かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『僕のピアノコンチェルト』 VITUS
2007年 11月 26日 |
心地よいFLY&PLAY.
天才は大変、でも、輝ける子ども時代なのだ。

天才的な頭脳をもち、ピアノも弾きこなす神童、ヴィトスの物語。



ハイジの国スイスって、馴染みがあるようで意外と身近じゃない国だよね。だって、純粋なスイス映画はほとんど日本公開されていなくて、スイス映画といえば、1にも2にもダニエル・シュミット。そして、このフレディ・M・ムーラー監督の前作も観たことがあるのだけど、風変わりな肌触りの作品だった。意外にも牧歌的なイメージとはほど遠く、時に怪奇テイストのシュールでブラックなものがスイス映画の印象だったりした。でも、このたび、ようやく従来のハイジの国のイメージのハートウォーミングな物語がやって来た。ドイツ語作品だからそう感じるのか、『点子ちゃんとアントン』みたいな ドイツ映画の児童文学原作もののテイストに近いような、楽しくて可愛くてほのぼのしたドラマ。

主人公ヴィトスのおじいさん役は名優ブルーノ・ガンツ。ドイツ人だと思っていたような気がするけど、スイス出身だったのね。(ロボコン0点のガンツ先生もひょっとしてスイス系?スイス製ロボットかもしれないなぁ。謎。)ガンツといえば何しろ、『ベルリン天使の詩』で天使だったわけだから、潜在的に空への憧憬があるようで、飛行機で空を飛ぶことを夢見るおじいちゃんなのだ。ピアノがメインアイテムだと思っていたので、飛行機にまつわるエピソードも多く登場したのは嬉しかったなぁ。飛んじゃう映画って大好き。そんなおじいちゃんと孫ヴィトスが一緒に過ごすシーンは何よりも心温まるの。親の場合は、息子が天才児なんていうと、異様に期待をかけちゃって、教育ママごん化が常なのだけど、おじいちゃんと孫の関係性にはそういう義務感は一切なくて、のびのびと気ままですごくいいんだよね。

と、おじいちゃんと一緒の時は腕白な子どもになれるヴィトスだったけど、天才児には日頃のプレッシャーも多く、学校では先生にも特別扱いをされて、友だちもできない。親は鼻高々かもしれないけれど、本人は案外と息苦しい毎日を送っていたりするのだ。そんなところから、物語が展開するんだけど、なかなか面白い切り口だったな。天才じゃなくなった我が子を目の当たりにして、失望を隠せない母親というのもなんだか哀しいけれど、そういうものなのかもしれないな。親の子どもへの期待や向き合い方なども興味深くって、思いを巡らす部分もあり。子の才能を伸ばすのも親の役目なのかもしれないけど、そればかりに執心して子どもを抑圧してはいかんよねぇ。

そんなふうにちょっぴり考えさせられることもあったり、ヴィトスのやるせなさや孤独感にせつなくなったりもしたけど、全般的にはわくわく楽しい物語だったな。終盤の株で大もうけ作戦には少し複雑な思いもあったけど、子どもが純粋におじいちゃんのためを思ってやったことだもんね。おじいちゃんの夢を叶えて、パパにも大きなプレゼントをするなんて、爽快なサクセスかもしれない。天才に生まれたことで苦悩はしたけれど、紆余曲折の末吹っ切れて、やがてその才を活かして悠々と家族のためにひと花咲かせるファンタジーテイストの山場であった。

そして、強要されることはイヤだったのだけど、本当はピアノを弾くことが大好きだったヴィトス。ピアノの美しい旋律がこのハートウォーミング・ドラマを輝かせ引き締めていた感じ。本物のピアノの天才少年テオ・ゲオルギューくんがこの12才のヴィトスの役を演じているというのだから素晴らしい。演技も上手だったし、さすがに迫力のある見事な演奏シーン。少年の成長物語であり、家族のドラマであり、多様な見どころのある温かな作品だったな。

「人生はコンチェルト(協奏曲)のようなものだ」と少年が学ぶ物語なんだって。
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ドイツ語とスイス弁/足で歩くスイス
ドイツ語圏でも、メルシーは普通に使われているのかー。
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by CaeRu_noix | 2007-11-26 01:28 | CINEMAレヴュー | Trackback(13) | Comments(10)
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Commented by たかこ at 2007-11-26 21:25 x
おじいちゃん、ヴィトスに「大切なものを知りたければまず捨てることだ」みたいなアドバイスしてましたね。
ピアノを捨ててはみたけれど、なんだかんだやっても最後飛行機で会場に降り立って、観衆の前で立派に弾いてみせてたのは、
やはり本当に大切で好きなモノは捨てたってまた欲するのかな~、と。
ホント、多様な見どころのある作品でおなかいっぱい♪
Commented by とらねこ at 2007-11-26 23:37 x
こんばんは、かえるさん。
私にとっては、スイスはユングの国なので、一度行ってみたい国の一つ、気持ち的には身近な国だったりします。
この少年、とってもかわいかったですね。気持ちがほっこりしました★
私も、この映画の展開の仕方が好きでした。
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-27 07:37
たかこ さん♪
おじいちゃんのアドバイスはさすがでしたね。
あの事故がそのアドバイスによるものだったと知って、うーむと思いました。子どものヴィトスがそういう決断にいたったとは・・・。でも、友だちと笑顔で遊ぶ姿を見てよかったなーと思いました。
ピアノももねー。彼の気の向くままに演奏を楽しむことができればよかったのに、親はどうしたって天才ピアニスト教育をさせたがるから・・・。それでも、紆余曲折のすえ、ピアノへの思いを素直に取り戻してくれたのは感動的でした。すべてを捨てる必要なんてないですよねー。
数学と音楽の両方に才能があるなんて素晴らしすぎる才能を活かしてほしいー。
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-27 07:37
とらねこ さん♪
おお、私にとってはハイジの国だけど、とらねこさんにとっては、ユングの国なんですね。スイスは昔、卒業旅行の中で、ジュネーヴにはちょろっと寄ったのだけど、美しい静かな街でした。でも、さほどその国や人々の特性がつかめない街だったんですよねー。チーズフォンデュがおいしかったとかそういう感想が残るばかり。
ちびっこ時代のヴィトスも目がぱっちりですんごく可愛かったし、本物の天才ピアニストくんもよかったです。4分間のピアニストが思いの外、心休まらないドラマだった分、こちらのほっこり感が心地よかったです。
Commented by jester at 2007-11-27 10:26 x
かえるさん、こんにちは~
小さい頃のヴィトス君役、可愛かったですよね!
でもなんといってもテオ・ゲオルギューがすごかったですね~

でもこの監督さんなのでわりともっと難しめなのかな?と思っていったので、ちょっと肩透かしでした。子供向けっていうところもあったのかしら?

母親が振り回されておたおたしているのがおかしかったです。
よくいそうな人だわ~
Commented by ぺろんぱ at 2007-11-27 22:10 x
こんばんは。

>「人生はコンチェルト(協奏曲)のようなものだ」と少年が学ぶ物語

そうなのかぁ・・・!このタイトルにはそういう深い意味が込められていたのですね。
目から鱗的にちょっと感動しました。

Commented by CaeRu_noix at 2007-11-28 01:19
jester さん♪
可愛かったです。ちびっこ時代のヴィトスくん!
テオ・ゲオルギューもピアニストなのに、演技もできてすばらしかったです。
jester さんもこの監督をご存じだったんですねー。私が知ったのはそんなに前ではないんですが、特集上映で前作を観て、ずいぶんシュールっぽくて難解ほーくすなカンジだなーと思ったのでした。だから、まさか、こんなにほのぼのカワイイ味わいの映画をつくるとはビックリでした。
子ども向けというかファンタジー寄りですよね。
お母さんの振る舞いはやけにリアルでしたよね。ファンタジー加減とヒューマン・ドラマのリアリティがほどよく混じっていてよかったですー。
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-28 01:22
ぺろんぱ さん♪
そうなんです。ヨミウリ新聞のサイトの監督インタビュー記事などにそのフレーズが書かれていました。なるほど、納得ですよね。
ヨーロッパの作品には多いけど、ハリウッドを基準に考えると、まとまりのないような物語展開なんですよね。でもそれは、人生そのものが協奏曲だからなんですよねー。
Commented by jester at 2007-11-28 07:38 x
かえるさん、何回もごめんなさい。
もしかして私のところにコメントしてくださったでしょうか?
無記名のコメントがかえるさんかなと思ったのですが。もしちがっていたらごめんなさいです。
Commented by CaeRu_noix at 2007-11-29 07:37
jester さん♪
おお、ごめんなさい。無記名でした。
私は前に『最後通告』を観ました。『山の焚火』も観てみたいですー。
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