かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『明るい瞳』 Les Yeux Clairs
2007年 09月 14日 |
好みのメルヘンカラー。

フランスの片田舎で兄夫婦と同居しているファニー。兄のガブリエルに心配をかけてばかりで、兄嫁セシルとの衝突を機に旅に出る。



ファニーはその名前からイメージされる通りのちょっと変わった行動をとってしまうユニークキャラ。ちょっぴりヘンな女の子が主人公のメルヘンチックなほのぼのドラマと思いきや、女の子と呼んでいいお年頃でもないし、いい大人ゆえ、その奇行は時に痛々しくもあって、まったり気分で眺めるものとはちょっと違った。同居している兄との関係性や兄嫁との間に炸裂する複雑な感情はやけにリアルな痛さがあって。いい大人なのに癇癪を起こした子どもみたいな態度をとるファニーにドキドキ。

その風変わりさは感情移入しやすい主人公ではないかもしれないけれど、なんだかんだいってファニー応援モード。ハラハラしながら、不安定な心のファニーを見つめてしまうの。子どもじみたその行動は、大人ゆえに居たたまれない状況。こういう困ったちゃんな義妹と同居しなくちゃいけない兄嫁もさぞかし大変だろうとは思いながらも、ファニーの味方をしてしまう自分。自制することなく感情の赴くままに振る舞う彼女の姿を見て、心配になりながらも、ほほえましさやすがすがしさも感じちゃったりするから不思議。

心はささくれ立つばかりの日常模様なのに何だか引き込まれてしまった前半戦。そして、旅立ちの後半戦。道中の椅子運びを手伝うシーンがまた可愛い。おうちでは困ったちゃんぶりを発揮していたファニーが自ら進んで親切を申し出て、たっくさんの椅子を一度に抱えるのだ。カラフルな椅子が画になっていて、すごく可愛いショットなの。ずっと前のフランス映画祭の時に写真で目にしていたそのシーンをスクリーンで見られて嬉しい。このほほえましき椅子運びの男性はジェローム・ボネル監督自身だというから、また心憎い。何かの記事で、デプレシャンが引き合いに出されていたんだけど、そんな知的で繊細な雰囲気の監督は77年生まれ。

そして、ドイツの森で木こりに出逢うなんていう好みのメルヘンなシチュエーションがただただ心地よい。木こりさんは、『ヴェルクマイスター・ハーモニー』に出ていたラルス・ルドルフで、御伽っぽい不思議な存在感がある。言葉が通じなくたって、コミュニケーションをとることはできるし。こんなふうに人里離れた静かな森で、新鮮な空気と優しい光に包まれて、心の深呼吸をすることはどんなにステキなことだろうか。心洗われるやわらかな安らぎの時間。しがらみも何もない初対面の外国人の木こりさんと心通わせて触れ合うことが、ハートの消耗を回復させてくれる。

途中ちょっと眠くもなったし、まったりし過ぎじゃないかなと思える部分もあったし、大きな感動があるわけでもないんだけど、可愛くてハートウォーミングで好きだなーって思える作品。ジェローム・ボネル監督には今後も期待。
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by CaeRu_noix | 2007-09-14 00:29 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(2)
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Tracked from 地球が回ればフィルムも回る at 2007-09-14 01:34
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タイトル : 「明るい瞳」
 2005年/フランス  監督/ジェローム・ボネル  出演/ナタリー・ブトゥフ      ラルス・ルドルフ  地味だけれど、静かな余韻の残る作品。  精神的に不安定な女性・ファニーは兄夫婦と暮らしている。ある日、兄嫁の浮気を目撃した彼女は、一人で家を出て、父の墓があるドイツへ向かう。そして彼女は森の中で木こりのオスカーと出会う。フランス語とドイツ語。言葉による意思の疎通はできないが、次第に二人を心を通わせていく・・・というお話。  前半のファニーは観ていて痛々しい。頑なでピリピ...... more
Tracked from ゆるり鑑賞 Yururi.. at 2007-10-19 18:14
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Commented by mayumi-68 at 2007-09-15 16:26
かえるさん、こんにちは~。
私も最初、主人公のファニーがエキセントリックすぎて、感情移入できない・・・と思っていたのですが、途中からだんだん彼女を応援したくなりました。兄嫁の不実を知り、真実を兄に言い出せずにやけっぱちな行為を繰り返す彼女が痛々しかったです。

だから、オスカーの優しさにはホッとしました。ファニーもオスカーと一緒にいることで、表情が柔らかくなっているのがわかる。
かえるさんが仰る「心の深呼吸」、わかる気がします!
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-15 19:38
mayumi さん♪
ファニーったら、エキセントリックというか、ヘンな女でしたよねー。
アメリ世代ならまだかわいいと言えるかもしれないけれど、精神科医と同い年のファニー世代はちょいと痛々しく・・・。でも、なんかやっぱり可愛いって思っちゃう部分がありました。不思議な魅力がありましたよねー。
ファニーの一つ一つの行動、態度からブルーな気持ちが繊細に伝わってきました。
出逢ったオスカーがいい人でよかったですよね。これこそおとぎ話なんだけど、優しい時間でした。森の新鮮な空気プラスオスカーとの温かなふれ合いでファニーも私たちもココロの深呼吸ができましたよねー。
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