かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『フリーダム・ライターズ』
2007年 08月 24日 |
お手本にしたい感動の実話。

ロス暴動から2年後の1994年、ロサンゼルス郊外にあるウィルソン高校に、エリン・グルーウェルという新任教師が赴任してくる。



一人の熱心な教師によって、不良高校生たちのもとに変化がもたらされる物語なんていうのはよくある映画。これが全くのフィクションだったら、もはやそんなに感動することもないようなシロモノなのだけど、実話を基にしているというところにはやっぱり注目。ドラマとしては目新しさはないのだけど、とてもいいお話なのは事実で、実在の教師エリンの情熱に心うたれてしまうのだった。こんなに一生懸命な先生が本当にいたなんて、この世の中捨てたものじゃないなと思わせられる。

ヒラリー・スワンクは赤のスーツとがあまり似合わなくて、この先生のひたむきキャラのイメージとはちょっと違うんじゃないかなと思った。画像検索したところ、実際のエリンは朗らかそうなチャーミングな女性でウケのようさそうなタイプ。スワンクはちょっと気が強そうでひたむき新任教師顔じゃないよね。と思ったりしたけど、このエリンに惚れこんで、製作総指揮までかって出たスワンクもえらい。

エリン・グルーウェルのまっすぐさは本当に素晴らしい。真似できません。たぶん、普通は途中で挫けちゃうものだと思う。一個人としては、大きな理想を掲げていたとしても、現実の学校教育システムの中では、それを追求するのには壁が多すぎると思う。守らなければならないルールがあるし、予算は限られているし。直属の上司がわからず屋だったら、もうOUTってことになる。生徒達だって、相当に手ごわいはずだから、誠意があればすべて良い方向に向かうとは限らないだろう。全力を尽くして磨り減って何も効果なく終わることだってあるかもしれないし、多くは途中で妥協してしまうんじゃないかな。

でも、エリンはひたむきに一歩一歩がんばった。初めは反抗的だった荒れた生徒達が彼女の授業に興味を示して、協力的になっていくのだ。映画で一気に見てしまうと、生徒達がエリンに心を開いて、変わっていく運びが、幾分とんとん拍子にうまく進みすぎる印象もあったのだけど、実際は日々の積み重ねでもっとゆっくりと少しずつ変わっていったのかもしれない。基になっている編纂された書籍「フリーダム・ライターズ」はエリンと生徒達の4年間が綴られているそうなので、映画のエピソードにはならなかった部分にも、彼らのささやかな心の動きや向上が見られたのかもしれない。

パールのネックレスは教室では外した方がいいとアドバイスされたのに、その通りにしなかったエリンはひょっとして状況判断力の足りない女なのかとドキドキしたのだけど、そうではなくて場当たり的に長いものに巻かれたりしない信念の人なのだなぁ。ハリポタ同様に威圧的だったイメルダ・スタウントン先生に屈することなく、生徒達のために自分のアイディアを実践したのは根性あるよね。彼らの興味をひくために、ラップのライムを詩の授業に取り入れるなんて賢いアイディア。自分のやり方で突き進むだけじゃなくて、その都度生徒達の思いを読み取るようにしているところに感心。

ラティーノはラティーノ同士、ブラックはブラックで固まって、互いにいがみ合うだけだった彼らが、ホロコーストについて知ることによって、人種を丸ごと差別して排除しようとすることの誤りを実感するなんていうのもこの上なくええ話じゃないか。知識を詰め込むのじゃなくて、学ぶことが実践されている。一冊のノートに日記をつけ、抱えてきた蟠りを吐き出し、自身と向き合う機会を得て、表現することに歓びを感じるというのもステキ。彼らがノートにしたためた日記に、アンネ・フランクの日記が重なり合うというのにもグッときてしまう。教育現場は生きているだなぁ。

こんなに素晴らしい先生になれる人はめったにいないだろうし、こんなにいい先生に恵まれることも少ないだろうけど。先生も生徒も親も地域社会の住人もそれぞれにこういうリアル・ストーリーに学ぶところはあるよね。
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by CaeRu_noix | 2007-08-24 19:23 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(8)
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Commented by jester at 2007-08-25 09:04 x
こんにちは。おじゃまします。
アメリカの社会の民族間対立って本当にすごいのですね。
「毎日が戦争」という状態に驚きました。

個人的には「ノートになにかを書いている」のが好きなので、それを期待していったのですが、それはあまりなくて、「熱心に本を読む姿」がよかったです。(変態~)

>アンネ・フランクの日記が重なり合うというのにもグッときてしまう。

ホロ・コースト物とは思っていなかったけど、ホロコーストがかなり大切なテーマのひとつになっていましたね。
子供たちがアンネに共感しつつ歴史に学んで生活を変えていくのが感動的でした!

ヒラリーは、なんか歯に目が行ってしまって・・・
立派な前歯ですよね、彼女。

なんかいも泣けてしまいました。
世の中の荒んだ子供たちがこんな先生にめぐりあえるといいなあ~
Commented by CaeRu_noix at 2007-08-25 12:08
jester さん♪
民族間対立は凄まじいものでしたね。
もちろん差別意識や軋轢はいくらでもあるとは思っていたけど、人種のるつぼのアメリカゆえ、身近な人同士は普通に付き合っているような気もしていました。ところが、こんなふうに、学校の教室の中でも民族のいがみ合いが激しく起こっていたりするんですね。90年代の物語ですが、そんなところが興味深かったです。
私も観る前にあらすじをちらりと読んだ時は、「書くこと」そのものが生徒達に変化をもたらしたお話かと思っていました。でも逆に、書くだけでいい子になれるとしたら、昔から交換日記だとかが大好きだった私はいまいち説得力を感じなかったと思うので、それが一部だったことの方がしっくりきました。読む姿よかったですね。ライムのとこが一番よかった。(笑
ヒラリーさんの歯は憎憎しいですよね。食いちぎられそうー。
私はこういうストレートな感動ものにはそんなに泣けないのですが、それでもやっぱり涙してしまいました。(誰も泣かないような『プロヴァンスの贈りもの』で十数粒の涙が流れる珍しいタイプ・・)
ホントに多くの生徒達がこういういい影響を与えてくれる先生にめぐり合えるといいですよねー。
Commented by となひょう at 2007-08-26 20:08 x
こにしわ。
おおおおお~っ、ご覧になったんですねぇー
この作品を見たという人を余り見かけなかったので、ちょっと嬉しく思います。
私も、これがフィクションだったら「ふ~ん」って感じで盛り上がらないと思いますけど。実話を元にしているという点が、何よりも興味深かったです。
主役は生徒たちって感じがした点も、とても良かったかしら。
Commented by CaeRu_noix at 2007-08-27 12:40
となひょう さん♪
いや、だから(笑)、私がこれを観たことは、おおおお~と驚くほどの意外性はないでございますよ。ミルミルチェックしてましたし。でも、観に行かなくていいかなぁとも思ったりしたんですよ。が、評判がよかったし、音楽のノリが劇場鑑賞向きだったので、行ってしまいました。私の印象では本作をご覧のブロガーさんは結構いたような。で、高評価の人が多かったと思います。なので私も観なくちゃと思ったんですが、やっぱり一般的に高評価なものと、自分が個人的に気に入るものは別だよなぁっていうことを再認識。元ネタは確かに感動的なエエ話なんだけど、映画としては普通な感じでした。この監督は、『パリ、ジュテーム』にも参加していだんですが、そちらがイマヒトツだったんですよね。
というわけで、映画の個人的お気に入り度はそれほどでもないんだけど、こういう素晴らしい実話が映画になることによって、世界の多くの人のところに届けられるのは意義深いことですよねー。
Commented by ボー・BJ・ジングルズ at 2007-09-06 07:37 x
すぐ感動する性質(たち)なので、これもグッときました。
ただ疑問なのは、国語の先生のはずだから、クラスのすべての授業を担当していたわけではない、とすると、そんなに影響力があったのだろうか、という…。
でも実話ですからね…。
アメリカって、こういう自由な授業ができるのかな?と思いました。
音楽はノリがよくてgoodでした!
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-06 19:33
ボー・BJ・ジングルズさん♪
こちらも感動的な物語でしたよねー。まっすぐないいお話でした。
実話を元にした作品というと、どこまでが真実でどこからかフィクションなんだろうかというのが気になりますよね。それを明らかにしようとまでは思わないけど、実話にしてはコトがうまく運びすぎだと感じられる部分もあったりして。同じ実話ベースの教師ものの『レッスン!』よりはうまい脚本でしたけれど。
そう、青春ものって、音楽がいいから、チェックしてしまうんです。
Commented by minori at 2008-04-17 18:09 x
こちらにもお邪魔します♪いやいや、実話なんですねー。一度しかない学校生活でこういう先生に会えるなんてホントに羨ましい限り!きっと現実は、もっと一歩一歩、時間をかけて生徒に近づいていったんでしょうねー。ヒラリー・スワンクはボーイズ・ドント・クライもそうだし、割りに実話好きなんですかね。でもでもいい選択だったかな。
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-20 01:13
minori さん♪
すっばらしい先生でしたー。
ヒラリー・スワンクはそういえば実話好きかも。
マリー・アントワネットの首飾りだとかブラック・ダリアも一応・・・。
そういえば、私この映画のパトリック・デンプシーにかなりときめいたことを思い出しました♪
「魔法にかけられて」を観て、この人何で観たんだっけなぁと調べた後に思い出しー。
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