かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ウミヒコヤマヒコマイヒコ』
2007年 06月 21日 |
ココロヒーリング効果のある心地よい旅ムービー。

前衛舞踏家の田中泯がインドネシアを旅するダンス・ロードムービーなドキュメンタリー。



私は、たそ清などをちゃんと観ていなくて、田中泯さんのことを知ったのは、『メゾン・ド・ヒミコ』にて。その時に彼が舞踏家だということも認識したのだけれど、別にあえて興味を持つほどでもなかった。だけど、旅プラス踊りときたら大いに惹かれてしまう。先日、『インビジブル・ウェーブ』を観て、ちょっとエキゾチック・アジアン・リゾートが恋しくなってもいたし。ダニエル・シュミット監督回顧上映で観たドキュメンタリーの中で舞踏家大野一雄の踊る姿に胸をうたれた記憶も、前衛的なダンスへの思い・興味を強くした。

というわけで、田中さんファンでもないのに観に行ってしまったんだけど、彼の舞踏の目当てだったらむしろ物足りなかったかもしれない。インドネシアの旅心地を求めていた私には、ジャストフィットにステキなドキュメンタリーでした。インドネシアといったら、自分が行ったことのあるバリ島しか思い浮かばないんだけど、たくさんの島があるのだね。私も、大多数の日本人も訪れることのないであろう島々。大いなる自然に囲まれて暮らす素朴な人々の姿。その土地ならではの儀式も、労働風景も遊ぶ子ども達の無邪気な笑顔も、ゆったりと歩む水牛の姿も、何もかもが興味深いのだった。

[ヤマヒコ]
スラウェシ島トラジャ族が住むママサ郷。電気もない村に住み込み、農作業を手伝いながら踊る。
[ミチヒコ]
スンバ島、ジャワ島、マドゥラ島。各地の路上で歩き、寝転がり、立ち尽くす。
[ムラヒコ]
スンバ島の生者と死者が共に暮らす石墓村で、祈りをこめて踊る。
[ウミヒコ]
海流の中の島々、カンゲアン諸島。海岸に流れ着き、船に浮かぶ。子どもたちがはやしたてる。
[カオス]
マドゥラ島での大結婚式。女性の牛の鞭踊り。
[マイヒコ]
バリの人々の前で激しいパフォーマンス。

45日間の旅で、約33回踊ったのだそう。最初の方で、「私は踊っている気なんですが、そう見えないかもしれません」というナレーションが入るのだけど、確かにそうは見えない姿もあったかもしれない。ただフラフラと歩いているようだったり、寝転がっているだけだったりするように見えた場面でも、彼は踊っていたのかな。1人で気の向くままに自由に動いている彼の姿を追う映像が面白い。チケット代を払って観ている舞台で、こういう動きばかりをされたとしたら、面白いなんて思えないのかもしれないけれど。異国の旅路で自然に帰るかのように、心を解放して身体を動かすというその姿には胸をうたれてしまうのだった。

巷の文化芸術の一環としては、振り付けが決められて秩序だったダンスの方が一般的なのだけれど、原始の踊りは型にはまったものではなかったんだよね。有史以前から人々は、踊ることによって、神に、仲間達に喜びを伝達したというのだから。一見、妙な動きであろうとも、このインドネシアの島のロケーションにおいては、スピリチュアルな感銘をもたらす。踊ることの根源的な意味を感じさせてくれるかのよう。そして、舞踏家ではない私は、彼と島の人々の姿を通じて、生きることの意味について閃きを得たような気がする。

2007  公式サイト
監督 油谷勝海
 (シアターN渋谷)
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by CaeRu_noix | 2007-06-21 00:17 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(0)
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