かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ナルコ』 
2007年 11月 07日 |
寝る子は育つ。ポップに愉快で好感触。

どこにいても発作的に眠ってしまう病気“ナルコレプシー”に悩まされているギュスの物語。



日本では居眠り病と呼ばれているナルコレプシー。眠ることってとっても幸せなものなのに、それに罪悪感が伴ってしまうなんてつらいことだよね。いつでもどこでも眠くなっちゃったらそりゃあ大変。勤務中の忙しい最中に寝入っちゃう人なんて誰も雇いたくはないものね。定職に就くこともままならない可哀想なギュス。肝心な時に眠るから、恋もうまくいかないし。

現実的には、苦悩せずにはいられない状況なんだけど、これはあくまでもコメディな映画。シュールでブラックなエピソードも織り交ぜつつ、軽快で楽しいドラマに仕上っていた。情けなくてやるせないんだけど、あくまでも大袈裟にコミカルに語られるから、笑わずにはいられない。ドラマの中では、"アメリカ"がポイントになっていて、そのノリにもアメリカンなテイストを感じさせるのだけど、それでもやっぱりフランス映画特有の味わいが濃厚。アメリカンというより"アメリ"的に、小粋な演出とデフォルメされたキャラの個性が楽しめちゃう。そう、『アメリ』とか、同じギョーム・カネ主演の『世界でいちばん不運で幸せな私』のことなんかを思い出してしまうおもちゃ箱チックな好みの演出。音楽もよかった。

と思ったら、監督のトリスタン&ジルのコンビはPV界で活躍中なのだそう。そういう遊びの効いた語り口なんだよね。小ネタも楽しくて、ここぞという時に寝入っちゃいますーっていう繰り返される同じギャグですら、映像で見せるテンポと間が絶妙なので、ついつい笑ってしまった。最近はシリアスな役どころばかりを目にしていたギョームのトホホな奮闘劇も微笑ましいし、ブノワ・ポールヴールドのジャン=クロード・ヴァン・ダムを敬愛するカラテ家レニーのキャラも楽しくて仕方ない。監督脚本のジル・ルルーシュ自身が扮した双子のフィギュア・スケーターも好きだなー。みんなそれぞれに腹黒くてサイコー。キャラは愉快にヘンテコなんだけど、それぞれの負の感情はリアルなんだよね。

イラストの才能も活かして、見た夢をバンド・デシネ=コミックに描くという一石二鳥な思いつきで、トホホな主人公はようやくサクセスすると思いきや、欺かれ裏切られてふんだりけったり・・・。そんな展開がまた可笑しいやら痛々しいやら。親友と妻が、っていうのはちょっと笑えないしね。でも、こんな風にとことん非情で妙な展開を見せられると、すっかりそのペースにハマちゃって、その後のレニーがツイン・スターを改心させるシーンなんかにやけにホロリとしてしまったり、着地点にホッとさせられてしまうのだった。楽しかったー。
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by CaeRu_noix | 2007-11-07 00:06 | CINEMAレヴュー | Trackback(5) | Comments(8)
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Commented by シャーロット at 2007-11-08 17:47 x
こにちは。
私まだ記事に出来てないのですが;この作品はとても気に入りましたですよ。そうそうギヨーム・カネはシリアスな姿しか知らなかったんでとても微笑ましく。「世界でいちばん・・・」は見てないのですが、これも見たような感じで楽しいのですか?ふむふむ。
それと、あのスケーターが監督でしたか!ますます面白く思えますねー。あのラストはかなりツボでしたよ、好きです。
うーん、記事にしたいけど結構細かいところを忘れてしまっていて;かえるさんの記事を読んで思い出した感じです;
映画祭途中に見てました。もう上映回数は減っちゃったんですね。

旅行後、鑑賞は確実に重ねていらっしゃるとは思いますが、かえるさん節を楽しみにしてる一人としてはどんどん書いて欲しかったりする;けど・・・お疲れですよね。私もあっちもこっちも手を出してる為にいっぺんに出来なかったりしてて。あっち(わかります?)も広げたいとは思っているので、そのうちレビューコピペしたりしようかなあ。笑
フィルメックスではよろしくです♪
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-08 21:43
シャーロット さん♪
上映回数が1度になるほど人気ないか面白くないのかと思いきや、楽しい作品でしたよねー。ギョームというと、戦場アリア、美運命傷痕のシリアスな役柄が印象にあるから、私もこんなふうにコミカルな彼の姿は新鮮でした。前よりも好きになったな。世界でいちばん~は演出の遊び部分で想起したんですけど、あちらは陽気にコミカルでもなく、もっと痛々しくブラックでした。主人公に共感できんという声も聞かれた作品ですが、私は好き。ギョームとマリオン・コティヤールが主役というのも魅力。
共同監督のジル・ルルーシュって、輝ける女たちにも出てたんですね。作り手でありながら、見事にコメディアーン

旅行記を短気集中で仕上げたので、レヴュー書き態勢に入りましたですよ。
10月のいくつかは省略。
でもまた映画祭尽くしになっちゃうとでかけるのに忙しくて書けなくなっちゃうかも。で、私は得意のまとめ記事にするのですが、シャーロットさんはTIFF鑑賞作の記事を一つ一つ書いていて素晴らしい。
あちらも私は基本項目は映画。レヴューはついでな感じだけど、活気のあるコミュニティなどは興味深く、情報収集もできます。
フィルメの件はメルしましたー。よろしゅう
Commented by 江戸うっどスキー at 2007-11-08 23:52 x
物凄いですね。観た映画の数^^;
時間に余裕がある時に、再度、お邪魔させてください。

アメリカのB級映画っぽく仕上げてましたけど、深くて面白い捻り方だと思いました。私もナルコ気味で直ぐには気づきませんでした。スケーターを観て哀れだな~と思って「ハッ」とした次第でした。やっぱり、面白い映画でしたね。『世界でいちばん不運で幸せな私』も観てみよう!
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-09 00:22
江戸うっどスキー さん♪
見過ぎですみません。ミニシアター系じゃんじゃん観てますよー。
江戸うっどスキー さんとかぶる鑑賞作品はたくさんありますよね。
ぜひぜひまたいらしてくださいー。

そのノリはアメリカンテイストでもありましたけど、やっぱりここはフランス映画、ただのオバカ映画でもないし、そこにあるドラマにも大人向けの深いテーマが盛り込まれていましたよね。非現実的に奇想天外なのに、そこにあったのは意外とリアルなものでした。満足でしたー。
賛否両論な『世界でいちばん~』もぜひぜひ試してみてくださいー。
Commented by mchouette at 2007-12-02 18:31
かえるさんTBとメッセージありがとう。よこのレビューみていると大阪ではこれから上映するものが続いている。「レディ・チャタレー」「待つ女」「ダブリンの街角」あたりは「!」と思っている。ここ数週間ほど劇場映画に全く食指が動かず「4分間~」「僕のピアノ~」は観にいってません。あえて観にいくほどの~なんて気持に陥ってね。「ナルコ」はギョームの脱力系キャラに惹かれて観にいきました。彼って本来こんなキャラが似合う人だと思う。正統的イケメンとは違ってね。ユニークなキャラ。最後はとっても現実的だったけど、途中は笑わせてもらいました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-12-03 01:45
シュエットさん♪
この脱力コミカル、ギョームはめちゃめちゃよかったですよねー。ホント、こういう役が一番似合うのかもしれないなーって思いました。シリアスな役よりもいいかもしれないです。これはさすがにブノワにはできないだろうし。ギョームはキモチたれ目っぽいので、愛嬌があるからいいんですよね。こういうのをまたやってほしいなぁと思いつつ、評判のよかった監督作もぜひぜひ日本公開してほしいですー。
シュエットさんの『レディ・チャタレー』のレヴューなども楽しみにしていますー。これって、セザール賞受賞作だというのに、レヴューをあんまり見かけないんですよね。フランス映画って、一般的には人気ないんだなーっていうのをつくづく感じるのでありました。セザール賞なのにー。
Commented by ぺろんぱ at 2007-12-16 17:41 x
TBとコメントをありがとうございました。

『世界でいちばん不運で幸せな私』は観ていないので<今後のお題>に加えます。♪
其々のキャラが立ってて、ホントそれがこの映画の魅力ですね。
アメリ的テイストっていうのも凄く頷けます。♪♪

スケーターや悪徳プロデューサーが再生の道を見つけたラストに比して、精神科医の自滅やギュス(ギョーム)の諦念すら感じるラストにはほろ苦さを感じた私ですが、そこにもアメリカ映画的でない“さりげなく”哀感を込めた作り方を感じました。
いい映画でしたねぇ。
Commented by CaeRu_noix at 2007-12-17 00:33
ぺろんぱ さん♪
ぜひぜひ、『世界でいちばん不運で幸せな私』もご覧になってくださいー。
フランス映画らしい毒に満ちた個性的な作品です。不快感をおぼえる人も少なくないみたいですが、私は好きでっす。
この映画のキャラクターはすごくよかったですよね。過剰にキャラ立ちしていて、ユーモラスなんだけど、ダメダメ要素はリアルで、なんだか憎めない。
そんな風にアメリ風味のものは、何でもやっぱり大好きだったりします。
そうなんですよね。脇の人々には再生のエンディングがあったりもしたのに、主人公のギュスには、躍進があったわけじゃないんですよね。途中までのテンションからみると、思いもよらない着地だったかも。もちろん、まるで、アメリカ的じゃなかったですね。でも、ホント、その哀切がまたよかったですよね。予定調和的じゃない型にはまらない作りなのがすごくよかったです。だから、フランス映画が好きなんですー。
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