かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『私のちいさなピアニスト』 For Horowitz
2007年 09月 03日 |
定番だけど、音楽は美しく、人と人のふれ合いはハートウォーミング。

ピアニストになる夢をあきらめ、ソウル郊外で小さなピアノ教室を始めた女性ジスは、近所に暮らす少年キョンミンに出逢う。



自分が、子どもの頃には、ピアノの先生っていうのは当然の存在だった。幼稚園の卒園記念作品集の表紙に、"大きくなったらなりたいもの"を書きなさいと先生が言ったんだけど、将来なりたい職業なんてなかった私は、隣の子の真似をして、"ピアノの先生になりたい"と心にもないことを書いた。親戚にもピアノの先生っていたし。そして、物心ついてから、ピアノの先生になる人は予めその職業を目指すわけじゃないことを知った。きっと、もともと子ども好きだったわけでもないんだろうな。

この物語の主人公ジスも挫折の末にこの選択をしていた。ピアニストとして成功している旧友の自慢げな姿を見ると劣等感を感じて平静ではいられなくなる。そんな思いが痛々しくてリアル。他の職業ならば運や努力で何とかなることもあるのかもしれないけど、音楽はまず天性の才能なんだろうな。そして、それを活かすチャンスがなくちゃ。ジス自身は一流ピアニストになることはできなかった。だけど、寂しい思いをしていたキョンミンに多くを与えたステキな先生になれたのだった。

あらすじを読めば、このドラマから受ける感動は概ね予想がつくという感じで、やはり特に意外なこともなく、時にべたさも見られるパターン通りのハートウォーミングドラマ。が、あらすじは定番だけど、雪景色だとか印象的な美しいショットがいくつもあって、その演出はなかなか好感触。キラリとセンスも光り、笑いを織り交ぜながら、丁寧に綴られていた印象。クールな先生といたずらっ子のやり取りはほほえましく。なんだかんだいって、家族ものとは別の、他人同士の間に温かな関係性が育まれるヒューマンドラマには弱いので、それ以前にピアノの旋律にも弱いので、べたさを感じつつも、感動の涙。

もっとも感銘を受けたのは、人間ドラマ部分じゃなくて、類い希なる才能の持ち主キョンミンが遊園地・動物園で見たもの、感じたものを即興で演奏したところ。本当にその旋律は木の葉や水やゾウさんやリスを表していたよ。ああ、素晴らしいなー。印象派だぁ。人間の感性とその表現力には脱帽しちゃうなぁ。難しい楽曲をこなすことだけが音楽の全てじゃないよね。

とそこに感動してしまった私は、結局、音楽家エリートの道は一つしかないというような結びが心もち残念だったりもしたんだけどね。才能を最大限に活かすというと、正流にのるのが唯一無二なのかな。即興のさすらいのピアニストというわけにはいかないもんね。伝統的に権威的な分野なのだから・・。

それはそれとして、エンディングのラフマニノフは圧巻。韓国の若手ピアニストジュリアス=ジョンウォン・キム(なんで、ジュリアスやねん、純コリアンくんなのに)の情熱的な演奏はグワっと心をわしづかみ。ジスはどんなにか感激したことでしょう。
小さな手のキョンミンが見事に弾きこなした名曲の数々もそのたびに心に染みいり。音楽映画は目白押しだけど、飽きもせずに堪能。
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by CaeRu_noix | 2007-09-03 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(11) | Comments(6)
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こんばんはー。
ジュリアスに突っ込んでいるところでかなりウケちゃいました☆
ベタな流れなのに私も涙・涙~。ラストの演奏もすごかったけどあのリングはめられているとこでも涙~。年かなぁ。。。
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-05 00:13
きららさん♪
わはは。一緒につっこみましょうー。
どこから見ても、キムくんですよね。これっぽっちもジュリアスじゃなーい。
それはさておき、そんな彼にもまんまと泣かされましたよね。そう小指にキラリと光るリングも泣かせましたよね。ベタなのに嫌味じゃないイイ映画でしたー。若者も泣きますよ、きっと・・・
Commented by シャーロット at 2007-09-25 01:37 x
いつもいっぺんにトラバってごめんなさい;
久々に鼻をちーんとかむくらい大泣きしましたよ;;
そうそうキョンミンが弾く、りすとかぞうとか動物をイメージした即興が素晴らしかったですよねー。これはこのときホントに即興で弾いたのかな?
思ったよりハートウォーミングなところが涙腺を刺激しました。
それにしてもラストシーンは3階席まである大劇場貸しきり大規模ロケでしたので、そっちのスケール感にも圧倒されました。日本だとクラシック音楽の映画撮るってかなりお金がかかるって「神童」の監督のコメを読んだことがあるので(劇場借りたりとか楽器の移動や維持管理費等など)ちょっと驚き…。それと本当のピアニスト出演だけあってとっても説得力あったのがとても良かったです。
私はオフでシャーロットと名乗るのは気恥ずかしいけど(笑)、キム君はジュリアスって韓国内で名乗るのは勇気いるのかな?・・・んなわけないですね;
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-27 20:15
シャーロットさん♪
涙大賞でしょうかー。物語はちょいとベタなんですけどね。それでもピアノ演奏からみのシーンは泣けますよね。ほのぼのええお話でした。
ラフマニノフもそりゃーもう感動しましたが、個人的には即興で印象派なメロディを生み出した場面にもっともやられました。バイエルも終えられなかった私なので、難しい曲を弾きこなせることよりもそういう感性のすばらしさにクラクラ。
コンサートシーンも確かに豪華だったかもしれませんね。象やリスの音楽派の私はあまりそんなところには注目しなかったけれど・・・。日本よりは韓国の方が映画界とクラシック音楽界が近いのかしら。ジュリアスが出演するとなれば劇場の方もわりと借りやすかったのかもしれません。
いくら才能あるピアニストだって、あんなに小さいうちからたった一人で言葉の通じないヨーロッパへ行くなんて生活の方がうまくいかない気がするんですが、そこは虚構の物語、立派なピアニストになって帰ってきましたよねー。
本物の演奏が映画のシーンになるなんてすばらしいー。
ジュリアスはその名前に誇りをもっているでしょう。
Commented by カオリ at 2007-10-01 04:21 x
こんばんはー。ラフマニノフでだーッと涙が・・・ベタ過ぎる展開なんでしょうけど、そこが音楽の力なのかもしれません。ピアノ関連の映画、今年は多いですよね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-03 00:47
カオリさん♪
ラフマニノフには泣けましたよねー。象やリスや木の葉の即興も泣けた私。ドビュッシーも泣けました。美しい音楽には何度でも感動ー。
ピアノもの今年は多いですよね。それは喜ばしいです。でも、他の楽器も聴きたいですね。
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