かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『石の微笑』
2007年 07月 18日 |
奇妙なおもしろさ。

母と二人の妹と暮らすナイーブな青年フィリップは、妹の結婚式でセンタという女性に出会う。



クロード・シャブロル作品はほとんど観たことがないので、作品の持ち味のほどはよく知らないのだけど、さすがの巨匠作品、見ごたえのあるおもしろいサスペンスだった。シャブロルの映画は、女が男を翻弄するものが多いらしいのだけど、定番のファムファタールものという感じでありながら、ちょっと奇妙な肌触り。

本作はどうやら、男性の方がどっぷり浸って楽しめるみたい。いえ、女子的にも充分おもしろかったのだけど、主人公フィリップの心情にピタッと寄り添うんではなくて、外野から野次飛ばしつつ、そのゲームを楽しむという感じだったかな。ナイーヴなフィリップがセンタとの関係にハマってしまうのはわからなくはないんだけど、途中で引いてしまいたくならないもんだろうかと思えてしまう部分もあり。

そもそも石像フローラさんを愛する気持ちもあんまりよくわかんなかったし、石像のイメージが重なったらしい(っていうことは観ている時はわからなかったんだけど)センタの魅力も主観的にはよくわからず。風貌が個人的に好みじゃないっていうだけかな。つかみどころのない神秘的な女子は好きなんだけど、このコの危なさにはハマる前に引いちゃう気がするなぁ。ブノワ王子がこんな虚言女の虜になるなんていけないわって、抗う気持ちが心の奥底にあったのかもしれないし。

というわけで、主人公の気持ちになってドキドキするっていうんじゃなく、さて彼女は一体何者で何が目的なんだろう、さてさてこの物語は一体どういう方向に進んでいくのかしら、という興味に引っ張られての面白みを堪能。フィリップの気持ちにはピタリ寄り添うほどではなかったとはいえ、深みにハマって取り返しのつかないことをやってしまうんじゃないかしらという応援態勢でのハラハラ感は持続。

フィリップとセンタのやり取りはホラーテイストですらあるのに、センタの妄言の内容に映画ネタがあふれていたりして、楽しくなってしまう。マルコヴィッチと共演したなんてー。そして、周囲の人々の様子がやけにコミカルに映し出されたりするのが妙な感触をもたらしてこれまたおもしろかった。序盤から、フィリップの母や妹たちとの何気ないやり取りがおかしくて、サスペンスな展開が始まる前の日常ドラマとしても充分に興味深かった。新婚の妹のだんなのハイテンションぶりや、下の妹のすれっからしぶりが印象的。庶民的な暮らしぶりなのが逆に新鮮だったな。そんなふうに微笑ましいシーンを織り込みながらも、サスペンスフルな面白さが途絶えないところがオミゴト。

庶民的なものを撮りながらも、そのカメラワークはエクセレントで格調高く、自然に謎めいた世界にも移行する感じ。ありがちなサスペンスのようでいて、とらえどころのない斬新さを感じさせてくれるところが巨匠の仕事なのだろうか?好きな映画というのと違うんだけどミョーな面白さを満喫。

※ブノワ・マジメルINTERVIEW
シネトレ
映画秘宝.com
Cinema Factory
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by CaeRu_noix | 2007-07-18 14:46 | CINEMAレヴュー | Trackback(5) | Comments(2)
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Commented by シャーロット at 2007-07-18 21:13 x
そうそう、応援体勢。
途中でドン引きしてさっさと手を引くのかと思いきや、もっと深みにはまっていくし・・・。あわわ、どうなるんだ、オロオロ・・・といった感じでした;
それ以前にもっと驚いたのは石像を好きな人にプレゼントという感覚です;そんな風習があるんだ・・・とこれまた奇妙な人々に見えちゃって。もうこの時点で私にはホラー感覚に。笑
石を抱いて幸せそうに眠るブノアはなんとも微笑ましいのでしたが、センタが奇妙なら、フィリップも十分奇妙だったなあ。
でも久々に普通の好青年姿のブノアを見られて嬉しかったのでした。どうも上映時間が増えてるみたいですね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-07-19 14:34
シャーロット さん♪
庶民的な暮らしをするブノワが何だか新鮮でした。
施工管理なオシゴトで顧客に電話をする姿なんて初めて見ましたもん。妹の夫になった彼は市役所職員で、お母さんは出張美容師。上流階級のデプノーとは打って変わっての、ホームドラマノリの隣にある官能サスペンスなところがおもしろく。といいつつ、女子的には感情移入度は薄めなんですよね。男性はもっと、小悪魔女との関係にはまっていく主人公に共感できるらしいけど。
突然、庭の石像を手土産にもっていくっていうのも面白かったですね。その人がその像を気に入っていたから、好意のしるしにプレゼントしちゃおーという発想はわからなくはないけど、いきなりそんなもんを持ってこられてもねー。だから、あのヒトからお母さんへの連絡が途絶えちゃったのかも。w フィリップもちょいとつかみ所がなかったですね。女ばかりの家族の中で暮らしている男性は、女性に幻想を抱かなくなるんじゃないかと思いきや、理想恋愛主義者?
シャブロルのこれ以降の作品も観たいです。サニエたんとブノワですよ!
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