かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『さらば、ベルリン』 The Good German
2007年 10月 05日 |
オトナな雰囲気に酔いしれる。

第2次大戦末期の1945年、アメリカ軍の従軍記者であるジェイク・ガイズマーは、ヨーロッパの戦後処理を話し合うポツダム会談の取材のためベルリンにやってきた。
★★★★



ソダーバーグ&クルーニーのコンビが40年代のフィルムノワールを蘇らせたんだって。なんて魅力的なんでしょう。サスペンスな物語がわかりにくいだとか評判はあまり芳しくない感じだったのだけど、雰囲気重視の私はそんなことで敬遠なんていたしません。オーシャンズ13は観なくとも、映像に凝ったらしいこちらこそはスクリーンで観なくちゃなのだ。と、そんな風に期待値を下げたこともあって、予想以上に気に入ってグッときてしまった。大人なシブさにクラリ。

40年代の映画に特別な思い入れなんてないけれど、考えてみたら、40年代の映画を劇場鑑賞したことって、限りなくゼロに近いと思う。3本あるかないか・・。『第三の男』や『カサブランカ』だってずっと前に一度VIDEOで鑑賞したきりだもの。だから逆に、今あえて、古き名作映画の独特の雰囲気を映画館で体験することに新鮮な歓びがあったのだ。これぞ、ノワールというカンジの光と闇のコントラストにうっとり。謎も混沌も美しく浮かび上がる。危うくて頽廃的なその空気に釘付けになるのだった。撮影もソダーバーグ自身が兼任しているんだってね。クール。

フィルム・ノワールの香りを高めてくれるのはファム・ファタールの存在でしょう。ケイト・ブランシェットがとても素晴らしい。何をやってもウマいケイトだけど、こういう役柄は最高にハマるね。ワケあり女の煙草を燻らすけだるい姿がきまりすぎ。少し掠れた低い声がめちゃめちゃカッコイイ。そして、いつもは好青年役が板につくトビーの軽薄男ぶりもよかったなぁ。ジョージ・クルーニーの風貌は、こういう時代にマッチしているし。謎めいた緊張感あふれる人間ドラマに魅せられた。

確かにね、サスペンスとしては細部がわかりづらいストーリー展開だった。結局、何が一体どういうことだったのかを場面毎に具体的に把握できたかといったら、否。一つ一つの謎が謎として明示されないままで進んでいる気がした。なので真相が究明されても即座に爽快感がないというか。少し場面を遡って考えて、そういうことだったのかな?と思う箇所はあった。男女の物語に国家の利害・思惑が絡み合うようなスケールの大きい複雑なサスペンスであるらしいのだけど、そのへんが的確なインパクトをもってせまってこない感じだったのは残念。でも、謎解きを重要視しない私は、把握してなくても充分にスリルとサスペンスを堪能。ポイントポイントのドンデン返しを楽しめた。『シリアナ』も私は面白かったもの。

ナチスの時代を描いたヨーロッパ映画では、横暴なナチスに迫害される不憫な犠牲者のユダヤ人の姿が定番だった。それが、レジスタンスは必ずしも正義ではなかったことを描いた『ブラックブック』と同じような切り口で、生き延びるためになら何だってしたという被害者としての顔を持つばかりではないユダヤ人の姿が見えてくる。そんな風に狂っていた時代がただ怖ろしくてため息。そして、世の状勢によって善悪というものはクルッとひっくり返るのだよね。昨日の善きドイツ人は明日の悪人だったりもするんだよね。そんな側面を描いていることにも味わいがあって、ソダーバーグのクールさに嬉しくなる。
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by CaeRu_noix | 2007-10-05 01:49 | CINEMAレヴュー | Trackback(8) | Comments(6)
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Commented by 真紅 at 2007-10-05 09:45 x
かえるさま、こんにちは。コメ&TBありがとうございました。
私は『オーシャンズ』シリーズも好きですが、この映画も楽しめました。
ソダーバーグの実験精神は貴重ですね。観客にもスタジオにも迎合してない。
ストーリー的にはレーナの役どころが複雑なキャラで、彼女の心情が掴み切れなかったからわかりにくかったです。
でも、彼女以上にあの役にハマル女優は考えつかないですね。すんばらしかった。
たまにはこういう映画もいいな~と思いました!
ではではでは~。
Commented by kazupon at 2007-10-05 18:56 x
かえるさん

まさに「サスペンスな物語がわかりにくいだとか」感想&やや
オチャラケなレビューを書いてしまったのに
コメントありがとうございました;;あまりにも過去トリビュート系映画
ばかり立て続けに見てたから、ちょっと頭もひねくれてしまって
たんだと思います。
クルーニーはまぁまぁだったけど、ほんとケイトは40年代の女
物凄くはまりますよね。この映画ケイト主演じゃなかったら
どうなってたんだろうとさえ思えるくらいです。
物語はあまり「さらば」な話じゃなかったですよね。^^
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-05 22:46
真紅 さん♪
オーシャンズは楽しい映画なんですが、12に比べて13はおもしろかったらしいですが、でも私は観なくてもいいや系なんですよ。それよりか断然、こちらのテイストが気に入りましたー。エンタメ作品もこなすソダーバーグですが、私はそっちよりじゃない作品の方が好みです。『フル・フロンタル』も『ソラリス』も好きでした。
観客に媚びないってカッコいいですよね。だからって、やりたい放題の自己満足というんでもなく、特定の方向においては上質なものを追求していると思うんですー。型にはまらずに多角的にチャレンジしてほしいですー。
これは、主にジェイクの視点で見る物語なので、レーナの気持ちが掴みきれないのが必然だと思えました。にしても、そこにある謎がわかりづらかったですよねー。
謎めいた女レーナはホントに魅惑的でした。ケイト・ブランシェットという女優はやっぱり極上ですー。
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-05 22:59
kazupon さん♪
"さらば"の語源、勉強になりましたよー。(笑)
おちゃらけるのは全然よいと思います。
主観でボロクソにけなす人よりか良心的じゃないですか。
私は逆にスキヤキ・ウエスタンジャンゴの次に観たのがコレだったので、対照的な落ち着いたシブさにグッときてしまったのでした。同じようなトーンのものが続いていたらそんなに魅力を感じなかったかもしれないけど。
他の映画のヒロインは、ウィンスレットでもベッキンセイルでもハドソンでもボスワースでもやれるでしょうけど、このレーナだけはブランシェットに限るって感じです。お見事。
ジェイクが過去の思い出、ベルリンの女に決別する気持ちが、さらばな感じだったのかな。
Commented by acine at 2007-10-05 23:38
かえるさん、こんばんは!
うーん、ホントにケイトは素敵でした。元々ケイトには無条件降伏の私ですが、ストーリーに難あっても、終始・・・ウットリでした(笑)。
あのエッセンス・・・何十分の一かでもいいから、頂きたいもんです。
そうそう!40年代なんて、知らない世代には、あの雰囲気に酔えますね。心地よすぎて、居眠りちょっとしたくらいです(笑)。
気になるのは、ケイトの衣装代ってどこから出てたんだろう?
自分の稼ぎ?それとも小生意気なトビーから・・・?!トビーが○んだあとは?!
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-06 02:11
acine さん♪
ケイトったら、めちゃめちゃキマっていましたよねー。
脚本なんて二の次です。映画は映像・演出です。そして魅せてくれる俳優の存在感ー。
本来、個人的には、ケイトは好みのタイプじゃないんですよ。好みでいうなら、ブランシェットよりウィンスレットの方が好きなんです。知的でクールなオトナっぽい女性よりはカワイイ系が好みの私・・・。それなのに、たびたび、ブランシェットの魅力にはクラッとしてしまうんですよね。『アビエーター』とか『コーヒー&シガレッツ』とか。
衣装は昔からの蓄えがかなりあったのでしょうし、お仕事をしながら、うまく手に入れていたのでしょうー。生き延びるためなら何でもした女は服を手に入れることなど容易いはずですー。?
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