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『マルグリット・デュラスのアガタ』 AGATHA
2007年 06月 08日 |
フランスの高名な小説家マルグリット・デュラス(1914~96)は、映画作家でもあり、個性的で異色な作品を多数監督していたそうだ。1981年に作られた第15作。



舞台は英仏海峡に面したトゥルーヴィルにあるヴィラ。
静止したカメラがとらえた誰もいない海辺の寂しげで美しいショット。
詩のように響く男と女のダイアローグ。
男のもとを離れ、旅立とうとしているアガタ。

彼らの会話を聴きながら、その記憶が呼び覚まされていく感覚を共有する。言葉のリズムと会話の空気感から『ヒロシマ・モナムール』を思い出した。そう、ヒロシマ・モナムールの脚本もデュラスが書いたものなのだった。甘い響きを持つフランス語で、感情を込めて愛を囁くというのではなく、少し乾いたニュアンスも感じられる小説の朗読。その異色の感触がむしろ心を強くとらえるのだ。ブラームスの曲がとても美しく、水のように充満する。女はかつて、ピアノを弾くことを男に委ねた。禁断の香りもただ甘美。

アガタの台詞を読むのは、マルグリット・デュラス自身。男の役は、彼女の38歳年下の最後の恋人、ヤン・アンドレア。ジャンヌ・モロー主演の『デュラス 愛の最終章』(DVD題 『愛人/ラマン 最終章』)で描かれていた2人のことを思い出す。そんな2人がこんなふうに共に映画をつくっていたという事実を今さらながら知って感銘を受ける。ヤン・アンドレアは、朗読だけでなくて、画面に登場もしている。『デュラス 愛の最終章』でヤン役をやった俳優の雰囲気とは違う印象。女の役で映し出されるのは、ビュル・オジェ。今年のフランス映画祭で間近で拝見したその女優の二十数年前の姿がそこにあるのだ。アガタが想い出を懐かしむ気持ちとは別の次元でも年月の流れをせつなく噛みしめる。そんな思いが波間にうつろい続ける。

まったくもって独創的で実験的で非商業的なアート作品。
時折、睡魔に襲われたものの、とても魅力的な作品でした。
私は好きです。スクリーン体験できてよかった。アテネフランセ様。

私が映画館で初めて観たフランス映画はたぶんソフィー・マルソーのやつだったと思うのだけど。その次に映画館で観たフランス映画といったら、『愛人/ラマン』 じゃなかったかな。私の行った映画館でやっていたのは、日本映画とアメリカ映画がほとんどだった中。フランス人の少女が大人の男性の愛人になる物語ということだけはわかっていたのだけど、何の予備知識もなく、てっきり相手の男性はいかにもなフランス人のオジサマだと思い込んでいたので、東南アジアが舞台でお相手はチャイニーズ系で予想外だった。そして、後になってから、この物語は原作者デュラスの体験に基づいていることを知り、驚きつつも興味をもち、その原作小説を読んでみたりもした。その人生も、その作家性もとても興味深いです。機会あったらまた、マルグリット・デュラス関連の作品を味わってみたいと思いました。

Agatha et les lectures illimitées
AGATHA ET LES LECTURES ILLIMITEES
1981 フランス
監督.脚本 マルグリット・デュラス
撮影 ドミニク・ルリゴルール、ジャン=ポール・ムリス
出演 ビュル・オジエ、ヤン・アンドレア
声の出演:マルグリット・デュラス、ヤン・アンドレア
 (アテネ・フランセ文化センター)
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by CaeRu_noix | 2007-06-08 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(0)
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