かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『チャーリーとパパの飛行機』
2007年 09月 12日 |
魔法学校に通わなくても空を飛べるのが本当のファンタジー。

チャーリーは、クリスマスにパイロットのパパから真っ白な飛行機の模型をもらう。そして、パパは帰らぬ人となってしまう。



ヨーロッパの子ども映画は可愛いんだよね。ほのぼのとした日常の中にごくナチュラルにファンタジーが入り込むの。犬がしゃべっちゃうドイツ映画『サージェント・ペッパー ぼくの友だち』なんかもそうだった。等身大の子どもの姿がごくごく自然に描かれて、そのトーンが維持されながら、映画ならではの夢いっぱいの世界が広がる。

でも、多くの人が見慣れているのはそういうタッチのものではなくて、鳴り物入りの奇想天外ファンタジー映画なんだよね。日本の特撮ものやジャパニメーションにしても、ハリウッド映画にしても。キッチリとジャンル分けされている映画において、最先端の映像技術によって表現される手に汗握る闘いや冒険を体験するの。日常生活の隣にはファンタジーはなくて、舞台は○○王国だったりするのが常。

だから、たぶん、こういう小品を物足りないと感じてしまう人も多いかもしれない。ダイナミックな空想世界が舞台の物語に慣れ過ぎている私たちには、中途半端に感じられる表現かもしれない。ヒューマン・ドラマとしてリアルなタッチで進んでいくのに、突如展開するそのファンタジー描写にさめてしまう人もいるみたいだし。

だけど、私はそういうファンタジーのあり方に逆に心を動かされてしまったのだった。LotRやハリポタのような架空のお話を当然のように受け止められるのに、模型の飛行機が空を飛んじゃうことに、不自然さを感じてしまうというなら、結局私たちは、ファンタジーを信じていないっていうことだよね。ホウキで空を飛べるって、空想世界の設定、前提条件をまず許容してからじゃないと展開する物語を受け容れられないなんてヘンだよね。

そんなふうに思考してしまったのは、私自身も最初、その場面を100%自然には受け容れられなかったからだった。飛行機が飛ぶことは予め知っていたような気がするんだけど、それは最後の最後の場面かなぁと思っていたので。まるで生き物のように、模型くんが飛んでみせてくれるのでちょっと怯んだ。でも、やがて、そこがおもしろいなと感じて、そこにあるテーマにグッときた。

それから、模型飛行機を調べてその仕組みをあばこうとするパパの同僚が悪者役として描かれることにも一瞬疑問をもったのだった。仕事柄、彼がそうするのはごく真っ当なことなのに、悪者扱いするのはあんまりだなぁって・・・。でもね、ここではあえて、そういうアプローチをしたのかなと思い、そこに感動しちゃった。

国の空軍の研究所なんていったら最先端の技術を持っているところ。そこに働く科学技術のスペシャリストの彼らは、この世の全てのものは科学によって証明されることを常識としているんだよね。だから、模型飛行機が飛ぶ理由も、当然のごとく科学的に解き明かせるものだと思っている。

だけど、ファンタジーは、科学に支配されないものなんだよね。政府機関の研究所に潜り込むなんて、○○王国とは大違いの現実的な存在にビックリするんだけど、あえてそこに挑んでいるところに、ファンタジーの意味を感じることができるの。だから、頭でっかちな大人の追跡を逃れて、飛行機が大空を飛ぶシーンは、夢とロマンを追う心の飛翔っていう感じで、とーってもすがすがしいのだった。

パパの死を受け容れて再生する物語としてもしみじみ感動するのだけど、そこは予想通りな感じでもあったから、個人的には"科学とファンタジー"についてが味わいポイントだったかな。

それでいて、ホウキやタケコプターで飛ぶよりも物理的に現実的な飛行姿勢もよし。
森や海辺というロケーションもステキだったし、お友達のメルキアデスが可愛かった。
[PR]
by CaeRu_noix | 2007-09-12 00:37 | CINEMAレヴュー | Trackback(12) | Comments(9)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/6127154
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from 江戸っ子風情♪の蹴球二日.. at 2007-09-12 11:23
タイトル : チャーリーとパパの飛行機
 フランス  ドラマ&ファミリー&ファンタジー  監督:セドリック・カーン  出演:イザベル・カレ      ロメオ・ボツァリス      ヴァンサン・ランドン      ニコラ・ブリアンソン 【物語】 クリスマスの日、パパからのプレゼントが期待していた自...... more
Tracked from シャーロットの涙 at 2007-09-12 13:41
タイトル : チャーリーとパパの飛行機〜フランス映画祭 その2
8歳のチャーリーに真っ白な飛行機の模型をプレゼントした後、パパは突然の事故で亡くなってしまう。哀しみにくれるチャーリーと立ち直れないママ。 でも、ある日突然パパの魂が乗り移ったかのようにその飛行機が動き出した〜〜{/airplane/} ... more
Tracked from カノンな日々 at 2007-09-13 01:16
タイトル : チャーリーとパパの飛行機/ロメオ・ボツァリス
これは小さな作品。だけど描かれる奇跡の物語は珠玉のファンタジー。時としてこういう宝物のような作品に出会えるのはミニシアター系の大きな魅力で気になっちゃうんですよね。フランス映画なんですが、ベルギーのバンド・デシネ(コミック)という人気シリーズが基になってる....... more
Tracked from   playt&cine.. at 2007-09-14 15:15
タイトル : チャーリーとパパの飛行機
チャーリーとパパの飛行機 HP製作 フランス 2004 時間 100分監督 セドリック・カーン出演イザベル・カレ、ロメオ・ボツァリス、ヴァンサン・ランドン、ニコラ・ブリアンソン、アリシア・ジェマイstory不慮の事故で帰らぬ人となったパパから最後にもらったクリスマス...... more
Tracked from レザボアCATs at 2007-09-20 12:20
タイトル : #133.チャーリーとパパの飛行機
思いもかけずファンタジックな物語でした。現実を描いているのかと思いきや、突然不思議なことが起こる。当たり前みたいに起こるから、少しビックリ。... more
Tracked from Aspiring Bo.. at 2007-09-20 23:53
タイトル : 映画「チャーリーとパパの飛行機」を観ました。
〜あらすじ〜 チャーリーは8歳。パパにクリスマスのプレゼントに自転車が欲しいとお願いしていた。 パパはパイロット、他の家族が楽しくパーティをーしてすごす クリスマスの日でさえも、真夜中に帰ってくる。 待ちわびたチャーリーの元に届いたクリスマスプレゼントは模型の飛行機。 自転車じゃなかったことに不機嫌になるチャーリー。パパもそれをみてがっかりする。 パパは、チャーリーの机の上に「自転車は誕生日にかならず買ってあげる。2、3日で すぐかえるから」とかかれた手紙を残し、不慮の事故で帰らぬ人となる。 チャーリ...... more
Tracked from Cartouche at 2007-09-28 00:39
タイトル : *チャーリーとパパの飛行機*
{{{   ***STORY***             2005年    フランス チャーリーは、クリスマスにパイロットのパパから真っ白な飛行機の模型をもらう。ところがその数日後、パパは帰らぬ人となってしまう。あるときチャーリーは、飛行機が自然に動いていることに気づく。そんなことが信じられないママはチャーリーから飛行機を取り上げ、しまいには飛行機は研究所に持って行かれてしまう。チャーリーはパパの飛行機を取り戻すべく、親友のメルセデスとともに、夜の森を抜け研究所へ向かうのだった。      ...... more
Tracked from DVDジャンル別リアルタ.. at 2007-09-29 05:07
タイトル : サージェント・ペッパー ぼくの友だち
6歳になるフェリックス君は、トラの着ぐるみをきた人間になりたくない男の子。いつでもどこでも着ぐるみを着ているフェリックス君はある日、庭で“サージェント・ペッパー”という名前の喋れる犬と出会う。初めてちゃんと話し合える友だちができたフェリックス君は、ペッパー君とずっと一緒になりたいと願うのだが…。... more
Tracked from ゆるり鑑賞 Yururi.. at 2007-11-20 23:16
タイトル : チャーリーとパパの飛行機
チャーリーとパパの飛行機(2008/01/25)不明商品詳細を見る 監督 セドリック・カーン (2005年 フランス) チャーリー(ロメオ・ボツァリス)はクリスマスプレゼント新しい自転車をくれるよう、 パパ(ヴァンサン・ランドン)に手紙を書く。 ところがパパがく...... more
Tracked from 銅版画制作の日々 at 2008-01-16 15:48
タイトル : チャーリーとパパの飛行機☆L‘avion
  夢を信じることで奇跡が起きるーーーー。   11月20日、京都シネマにて鑑賞。朝10:00からの一回のみの上映でした。何とか観たいと思い・・・・・。観る事ができた映画です。心温まる愛につつまれたファンタジー作品です。 Synopsis(物語)   チャーリー(ロメオ・ボツァリス)がパパ(ヴァンサン・ランドン)にもらったクリスマスプレゼントは真っ白な飛行機。パイロットのパパは手作りのプレゼントをしようと密かに準備していたのだが、本当は自転車が欲しかったチャーリー。もら...... more
Tracked from パピ子と一緒にケ・セ・ラ.. at 2008-02-09 17:13
タイトル : チャーリーとパパの飛行機(DVD)
パパにもう一度あいたい、ぼくの願いが届きますように。夢を信じることで奇跡が起きる!__ クリスマスの日。チャーリーはパパからのクリスマスプレゼントを楽しみにしていた。夜遅く帰ってきたパパがプレゼントにしてくれたのは手作りの真っ白な模型の飛行機だった。自....... more
Tracked from 映画鑑賞★日記・・・ at 2008-02-13 12:55
タイトル : チャーリーとパパの飛行機
【L'AVION】2007/09/01年公開製作国:フランス 監督:セドリック・カーン原作:マグダ『チャーリー』出演:イザベル・カレ、ロメオ・ボツァリス、ヴァンサン・ランドン、ニコラ・ブリアンソン、アリシア・ジェマイ 最強の白い飛行機。何で出来てるんだろう。... more
Commented by 風情♪ at 2007-09-12 11:37 x
こんにちは♪

>ヒューマン・ドラマとしてリアルなタッチで進んでいくのに
 突如展開するそのファンタジー描写にさめてしまう人もいる
正にこれはボクです。
とは言えこれも観に行く前に自分の中でドラマなのか、それと
もファンタジーとして括るのかで冷め方が変わってくるんですが。
「長江哀歌」のようにリアルな人間ドラマの中にいきなりファンタジー
やら抽象的なものが現れると引いちゃうんですよね。

>舞台は○○王国だったりする
これも決して嫌いじゃないんですが本作や「サージェント・ペッパー」
のように日常に突如としてやって来るファンタジーの方が遥かに
好みなんです。

何か矛盾したこと言ってる感じが自分でもしないでもないんで
もし意味不明だと思われたらゴメンなさいね。r(^^;)

飛行機の造型がシンプルなのがファンタジックな雰囲気を更に
高めていたようにも思えました。
Commented by シャーロット at 2007-09-12 13:36 x
科学とファンタジー・・・むーん、すばらしい。
私はあまり考えなかったんで、興味深く拝読いたしました。
確かに一般的に>最先端の映像技術によって表現される手に汗握る闘いや冒険を体験する・・・がファンタジー作品のような感じですもんね。
んー、私はいつも絵本とか見てるからかな。あまり違和感がなかったです。海辺のラストシーンは思いっきりツボでした。涙
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-13 00:33
風情さん♪
そうですかー。いやー、わかります。
こういうのに違和感を感じてしまう人って多いと思います。ファンタジーの括りのハリポタの中なら何でもOKなのに、日常的なトーンでリアルに進むドラマに非現実的なエピソードが急に入ると冷めてしまう人はきっと少なくはないですよね。そうそう、『長江哀歌』の発射はよい例ですねー。
私はハリウッドもののように映画がしっかりジャンル分けされていることに疑問を感じるので、フツーのドラマの中にファンタジーが織り込まれるパターンは大好きです。『フィッシャー・キング』のダンスシーンみたいなのは最高に好きですー。とはいえ、うまくやってくれないとやっぱり乗り切れないこともあるかな。意外さが吉と出る場合と凶と出る場合がありますよね。
矛盾もしていますけど(笑)、状況はわかりますー。わかるからこそ、そのへんを考えてみたくなったのでしたー。
飛行機の造型がシンプルでのっぺりしていておもしろかったですよね。胴体部はお魚のカタチに似てませんでした?なのでペットのように可愛い飛行機くんでした。
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-13 01:15
シャーロット さん♪
こういうのって理屈抜きで見るのがフツーですよね。基本的には右脳で映画を観る私なのに、このたびは思考したゆえにまた別の味わいがありましたー
なぜ、そういうことを考えたかというと、『アズールとアスマール』の時にとらねこさんがミヒャエル・エンデのことを書いていて、それと 今年観た『六ヶ所村ラプソディー』というドキュメンタリーの作者がエンデの価値観に共感するといっていたのも思い出し、ちょっと前にエンデのインタビュー本を読んだのですよ。エンデは、科学を絶対視するような価値観に疑問を呈し、ファンタジーの大切さを唱えていたので、私はそのことを思い出して、勝手に本作のテーマにかぶらせちゃったのでした。
で、まぁそういうのとは別に、科学の知識のある大人たちは、科学的にあり得ない非現実的な物語は、ファンタジーという枠の中でしか受け止められなくなっている傾向はありますよね。私は死んじゃった人が登場したり、空飛んだりする映画は好きなんですがー。クストリッツァ系。
海辺のシーンはステキでしたねー。
Commented by とらねこ at 2007-09-20 20:03 x
なるほど、ファンタジーと科学との境界線。
おっしゃるとおり、科学側は科学の力でもってファンタジーを解明しようとしていましたね。
ところが、それは最後までとうとう分からずでした。
なるほどエンデのファンタジー観ですか。
私が言ったのは『アズール~』のところではなかったのですが、覚えていてくださり、ありがとうございます。
言及されている通り、エンデのファンタジー観は、人間がファンタジーを信じる心が核になっていました。

とすると、この飛行機は、現実と科学の間を飛ぶ飛行機だったのですね。
うーん、いろいろとありがとうございます。勉強になりました
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-23 10:20
とらねこ さん♪
エンデのことはですね、たぶんとらねこさんがレヴューの中できちんと言及されていたのは他の映画でだったかと思うんですが、それとは別にこちらのブログの『アズール~』のコメントに"エンデを思い出しました"と書かれていたんですよ。なので、私はアズールなイメージを求めて、エンデの思想がのぞいてみたくなったのでした。
ちなみに私が図書館で借りて読んだのは、NHK出版の「アインシュタイン・ロマン 6. エンデの文明砂漠」というやつでした。91年に出版されたものなんだけど、今読んでも充分に興味深かったです。
そうですね。わたし的にはこのヒコーキは現実と科学の間を飛ぶものだったという感じです。ハリウッド仕様の豪華ファンタジーに慣れているから、こういう中途半端なアプローチには一瞬たじろぎましたが、これはこれの味わいポイントがありましたです。
私もエンデに関心を向かわせてくれたとらねこさんに大いに感謝ですー。
Commented by Cartouche at 2007-09-28 00:43 x
これは拾い物的おもしろさでした。
ベタなストーリーなんだけれど、そこはフランス映画。
味わい深く、映像も渋く、そして音楽もガブリエル・ヤレド
という素晴らしさ!
素直に泣けました。
Commented at 2007-09-28 09:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-28 23:59
Cartouche さん♪
劇場はすいていたけれど、楽しんでくれた方が増えて嬉しいです。
ストーリーはホントにお子さま向けなシンプルさでしたよね。でも、ヨーロッパのものって、ナチュラルな感じでいいんですよねー。
まっすぐでナチュラルな空気の中、素直に感動しちゃいますよね。
私も飛びたいー
<< 『酔いどれ詩人になるまえに』 ... PageTop 第64回ヴェネチア国際映画祭受賞結果 >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon