かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『この道は母へとつづく』 ITALIANETZ
2007年 11月 13日 |
子どもは健気でたくましい。

ロシアの片田舎にある孤児院で暮らす6歳のワーニャに、裕福なイタリア人夫婦に引き取られる話が持ち込まれる。



先日観たポーランド映画 『僕がいない場所』と同じく、こちらも母を求めて孤児院を抜け出す男の子が主人公の物語。同じ時期に上映される似たような題材のこの2本を比較してしまうかなと思ったけれど、アプローチはまるで異なり、それぞれのよさがあった。映像詩のようだったポーランド作品に対して、こちらは芸術性もありながら、ハラハラドキドキの冒険物語要素もふんだんなドラマだった。

孤児院の子ども、それもたった6歳の小さなワーニャが主人公だなんて、日本のドラマツルギーなら、この上なく可哀想なお涙頂戴ものになりそうなものだけど、登場する子ども達は皆たくましくて、骨太なものになっていた。甘える親もいない子どもたちは小さいうちからずいぶんとしっかりしていて、子ども達だけの小さな社会が成り立っている。日本人の大人目線では、不憫な境遇の子ども達に違いないのだけど、彼らにとってはその日常が当然のものなのであり、同情なんて寄せ付けない活力を見せてくれる。

だけど、お金持ちの外国人に引き取られることだけが唯一の幸福への道だとみんな思っているのは何だかとても寂しいね。それさえも、運が悪かったら臓器だけが必要とされるだなんて、噂が流布するのも笑い飛ばせなかったり。健気に生きる子どもたちを金儲けの商品にしてしまう大人とその社会が腹立たしくもある。でも、そんなふうにこの世の理不尽を憂うよりも何よりも、可愛いワーニャのひたむきな強さに心うたれるのだ。

養子になるのが一番の幸せだという話が蔓延る場所で、でも自分は本当のママに会いたいと6歳のワーニャが思うなんてそれだけでグッときてしまう。もっと大きくなった子なら、そんな風には考えなかったかもしれない。ママに確実に会える保証もないし、どんなママなのかもわからないというのに、思い立って行動するその姿にうたれるばかり。小さいけれど勇敢で賢いワーニャ。実話に基づいているというから驚く。

前半の孤児院の実態もリアリティにあふれ、興味深いものだったけど、後半のロードムービー仕立てな冒険は、手に汗にぎるおもしろさがあった。主人公が小さな子どもだと、大人に追跡されるというだけで、猟奇殺人鬼や怪獣にでも追われるようなドキドキ感がある。人々の暮らしは荒んでいても、小さい子がたった1人で知らない町にいれば、心配し手を差し伸べてくれる大人もいるものだよね。ささやかな親切に心温まる。

そして、ハラハラの末にもっとも感動したのは、執拗に追跡してきたマダムの相棒と分かり合えた場面。そこに至るまでのガラス瓶のシーンは心臓に悪かったけれど、そこまで本気の姿勢を見せたワーニャには、彼だって心動かされるはずだよね。ママの姿の観客への見せ方もよかったな。感動の再会の抱擁シーンなんかを映し出さないところが心憎い。手紙で締めるところもオツ。安堵感に包まれるエンディング。
[PR]
by CaeRu_noix | 2007-11-13 01:27 | CINEMAレヴュー | Trackback(17) | Comments(6)
トラックバックURL : http://latchodrom.exblog.jp/tb/6556625
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from happy♪ happy♪♪ at 2007-11-16 20:38
タイトル : 映画「この道は母へとつづく」
実話から生まれた愛と感動の物語{/cat_3/} この作品は、フィーンランドの国境近くにある実在する孤児院で撮影し、 主人公のワーニャ以外の子役は孤児たちを起用したという 監督のたくさんのメッセージが込められている映画だと思います。 ストーリーは孤児院で育てられたワーニャがイタリア夫婦の養子として選ばれたと同時に、 かつて養子に行った仲良しのムーヒンの母親が孤児院を訪ねてきたことから 実の母親への思いが深まります{/hiyo_uru/} 一途に母に会いたいという6歳の少年の思いが せつない旅...... more
Tracked from 日っ歩~美味しいもの、映.. at 2007-11-20 07:05
タイトル : この道は母へとつづく
実話を元にした物語だそうです。 ロシアの片田舎にある孤児院の子どもたちは、裕福な家庭に引き取られることが最上の幸せと信じており、誰もが、選ばれる日を待ち望んでいました。ある日、6歳になるワーニャが、イタリア人夫婦に引き取られることになります。けれど、ワーニャ... more
Tracked from no movie no .. at 2007-11-25 17:41
タイトル : この道は母へとつづく(05・ロシア)
涙の感動物語と言うよりは、社会派アニメではないかと思えた。 ロシアのとある孤児院。たくさんの親の居ない子どもが生活する中、ワーニャ(コーリャ・スピニドノフ)は幸運にもイタリア人夫妻にもらわれてゆくことが決まった。しかし、よそにもらわれていった友だち... more
Tracked from 映画趣味 at 2007-11-26 00:15
タイトル : ”この道は母へとつづく”
”この道は母へとつづく”を観た。 よかった。 孤児院で暮らす男の子ワーニャ、裕福なイタリア人夫婦にもらわれることが決まり、周りの子供たちがうらやむ。 でもそんな中、既に養子となってもらわれていった友達のお母さんが孤児院を訪ねてくるも、追い返される。不安に..... more
Tracked from ゆるり鑑賞 Yururi.. at 2007-11-28 21:21
タイトル : この道は母へとつづく
この道は母へとつづく (ランダムハウス講談社 ロ 2-1)(2007/10/02)アンドレイ ロマーノフ商品詳細を見る 監督 アンドレイ・クラフチューク (2005年 ロシア) 原題:ITALIANETZ/THE ITALIAN 【物語のはじまり】 ロシアの田舎のとある孤児院。6歳のワーニャ(コ...... more
Tracked from soramove at 2007-12-01 11:02
タイトル : 「この道は母へとつづく」その向こうに幸せがありますように!
「この道は母へとつづく」★★★☆ コーリャ・スピリドノフ、マリア・クズネツォヴァ、ユーリ・イツコフ出演 アンドレイ・クラフチュク監督、2005年、ロシア ロシアのある地方の孤児院、 ここで育つ子供たちにとって 他の国の裕福な養父母に引き取られるのが ...... more
Tracked from 待て、しかして希望せよ! at 2007-12-02 11:00
タイトル : 『この道は母へとつづく』
邦題が示すように『母を訪ねて三千里』的作品。 甘〜い泣かせ系かなぁと思いきや、そ... more
Tracked from 花ごよみ at 2007-12-02 11:33
タイトル : この道は母へとつづく
タイトルからして涙、涙の映画かと 思いました。 でも用意していたハンカチを 使用することはありませんでした。 孤児院の劣悪な環境。 お金がなにもかも支配する醜い世界。 子供達も知らず知らず周りの、 意向に沿うようにして成長していく。   この主人公ワーニャの、 子供とは思えないほどの演技。 この子供の演技は自然で素晴らしいと思います。 マダムもこれでもかっていうくらいの、 憎々しさ。 孤児院の様子。 養子縁組で儲けようとたくらむ大人達、 ワーニャの意思の是非。 淡々と描かれています。 ...... more
Tracked from パピ子と一緒にケ・セ・ラ.. at 2008-01-05 22:29
タイトル : この道は母へとつづく
ある少年の実話から、奇跡の作品が生まれた。世界各国の映画祭で絶賛され数々の賞に輝いた、ロシアの新悦監督による珠玉の作品。 ロシアの貧しい孤児院からイタリアへ養子に行くことが決まったワーニャ。しかし、本当のママに会いたいと思い、捜す決心をする。 ロシアの....... more
Tracked from シネマでキッチュ at 2008-01-22 19:52
タイトル : この道は母へと続く~親たちへのメッセージ
題名を見て、たまにはうんと泣くのもいいかと出かけたら、 意外なほどあっさりとしたラストシーンに良い意味で裏切られたわ。 ロシアのそれはそれは寒そうな凍てついて荒涼とした土地に立つ孤児院・・・・ 親に捨てられた子供たちが、アル中の院長のいい加減な管理のもとで暮らしている。 そこにイタリア人夫婦が養子縁組コーディネーターみたいなマダムに連れられてやってくるんだけど、その養子縁組コーディネーターのマダ... more
Tracked from 映画館で観ましょ♪ at 2008-01-22 21:58
タイトル : 『この道は母へとつづく』
無理やり泣かせないトコロが良いです! テーマは目新しいモノではないけれど、 泣き顔を見せない少年ワーニャが まっすぐに“母”へ進んで行く強さが良かった。 寒く暗いロシアの孤児窺..... more
Tracked from 銅版画制作の日々 at 2008-02-04 21:40
タイトル : この道は母へとつづく 原題:ITALIANETZ
 マーマに会いたい!ワーニャ少年のひとり旅は、この強い思いで、始まった。   観るまでは、辛くて、哀しいお話かと思っていた。ところが観てびっくりいたいけな6歳の少年は強くてたくましいのだ彼の母への思いは、私たちが考えている以上に大きくて深いものだった。その思いはやがて想像できないような思い切った行動へとつながる。それはまだ見ぬ母を探すひとり旅・・・・・。   ワーニャ少年はロシアの貧しい孤児院からイタリアへ養子に行くことが決まっていた。   極寒のロシア。田舎...... more
Tracked from 心の栄養♪映画と英語のジ.. at 2008-08-19 01:24
タイトル : 「この道は母へとつづく」
ロシア。孤児院にイタリア人夫婦が養子を求めてやって来る。裕福な家庭の養子となる ことは、孤児たちにとって唯一の希望の光。孤児院にとっても、斡旋業者から渡される 手数料は大きな魅力。そして6歳の少年ワーニャ(コーリャ・スピリドノフ)が選ばれ、手続きが 済み次第イタリアへ引き取られていくことに。そんなある日、先に養子に出されたワーニャの 親友ムーヒンの母親が、捨てた我が子を取り戻しに来て院長に追い返されるという騒動が。 ワーニャは同じことが自分の母親にも起こるかもと想像した途端、実の母に会いたい気持ちが ...... more
Tracked from ポコアポコヤ 映画倉庫 at 2008-09-03 08:43
タイトル : 「この道は母へとつづく」感想
無条件、ロシア映画ってだけで、ソソられてしまうところがあります・・・。 面白かったけれども、凄く好きな映画って程ではないので、3つ☆半 ... more
Tracked from 茸茶の想い ∞ ~祇園精.. at 2009-03-21 20:06
タイトル : 映画「この道は母へとつづく」
原題:Italianetz 代償は愛かお金、友情または同情・・・母をたずねて三千里とまではいかないまでも、幾多の困難を乗り越え人々に助けられ列車とバスを乗り継ぐ旅に出る~ 孤児院で暮らす6才の少年ワーニャ(Kolya Spiridonov)、ロシア辺境の孤児院なのに幸運にも裕福なイ... more
Tracked from 虎党 団塊ジュニア の .. at 2009-04-21 07:56
タイトル : 『この道は母へとつづく』'06・露
あらすじロシアの孤児院で暮らす6歳の少年ワーニャは、幸運にも養子を探しにきたイタリア人夫婦に気に入られるがある日、すでに養子として引き取られていった友達の母親が孤児院に突然現れたことで、自分を産んでくれた母親の存在を意識し始める・・・。感想実話をヒント...... more
Tracked from to Heart at 2009-10-23 23:58
タイトル : この道は母へとつづく
ほんとうのママに会いたい── 原題 ITALIANETZ/THE ITALIAN 製作年度 2005年 製作国・地域 ロシア 上映時間 99分 監督 アンドレイ・クラフチューク 出演 コーリャ・スピリドノフ マリヤ・クズネツォーワダーリヤ・レスニコーワユーリイ・イツコーフニコライ・レウトフ 顔も知らない母親を探し求めた少年の実話を、ロシアの新鋭アンドレイ・クラフチューク監督が映画化した感動作。 {/book_mov/}ロシアの孤児院で暮らす6歳のワーニャ(コーリャ・スピリドノフ)は、幸運...... more
Commented by Moe at 2007-11-13 22:17 x
私も今日これ観てきました~♪
とってもよかった~。
『アフター・ウェディング』の熊パパに泣かされたばかりなのに
ワーニャのおかげで心がほっこりとあったかくなりました。
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-14 00:04
Moe さん♪
ご覧になりましたかー。
こちらでは、アフターの涙とは違う、温かな涙が流れましたよね。
ワーニャの帽子姿がかわいくて仕方なかったんですが、外見だけじゃなく、たくましくて、賢くて、まっすぐにひたむきなホントに可愛いやつでした。
よい映画でしたねー♪
Commented by カオリ at 2007-11-25 17:40 x
ロシアの現状には驚きました。でも、悲惨さを悲惨なままに撮るのではなく、明るく描かれていた所に未来を感じました♪
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-25 22:58
カオリ さん♪
孤児院生活が思いの外ハードだったり、あんなに小さいワーニャを皆があまりいたわらなかったり、日本人感覚ではドキリとすることも多かったです。
でも、それゆえに興味深かったですね。がんばれ、ロシアー
Commented by latifa at 2008-09-03 08:45 x
かえるさん、こんにちは!
レンタル開始になったので、やっと見ることができました。
私もこの映画で、子供達のたくましさに一番感動しました。
最後の瓶を割っての対決シーンは、心臓に悪かったです。
すごい迫力で圧倒されました。
もっと、まったりした映画なのかな~と思っていたら、予想以外にハラハラドキドキだったんですね。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-04 07:10
latifa さん♪
レンタルで、多くの人に観てほしいですー。
この主人公のコ、まだまだ小さくて、日本でだったら、当然に保護者の目の届くところにいるはずの年齢なのに、ホントにたくましいものだから、とっても感動しちゃいました。
そうそう、冒険劇としてもハラハラ楽しめましたが、瓶を割ったあたりは血の気が引きましたよね。
そんなわけで、ドキドキあり、涙ありの見ごたえのある一作だったかなと。
<< 『タロットカード殺人事件』 S... PageTop 『アフター・ウェディング』  ... >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon