かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ミルコのひかり』 Rosso Come Il Cielo
2007年 09月 18日 |
人間の可能性とイマジネーションがキラキラと輝く。

1971年イタリア、トスカーナ。10歳の少年ミルコは不慮の事故によって、両眼の視力を失ってしまう。



イタリア映画界でサウンド・デザイナーとして活躍するミルコ・メンカッチ氏の少年時代の体験をもとにしたドラマ。

視力を失うというのは何とも耐え難い辛いことだよなって思う。たった10歳で、そんな経験をすることになったミルコ。見えなくなっていくことにどんなに不安を感じることか。ダンサー・イン・ザ・ダークのセルマのように"私はもう見たいものは全て見た"と言えるはずもない、人生はまだこれからの幼気な子どもだというのに。そして、精神的につらい状況なのに、家族から離れて、盲学校へ通うべく寮生活を始めなければならないなんて。

だけど、そんな同情心は傍らへ押しやられ、私たちはミルコたちの健気さとたくましさに驚かされるのだ。人間の想像力・創造力の素晴らしさに感動せずにはいられない。目が見えなくても、子ども達は健やかに元気で生命力にあふれているのだよね。そして、逆境をバネに、新しい世界を発見し、築き上げていく。私たちは、目で見るものを信用しきっていて、じっくりと耳をすますことを忘れているかもしれない。闇の中にいながら、ミルコは、この世界にはこんなにも美しい音があふれていることを教えてくれた。

映画が大好きなミルコが、学友たちと共に、テープレコーダーを利用して、音で物語を創り上げていく様子は本当に楽しくて感動的。密に計画を進める子どもたちの和気あいあいとした活動風景がとにかく微笑ましいの。厳格なカトリックの教えの中、秩序を重んじる校長先生の姿勢はもっともなんだけど、そうやって全ての人間たちの個性や可能性や自由が抑圧され、矯正されてしまうのだとしたら、とても悲しいことだと思う。良い電話交換手になることが唯一の最良な道であるはずがない。権利を求めてデモを行っているエットレとの出会いが重なって、理解あるジュリオ神父に後押しされ、型にはまらない新たなる道を切り開くことができたミルコの姿には、すがすがしい感動を覚えるばかり。

ミルコなのにミエナイコだなんて・・・と思ったけれど、彼は心の眼で見る子なのだ。

日本のTVドラマなどでも、身体的な障害を抱えた主人公の物語って結構あったけど、そういうのは不憫さをまず前面に出して可哀想をウリにしていた感じなのがいただけなかった。本作は子どものみずみずしさが何よりも印象的なさわやかさがとてもいい。

音づくりの場面で、エリエリレマサバクタニを思い出した。いえ、それよりも、『リスボン物語』だよね。廉価版DVDが9/13発売!

視覚の不自由さを通じて、色や音の美しさに改めて気づかせてくれる映画的アプローチは大好き。目の見えない子どもの物語といったら、イラン映画。
太陽は、ぼくの瞳           サイレンス
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by CaeRu_noix | 2007-09-18 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(15) | Comments(10)
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Tracked from Cartouche at 2007-09-19 19:11
タイトル : *ミルコのひかり*
{{{   ***STORY***                 2005年  イタリア 1971年イタリア、トスカーナ。10歳になるミルコは両親に深く愛される、利発で映画が大好きな少年だ。ある日、祖父の古い銃を過って暴発させてしまったミルコは両眼に重傷を負い、その視力はほとんど失われてしまう。当時、イタリアの法律では視覚障害者は普通の学校には通えない規則になっており、両親はやむなく息子を遠く離れたジェノヴァの全寮制の盲学校に送る。この境遇を受け入れられず心を閉ざしてしまうミルコだったが、古...... more
Tracked from カノンな日々 at 2007-09-20 00:02
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Tracked from サーカスな日々 at 2009-04-19 05:31
タイトル : mini review 09363「ミルコのひかり」★★..
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Tracked from 映画通信みるみる at 2009-05-13 13:49
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ある偉大な音楽家が、演奏する時瞳を閉じていた 音楽に耳を澄ませるためさ 見えなくても音や言葉を聞いてればわかる からだ全体で感じる 五感をいっぱいに使うんだ イタリア映画界の第一線で活躍するギ..... more
Tracked from しぇんて的風来坊ブログ at 2009-09-23 17:50
タイトル : ミルコのひかり
事故でほぼ目が見えなくなったミルコ少年。目が非自由な子供は一定の職種に就くことを前提とした厳格主義の盲学校。しかし音の面白さに気がつきその才能があったミルコは音を探し工夫して音をメインにした作劇へと周囲を取り込んでいく。 湿っぽさがあまりなく、ハンディがあっても自由への道という面が絡んで内容も確かですが、それもさることながら、子供たちが実にいいです。 欠点としては、イタリア語の映画なので、日本語字幕だけでは目の不自由な方が楽しめない事かなあ。 解説ナレーション付き日本語吹き替え版はDVD待ちです...... more
Commented by シャーロット at 2007-09-20 20:43 x
こんばんはー。
映画祭で感動して、一般公開されてからまたそそくさと見に行きました;
そうね、ミエナイコだけどまるで見えてるように自転車に乗ったり木に登ったり。。。とっても躍動感いっぱいなところがストレートに心つかまれました。寮を抜け出して映画をみんなで見に行ったりとか、冒険心いっぱいなところもとっても好きです。ルカ君はミエル子ですが本当に盲目の少年達の姿にはなんか元気をもらった気分です。
ワタクシごとですが・・・仕事で、確かに音を合わせるときは目を瞑ってます。視覚的なものが時に邪魔になったりして集中力を欠きますんで;
・・・子供に寝ながら仕事してると間違われました。笑
たくさんの映画が文中にでてくるかえるさんのレビューもワクワク。
早速ちぇっくいたしました。
Commented by マダムS at 2007-09-23 08:40 x
お返事遅れてごめんなさーい!旅から戻りました♪
昔、似たような事して音作りした思い出が蘇って懐かしかったですが、そんなこと思うのも一瞬あまりにも明るく生き生きとした子供たちの様子に、盲学校での出来事だと忘れてたのかもしれません。 あえて子供時代だけを切り取った監督の思惑はちょっぴり不満も残ったけど(大人になった姿も観たかったかもと思ったの)、それだと障害者として困難を乗り越えたサクセスストーリーになっちゃってつまらなかったかな?と思ったり。。。難しいですね。。
そうそう!「太陽の瞳」 以前に観ましたー。 なんだかすごくやりきれなかったような?すでに記憶が。。。(^^;)
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-24 00:18
シャーロット さん♪
そうそう、シャーロットさんの大絶讃作品だったんですよね。
思った以上にさわやかでまっすぐな映画でしたー。子どもたちの健やかな腕白さって、ホントに素晴らしいですよねー。私は、子どもものも、障害を描いたものも、結構いろいろ観てきた免疫があるので、シャーロットさんほどに大感動はしなかったかもしれないのですが、それでもストレートに心打たれました。視覚や聴覚というテーマもまたいいですよねー。イラン映画の子どもものは定評があるんですが、詩的な『サイレンス』が私はとても気に入っていたのですー。これは是非観てほしいなぁ。
やはり音に集中する時は眼を瞑りますよね。素人でもそうですな。耳の場合は。で、聴く時ではなく、もっとよく見たいという時に目を閉じるというのが文学的でまたステキ。
Commented by CaeRu_noix at 2007-09-24 15:12
マダムS さん♪
お帰りなさーい。
こちらこそ、TBだけ送ったままでスミマセンー。
おお、同じような音づくりをされたのですねー。私も小中学生の頃にカセットレコーダーの録音活動に夢中だった時期がありました。そういう創作って楽しいですよね。子どもの方がよほどアイディアにあふれている感じ。彼らのほとんどは光や色を感じることのない真っ暗闇で過ごしているなんておよそ信じられないほどに明るくて元気なカワイイ子どもたちでしたよねー。
私は映画としては、子ども時代だけで終わってくれてよかったと思いました。でも、やはり今のサウンドデザイナーとしての活動の様子にも興味がわきますよね。
『太陽の瞳』はお父さんが結構酷い人でつらいお話なんですよね。でもそれを超越するような味わいもありです。
Commented by となひょう at 2007-09-30 13:15 x
かえるさん、私も観て来ましたー。
全体的に重すぎないのがいいですね。前向きさも押し付けがましくなくて、そこがまた感動的でありました。

>彼は心の眼で見る子なのだ。

まさしくー。
みんなで音を作って物語を紡ぐ展開は、本当に楽しそうでしたよね。寮を抜け出して、前の子の肩につかまりながら列を作って映画館へ行く場面も楽しそうでした。いじらしさ・しおらしさなどではなく、普通に子供の愛らしさに溢れている空気感が素敵だなぁと思ったり。
音作りの展開から離れますけど、ミルコがフェリーチェくんに色の説明をしている場面が大好きでしたー。
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-03 00:45
となひょうさん♪
とても好感のもてるさわやかなつくりでしたよねー。
こういう題材ってへたをするとお涙頂戴ものになってあざとさが際だってしまったりするんですが、明るくていい映画でした。そう、そして、希望の持たせ方も説教くさかったりしないところがグッドでした。
目が見えないなんてことを意識させない腕白で元気な少年たちの姿はホントにほほえましかったです。子どもの生命力っていいなーって素直に感じられましたよねー。きらきら。
ミルコとフェリーチェくんの会話も印象的でしたね。色の素敵さを改めて教えてもらった私たち。
Commented by カオリ at 2007-10-15 01:58 x
こんばんはー。ホントに、障害と言うところをさらりと書いているところがいいですね。ごく普通の少年少女たちだと。かわいそうとか、そういう言葉は出てこないです。
大事なものは目に見えないという、星の王子様の言葉を思い出しました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-16 00:06
カオリさん♪
さらりとさわやかだったのが好感触でしたよねー。
本人にとってはもちろん大変な苦難であったのだろうけれど、そこに同情させようとしないところがとてもいいです。
そうですね、星の王子様の言葉が当てはまるステキな物語でした。
Commented by latifa at 2008-07-16 17:15 x
かえるさん、こんにちは!
随分前、こちらで、この映画のレビューが上がってる~羨ましい~~!って思ったのを思い出してやってきました☆
いや~なかなか良い映画でした。 私的には、4つ★半~5つ★の間という高得点をあげちゃいました。

>太陽は、ぼくの瞳と、サイレンス、なつかしいです!私も以前見たことがあります。私は、太陽は~よりも、サイレンスの方が、好きでした。

かえるさん~、今年の10月頃、ウズベキスタンに行きたいな~なんて考えていたのですが、行くとしたら私は3人と奇数なんです。奇数だと一人部屋追加料とか取られるらしく・・・。そして燃料サーチャージ代もウズベキスタンは安い方だとはいえ、取られるし・・・。悩んでます・・・。
かえるさん、海外旅行お好きですよね? このユーロ高、べらぼうなサーチャージ代の中、次行かれるならば、どこを狙っていらっしゃいますか?^^
Commented by CaeRu_noix at 2008-07-17 00:50
latifa さん♪
ようやく本作をご覧になれて何よりですー。
よい映画でしたよねー。高得点も納得です。
ヨーロッパ映画の子どもの素朴さって、本当にステキなんですよねー。同じ子役でも、イギリス映画の時はかわいらしかったのに、ハリウッドものに出るとかわいげが半減するのはなぜなんででしょうー。

おお、「サイレンス」をご覧になっているというのは嬉しいです。
これは舞台がタジキスタンでしたっけ?
そして、ウズベキスタンですねー。
旅行は偶数じゃないと不経済ですよねー。それは行き先に限らずどこも一緒でしょうが。でもって、サーチャージの高騰ぶりにはギョッとしますよねー。今のサーチャージ分で、かつては近場に行けたでしょうっていうくらいの・・・。
ウズベクはたぶん安い方なんじゃないかと思います。ヨーロッパ方面はすごいっすよね。旅行は行こうと思った時に行くべし、と私は思っているのですが、懸念材料が多い場合は後悔しないように再検討した方がよいでしょうね。
ホント、ユーロの割高さにも眩暈が・・。
妄想レベルで行きたい国はたくさんありますが、日程や予算のかね合いで現実的に行ける国はなかなか見極められず、狙いは全然定まってないですよー。
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