かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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「白夜映画祭」 in下高井戸
2007年 06月 18日 |
「白夜映画祭」で素晴らしきロシアン映画鑑賞ー。



『コーカサスの虜』 96/カザフスタン・ロシア КАВКАЗСКЙ ПЛЕННИК
監督・脚本:セルゲイ・ボドロフ
出演 :オレグ・メンシコフ、セルゲイ・ボドロフJr
・96年カンヌ国際映画祭 国際批評家連盟賞・観客賞

文豪トルストイの短編小説を原作に、舞台を現代のチェチェン紛争に置き換えて描かれた。
徴兵されたばかりの新米兵士のワーニャは、紛争の地チェチェン送り込まれるも捕虜となってしまう。ワーニャと准尉サーシャはコーカサス地域の小さな山村で、ロシア軍に捕まっている自分の息子と捕虜交換をさせたいブドゥル・ムラットのもとでしばらくの間、捕虜として日々を過ごす。

再見、劇場初鑑賞。名作です。
美しい風景と大好きなオレグ・メンシコフ、今はなきセルゲイ・ボドロフJrの姿をスクリーンで見ることができて感動ヒトシオ。捕虜生活というと命の危険を感じながらの緊迫した雰囲気のものがイメージされるのに、ここでは牧歌的な雰囲気すら漂っていて、ワーニャとサーシャの2人の語らいや、彼らと、見張りの口のきけないハッサンとのやり取り、アブドゥルの娘ジーナとのやり取りの一つ一つが微笑ましくも印象的。ワーニャの母の姿にも胸をうたれました。温かなエピソードに救われながらも、個人的には憎しみ合う理由なんてない人間同士が命を脅かして奪い合う戦争の理不尽さにやるせない気持ちになるのでした。

セルゲイ・ボドロフ監督の『MONGOL』も楽しみにしていますー


『護送兵』 89/ソ連 КАРАУЛ
監督:アレクサンドル・ロゴシュキン
・90年ベルリン国際映画祭 アルフレッド・バウァー賞

囚人の護送が任務の護送兵の日常が綴られる。護送列車の中では息苦しい単調な時間が流れる。青春ものの一コマのような若者たちのみずみずしく楽しい一面も見られるのだけど、案の定陰湿なイジメも発生する。

『ククーシュカ ラップランドの妖精』の監督作品なのだけど、反戦への思いや兵士が主人公であるところは共通ながら、ほのぼの笑えるククーシュカとは、まるで違うタッチのシリアスで痛々しい物語。監督自身の経験をもとに、ソ連で初めて軍隊を批判したものだという。映像がカラーになった終盤のシークエンスがとてもよかった。


『処刑の丘』 76/ソ連 ВОСХОЖДЕНИЕ
監督・脚本:ラリーサ・シェピチコ
・77年ベルリン国際映画祭 金熊賞

1942年冬のベラルーシ。ドイツ軍に追われパルチザン部隊は森に逃げ込む。物資調達の命を受けたルィバクとソートニコフはやがて敵と銃撃戦になり、負傷して農民デムチーハの家へ転がりこむ。結局はドイツ兵に見つかり、匿ってくれた農婦ら共に連行されてしまう。

女性監督の作品だというのに驚く。この頃のソ連に女性監督がいたことさえ認識していなかったかも。そして、その作風も女性監督作のものとは思えない戦場のリアルで緊迫した重々しい物語。同じ人間でも極限状態で見せる反応は多様で、厳しい拷問を受けても仲間を裏切らない強さも、自分の身の安全のためには容易く寝返る弱さも、どちらも人間の持ち得るものなのだよね。何であれ、そもそも人がそういう状況に追い込まれることが間違ってるーー


『一年の九日』 61/ソ連 ДЕВЯТЬ ДНЕЙ ОДНОГО ГОДА
監督・脚本:ミハイル・ロンム
・62年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 グランプリ

ソビエト映画のヌーヴェルヴァーグ。。1年のうちの連続していない9日の描写。二人の男と一人の女。それも物理学者。原子力研究所で、雑談をするように軽やかに、中性子についてが語られる。放射能を浴びて命の危険にさらされて原子力研究所で重大な実験が行われる傍ら、女が部屋でで夫婦の倦怠期にため息をついちゃうのだから、とても楽しくなってしまう。原子力にまつわる人類の地球規模の問題も、男と女の間に生まれる問題もまるで同じようなトーンで横切っていく。とてもリズミカルで、まさにヌーヴェルヴァーグな味わいの新鮮で粋な作品。


『スタフ王の野蛮な狩り』 79/ベラルーシ ДИКАЯ ОХОТА КОРОЛЯ СТАХА
監督・脚本:ヴァレーリー・ルビンチク
・80年モントリオール世界映画祭 審査員特別賞

20世紀前夜のベラルーシの旧家を舞台に怪奇と幻想が交錯するサスペンスなゴシック・ロマン。民話の取材のためにペテルブルグからポレーシェ村にやって来た若い民族学者ベロレツキーは、雨宿りのため屋敷を訪問。そこは「スタフ王」と呼ばれた農民の頭目を暗殺した領主ロマン・ヤノフスキーの屋敷だった。

怪しい雰囲気が満点のお屋敷。スクリーンで見られて嬉しいオカルトな世界。その謎がどうのというよりもゴシック調の得体の知れない幻想的な怪しさとにかく魅惑的。幽霊騎士団の疾走シーンもよかったな。こういう質感を作り出せるって素晴らしい。妙なのに格調高くで芸術的で漂う空気はとても怖いのに、わくわく見入っちゃいました。


『ざくろの色』 71/ソ連 ЦВЕТ ГРАНАТА
監督:セルゲイ・パラジャーノフ 再編集:セルゲイ・ユトケーヴィチ

アルメニアの偉大な詩人サヤト・ノヴァの生涯を綴った映像詩。
その独創的で魔術的な映画文法が当時のソ連文化省に嫌われて、一度は破棄の憂き目にあったフィルムを、先輩監督が再編集。

これはもう言葉で語るシロモノではありません。
去年、吉祥寺で観たのに、また観に行ってしまった。だって、バウスシアターのスクリーンは小さかったんだもの。シモタカ白夜映画祭は文字通りレイトショー上映だったので、途中眠くなったものが少なくなかったけど、こればかりは73分間食い入るようにスクリーンを見つめました。隅から隅まで楽しくて美しいー。

フィルムセンター主任研究員岡田さんのお話も楽しかったです。変人パラジャーノフ? 金曜日、ほぼ満席というほどに大盛況でした。


はらしょーです。


7/14(土)~20(金) モーニングショー2本立てで 『誓いの休暇』と『コーカサスの虜』が観られまーす。
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by CaeRu_noix | 2007-06-18 19:56 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(6)
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Commented by kusukusu at 2007-06-19 00:00 x
『一年の九日』の発想の奇抜さは今、見ても新鮮です。ラストの絵もなんとも微笑ましい。
こんな映画を撮ったミハイル・ロンム監督がタルコフスキーの師匠
だというのはちょっと意外(?)。
Commented by CaeRu_noix at 2007-06-19 12:42
kusukusu さん♪
今見ても斬新さの感じられるセンスのいい映画ですねー。今でこそ、それほどに奇抜な印象は受けないものの、61年製作ということにはオドロきます。タルコフスキーの師匠なんですか。ソビエト・ロシア映画といえば、タルコフスキー作品のようにゆったり重厚で芸術的なものというイメージなので、かなり意外な感じですね。
Commented by ラクサナ at 2007-06-20 10:34 x
白夜映画祭ってのがあるんですか!?(羨)
『コーカサスの虜』は、劇場で観てみたいなぁ~。
セルゲイ君の事故死から、もう5年近くになりますか・・・(TT)
本当に牧歌的で心打たれるエピソードの後の、それらを一掃してしまうようなあのラスト・・・
頭も心も真っ白になる思いがしました。
セルゲイ・ボドロフ監督の『MONGOL』も楽しみですよね!
いやもう浅野忠信がボドロフ監督作に出演するなんて数年前なら想像もしなかったことですよね。
彼に着眼した監督の描く本物のチンギスハン、期待してます。^^
Commented by 風情♪ at 2007-06-20 11:48 x
こんにちは♪

「コーカサスの虜」は好きです。
劇場で観て感動した覚えがあります。
↑でラクサナさんがおっしゃってる通り、あのラストは…。で
しばらく席から立てませんでした。
Commented by CaeRu_noix at 2007-06-21 12:43
ラクサナ さん♪
白夜映画祭というものが今年初めて開催されました。ロシア映画特集をよくやってくれた三百人劇場が閉館して寂しいところだったので、この企画はとても貴重でした。ロシア映画は映像も美しく芸術的なものがほとんどなので劇場鑑賞したいですよねー。セルゲイ・ボドロフ監督も大好きです。じゅにあセルゲイくーんの姿もスクリーンで見ることができて嬉しかったです。もう5年近くになるんですかね。『ベアーズ・キス』のクマ役がやけに似合っていたことが思い出されますー。亡くなったあとに、VIDEOで『ロシアン・ブラザー』や『チェチェン・ウォー』を観て、またまた感銘を受け、ホントに残念無念な思いが残り続けます。
外国映画に出演する俳優さんも近頃多くなりましたけど、浅野っちがセルゲイ・ボドロフ監督作品にというのは思いもよらなかったですよね。蒼き狼は結局観に行かなかったけど、こちらはとても楽しみですー。
Commented by CaeRu_noix at 2007-06-21 12:43
風情さん♪
「コーカサスの虜」、お好きなのですね。嬉しいです。
ラストは衝撃的でしたよねー。彼の命が助かってココロ温まった直後にドッキリ。戦争の理不尽さを思い知らされました。悲しいけれど、素晴らしい作品ですよね。
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