かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び』 
2007年 12月 23日 |
貴重な記録映像に楽しくも感動的な思い出話。

20世紀の伝説のバレエ団バレエ・リュスの歴史に迫るドキュメンタリー。



去る11月22日、舞踊界の重鎮である世界的な振付家モーリス・ベジャール氏が亡くなった。20世紀後半に、斬新な振付でダンスの世界に革命をもたらしたのがベジャールで、今日のモダンバレエの基礎を築いたのが、セルゲイ・ディアギレフの創設したこのバレエ・リュス(Ballets Russes/ロシア・バレエ団)なのだ。

ロシア出身の芸術プロデューサー、ディアギレフが率いて、20世紀初頭のパリに花開いた伝説のバレエ団。ピカソ、コクトー、サティ、ローランサン、シャネル、デ・キリコなどの当時の最先端のアーティストたちを結集し、バレエの総合芸術化がはかられた。1929年、主催者ディアギレフの死によって解散したが、2年後にバレエ・リュスは再出発をし、新天地でも成功を収める。

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ドキュメンタリー映画って、わざわざスクリーンで観なくてもいいかなと思えるものも多いのだけど、踊るシネマは劇場体験したくなるのだった。何年か前に観た『エトワール』は興味深いドキュメンタリーだったけれど、思いの外インタビューの場面が多く、バレエのシーンが少なく、スクリーンで観る意義があまり感じられなかったりした。さて、これはどうだろう。どうせなら、大きいスクリーンで観たい。有楽町2丁目だと、小さい方の劇場になっちゃうんだろうか。ライズXは絶対イヤだ。というわけで、シネマライズでかかっているうちに行ってみた。うん、観てよかったと思える、ステキな作品だったな。

ドキュメンタリー映画というのも実に多様で、作家の描くテーマに添った限りなく劇映画に近いものもあれば、作為の見えない純粋な記録映像に近いものもあるけれど、これはどちらかといえば後者で、シンプルに客観的に、バレエ・リュスの歴史を伝えようとしていて好感がもてた。古いフィルム映像によって、バレエのステージシーンが蘇る。そして、そこにかつてのダンサーが当時を振り返って思い出を語る場面が重なっていく。その当時は10代だった名ダンサーが、今は80歳を超えていたりするのだから感慨深いよね。歴史に添って、舞台映像とインタビューが繰り返されるという、ドキュメンタリーとしては単純な構成だったのだけど、舞台の映像も団員たちの思い出話も興味深くて、楽しいヒトトキ。

今は高齢のおじいちゃん、おばあちゃんになっているかつてのダンサー達なんだけど、80歳にはとても見えないほどに、若々しくシャンとしていて、イキイキと輝いているんだよね。思い出話にはそこらじゅうにユーモアが散りばめられているし、バレエへに対する熱い思いには心揺さぶられる、魅力的な語りの数々。彼らの現在の活動の様子も映し出されたりしたんだけど、とってもエネルギッシュで人生を謳歌しているという感じ。何かに情熱をもって生きてきた人はこんなにも輝き続けることができるんだなぁとしみじみ感動。今も昔も魅力的なダンサーたち。私はとりわけジョージ・ゾリッチ氏に惚れた。80代でこんなにカッコイイなんてー。

バレエ・リュスの歴史を追うのも楽しかったなぁ。ダリが美術を担当した舞台映像なんかもとても興味深かった。バレエ団といえば、舞台公演を続けるばかりなのかと思っていたら、ダンサー達はハリウッド映画にも出演していたのだね。そんな映画のシーンの登場にも心躍り、それらの映画も追っかけてみたくなった。ワクワクする映像がほとんどながら、人種差別の激しかった時代での南部の舞台での事件は衝撃的だったり。体が資本のはずのダンサーたちが巡業中には食べるものにも困っていたなんてのもせつない。栄枯盛衰を実感しつつ、激動の歴史の中、それでも踊ることを愛し続け、世界中にバレエを伝えた、彼らの姿にはやっぱり感動せずにはいられない。
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by CaeRu_noix | 2007-12-23 13:44 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(4)
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Commented by シャーロット at 2007-12-28 00:45 x
あ、ゾリッチ氏に私も惚れました。笑
ジムで鍛える姿は私なんかよりずっと筋力があって元気です。とても80過ぎには見えない;
ドキュメンタリーの中ではとっても楽しめました~。エトワールは結局まだ未見でして;
バレエは好きでしたが意外にも知らないことだらけでいい勉強になりましたよ。ハリウッドやブロードウェイにも、バレエ・リュスは出ていたのですねぇ。ダンサーたちの昔のブロマイドもホントに素敵です。
ますますバレエが好きになりましたよ。27日実は舞台も見ちゃったし;
シネマヴェーラの特集上映にも見ておきたいものがたくさんありー。
踊るシネマはいいですね~。
Commented by CaeRu_noix at 2007-12-28 07:45
シャーロット さん♪
ゾリッチ氏!すんごいカッコよかったですよねー。じいさんなのにー。
そう、鍛えられた肉体がすばらしく、笑顔もキラキラ。歳をとっても、こんなにシャンとして若々しく輝き続けることが可能なんだなーとめちゃめちゃ感動させられました。
エトワールは主にバレリーナのインタビュー映画なんですよね。それはそれで興味深かったんですが。ベジャールのドキュメンタリーはご覧になりまして?
バレエの歴史なんて、全然知らなかったので勉強になりました。どうしても、バレエというと、白鳥の湖の印象が強くて、自分好みじゃないと思ってしまいがちなんですが、こういう総合芸術なモダン・バレエの世界を見せてもらえると、バレエってすばらしいーって思えまする。ニジンスキーの踊っている映像などもじっくり見たくなりました。
シネマヴェーラは2回行きました。年明けにもまた行きますー。
バレエは何をご覧になったのでしょう?
Commented by mchouette at 2008-01-21 19:39
かえるさん、先日、大阪でもやっと公開で見てきましたよ。
堪能の一言に尽きます。
昨年、美術館でディアギレフ展を見てきた私には嬉しい作品でした。
Commented by CaeRu_noix at 2008-01-22 00:21
シュエットさん♪
堪能されて何よりです。
本当にバレエというものの芸術性と、バレエ・リュスのダンサー達の素晴らしさに大いに感銘を受けましたよねー。
映像好きな私も、生のステージが観たいと思わされました。
ディアギレフ展とセットでより興味深さが増したのですね。
私もそちらも観てみたかったですー。
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