かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『This is BOSSA NOVA ディス・イズ・ボサノヴァ』
2007年 08月 25日 |
夢心地。

1950年代末。ブラジル、リオ・デ・ジャネイロの海沿いで生まれた「新しい傾向」と呼ばれた音楽ボサノヴァの誕生を追うドキュメンタリー。



もしも音楽になれるのなら、私はボサノヴァになりたいな。
ボサノヴァになって、リオの海岸を波風とともに駆け抜けるの。

ナビゲーター役のロベルト・メネスカルとカルロス・リラが海岸で語らう初めのシークエンスから心打たれるものがあった。歳をとった2人が穏やかに楽しげにボサノヴァについてを話しているんだけど。ふっと出てくる他愛もない言葉がとても詩的なんだよね。なんかすごーくいいシーンだったなぁ。魔法のようにリオの美しい海辺に誘われてしまった。

音楽は右脳で聴くもの。映画も私にとっては右脳で見るもの。
なのに時として、芸術に関するドキュメンタリー映画が作られると、それは左脳で見る作品になってしまう。評論家の解説が、芸術を純粋に味わうことの邪魔をする。そのお話自体は意義あるものなのに、気持ちが足止めをされてしまうのだ。だから、退屈に感じられてしまうドキュメンタリーというのも少なくはない・・・。

でも、このボサノヴァの物語は好感触の心に沁みるドキュメンタリーだったな。夏にふさわしい爽やかで心地よい時間を与えてくれた。鑑賞後には、大好きなボサノヴァがより愛おしく思えた。ミュージシャンの紹介やエピソード、音楽性やブームについての分析的な語りもサラリと興味深くて手短に終わり、次のボサノヴァサウンドが重なってくる。なんてステキな爽快な音楽なんだろう。

ものごころついた時からボサノヴァという音楽は存在していた。こんなに新しい音楽だとは思っていなかったかもしれない。ジャズの系譜ではなくて、サンバの新解釈。ドビュッシーなんかの影響もあったらしい。納得。住居事情で大きな声で歌うと周りの住人からクレームが来たからじゃないかなんて、あの囁くようなやわらかな歌い方が生まれた理由というのがまたおかしい。じっくりとその歌詞を読んだことなんて今までなかったけれど、小粋な詩にも感銘。

オペラであれ、交響曲であれ、パンクであれ、ヒップホップであれ、ダイナミックで情熱的なエネルギーに圧倒されることに醍醐味を感じる音楽もたくさんあるけれど、そういうのばかりだったら私は疲れてしまう。もっと優しい調べを聴かせてほしい。柔らかい空気で包んでほしい時もある。ボサノヴァはそんな思いを満たしてくれる音楽。"癒し"なんていう言葉を多用するのは好きじゃないけれど、ボサノヴァこそは私にとっての癒しの音楽という感じ。

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』的な心地よい音楽体感映画でした。
『クロッシング・ザ・ブリッジ』(8/24DVDリリース)のような今の熱い音楽シーンを見るのもエキサイティングだし、知らなかったボサノヴァを懐古するのもまた夢心地。

イパネマの娘に逢いたーい。

ウーマン・オン・トップサントラ
 ワンダーランド駅で
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by CaeRu_noix | 2007-08-25 19:42 | CINEMAレヴュー | Trackback(4) | Comments(12)
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Commented by シャーロット at 2007-08-25 23:20 x
こんばんはー。残暑厳しいですねぇ。
やはり夏といえばボサノバ♪映像も美しい海などに魅了されました。
さほど詳しくはなくても普段ちょこっと聴いていたりしましたが・・・ラベルやドビュッシーがルーツにもなっているなんて初めて知ったりして、とっても勉強になりました;
公開されてすぐ見にいったのですが、冷房がかなりきつくて;寒くて震えてまして。美しい夏の映像と音や声の柔らかい質感を堪能していたのですが、気分が少し盛り下がってしまったのでした;レビュー書いてませんが、本作はかなり気に入りましたです♪
Commented by CaeRu_noix at 2007-08-26 12:21
シャーロット さん♪
早く涼しくなってほしいです。まもなく夏休みも終わりですねー。
夏といえばボサノヴァですよねぇ。ボサノヴァは音楽的に大好きなんだけど、有名どころでさえ、どういうアーティストがいるのか知らなかったのでした。というわけで、勉強になりました。音楽が生まれる物語ってステキですよねー。フランスな音楽と関わるのって、後になってからなのかと思っていましたが、クラシック音楽をやっていた人が生み出したものということで、そっちにもルーツがあったというえるんですよね。もちろん初めて知ったことだけど、ドビュッシーというのは大いに納得。だから、好みなんだなーって。
素早くご覧になられたのね。私は最終週になってしまいました。それでもなかなかの賑わいでした。うう、寒かったのですか。それは辛かったですねぇぇ。お、シャーロットさんがレヴュー書かないこともあるんですね。(私もハリポタは書かないけど。)とにかく、私も気に入りましたよー。
Commented by リーチェン at 2007-08-27 11:45 x
かえるさん、これは私も狙っている映画です。
ボサノバって好きだけど、あんまり詳しくは知らないのでとにかく楽しみ♪
本当は自分でも演奏とかしてみたいんですけどね(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2007-08-28 01:40
リーチェン さん♪
ぜひぜひー。
リーチェンさんもお好きですか、ボサ♪
このドキュメンタリーはよかったですよー。
うん、ぜひ、演奏もしてください。私もギタリストになるのなら、フラメンコギターかボサノヴァソング弾き語りがいいなぁ。すなふきーん。
Commented by リーチェン at 2007-09-18 12:06 x
かえるさん、こんにちは~

遅まきながらやっと書いたのでTBさせてもらいますね。

やっとボサノヴァの本当のよさが見えてきたような気がします。
好きで流してはいたけれど、どれも同じに聞こえていたので(汗)
今、ナラ・レオンがマイブームです♪
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-19 01:35
リーチェン さん♪
お待ちしておりましたー。
私もそう、ボサノヴァというものを聴くようになってからずいぶんたち、ようやくちゃんとボサノヴァって何なのかがわかりましたー。
そうそう、結構みんな似たように聞こえちゃいますよね。
これからはもっとちゃんとアーティスト名なんかを意識したいですー。
ナラ・レオンもチェーック!
LATINな音楽の調べはホントにステキ。
Commented by 豆酢 at 2007-11-04 11:40 x
かえるさん、TBとコメントをありがとうございました!
いや~、名古屋ではようやっと観られた作品です~(^^ゞ

本当になにもかもが優しい映画でした。観終わってもほっこりといい気分です。
父はボサノヴァはじめ、南米の音楽をよく聴いていたようです。海を思わせる音楽がいいんでしょうねv^^)v

>評論家の解説が、芸術を純粋に味わうことの邪魔をする。そのお話自体は意義あるものなのに、気持ちが足止めをされてしまうのだ。

わかります。よくありますよね、こういうジレンマ(^_^;)。音楽に限らずドキュメンタリーというと、解説が全体の雰囲気を壊しちゃうこともままあります。そこらへんの兼ね合いが難しいところですが、この作品ではたぶんメネスカルとリラのキャラクターもあってか、あまり気にならなかったですね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-05 21:44
豆酢 さん♪
ようやく名古屋に行ったのですねー。
全国的にボサノヴァの似合う夏に公開してくれたらいいのにーって思ったりもしますが、ともあれ、劇場鑑賞何よりですー。
ボサノヴァをお好きなお父様っていうのはステキです、ホント。おうちでボサノヴァが流れるなんて何とさわやかなことー。私は自分が子どもの頃に、親の世代がそんな音楽を流してくれたことは皆無でした・・・。
そうなんです。ドキュメンタリー作品はそこが問題。取材系のものは仕方ないとしても、音楽やアートを題材にしたものは、そのものの味わいを損なわずにインタビューや解説を控えめに工夫して入れてほしいと思うことが時々あります。本作はそのバランスがよかったですよねー。
Commented by kossy at 2007-12-15 15:52 x
実はボサノバギター独奏を練習していた俺。
なかなか上手く弾けません・・・
だけど映画を観て思いました。
爪弾きながらつぶやくように口ずさむだけでいいんだ!
これからはもっと聴くぞ~♪と、まずはサントラを買っちゃいました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-12-16 10:31
kossy さん♪
おお、ボサノヴァギターを弾けるなんてステキですねー。
そうそう、難しそうではありますが、つま弾きささやくように口ずさめばよいのですよ、きっと。
がんばってくださいー。
ぼさぼさなNOVAで英会話習うよりか、ボサノヴァのギターを練習する方が断然イキですね♪
Commented by しゅぺる&こぼる at 2008-04-13 11:06 x
かえるさ~んこんにちは。
名古屋からさらにさらに遅れてやっと三重まで来ましたよ。
ふう~~~長かった~~。(汗)
と思ったらもうDVD出てるし・・・(悲)
でもまた借りてきてみたいな。
わたしも雰囲気だけでボサノヴァを聴いてたから、こんな風に誕生していったんだなってのを初めて知った気がします。

リラさんと娘さんがデュエットしたり、トム・ジョビンの息子さんが歌ったりしていい感じだった。
ボサノヴァもけして懐メロじゃないと思いました。
フランシスコのセルタデネージョといい、ブラジル音楽って奥が深いですね。
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-16 00:15
しゅぺる&こぼる さん♪
名古屋から三重に行くまでにずいぶんとかかってしまったのですねー。
そうか、DVDも出ているのですねー。
でも、やっぱり音楽ドキュメンタリーは劇場体験するのが最高ですよね。
とっても心地よい音楽に思い切り浸ることができましたもの。
ホント、普段何気なく聴いている音楽の歴史を知るのって興味深いですよねー。私はボサノヴァがこんなにも新しい音楽だということに今更へぇーっと思ったのでした。
ブラジル本国では流行じゃないのかもしれないけど、私たちにとっては全然懐メロじゃない、夏が来るたびに聴きたくなる音楽です。
ラテンな音楽も多彩で面白いですよねー。
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