かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『花蓮の夏』  盛夏光年 ETERNAL SUMMER
2007年 12月 04日 |
みずみずしくせつなく煌めく青春の1ページ

台湾、花蓮。小学生の頃から親友同士の高校生になったジェンシンとショウヘンの前にホイジャという女子が現れる。



2人の友情関係は子ども時代に遡り、大人の階段を昇る大学進学の時期にまでかかっていく。子どもの頃はいつも一緒だった親友同士でもずっとその密な関係が持続していくものではないのが常。そして、関係性が薄まっていくキッカケの一つが恋愛だったりするわけなのだけど、それがそれぞれの個々の恋愛によるというパターンではなくて、複雑な三角関係が作られてしまうところがミソ。2人の男と1人の女って、とても映画的な取り合わせなんだけど、ここに生まれるのは本当の三角関係なのだね。

そんな特異な状況が興味深くもあるんだけど、だからといって冷めた目で客観視しちゃうこともできないほどにせつない感傷が繊細にみずみずしく切り取られてる。男の子同士の友情っていいよなーって思いながら次第に、子どもの頃から腕白でたくましいスポーツマンのショウヘンの輝く笑顔に魅せられて、特別な感情を俄かに抱いてしまうジェンシンの気持ちに寄り添ってしまう。その感情を持て余し、表面的には親友を演じ続けるけれども、1人で苦悩するその姿が痛々しい。ツーリングの時のショウヘンの背中越しのジェンシンの嬉しそうな表情が印象的。自分の好きになった男がどうやら複雑な思いを他の人に抱いていると気づいてしまうホイジャの心境もやるせないものだし。青春期に恋愛の悩みはつきものだけど、その複雑さがおもしろくもあり、そのせつなさは胸に迫るリアルなものだから、その世界に浸ってしまうのだ。

ただちょっと終盤はクドさを感じてしまったかも。初めはさわやか好青年だったジェンシンが、道ならぬ恋心を自覚してからは、表情に陰りばかりが見られて。そこがせつなくていいともいえるんだけど、せっかくの輝かしい時期に心が沈んでいくばかりなのは歯がゆすぎる。場面展開としては妥当だったのかもしれないけれど、音楽が激しく響きすぎたことが逆効果だったかな。と全体的には惜しいなぁという思いが残ったものの、エモーショナルでちょいとスタイリッシュな好みタッチではありました。

そして、彼の秘めた思いに気がついてのことなのか、事故の夜のベッドシーンもちょっと感動的だったな。BBMのテントの夜の衝動よりも私には自然に感じられる行為だったりした。ボーイズラブ好きの女子ばかりを意識した甘いシーンというんでもなく、欲望の発露というんでもない、勢いと痛々しさがあるんだけど、鬱積した彼の思いを包み込もうとするような熱い気持ちが感じられてグッときちゃう。若さゆえの美しさかなぁ。
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by CaeRu_noix | 2007-12-04 21:39 | CINEMAレヴュー | Trackback(7) | Comments(8)
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Tracked from しぇんて的風来坊ブログ at 2007-12-04 23:50
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Commented by sabunori at 2007-12-04 22:08
かえるさ〜ん、にいはお。
3人の愛情とも友情ともとれるあやういような不思議な関係。
なんとも切ない物語でした。
数年後の彼らは一体どうなっているんでしょうかね・・・。
ちょっと知りたい気がします。
Commented by CaeRu_noix at 2007-12-04 22:24
sabunori さん♪
にいはおん。
危うかったですよねー。ドキドキしっぱなしでした。
友情の延長に芽生えたその微妙な思いがせつなくってたまらないものでした。大雑把に分類したらなら、興味本意で見られてしまうものである気がするんですが、彼らの関係性はホントにセンシティブでせつなかったです。
数年後はどうなっているんでしょうね。このまま仲良くやっていくことは難しいだろうなという気がしますが。
Commented by 狗山椀太郎 at 2007-12-09 23:57 x
こんばんは。
本作のような切なさ満開の青春ストーリーは結構好みだったりします。
>本当の三角関係なのだね。
まさにそうですね。私の場合、ふつうは女性側に感情移入することはほとんどないのですが、本作のちょっと屈折した三角関係を見ていると、ホイジャの気持ちもよく分かるような気分にさせられました。
ほとんど申し分のない出来映えだったと思いますが、終盤に挟まれる小学生時代の回想がわざとらしく感じられたこと、それとやはりバックの音楽ですね。その2点さえクリアできていたらと思うと、何とも残念です。
台湾の映画では、遅ればせながら京都では再来週に『百年恋歌』が上映されるので見に行く予定です。
Commented by CaeRu_noix at 2007-12-10 01:02
狗山椀太郎 さん♪
おお、好みでしたかー。
私もみずみずしくせつない青春映画って大好きですぅ。
世間一般的にいうところの三角関係って本当は三角形のカタチをなしてはいないですよね・・・。これはまさに!ってところが気持ちいいです。??
そうそう、ホイジャの気持ちもせつなかったです。自分の好きな男が別の人を見ていることに気づくのってすごくショックなわけですが、それがまた複雑な状況で・・・。私はそれぞれに感情移入する部分があった感じです。
途中まではかなりよかったんですが、そう、ちょっと終盤、演出のくどさを感じちゃったんですよね。あと、音楽は始終うるさかったのが残念無念。
台湾映画は静かに詩情あふれるのが持ち味だと思うので、音楽も抑えめでお願いしたいところですー。
静かなる台湾映画といえば、ホウ・シャオシェンですよねー。
『百年恋歌』はDVDも出ていますが、劇場鑑賞すべしな美しい作品ですー。
Commented by umikarahajimaru at 2007-12-18 20:04 x
この映画、男優ばかり注目されてて、映画賞をもらってるのも男優の方なんですが、私はこの女優、ケイト・ヤンにぐっときましたね。
かえるさんの記事でも名前すら挙がってなくて、ちょっと寂しい……。ま、そういう私も男優の方の名前は覚えちゃいないんですが。
Commented by CaeRu_noix at 2007-12-19 00:27
umikarahajimaru さん♪
ううむ。そうですね。受賞も大いに納得という感じで、彼らの演技、存在感は素晴らしかったと思います。でもでも、そう、彼女もよかったと思いますよー。けいとやんですか☆なんというかすごく等身大に心の機微を表現してくれましたよね。共感しましたとも。あの顔は身近な友だちの誰かに似ているような気もしつつ・・・。いえ、アジアの俳優の名前ってあまり憶えられない、言いにくいので私はあんまり取上げませんのです。役名もどっちがどっちか混乱するので調べながらレヴュー書きました。とにかく台湾作品はとても好みに合うので、これからも注目したいですねー。
Commented by かりおか at 2008-06-23 18:10 x
かえるさん、ご無沙汰してました。
評判を知り、ずっと観たかった「花蓮の夏」やっと観ることができました。
切なくて胸が苦しくなるほどの青春映画でしたね~。
どうしてもジェンシン目線で観てしまいましたが、ショウヘンの気持ちも自分では自覚してるのかしてないのか、熱いものだったんですね。
「ブロークバック・マウンテン」も大好きですが、もっと自然で優しい関係に感動してしまいました。
ホイジャの気持ちもわかるし・・・。甘酸っぱい青春ですねー。
その後の彼らに想いを馳せ続けるような、心に残る映画でした!
TBさせてくださいね。
Commented by CaeRu_noix at 2008-06-24 00:19
かりおか さん♪
無沙汰でした。訪問ありがとうございます。
おお、これって、評判よかったのですね。
私の周りでは、ご覧になっている方は少なかったのですよ。
(アジアものは関西の方はチェックされている方は多いのですけど。)
切なーい青春模様でしたよねー。彼らの気持ちがすごくリアルで切実でした。
ジェンシンは自分の気持ちに気づきつつも、一方でそれを否定しようとしていたのでしょうかね。序盤にあった彼の明るさがどんどん失われていくのがやるせなかったです。
BBMはひと夏の衝動な始まりでしたからね。こちらの幼馴染の友情から俄かに変化していく感情っていう方がググっとくるものがありました。それと、BBMの年月が経過していく様にあまり入り込めなかったところがあるんですが、こちらは青春期で幕が降りたから、キューンなままで終われて好きでした。
あまりにも複雑な三角関係でしたけど、見事に切なさに引き込まれー。
青春ものの甘酸っぱさっていいですよねー。
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