かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『そして、デブノーの森へ』
2007年 07月 17日 |
香しきミステリー。

覆面作家のダニエルは、義理の息子の結婚式へ出席するためカプリ島へ向かう船上で、美しい女性ミラと出会う。



カプリ島、湖畔ジュネーヴ、ポーランドの古都に森という風光明媚なロケーション。シャネルやフェンディを着こなす美しきファム・ファタール。その雰囲気に浸りたいと素材に引かれた作品。格調高くもひんやりミステリアスな雰囲気を味わって楽しめたかな。

初めは、若き美女との禁断の関係に溺れてしまう中年男の物語と思いきや、終わってみると、わりとちゃんとした謎解きが用意されているまとまりのあるサスペンスものになっていた。しっかりと脚本を練ったのだなぁと思えるところはよいのだけど、その割には中盤はあまり盛り上がらなかったような印象。いえ、ダニエルの立場としては大いに盛り上がったのだろうけど、観客もそこにどっぷりハマって不可解さとドキドキを共有させられる力が弱かったというか。もっと迷宮世界に引き込んでほしかったー。

d0029596_2131422.jpg何しろ初めは、そんなに明確な目的・理由があるとは思わないから、いくらなんでも女が結婚式の前日に、行きずりのオヤジを誘うなんてありえないよなぁなんてことをさめた感覚でアレコレ考えるわけで。それはそれとして、いくらその美女が積極的だとしても、義理の息子の嫁がオヤジな自分に本気でハマるはずがないと思うべきじゃないのかなぁとか。疑いや罪悪感はあっても、肉欲には抗えないものというお話なのかなぁとか。そんなことをぐるぐると考えていたから、ミステリアスな空気とその曖昧さを客観的に楽しみつつも、謎に包まれて追い詰められる主人公ダニエルの立場の切羽詰ったスリリングなハラドキには巻き込まれず。

せっかくの謎解きが用意されているのだから、全体的に、或いは要所要所で、サスペンスを盛り上げる効果的な演出がほしかったような気がするのだった。筋書きがちゃんとしているのに、その起伏が映画として立体的に表現されていなかったんじゃないかな。素材が魅力的なのでちょっともったいない。

でも、まぁその不満は、主軸ミステリーに重きをおいた場合のものあって、もともとこの作品に惹かれていた部分については概ね堪能。やっぱりファム・ファタールものって好きなんだな。謎めいた女を演じるアナ・ムグラリスの美しさには見惚れるばかりで、顔の小ささに釘付け。白くて細いその肢体はベッドシーンでもあまり生々しさを感じない。珍しいものを見るような興味で見入ってしまった。相手はオートゥイユじゃないセクシーオヤジの方がよかったかも。

おもしろかったけど、他監督の演出バージョンを観てみたいと思う余地があり。
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by CaeRu_noix | 2007-07-17 18:48 | CINEMAレヴュー | Trackback(5) | Comments(8)
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Commented by たかこ at 2007-07-17 21:07 x
あーわかりますそれ!特別な出会い方してるわけじゃないし、もう少し理性が働くと思います。若い女が好きってだけじゃ説得力が…。
森とか雨とか、ほんとひんやり感ありましたよね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-07-18 14:45
たかこさん♪
おお、わかってくれますかー♪
若い女が好きで、よそで浮気をするのはよくあってもおかしくないと思うけど、このシチュエーションはあり得ないよねぇぇ。そんなこともあるのね、と思わないと前に進めないので、とりあえずは理解を示すのだけど、そういったささやかな引っかかりの積み重ねが、全体のおもしろさを減少させていたかも・・・。
ひんやりした空気感はとてもイイカンジでした。雰囲気はよかった。
Commented by シャーロット at 2007-07-18 20:54 x
こばは。
あー、やっぱりダニエル・オートゥイユだとどうも違うんだなあ・・・ブツブツ
→まだ言ってる。
そうよね、なんか2人がベットシーンなんて。まさに珍しいものを見るような奇妙な感じだったのですー。やっぱり鼻の下がびよーんて伸びてしまったオートゥイユを想像してしまう。苦笑
いや、でも見る人によってはきっと上質なミステリーだと思うのですが;

ロケーションはとっても惹かれました。素材はすごくいいですよね。
おっしゃるとおり何かもうひとつ足りない。私の場合は違う俳優さんで見たいー。って言っても誰がいいのか??
Commented by CaeRu_noix at 2007-07-19 12:58
シャーロット さん♪
ダニエル・オートゥイユは素晴らしい俳優だと思うんだけど、ベッドシーンを見せられても嬉しくないですよねぇぇ。大御所名俳優なので、公私共に?美しい女優さんとのベッドインなんて慣れっこで、いちいち鼻の下を伸ばしてはいないんじゃないかとは思うのだけど、アンバランスさは感じてしまいました。アナ・ムグラリスの姿はもう人間離れしているカンジで、SF風味だったりなんかして。アンドロイド役なんかも似合いそう。だから、いわゆるエロスは感じないんですよねぇ。
終わってみたらミステリーとして成立していたんだなぁと思えましたが、観ている最中はあんまりのめり込めないドラマでした。
うーん、主演はジャン・ユーグ・アングラードあたりでー
Commented by 樹衣子 at 2008-03-16 14:55 x
>かえるさまへ

この映画のかえるさまらしい批評と↑のコメントがあまりにも楽しかったので、私もコメントをします。

私はダニエル・オートゥイユの良さが、いまイチわからないのでフランス人になれないなーっといつも思っています。妻だった女優は、脱ぎっぷりも含めて大好きなのですが。。。

>アナ・ムグラリスの姿はもう人間離れしているカンジ

全く同感です。Gacktさんも綺麗な肉体をしていますが、綺麗過ぎてちょっと、、、やっぱりエロスには、『ラスト、コーション』のような不完全な猥褻さも多少なければね、と思います。ただひたすら、おしゃれな映画を楽しめればそれで満足みたいな映画でした。
かえるさまの記事にはった画像にあるさりげなくおかれた自転車なんか、趣味がよいですよね。お邪魔しました。。。
(今回は、うまくTBできました。)
Commented by CaeRu_noix at 2008-03-18 07:36
樹衣子 さん♪
ご訪問ありがとうございます。
そうですねぇ。いえ、ダニエル・オートゥイユは俳優としては素晴らしいと思うのですけど、いつもその姿を見ているから、ちょっと飽き飽きしている部分もあるし、こういう男女ものの主人公としては、個人的には魅力を感じなかったんですよねぇぇ。
でも、私はフランス人にはなりたいですけど。(笑)
アジア映画で、大胆なベッドシーンを観ることはあまりなく、ラスト・コーションがかなり衝撃的で新鮮なものに感じられましたが、フランス映画ではそういったシーンを観る機会も多いので、ちょっと厳しくなってしまうのでした。ラストの体位ダイジェストな編集もどうかと思ったんですが、あちらは痛々しさゆえのイヤらしさがありましたよね。(イヤらしさを感じないと書かれている方が多かったんですが、官能やセクシーさはなかったけど、イヤらしさはあったと私は感じたのでしたー。)
本作は雰囲気はかなり好みながら、映画全般の魅力としてはもうヒトコエな感じでした。
TBもありがとうございます。
Commented by とんちゃん at 2008-05-04 10:16 x
かえるさん、お久しぶりでございます^^
私にはこの映画、難しかったです~~。
わからない点が多数。頭を抱えました。
考えすぎちゃったのかも。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-05 23:10
とんちゃん♪
お久しぶりですー。
うーん、難しいも何も、10か月も前に観たモウヒトコエなミステリー映画のことはもう忘れました。(笑)
私はたぶん何も考えずにふーんと適当に楽しんで、後はすぐに忘れましたっ。
シリアスドラマの倫理道徳なテーマだとかは、頭を抱えて考えちゃうこともありますが、ミステリーの謎解きにはあまり熱心にならない私でゴメンナサイ。
スイミングプールの話だったら、今でもOKですよー
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