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『酔いどれ詩人になるまえに』 Factotum
2007年 09月 13日 |
イメージが違い、物足りず。

チャールズ・ブコウスキーの自伝的小説がベースの、作家志願の飲んだくれヘンリー・チナスキーの物語。



ブコウスキーのことはそんなに知らないのだけど、一昨年ドキュメンタリーの『ブコウスキー:オールドパンク』 を観て、その人間味に惹かれた。シブくてワイルドで、なんて魅力的なオヤジなんだろうって思った。そんな風に一つの印象だけで、ブゴウスキー像を作り上げてしまったのがよくなかったかもしれない。

マット・ディロンはがんばっていたと思うんだけど、私のイメージするところのブゴウスキー世界の住人とはちょっと違っていたの。いえ、これは、ヘンリー・チナスキーの物語であって、チャールズ・ブコウスキーの物語ではないのだから、原作小説を読んでみたら、案外とイメージに近いかもしれない。ブゴウスキー自身が気に入らなかったという『バー・フライ』のミッキー・ロークよりはよかったのかもしれないし。それはよくわからないけれど、とにかく私はマットの演じるヘンリーの物語に魅せられはしなかったな。

マット・ディロンって、アウトローな不良青年が似合うタイプだったと思うんだけど、今はどうも不良中年っていう感じじゃないんだよね。不良なライフ・スタイルはハマるんだけど、それはファッション・モード的であるというか。世の中に唾を吐きつつ、うらぶれやさぐれ飲んだくれるワイルドなダメ人間という雰囲気ではなくて、どうしてもお坊ちゃんっぽさを感じてしまうの。脂ぎったアクの強い粗暴な中年男が見たかったのかも。リリ・テイラーやマリサ・トメイはかなり下品な場末の女風味を醸し出していてよかったんだけどな。

そもそもやっぱり、ベント・ハーメルという監督が描く題材ではなかったのかもしれない。これまで、ハーメルの描いていたシュールでコミカルな世界の登場人物は、ブゴウスキーの物語の主人公とは別次元の存在だったもの。そればかりが得意ジャンルではないとしても、ノルウェーの監督がいきなり、アメリカを代表する作家の自伝的小説を映画化するというのは難しいことじゃないかと思ってしまう。物語展開の面白さを求めたわけじゃないから、結局は雰囲気や空気感が大事だったと思うんだけど、どうも物足りなかったなぁ。好きなショットはいくつかあったけどね。
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by CaeRu_noix | 2007-09-13 23:09 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(12)
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Commented by 風情♪ at 2007-09-14 11:31 x
こんにちは♪

チャールズ・ブコウスキーなる作家も知らなかったので
本作には別に興味も無かったのですが、ご贔屓女優の
L・テイラーが出ていると言うだけで劇場に足を運んだの
で、あまり文句も言えた立場じゃないんですが、こうもあ
まりにも自堕落な生活を見せられてもってぇ感じでした。
それに主人公自身、惨めな自分の姿に酒以上に酔ってた
印象も受けたましたんで…。r(^^;)
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-14 22:49
風情さん♪
リリ・テイラー、よかったですよねー。
『アリゾナ・ドリーム』好きの私としても、大人な彼女の存在感にしびれ・・・。
マット・ディロンは好みの問題でしょうかね。ちょっとナルっぽかったですよね。原題の勝手に生きろなカンジではなくて、邦題の方が近いイメージの主人公でした。私は自堕落な姿を描いた映画というのは承知の上だったんですが、にしてもあまり感情を揺さぶられなかったんですよね。それほどミジメっぽくもダメダメでもなかった気がしてしまいました。お酒のシーンもあんまり魅力的ではなく。
不快感を感じてしまうくらいの方がよかったかな。
ふーんっていう感想でしたー。
Commented by ぺろんぱ at 2007-09-16 19:16 x
こんばんは。
そうなんですね、イメージが違いましたか。
実はこれ、観に行こうと予習で?原作ではないけれどブコウスキーの『酔いどれ紀行』を買って読んだんですよね。
でも読み終えてからちょっと日が経ち、テンションが維持できていない今日この頃でした。ん~、ブログで観に行く宣言してしまいましたが今はちょっと迷ってます。
「お酒のシーンの魅力の不足」・・・←お酒好きの私としては実はこれがショックだったのかも!?(^_^;)


Commented by CaeRu_noix at 2007-09-17 01:01
ぺろんぱ さん♪
そうなんですよ。残念ながら・・・。
おお、「酔いどれ紀行」、おもしろかったですか? 実は私も、これの原作ではないけれど、「町いちばんの美女」の何編かを読んだのですよ。そのこともちょっと影響してしまったかも・・・。
マット・ディロンが好きならば、そこそこに楽しめるんじゃないかとは思うんですけどね。どうでしょう。私はハマれなかったけれど、映画としてイマイチとも言い切れませんしーでもでも、せっかくですので、試しに観てみてくださーい。(笑)
お酒のシーンは『街のあかり』の方が印象的だったような・・・。監督は飲んべえではないのかなぁ・・・。
Commented by シャーロット at 2007-09-20 20:55 x
こちらにも。
かけこみで見てきました。まだやってた。笑
・・・というか見なくてもいいっかなーとは思ったのですが、もうすぐ終わりそうだと思ったらやっぱり見たくて。
そうそう、マットってばアクの強さがイマイチ足りない…と思いましたです;
昔の方がもっとクセがあったような。。。おっしゃるとおりお坊ちゃま的なのですがよね。どうも甘さがぬけきらなかったというか。できたらもっとワイルドなオヤジが良かった。(まあ、好きなのでなんでも許せてしまう。笑)
リリと絡んだシーンにはいくつか印象的なものがありました。自分の靴をはかせるところとか。
Commented by 八ちゃん at 2007-09-20 22:28 x
八ちゃんは、あんまりマットの作品を知らないので、凄くかっこよく見えました。
マット・デイモン(と書くと、いつも↑に叱られる)とマジで勘違いして作品覚えた時期がありました…汗

今となっては別にああはなりたいと思わなくなったけど、あこがれるなぁ~
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-23 10:21
シャーロット さん♪
マットふぁんのシャーロットさんなのに観に行かないのかしらと思っていたのですよ。まぁ、これは観ても観なくても映画人生に大きな影響はないとは思うんですが、どうせなら劇場鑑賞して雰囲気を味わうべしな感じですよね。
どんな映画も大概1ヶ月は上映しているのでまだやっていたのは当然だと思うんですが、それ以上のロングランはされないとわかった時点、イマイチなのねーってことが伝わって来ちゃうんですよね・・・。それでも私も観に行ったけれどー。
これって、原作の主人公は何歳くらいの設定なんでしょうね。ホントはもうちょっと若い頃のオハナシなんじゃないかなぁ。同じ世代の頃だったなら、マットでももうちょっとイメージに近かったかもしれません?40男の物語としては、あっさり風味だなぁと思ってしまったのでした。20の頃の不良ぶりはかっこよかったと思うのだけど。
靴をはかせるところは本来ならばグッとくるシーンのはずなんだけど、『猟奇的な彼女』を思い出してしまったんですよね。そして、マットの方も彼女の靴をはいてほしいなーと思いながら観てしまいました・・・。
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-23 10:22
八ちゃん♪
今のマットは男性から見てもかっこよかったですかー。
昔はマットといえば、ディロンだったはずなのに、90年代以降はマットといったら、デイモンになってしまいましたよねー。前は混同して間違っていたいた人もいましたよね。
私は個人的な好みで、面長男がちょっと苦手なんですよ。いい男だとは思うけど、ときめかないんですぅ。あと、俳優さんって、軽やかな動きをする人に惹かれるので、マットののっしのっしな感じは私にはあんまりでした。
八ちゃんもマットのようなダンディを目指してくださいー♪
Commented by ふぇあるーざ at 2007-09-23 14:22 x
女性たち魅力的でしたねー。
リリのかすれアルト、マリサのかすれソプラノも良かったー。
リリのちっちゃさ、というか、マットとの体格差が利いてました。かわいいカップル。
マリサの“お友達”のセリフをもっと聞きたかった。故エイドリアン・シェリーの垂れ目も可愛かった。彼女の監督作の『ウェイトレス・・・』が楽しみだー!

『勝手に生きろ!』のハンクは26歳くらいだったと思います。ちなみにリリが演じたジャンはその10コくらい上。
わたしは小説の方を読んだ時、ハンクに関しては20代のくせして見た目相当上(あらうんどふぃふてぃ)を想像していたので、マットじゃ若すぎるくらいに思ってましたが、観てみると物腰も風貌もオヤジなのに甘ったれ坊主の主人公にがっちりはまっていたので、すんなり入っていけちゃいました。
こんな長々と書いといてなんなんですが、早い話、無条件降伏でした、イイ意味で。
勝手に生きろ!も邦題です。上手い邦題だと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-24 16:50
ふぇあるーざさん♪
この物語には女のかすれ声が似合いますよねー。
エイドリアン・シェリーって亡くなったんですね。それも無念な死。うう

ちなみに私が上に書いた邦題/原題の件は映画タイトルのことです。映画の原題は小説と同じFACTOTUMなのに、邦題は「勝手に生きろ」じゃなく、酔いどれ詩人~。で、マットの演ずるチナスキーの雰囲気は、FAC~よりも酔いどれ詩人風だったかもと思ったのです。

おお、小説の主人公は20代なんですね。映画の方はどういう設定だったんでしょ。40男の物語な脚本だったのか、見た目はふけているけど実は20代後半という設定だったのか?と私には疑問符のあるしっくりこない感じだったんですが、ふぇあるーざさんには完璧だったんですね。
原作を読んでいる上でハマっていると思えるなんてそれは何より。
わたし的にはビロル・ユーネルっぽい雰囲気を醸し出せる俳優がよかったな。って、アメリカだったら誰がいいのかわかんないけど・・。
ジャンは同年代じゃなくて年上なんですね。うん、そういう雰囲気だったかも。主人公はやっぱり原作の年齢に近い人がよかったなぁ。なんて私はどうもディロンがヤみたいですが、ふぇあるーざさんにはバッチリでよかった。
Commented by 狗山椀太郎 at 2007-09-25 13:10 x
こんにちは
私も先日、遅ればせながらDVDで『オールド・パンク』を見ました。やはりブコウスキーといえば不良ジジイ的なイメージのほうがが強いですね。そのせいか原作を読んでいるときも、青年というよりは中年以降のふてぶてしい姿を頭に思い浮かべていました。あっ『町でいちばんの美女』も読んでおられたのですね。かなり好き嫌いが分かれそうな作品ですが、いかがでしたか。私は以前この本を友達に貸したことがあって「読んで気分が悪くなった!」と突き返されてしまいました(涙)。

それで映画ですが、私にとっても今ひとつの印象でした。確かに主人公は、憎まれっ子世にはばかる的な、周囲に不快感や嫌悪感をまき散らしているくらいのほうが丁度いいと思います。また、アメリカ人の監督さんが作っていたら(名前は思い浮かびませんが)だいぶ違った雰囲気になっていたのかも知れませんね。
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-27 20:29
狗山椀太郎 さん♪
オールド・パンク、ご覧になりましたかー。私はファンでもないのに劇場鑑賞しました。だって、ショーン・ペンやトム・ウェイツに愛されている人なんですもの。
そして、そうなんです。ブコウスキーといえば不良中年のイメージなんですよねー。原作を読んでいてそう感じるんですね。
「町でいちばんの美女」は半分も読んでないかもしれないので、あまり多くは語れませんが、可もなく不可もなくかな。気分が悪くなるほどに物語世界にはまりきれないというか・・・。翻訳ものって難しいです。彼の小説の雰囲気を知りたかっただけだったので読書への熱意不足だったかも。ブゴウスキーとビートには興味はありありなんですが、小説はたぶんそんなに自分好みではないかなって思います。ブゴウスキーのは詩を原文で味わいたいでっす。
そして、映画は期待したほどではなかったということですね。本気のブゴウスキーファンのアメリカたるアメリカ映画として作ったほうがよかった気がしますよね。ならば、ショーンペンに撮っていただきたいかも。キャスティングは検討中ー
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