かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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ロバート・アルトマン作品鑑賞メモ
2007年 08月 07日 |
昨年11月20日に亡くなった偉大なる映画監督、ロバート・アルトマン。



好きな監督の1人と言いながらも、実は前期の作品をほとんど観たことがなかったのでした。21世紀になってから、『M★A★S★H マッシュ』、『ウエディング』を観ただけで、どちらかというと、『ショート・カッツ』、『ザ・プレイヤー』 以降の作品が私にとってのアルトマン作品だったのでした。でも実は、70年代こそがアルトマンの全盛期であったりするらしく、このたびのぴあフィルムフェスティバルにてその時代の作品を劇場鑑賞できたことはとても貴重でした。
日本の会社が上映権、フィルムをもつ、『ロング・グッドバイ』以外は、劇場鑑賞の機会はまたとないものなのだそうです。
5本鑑賞。


『BIRD★SHT』 Brewster McCLoud 1970
 出演:バド・コート、サリー・ケラーマン
数あるアルトマン作品の中でカルト的人気No.1である幻の作品。羽根をつけ空を飛ぶことに魅せられた青年による寓話。アルトマン自身、「最も愛する」と公言した作品。


『ボウイ&キーチ』 Thieves Like Us 1974
 出演:キース・キャラダイン、シェリー・デュヴァル
大恐慌による'30年代不況下のアメリカを舞台に、アメリカンニューシネマ『俺たちに明日はない』よりも斬新かつピュアに若き二人の恋愛模様を描いた青春劇。


『ナッシュビル』 Nashville 1975
 出演:ヘンリー・ギブソン、リリー・トムリン
建国200年を迎えたアメリカ。カントリー&ウエスタンのメッカ、テネシー州ナッシュビルで総勢24人もの主要キャストで織りなすアルトマン群像劇の最高傑作。


『三人の女』 Three Women 1977
 出演:シェリー・デュヴァル、シシー・スペイセク
老人リハビリセンターで働く性格の全く異なる女性たちの深層心理を、まるで迷宮世界のような映像美で描く。シェリー・デュヴァルがカンヌ国際映画祭女優賞を受賞


『わが心のジミー・ディーン』
Come Back to the Five and Dime, Jimmy Dean, Jimmy Dean 1982
 出演:サンディ・デニス、シェール、カレン・ブラック
ジェームズ・ディーン没後20年目を迎え、彼のファンクラブの面々が久しぶりに顔を合わせる。過ぎ去りし歳月は彼女たちの友情をどう変えてしまったのか?

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群像劇で音楽映画の『ナッシュビル』の劇場鑑賞はそれはもう楽しいものでした。群像劇って、交響曲みたいなもののように感じることがあるけれど、これは音楽ものなのでなおさら。こんなに多彩な登場人物を見事に采配し、一見バラバラの場面にハーモニーをもたせているという感じでした。オミゴト。陽気に楽しいだけじゃなくて、ちょっと心の奥にざわつきを覚えるようなエピソードがあったりして、正統派じゃないところにまたグッときてしまうのかもしれません。でも、音楽ものはとにかく楽しいです。

『BIRD★SHT』は、アルトマン自身が「最も愛する」作品だそうで、とってもコミカルで個性的なものでした。アルトマンのユーモアというのは、シニカルにサラリと放たれるイメージが強かったのだけど、ブラックながらも小出しにするんじゃなくてとことん遊んじゃっている感じで、笑いどころがたくさん。空を本気で飛ぼうとする主人公っていう設定からして好みだったのだけど、こんな展開だとは夢にも思わず。引き出しの多さに今さらながらカンゲキ。

今回その存在に釘付けになったのは、4作に出ていたシェリー・デュヴァル。とってもコミカルなんだけど、チャーミング。その声も容姿もふるまいもとびきりファニー。そうか、『ポパイ』のオリーブ役もこの人がやっていたのですね。ホントにオリーブっぽい雰囲気。彼女の存在感がとても効いていました。こんな秘蔵っ子をもっていたアルトマンのセンスは小粋だなぁって思います。

これまで、アルトマンという監督は、特に女性というものを描こうとしていたイメージをもっていなかったんだけど、実は独特の目線で女性を撮っていたんだなぁって感じました。名を馳せている多くの巨匠が撮るのはあくまでも官能的な魅惑のファム・ファタールであることがほとんどなのに、アルトマンの好みは天然系のファニー・ガールなのですね。そういえば、後期の作品にもそんな女性キャラがよく見受けられた気がします。なんてことが興味深いなぁと思った次第。でも、まだいくらでも私の見つけていない側面がありそうです。まだまだ気になる監督です。

とにかく貴重な作品を鑑賞できて満足。
私が普段行っている映画祭の客層とはかなり異なったシネフィルの熱気あふれる渋谷東急の独特の雰囲気も印象的でした。
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by CaeRu_noix | 2007-08-07 20:07 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(0)
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