモノクロ映像、その空気感にしびれる



13人のプレーヤーが輪になってロシアン・ルーレットをするなんてスリリングで衝撃的。これは単館ものの中ではしっかり宣伝がされていたようだし、面白そうな素材だと興味を惹かれた人も多かったもよう。ところが、どうも先に観た人たちの評価は概して低めの印象。なんだー、面白そうだけど、実はそんなに面白くないのかー・・・。と期待値をかなり下げたのがよかったようで、私としては雰囲気に魅せられる手応えのある映画だった。

あまり面白くなかった人は、激烈な恐怖やあっと驚く物語展開などを期待していたということなのかなぁ?サンダンス映画祭で賞をとったというと、『SAW』 みたいなインパクトが予想されるのかもしれない。私にとっては、残酷な恐怖がガンガンと激しく迫り来るというんではない、得体の知れない不穏な空気に包まれて、ジリジリと緊迫感が持続する謎めき加減がよかった。

なんといってもフィルムノワールの香り漂うモノクロ映像の雰囲気が素晴らしくいい。60年代の映画を観ているような感覚が呼び起こされて、ワクワクしてしまう。『水の中のナイフ』なんかが引き合いに出されていたけれど、まさにそういったテイストのスリリングな密室の心理劇という感じ。ハラハラしつつ、その非日常のクールな空気感に酔わずにはいられない。怪しさとドライさ、緊迫感の混じり方にハマったのだった。

主人公が海辺の一軒家で屋根の修理をしているショットが絵になってステキなんだよね。窓のカーテンが揺らめき方にすらウットリの序盤から、やがて主人公と共に森の中に佇む怪しい屋敷での恐怖のロシアンルーレットゲーム世界に誘われていく。人の命を虫けらのように扱う悪趣味極まりない非人道的な残虐ギャンブルが、ごくごく当たり前に行われているということを描くドライさがいい。戸惑いを隠せない主人公、その状況に耐えられずに取り乱す他のプレイヤー、そしてあくまでも冷静にゲームをすすめる人々。とりわけ進行役音頭とりの人の合図がたまらない。電球の点灯と同時に撃つなんてアンティーク感が最高。刹那を感じさせるエンディングもクールでよし。

13/ザメッティ  13 TZAMETI
2005  フランス 公式サイト
監督.脚本 ゲラ・バブルアニ
撮影 タリエル・メリアヴァ
出演 ギオルギ・バブルアニ、パスカル・ボンガール、オーレリアン・ルコワン、フィリップ・パッソン、オルガ・ルグラン、フレッド・ユリス
 (シネセゾン渋谷)
[PR]
by CaeRu_noix | 2007-05-08 12:08 | CINEMAレヴュー | Trackback(9) | Comments(10)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/5355215
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from シュフのきまぐれシネマ at 2007-05-10 09:46
タイトル : 13/ザメッティ
13/ザメッティ  4月12日(木) @シネセゾン渋谷 製作・監督・脚本?:?ゲラ・バブルアニ 出演:ギオルギ・バブルアニ?、?オーレリアン・ルコワン?、?パスカル・ボンガール 配給:エイベックス・エンタテイメント 瓦屋根の上を歩く音、車が走り去る音... more
Tracked from 江戸っ子風情♪の蹴球二日.. at 2007-05-10 17:35
タイトル : 13/ザメッティ
 フランス&グルジア  サスペンス&犯罪  監督:ゲラ・バブルアニ  出演:ギオルギ・バブルアニ      パスカル・ボンガール      オーレリアン・ルコワン      フィリップ・パッソン グルジア移民の22歳の青年セバスチャン。ある日彼は仕事先の家...... more
Tracked from 龍眼日記 Longan.. at 2007-05-12 23:12
タイトル : 13 ザメッティ
「ザメッティ」とはグルジア語で「13」を意味する。 屋根修理の仕事で家族を養うセバスチャン(ギオルギ・バブルアニ)は 仕事先の家主フランソワが金儲けの方法があると話しているのを偶然聞いてしまう。 そんなある日フランソワは麻薬の過剰摂取で急死。 仕事も途中のまま打ち切られ、支払いもしてもらえないセバスチャンは フランソワ宛に届いた封筒を開け、指示に従って金儲けのためにパリへと向かう・・・。 低予算ながらアイディアで成功する作品。 いわゆるそういう作品だ。 セバスチャンが参加す...... more
Tracked from 犬儒学派的牧歌 at 2007-05-14 22:08
タイトル : ザメッティ:エンターテイメント性を満喫できない自分が悲しい
★監督:ゲラ・バブルアニ(2005年 フランス・グルジア作品) 京都シネマにて。 ★あらすじ(Yah...... more
Tracked from 銅版画制作の日々 at 2007-06-03 20:22
タイトル : 13/ザメッテイ★TZAMETI ランプが点灯したら・・..
原題はTZAMETI、グルジア語で、数字の《13》を意味するそうです。5月11日、京都シネマにて鑑賞。このチラシを見て、どうしても観たいという衝動にかられた作品です。そして思ったとおりの作品でした。主人公セバスチャンが劇中で《13》という番号のTシャツを着ています。いきなりネタバレです(^_^;)上記にも書きましたが・・・グルジア語で数字の13、この数字はある人にとっては不幸、またある人にとっては幸福をもたらします。ゲラ・バブルアニ監督にとっては同時に両方だと話しています。つまり主人公セバスチャンはチ...... more
Tracked from ★試写会中毒★ at 2007-06-11 18:27
タイトル : 13/ザメッティ
満 足 度:★★★★★★★★        (★×10=満点)  監  督:ゲラ・バブルアニ       キャスト:ギオルギ・バブルアニ       パスカル・ボンガール       オーレリアン・ルコワン       フィリップ・パッソン      ... more
Tracked from Memoirs_of_dai at 2007-11-06 05:08
タイトル : 13/ザメッティ
Extreme Feeling Of Strain 【Story】 グルジア移民のセバスチャン(ギオルギ・バブルアニ)は、偶然手に入れた封筒の中に入っていたパリ行きの列車のチケットを使い、一攫千金をもくろむ。単身パリに向かった彼は謎... more
Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2008-05-10 19:27
タイトル : 13/ザメッティ
 『13人のロシアン・ルーレット ──それは、運命を狂わせる邪悪なゲーム。』  コチラの「13 ザメッティ」は、2005年のヴェネチア国際映画祭で新人監督賞を受賞し、2008年にはゲラ・バブルアニ監督自らによるハリウッドでのリメイクも決定してるクライム・サスペンスな...... more
Tracked from     茸茶の想い ∞ .. at 2008-06-28 19:46
タイトル : 映画『13/ザメッティ』
原題:13 Tzameti 灯を中心に13人の男たちが輪になって取り囲む、男たちの手にはズッシリと重く黒光りする一物が・・トルコでは42人の選手で争われたという、死のゲーム・・ グルジアからフランスに移民してきた22歳の若者セバスチャン(ギオルギ・バブルアニ)、生活... more
Commented by めかぶ at 2007-05-09 07:42 x
何度か観た予告でかなり興味を惹かれました。
で、評価は・・・。いや、面白くなかったわけじゃないんだけどー。(笑)
モノクロの映像、静寂と音楽の使い分け、最初の開放的な家とゲームの家の閉鎖感のギャップ等、魅力的な部分もあるんですがー。
そうですね、“ロシアン・ルーレット”部分に強烈な期待感を持っていたのかもしれませんね。私は、なんだろうな、あの一回目までの緊張感が最後まで持続しなかったんですよね。
一回ごとのインターバルが主人公の心情の変化を物語っていてエンディングまでの彼にとても密接に繋がっていくんですが。この主人公の感情表現も、ゲームの手順まで筋がはっきりわかるほどの語りの丁寧さが、謎が消えてサスペンス味が薄れてきてしまった感があるんですわ。ノワールものって何だかわからないまま、ぽーんと放り出されたくらいのほうが気持ちいいのかもしれないー。
でも、面白かったですよ。って、説得力ないか。(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-09 23:26
めかぶ さん♪
ありがとうございまっす。
これって、やや期待ハズレだったっていう人が多いみたいで・・。
やはりやはり、ロシアン・ルーレット部分にはスゴイものを期待しちゃうのね。その期待感はわかりますー。でもって、あんまり面白くなかったなぁっていう感想をもつ人の感覚も大いにわかります。もっと衝撃的で血の凍るような描写で捻りがある方がたぶんみんな面白いと感じるんだろうなぁと。
私はこのモノクロ映像、演出が好みで、グッときちゃったので、血の凍るような切迫した恐怖でなくても、ゾクゾク感が維持できたのですがー。むしろ緊張感をそぐようなアナログ・レトロな雰囲気が逆によかったんですよ。
でも、確かに、冷めちゃう気持ちも理解できます。主人公はとりあえずは勝ち抜きそうだなぁとか読めてしまうしね。インターバルは、主人公の立場になればドキドキ感が募っちゃうと思うのだけど、気持ちが離れてしまったなら、無用な時間に感じられるのかもしれませんね。算数できないのに、確率の計算をしたくなるようなゲームの仕組みでしたしー。
がんばれ、リメイクー
Commented by こべに at 2007-05-10 10:09 x
おはようございます!かえるさん☆

うんうん、アンティーク感!それそれとっても良かったです!
無駄に音がないから掛け声がやたらと響いてドキドキしちゃったんだけどなー。
乾いた空気と音がいいわ~いいわ~と思いながら
観てるだけで満足系の映画でした。雰囲気がたまらなかったなー。




Commented by CaeRu_noix at 2007-05-10 12:00
こべに さん♪
アンティーク感に共鳴、嬉しいですー。
海辺の一軒家といい、森の中の屋敷といい魅惑的な空間でした。
声にはドキドキしましたよねぇ。進行役の人が何度となく繰り返してきた掛け声は、機械的な響きを持ちつつも、感情の高ぶりを完全には抑え切れていないようなクレイジーなニュアンスもあって、怪しくてよかったです。
そうなんです、乾いた空気!私も雰囲気に浸って満足でした。
Commented by 風情♪ at 2007-05-10 17:38 x
こんにちは♪

ゲームへ行くまでがちょっとダレ気味だった気がしますが、
いざ始まるとその圧倒的な緊張感にあっという間に呑まれ
てしまいました。
ハリウッドがリメイクを視野に入れてるようですが、個人的な
意見としては舞台が欧州だったからこそ、雰囲気が出たように
思えるんですよね。
参加者の荒い息遣いが結構、高ポイントでした♪ (゚▽゚)v

Commented by CaeRu_noix at 2007-05-10 22:34
風情さん♪
緊張感いっぱいでしたよねー。
私としては、それまでのシーンもダレるっていう感じではなく、むしろその空気感に魅了されたのでした。謎めいてけだるい感じがよかった。
ヨーロッパやアジアの素晴らしい映画のリメイク権をハリウッドが獲得したなんてニュースを聞く度にそう思います。ヨーロッパだからいいんですよねぇー。
Commented by sabunori at 2007-05-12 23:18
かえるさーん、にーはおん。
私は前半のゲームまでのエピソードは意外と気に入っています。
結構あんなおそろしい展開にならなくてもお気に入りの作品になっていたかも。
逆にゲームのシーンのインパクトのせいでその他のエピソードが
かき消されてしまった感が・・・。
でもおっしゃるとおり60年代映画のようなアンティーク感は抜群でしたね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-14 11:12
sabunori さん♪
ダルいとも言われる前半を気に入っていただけて嬉しいですー。
ロシアン・ルーレット大会の出来事そのものは予想以上の何かがあったわけではなかったですからね。私はこの雰囲気がすごくイイゾと感じられたのだけど、世にはいくらでもミステリアスでホラーな作品はたくさんあるから、本作がイマイチと言われるのはまぁ仕方ないかなと思います。わたし的には今尚序盤の映像が印象的なのでした。
モノクロはいいですよね。パンダのブラック&ホワイト!シマウマも好き。
Commented by 狗山椀太郎 at 2007-05-14 22:36 x
かえるさん、こんばんは。
お返事が遅くなってすみません・・・。
>とりわけ進行役音頭とりの人の合図がたまらない。
そう、彼の鋭い声は印象的でしたね。「フランス語って、あんなに堅くてキツイ語調だったかな?」などと思いながら見ておりました。
私にとってはあまりハマれない作品でしたが、
>60年代の映画を観ているような感覚
というのは何となく分かります。アラン・ドロンとかジャン・ギャバンが主人公で、なぜかいつも最後には殺されるのだけれど、そのあっけない刹那がまた「かっこいい!」と感じてしまうような、そんな白黒映画を深夜に(ちょっと粋がって)見ていた若かりし頃を思い出しました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-15 17:53
狗山椀太郎 さん♪
そうですね、いつもはもしゃもしゃっとひたすら柔らかいフランス語がゴツイ響きをもっていましたよねぇ。本当は冷静なのか、心乱れてやけっぱちだったのか・・・
椀太郎さんがレヴューの中で、なぜか社会派な考察をしていたのは結局のところ、そのものにハマれない作品だったからなんでしょうかね??
私はといえば、これを観る前に、『明日君がいない』という高校生の自殺が描かれた実話がもとの青春ものを観たのですよ。現実におこった自殺がテーマの尊い命についての映画を観た後で、こういう命をもてあそんだゲームの映画を観るなんて、不謹慎に感じられて楽しめないんじゃないかと不安になったのですが杞憂でした。あまりにも別ものなのでそういう真面目な視点は少しももちませんでした。ひたすら虚構の雰囲気が気に入ったという感じでした。昔のルイ・マル作品などを思い出したり。
理詰めの?椀太郎さんにとってはやはり、雰囲気うんぬんよりストーリーテリングが重要なのでしょうかね。
<< 『明日、君がいない』 2:37 PageTop 「イタリア映画祭2007」 >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon