かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『めがね』
2007年 10月 12日 |
おいしい時間。



国内の1人旅ってしたことないんだけど、こんな場所でこんなお宿に泊まれるんならいいかもしれないなぁ。与論かー。南の島の澄んだ海に出逢える機会には、やっぱりダイビングをしたいよなーなんて思っちゃうんだけど、そんなヨクバリヤンな日本人だからイカンのです。まったりっち。

『かもめ食堂』もそうだったけど、押しつけがましくなくて他者に寛容なつかず離れずの関係性がとってもステキなのだ。

「一緒にご飯食べませんか」って当然のこととして声をかけてくれるんだけど、「いえ、結構です」と断れば、それ以上しつこく誘ってはこない。だからといって、そういう素っ気ない対応をしたから、次はもう誘わないというのではなく、常に「一緒にやりませんか」とごく自然にまた声をかけてくれる。だから、本当は気が進まないけど断りにくいから、無理してつき合ってみるということもしなくていいし。しつこさにうんざりすることもない。ごくごく自然発生的に、ああ、私も一緒にメルシー体操やりたいなーって思う時がきたら、参加すればいいのだ。そういうのがすごくいいんだよなぁ。自由で大人な心地よいおつき合い。

まわりの価値観にとらわれない飾らない素朴さというのもやっぱりいい。イマドキの世の中では、たかが旅にしたって、それはギラギラとした欲望の消費の対象なんだもの。話題のスポットに出かけること、なかなか予約のとれないおしゃれなホテルや高級旅館に泊まって、セレブな休日を過ごすことに価値があるってな。安らぎなんてものとは無縁のものになってしまっているんだもん。だから、なんだかもうとにかく、このゆーったりとした時間にたまらなく恋い焦がれてしまうの。

映画としては、ここまでまったりしちゃっていいのかと思ったりもした。状況説明が少なく、多くを観客に想像させるというのは好きなんだけど、謎めいているのをいいことに、あまりにも現実離れし過ぎていて。せっかく現実の世の、あくせくキリキリした時間と対比しての心地よさを感じる映画なのだから、ある種のリアリティがないと、その感銘も確かなものにならなかったりするんじゃないかなぁ。なんか、ステキ!でも、あり得ない!とは思いたくないから。

と、ここまでストーリーなしなのはどうなのよ、コレと理性的には思ってしまった瞬間もあったんだけど・・・。それでも私は結局、あーもう、どうでもいいから、砂浜でビールが飲みたいよー、かき氷もいいなー、オセロもしたいなー、マンドリン弾けるようになりたいなー、ドイツ語で詩を詠みたいぞよ、かぎ針編みだっていいかも。もうとにかく幸せだなぁーっていう気分になってしまうのである。命の洗濯、手洗い、合成洗剤不使用。

かき氷のお代はお金じゃなくて、それぞれのやり方で、っていうのにもグッときたなー。現代社会はむしろ逆で、気持ちを表すためにお金を使うっていうのが常になっちゃっているからね。自分がもっているものや、特技で返すって、ホントにステキじゃないですか。私も芸を身につけねばー。

風景の美しさもさることながら、音が素晴らしくよかったね。バーベキューのお肉がジュージュー焼ける音。ビールを注ぐ音。エビのカラをバリバリと割る音。かき氷をシャリシャリシャリと削る音。耳にも美味しさが伝わってくる。そして、マンドリンの音色の美しいこと。メルシー体操ミュージックのピアノの旋律の心地よいこと。

あれを毎朝聴いちゃったら、自然に参加したくなっちゃうって。大体、観光もスポーツもしないで、まったりしながら、美味しいものばっかり食べていたら、カロリー消費の機会がありませぬ。せめて、メルシー体操くらい一生懸命やりますぞ。めがねをかけたままでもOKな体操なのです。美しい風景、美味しいもの、出逢った温かな人々に感謝をこめて体操するのであります。
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by CaeRu_noix | 2007-10-12 17:51 | CINEMAレヴュー | Trackback(8) | Comments(4)
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こんばんはっ。
ほんとに、この映画は音の使い方がうまいなって。
そんなにかき氷が好物な訳でもないのに、あの“シャリシャリ”の
心地よさってなんなんですかね。
メルシー体操のメロディも耳に残っちゃって。メルシー体操って言えば
教えてるはずのもたいさんの動きが一番ぎこちなく感じたのが面白かった(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-13 00:31
ゆるりさん♪
音がすんばらしかったですよねー。
これの前に『幸せのレシピ』を見たのですが、料理ものなのにあんまり食べ物の魅力が映し出されていなくて、それをこちらで堪能。
シャリシャリシャリはたまんないですよね。かき氷屋さんになりたくなります。私が子どもの頃に好んで食べていたかき氷って、合成着色料の毒々しい色の赤や緑のシロップが定番でしたが、サクラさんのはヘルシーなところもグーでした。小豆は健康にいいんですよね。
さすがにもたいさんはそんなにしゃきしゃきとは体操できていませんでしたね。子ども達はのびのびしてましたー。私も負けない!
Commented by minori at 2007-10-14 13:35 x
かえるさん♪
あまりカキ氷がすきではない私でもなんとなく食べたくなるあのかき氷!押し付けがましくないけど、そばにどさっと座ってくれるコージが魅力的でした。ぼーっとしているときに犬が隣にきてくれるっていうのは本当にシアワセなんだよなーと思ってしまいます。もたいさん、以前舞台挨拶のさいに近くに座ることができたのですが、意外に小さくて優しい笑みを浮かべてて素敵な人だなーと思ってました。怖い人だと思ってたのは「バーバー吉野」のイメージが強すぎたのでしょうかね。彼女のカキ氷、ホント食べてみたいものです。
Commented by CaeRu_noix at 2007-10-14 16:12
minoriさん♪
かき氷、好きじゃないですか。ま、私もアイスクリームの方がいいな。
かれこれ食べていないし。でも、ホント、サクラさんのはおいしそうだったよねー。そうそう、イヌのコージもすばらしく可愛かったです。砂浜にイヌってすごくいいなー。違う種類の子犬とのカラミがまた感動的でした。
おお、舞台挨拶をご覧になったのね。確かに、バーバーのもたいさんは強烈でしたが、ホントは穏やかな方なのでしょうか。もたいさんの存在が欠かせない癒し映画でしたー
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