かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『フランドル』
2007年 05月 15日 |
一筋縄ではいかないけれど。

フランス最北部・フランドル地方の小さな村。少女バルブとやがて戦地へ赴くデメステルがいた。



色濃い緑の田園風景があまりにも美しくて息をのむ。絵画のように完成された美しいショットがスクリーンに映し出されて魅了されるのだけど、それもつかの間、不快さと不可解さを感じずにはいられないのがブリュノ・デュモンの世界。田舎で生きる者の閉塞感や鬱蒼とした思いは、都会の人のそれよりもある意味、よりヘヴィーで息苦しいものかもしれないということは、日本舞台の『松ヶ根乱射事件』などでも感じたことだけど。『ジーザスの日々』、『ユマニテ』 同様に、今回もまた、のどかで美しい風景とは裏腹に、何もない田舎で淡々とした日常を送り、鬱々とした思いを募らせる彼らの姿を眺めるごとに、言いようのない虚しくてウツな気分に支配されていくのだった。

d0029596_20334918.jpg色彩の美しさで印象的だったのは、グリーンに映える金髪のヒロイン・バルブのファッション。『クレールの刺繍』を思い出させるターコイズブルーがとても綺麗。ブリュノ・デュモンの映画の中で、そんなところに惹かれるのは意外だった。だけど、それゆえに残酷。おしゃれした可愛い少女が、当然のように、恋人というわけでもない男を誘い、野外でセックスをする。そこに快楽や幸福感の片鱗は見えない。これは、男性が作り出した物語だなぁということを意識させられる。元哲学教師のブリュノ・デュモンは、偏った観点で物語を紡いではいないのだろうし、男性ならではの視点にとらわれているわけではないんだろう。それでも、女である私は、娼婦でありながら本質的に聖女であるヒロインが作り上げられていることに、男の作ったお話だなぁっていうことを感じてしまうのであった。

『ジーザスの日々』 は青春ものとしてとらえたし、『ユマニテ』 は文字通りヒューマン・ドラマだったのだけど、本作『フランドル』 はラブストーリーとして帰着したということだろうか。そこに疑問を感じるわけではないけれど、受容し包み込む聖女たるヒロインの描写については、感情を揺り動かされるよりは理性的な興味で眺めてしまった。哲学する寓話的な世界においては、必然的な女神なヒロインなのかなと思うけど、若い女の子にそれをやらせるのはやっぱり痛々しいのだもの。そして、ジュテームという言葉もしっくりとはこなかったかな。『ユマニテ』のラストの抱擁には、これがまさにユマニテなのだなぁと感銘を受けたのに比べると、デメステルを受け入れるバルブの姿には、腑に落ちない部分もあったかな。というわけで、結び方には違和感が残ったのだけど、全般的には居心地の悪さも含めて、圧倒される見ごたえのある作品だった。解釈するのは難しいのだけど、心掴まれてしまう。4つ星。

フランドル地方の素晴らしい景観のグリーンと全く対照的な乾いたベージュの砂漠の戦闘地もあまりにも印象的。寓話であるらしいこの物語において、その戦地は限定されたものではないのだろうけれど、アルジェリアやイラクをイメージさせるから、そこに広がる死闘はとても衝撃的であった。兵たちは、人間らしさというものを全く失い、自らの命をつなぎ止めるだけのためにがむしゃらに銃を乱射してひた走る。これが戦地のリアルなんだなと何度もゾッとする。ハリウッド映画の中の、死闘の場での勇敢なるヒロイズムはなんてうそ臭いんだろうと思う。やってないなんてことはもはや関係ないレイプの報復もショッキング。戦地を描いてもとことん生々しく不快なブリュノ・デュモン世界の新たな一面。戦争ものとしても類を見ない圧巻の仕上がり。

戦地は別世界のようでいて、田園フランドルと表裏一体のように描かれているところは好き。村上春樹の小説を思い出すような構成。あちらの世界で起こった痛ましい出来事がこちらの世界にひび割れを起こす。戦地で格闘するデメステルたちの苦しみと痛みを分かつようにバルブが精神に異常を来す。バルブのようなマリア的ヒロインを作り上げられたことに、男性ならではの願望のようなものを感じたことも事実だけど、戦争に行って苦しむのは男という性なのが現実である以上、故郷で待つ女という性がバルブのような存在であることに生理的嫌悪を感じている場合ではないのかもしれない。バルブの存在に違和感を持ち、バルブのようなヒロインが描写されることを否定するのは、戦争というものがなくなり、男たちが戦地に向かわない世界がやって来てからのことでよいだろう。

フランドル FLANDRES
2005フランス 公式サイト
監督.脚本ブリュノ・デュモン
撮影:イヴ・カペ
出演 アデライード・ルルー(バルブ)、サミュエル・ボワダン(デメステル)、アンリ・クレテル(ブロンデル)、ジャン=マリー・ブルヴェール
 (渋谷 ユーロスペース)
.
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by CaeRu_noix | 2007-05-15 17:51 | CINEMAレヴュー | Trackback(14) | Comments(12)
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Commented by kusukusu at 2007-05-15 21:57 x
この作品のヒロイン像が男の作家の「観念」によって描かれたものであることは僕も認めるのですが、しかし、いかに観念的に描こうとしても、映画というのが具体的に役者を使って演じてつくるものである以上は、そのような「観念」的な存在としては女優は存在し得ないのであって、ブリュノ・デュモンの観念を現実の女優が裏切ってしまう、つまりデュモンがいかに「聖女」として描こうとしてもバルブは「聖女」ではないただの「変な女」としてしか存在していないのかもしれず、そのようにデュモンが描こうとしたことが達成されていないからこそ、男の「観念」と現実との葛藤がそのまま描き出されていると思えるので、だからこそこれはやっぱり傑作なんだ・・というのが僕の考えなのですが。作り手が描こうとしたことが達成されているとは言えない不完全な作品だからこそ傑作なのではないかと・・。
というのも「観念的」すぎる見方でしょうか?(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-15 23:37
kusukusu さん♪
なるほど。葛藤が描き出されているというのであれば、それはおもしろいと思います。不完全だから傑作だというのはわかるようなわからないような・・(笑
インタビュー記事などによると、初めはバルブという主人公はもっと狂気を体現する女にするつもりだったそうですね。むしろ「変な女」として描き出すつもりだったというか・・。だけど、実際にアデライード・ルルーに演じさせていくうちに方向性が変わっていったらしい。当初の予定よりも聖女寄りになったのかどうかは知らないけれど、バルブというのはアデライード・ルルー自身がつくりあげたキャラクターといえるのだそう。観念の人もそれほどに観念にはとらわれてはいなくて、映画は生き物であることを大事にしているということでしょうか。監督が本気で聖女を描いたつもりだったのに、観客には変な女にしか思えなかったというなら、傑作とはいえないと思うんですけど・・・。まぁそういうわけではなく、作る過程で何かが変貌したり、ズレが発生したりすることは大切な要素になるのかもしれません。
傑作の定義は私にはよくわかんないですけど、ブリュノ・デュモンはやっぱりスゴイなとは思いますよー。
Commented by シャーロット at 2007-05-18 00:19 x
こちらにもお邪魔しますー。
なーんか不快でしたよ。そうですね、ジュテーム…もしっくり受け止められなかったですぅ。でも、本当のところは見ごたえ十分で世間の評判はイマイチわかりませんけど、私は嫌いではないかもです。
ああ、「クレールの刺繍」が浮かぶあたり、なるほど~ですね。バルブ役の彼女のセンスは似通った感じがします。
・・・と、そんなところが余計に他部分が残酷に思えてくる部分なのですよね。なんだかよくわからない疑問がたくさん沸いてきて一筋縄ではいきませんでした;
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-18 14:21
シャーロット さん♪
この監督の映画は不快さがウリ(?)なので、そのこと自体は想定範囲内だったんですけれど、今回は"女性性"が、いかにも男性的な観念によって描かれていた感じだったので、女性としての不快さと疑問をもたずにはいられませんでした。といっても、鑑賞中にそう意識したわけではなくて、何で違和感があったのかを後で考えてそういう部分に気づいたのでした。という感じで、私が本作のレヴューを書き始めたのは、鑑賞してから2週間も経ってからのことでした。そういう意味で一筋縄ではいかなかったんですが、シャーロットさんは相変わらず素早くレヴューを仕上げられているからスゴイー
「クレールの刺繍」を思い出したのは、緑の眩い田舎の風景とターコイズブルーを身にまとう少女というビジュアルのイメージの一致だけで、物語はまるで違うんですけどね・・。女性監督の描く生や母性が感動的なのに対し、哲学オム監督が描く性と暴力と女性性ったら・・。
去年のカンヌで、故郷の美しい大地が戦火にまみれてしまった物語の麦の穂がパルムドールで、美しい故郷を離れて乾いた戦地でもがくこの物語がグランプリだったというのは興味深いことだなぁと一年後に感じていますー
Commented by となひょう at 2007-05-19 18:44 x
こんにちわん。TB&コメントありがとうございました。

そうですか、哲学者により作品だったのですね。私にはイマイチしっくりこない作品でしたが、かえるさんの記事を読んで「ふーん、そうなのか。」と少しは理解を示せたような気がします。

>ジュテームという言葉もしっくりとはこなかったかな

この点だけは、もの凄い共感できますわ。このむ~んと感じた感覚こそが、この作品の持ち味といったところだったのでしょうか。
どちらにしても、私には難しい作品でした。
Commented by margot2005 at 2007-05-19 20:40
こちらにもお邪魔を...
やはりブリュノ・デュモンの世界でしょうか?彼の作品は初めてです。
先週の某夕刊に監督のコメントがありました。
戦争の場面はあえて現存する場所にしなかったと言ってましたが、それが少しでも悲惨さから救われた気がしますね。
しかしあこまでの欲望と狂気にはちょっとついていけませんでした。
>『クレールの刺繍』を思い出させるターコイズブルー...
同感です。
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-20 12:15
となひょう さん♪
コメントハンドルを"となひょう"にしたんですね♪
字面がやけにカワイイです。ひょうひょうひょうー
正直いって、となひょうさんがコレをご覧になったというのはかなり意外だったんですよ。まぁ、カンヌ・グランプリ作品ですから、そんなに宣伝はされていなくても、興味をもってくださったようで。
私は本作には結構見ごたえと満足感を感じたのですけれど、終盤のジュテームがしっくりこなかったために、不可解さが色濃くなってしまいました。観念的な映画だなぁと思ってはいても、そういう愛の言葉がささやかれる重要なシーンでは、理性で理解するというんじゃなく、心で感動したいところですよね。
まぁ、無口なあの彼が過酷な戦争体験の後に、そういう言葉を発せられるようになったことは感動的だったのかなと、今は思えるんですが・・・。
Commented by CaeRu_noix at 2007-05-20 12:16
margot さん♪
ブリュノ・デュモン作品は、あんまり多くはないし、いつも素人俳優を使うので、日本ではかなりマイナーなのかもしれません。映画祭で賞をとっているので、注目する人はするんでしょうけど、娯楽映画の対極にあるタイプですよねー。
ああ、夕刊私も見ました。"戦争と性的欲望の相似""領土を侵すことと人間性を奪うことに共通する根"など興味深い内容でしたね。
戦争シーンのロケ地はチュニジアみたいですけど、物語上は架空の場所という感じでしたよね。うーん・・・。現実の戦争としていないから、救われるとは私は思わなくて、具体的な戦争をあてはめることができるところに意味があると思いましたです。
そこに描かれる欲望と狂気には、観客の気持ちは入りにくかったですよね。
Commented by kimaguren at 2007-06-08 19:18 x
ギドクの合間にフランドル♪ でも 難しすぎて四苦八苦しましたが思いつくまま失礼します。

戦場へ行くというのに見送りに来た家族が殆んど無いことや、湿った地面やぬかるみ道を歩く時のぴちゃぴちゃという音から 寂しい田舎の生活をひしひしと感じました。

>彼らの戦場での暴力行為は次第にタガがはずれ残忍さを増していく。それに呼応するかのように、故郷に残るバルブの精神は日に日にバランスを失っていく…。

このように解説されていますが、私はバルブとデメステルの物語なのだ と考えると気持が落ち着くんです。それはデメステルのバルブへの想いの強さがひしひしと伝わってくるから。 ブランデルの事をどう位置づけしたら良いのかということに悩みましたが、バルブのことを「友達だ」と言ったデメステルへの当て付けなのではないかと。。だいたいお腹の子の父親がブランデルだなんて判る筈もないし、堕ろすと言っておきながらわざわざ手紙で知らせるし、しかもお腹が大きくなかったし。。全部当て付け、というのはこじつけかしら~     続く。。
 
Commented by kimaguren at 2007-06-08 19:20 x
続き
この戦場はどこそこと特定されず、戦場での兵士たちの普遍的な行動パターンを見せることが目的なのでしょう。その行動も 特別悪いことばかり(いや特別なのではないかもしれない)子供を殺し、レイプし、仲間を見捨てる。戦争の愚かさを感じずにはいられませんが この映画のテーマとしては添え物なのかしら。

でもひとつ強烈に残った言葉がありました。

レイプした女性兵士の指差した男が部屋へ連れて行かれ、悲鳴が聞こえると「野蛮人め」と残った誰かが言いました。これは痛烈な皮肉ではないでしょうか。一体どっちが野蛮人なんだ~! 
ま、どっちもどっちですが、敢て言えば 先進国の方が却って野蛮人だと言えるんじゃないかと。だって教育だってちゃんと受けていて物事の良し悪しという事も学んでいるはずでしょ。それなのにそういう事を一瞬にして捨て去ってレイプ、子供の射殺、そういった事ができるなんて野蛮じゃなくて何なの?
反対に言うと 人間なんて野蛮なんだよ という視点から物事を考えないといけない ということかもしれないと思ったり。。。。
Commented by CaeRu_noix at 2007-06-09 12:56
kimaguren さん♪
難しいと感じながらも、ちゃんとこの作品を受け止めようという姿勢がうれしゅうございます。わけわからーん。こんな映画のどこがいいんだーって思われる人も少なくはないようなので・・
音楽が一切排除されていて、自然の音がとても印象的でしたよね。寓話的・観念的なオハナシを思い切りリアルに撮るっていうやり方がすごいと思います。ぴちゃぴちゃという音にも不安感を煽られます。のどかで息苦しい田園なのになんて息苦しいことか。
戦場へ向かう時の召集、出発の仕方も奇妙でしたよね。硫黄島からのてがみなどで、戦争に行く者達は華華しく見送られて行ったのとは大違いの淡々とした寒々しさがたまりませぬ。
バルブはデメステルのゆるぎなきマドンナだったんでしょうけど、ブランデルに対しても、戦争に行く全ての男達に対しても、時には娼婦で聖母な存在であったとも思うんです。といっても、ブランデルとくっついたキッカケは確かに、デメスメルが彼女は恋人じゃないと言ったことに対する当てつけだったと思いますー。小悪魔ちゃん。
Commented by CaeRu_noix at 2007-06-09 13:00
続)お腹の子は誰の子なのかわかんないですよねー。ブランデルの子だと言ったのは、デメスメルに焼きもちをやかせたかったっていうのもあると私も思いました。でも、子どもはおろしちゃったのかなと思ってました。そうか、それも嘘だったのかもしれませんね。ソーゾーニンシンとか。

寓話であるがゆえ、戦場はもちろん特定の場所ではないんですが、戦争映画の社会派な視点を無視できない私としては、まったくの架空の場所というんではなくて、現実の苦い歴史となっている戦争を連想されるものであることがやっぱりポイントだと思うんです。普遍的といっても、古代の戦争も包括したりするんではなく、やっぱり20世紀の半ばから現在の戦争について、間接的に切り込んでいると思えました。私としては、戦争は、2人の愛の物語のための背景というんではなくて、大きな主題だったと思います。戦地、故郷フランドル、戦いに行き傷つく男、包み込む女、それらは必然的な要素だったかなと。

戦争は人間を極限状態において、愚かな面をあぶり出すものですよね。敵も味方も誰も彼も。戦地にいかなくても、力関係の縦社会の組織内のイジメがあったりだとか。人間は環境に流されやすい愚かな生きものー
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