かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『深海 Blue Cha-Cha』
2007年 08月 29日 |
華流だったら断然、台湾映画なんだよなー私は。
蔡明亮、侯孝賢 楊徳昌の台湾。



本作は、昨年武蔵野館で上映されていて、ちょこっと気になってはいたのだけど、劇場鑑賞は見送ったのだった。アジア映画に力を入れている武蔵野館のラインナップはどちらかというと出演者の人気なんかで選ばれているような印象があり、監督の名前も知らなかったので強くは惹かれず。だけど、去年武蔵野館で観た『靴に恋する人魚』 もとてもよくて、武蔵野館はアイドル映画主義という偏見をもっていたことを反省。ごめんね、ビビアン・スー。秀作アート映画の宝庫じゃないですか。とそんなことを改めて思うほどに、1年後にDVD鑑賞した『深海 Blue Cha-Cha』は詩情あふれるステキな作品で気に入っちゃった。

私はとにかくもうこういう作品が好きなんだってば。状況説明は多くない方がいい。映像と音楽で見せてくれればいいの。雰囲気に浸らせてくれればいいの。繊細な感情を切り取ってくれればいいの。

-台湾南部の港町・高雄。刑務所から出所したばかりのアユーは姉のように慕っていた女性アンをフェリーに乗って訪ねる。アユーはアンの営むクラブで働き始めるけれど、心の病を抱えていて、常連客とトラブルを起こしてしまう。-

Blue Cha-Cha というタイトル通り、夜のクラブで、そして空の下で、彼女たちがふとチャチャチャを踊ってみるシーンがとてもいいの。 2005年台湾・金馬賞で音楽賞を受賞しているのだけど、静けさの中でさりげなくしっとり聴かせてくれる音楽も素晴らしい。哀愁のラテンテイストな調べはやっぱり心に沁みる。そして、音楽と相まっての映像センスが際だっていた。高雄といえば、ホウ・シャオシェン映画を思い出すのだけど、侯作品に負けてはいないんじゃないかと思えるほどのグッとくるショットがいくつもあったな。海の雄大さが圧倒的。フェリーの移動がまたすがすがしくてステキなの。クラブのシーンではミレニアム・マンボのことを思い出したし。

劇場公開時はファンタジックなイメージのラブストーリーとして宣伝されていたような気がするんだけど、実はもっともっと辛気くさいお話。ワケアリの過去をかかえ、新生活もなかなかうまくいかない、陰気な女が主人公。感情移入するほどでもないし、あらすじを追ってみたら、進歩も何もない、なんだかなーな物語なのかもしれないけど。ただ、ひたすら映像とその演出に見惚れつつ、その空気に釘付けになってしまったな。彼女をさほど心配したり応援したりしていたわけでもないけど、終盤のシークエンスにはググッと感動。何が解決したわけでもないけれど、こういう心の解放感はたまらない。これまたホウ作品でお馴染みの伝統芸能人形劇を見られたことも嬉しい。

監督のチェン・ウェンタン(鄭文堂)の名前を覚えておこう。主演はアイドル的な俳優みたいだけど、なかなかよかったんじゃないかな。そして何より、主人公を世話する姉のようなアンが、ツァイ・ミンリャン作品でお馴染みのルー・イーチンだったおかげで、主演がアイドル系?でも映画全体の空気がしまっていた気がするなぁ。ツァイ・ミンリャン作品は登場人物がみんなへんてこなので、あまり気づかなかったんだけど、別の監督作品でその姿を見ることによって、ルー・イーチンの味わいある存在感を実感。
.
[PR]
by CaeRu_noix | 2007-08-29 13:16 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(2)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/6049298
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from Mi cinema log at 2007-08-29 15:02
タイトル : 深海 Blue Cha-Cha '05 台湾
のんびり まったりとした  台湾映画の独特の雰囲気があるものの 明るさは押さえて 重さと哀しみが漂う静かな映画 見るのにちょっと根性が必要でした 刑務所を出所したアユー その時に知り合った クラブのママ アン姐宅に身を寄せる そのクラブで働き始め そして知り合う男二人 台湾の高雄が舞台の映画  彼女が何故刑務所にいたかは  かなりラストに近い方で 明らかにされるんだけど・・・ どうもそれまで このアユーに付き合うのは重い 男に依存しすぎて 傷つく彼女 押し黙っていた...... more
Tracked from しぇんて的風来坊ブログ at 2007-09-01 00:45
タイトル : 深海 Blue Cha-Cha
久々にオトナとしての視線での鑑賞にまともに受けて立ってくれて、色んな意味でパーフェクトな映画を観た気がする。台湾の映画作家の水準だと不思議はないのだけれど。 ココロ病の映画として、大げさすぎず逆に綺麗過ぎてあり得ないのでなく、とてもよくできているし、人物造形、絵、俳優のキャスティング、それに描いている事。。。 蘇慧倫(ターシー・スー)がこれほど素晴らしい俳優だったなんて。 古くからのC-POPファンならアイドル時代のLemon Treeを思うのか。 あまりに完璧なので一つ一つ言葉に...... more
Commented by acine at 2007-08-29 15:01
かえるさん こんにちは!
台湾の映画って、時間軸が独特というか、なんともいえないまったりとした空気感が漂っていて、心地よいですよね~。私も好みです。
ただ、この映画・・・疲れてる時に見た&予想と違ったせいか、
主人公のアユーにはなんとも疲れさせられました。
かえるさんが書かれてる通り、ルー・イーチンの存在がとてもよかったです。彼女がいないと、ずっと見るのが辛かったかも。
Commented by CaeRu_noix at 2007-08-30 20:02
acine さん♪
台湾映画って、なぜかこういうタイプが多いですよねー。なぜでしょう。
でも、とにかく、それがとても私好みなんですよ。ベタさはいらない。
主人公アユーはあんまり好感のもてるキャラではないし、感情移入はしにくいですよね。でも、ちょっとした瞬間に彼女のその哀しみにググッと心掴まれてしまったりして、なんだかんだいって私は共感モードになってしまっていました。
ルー・イーチンって、ただの不気味なオバサンのようで名女優ですよね。踊るシーンもよかった。
<< 『長江哀歌』 三峡好人 PageTop 『クレイジー・ストーン -翡翠... >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon