かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ラスト、コーション』
2008年 02月 25日 |
★★★☆

日本軍占領下の1942年の上海。1938年の香港。



見つめるキャッツアイ♪

それは杏里。

いやー、アン・リーって、なんかよくわかんない。
何作も観ているのにその特性が掴めない。その哲学がね。
実力のある監督なんだと思うけど、個人的にそれほどに気に入っている作品はない。一番好きだったのは、『ウェディング・バンケット』だぁね。なので、アメリカ作品が続いていたアン・リーがまたアジア映画を撮ってくれたということには期待した。でも、そのストーリーの断片を知るにつけ、強烈にドラマチック過ぎて好みのタイプじゃなさそうだなぁっていう予感がした。予感的中。好きな映画じゃなかったなぁ。見ごたえのあるおもしろさだったけどね。なんかスゴいお話だなぁって思いながら、ありえないよなぁなんて思いながら眺めていたもので、その世界に陶酔することなんてなかったな。長いし。

物語の筋書きがどうもピンとこなかった。普通の演劇少女な学生がスパイとして、暗殺のターゲットである敵に近づいていくだなんて、実におもしろい設定だと思うんだけど、ちょっと特異な状況過ぎて感情移入はしにくかったんだよね。最初はごっこ遊びのノリで始まり、次第に状況から逃れられなくなったということだったの?激動の時代、歴史に翻弄される物語ってのはよくあるんだけど、この物語の場合、そうせざるを得ない運命のイタズラっていう感じには思えず、なぜそうしてしまうのか疑問符が飛び交うばかりだった。このご時世に抗日運動しようっていう気持ちはわかるんだ。でも、イーを暗殺すべしというのがよくわからず。どうしても誰かを殺す必要があるんだとしたら、日本人殺せばいいのにね?イーを殺すことで、中国解放に近づけるの?まぁ、とにかくイー暗殺が抗日運動における最上の行動なんだとしても、実業家とその妻になりすまして近づく作戦なんて無謀極まりないなぁと。ウィゲッチュー、ミステリアスガール♪

この香港の出来事は若気の至りだったとして、4年後に仲間に再会してまたその続きをしようと思う気持ちがサッパリわからず。若い頃の3,4年って結構長いじゃない。もはやあんなに恐ろしい体験を繰り返したくないと思わないだろうか。彼への思いが強かったの?『ブラックブック』の場合は、自分の命がかかっていたから、生き延びるために何でもやろうと女を武器にしたことも必然に思えたんだけどね。このあらすじから、『パープル・バタフライ』のことも思い出したんだけど、あのチャン・ツィイー扮する主人公のように、抗日運動をしていた家族が日本人に殺されて、復讐心からレジスタンスに身を投じるっていう方が大いに理解できた。でででも、これって、自伝的小説なの?ありえるのかー。まぁ、"的"というのがミソなんだけど・・・。とにかく、導入部のイー暗殺のための愛人スパイ作戦から引っかかってしまったのがいけませんでした。時代背景の認識が甘くてすみません。

誰かに強く感情移入したりして、グググッとそのドラマに入り込むことはなかったけど、実に的確に丁寧に人物描写をするなぁと感心はしたかな。キメキメだよね。言うまでもなく、2人の演技は素晴らしかった。でも、なんというか、物語にハマっていないものだから、うーん、がんばっているなぁ、俳優さんは大変だなーなんて冷静に見つめちゃう感じ。がんばっているといえば、噂のあのベッドシーン。

「人のセックスを笑うな」

という別の映画のタイトルがふと過ぎりましたね。もちろん笑えるはずがありません。でもさ、いろんな体位が次々とあらわれるたびに、半笑いになりそうだったりして・・・。何というか、照れ笑い半分と、いくら何でもそんなにチャレンジしなくてもーっていう苦笑い半分。物語にハマっていたら、せつなくも痛々しい彼らの心を表現する重要なシーンとして、見入ることができたのかもしれないけど。いえ、視線としてはしっかと見入ったんだけどね。よくぞ、やってくれましたと、大胆な描写そのものはスバラシイと思いつつ、こういうショットの連続というのはあまりいい映像表現だとは感じられなかったり。トニーのあの表情は忘れがたいですが。

あの錠剤をイーに飲ませて殺すっていうのはダメなの?

まぁ、とにかく好みじゃないというだけです。
私はやっぱり、アジアなら、ウォン・カーウァイな映画が好きだー。
台湾なら、ツァイ・ミンリャン、ホウ・シャオシェンな演出が好き。
私は、もうちょっとユーモアやファンタジーにあふれる映画が好きなのよ。

早稲田松竹 3/8~3/14
『花様年華』&『ブエノスアイレス』 
アジア映画のベスト中のベスト、黄金の二本立てー。
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by CaeRu_noix | 2008-02-25 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(7) | Comments(11)
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Commented by cinema_61 at 2008-02-26 22:19 x
こんばんは。
私「トニーファン」なので・・・・・「花様年華」や「インフェナル・フェア」などのトニーにはゾッコンだったのですが・・・・・
今回は頑張っている彼に1票!です。相手が若い美しい新人女優なのできっと頑張ったのでしょうね。→でも、洋服着ているトニーのほうがずっとセクシーだと思います。
当時の時代背景をもっとつっこんで描いてほしかったけど、これは「愛」の映画なのでしょうね。でも「ブロークバック・マウンテン」のほうが好みです。
Commented by CaeRu_noix at 2008-02-28 01:20
cinema_61 さん♪
トニーはホントにすばらしい俳優ですよねー。
cinema_61 さんはお気に入り俳優さんがたくさんいらっしゃるのですね。
私もトニーは好きですよー。レスリーも。
そう、「花様年華」のトニーはとびきり好きです。「2046」も。
今回のSキャラとは逆のメソメソな「ブエノスアイレス」のトニーも捨てがたいし。
今回は本当にがんばっていましたよねー。
ウォン・カーウァイも俳優泣かせらしいですが、今回のアン・リーも一体どんな要求をしたのやらって感じでした。
私はどうも主人公の振る舞いや行動に自然なものというか説得力を感じられなかったので、そこに必然性が感じられるような背景の書き方をしてほしかったというのはありますね。
どうも、私はアン・リーはあんまり好みじゃないみたいです。王家衛!!
そして、次は「レッドクリフ」ですね!
Commented by シャーロット at 2008-02-28 12:23 x
杏里ですか・・・そうきましたか。笑
私、結構杏里に似てるって言われたことがあるでつよ。みすてりあすがーる。笑

>アジアなら、ウォン・カーウァイな映画
台湾なら、ツァイ・ミンリャン、ホウ・シャオシェンな演出
もうちょっとユーモアやファンタジーにあふれる映画

・・・同感
アジアな作品もたまには見たくなるんですが、どうも見たくなるのはもっと音楽も静かでクールな感じか、もっとユーモアがあってファンタジックな作品。
早稲田松竹に行ってこようかと思ってまする。

Commented by CaeRu_noix at 2008-02-29 00:23
シャーロットさん♪
くだらなくってすみません。座布団没収?
あああ、なんとなくわかります。似ている要素あるかも。アンリーに。

これは何がどうなのかよくわからないけど、好きだと思えないタイプなんですよね・・・。
『ブラックブック』は好き嫌いは二の次で、おもしろさで満喫できたのだけど、本作は男と女の物語として堪能しなくちゃいけないようで・・・。
今回は映像、音楽うんぬんの前にオハナシがどうも・・・な感じでした。
鑑賞時は見ごたえのあるおもしろさを味わったとだけど、今となっては好きじゃない感が色濃く・・・。
激しい愛を描いたものでも、チャン・イーモウ的にファンタジー風味のものなら好みなんだけど。ううむ。
早稲田松竹のカーウァイ二本立ては最高にいいと思います♪
私も行けたら行きたいなーと。レスリー!!!!
Commented by 真紅 at 2008-02-29 01:09 x
かえるさま、こんにちは。私も行きたいです、早稲田松竹。いいな~。
『花様年華』『ブエノ』がアジア映画のベスト、御意!

これはあまり好みではなかったのですね。私は「凄い映画だなー」と圧倒されて、しつこく二回も観に行きました。
最近、自分ってすっごいしつこい性格なんじゃ・・と思い始めました←遅いよ
監督の作風で好みってあると思うのですが、アン・リーって、作風?うまく言えない感じ・・・。
語りまくりたくなる作風、とか(笑)。
『アメギャン』も面白かったですね、デンゼル・ワシントンかっこいいーということしか書いてないのですが、TBさせていただきました。
ではでは~。
Commented by CaeRu_noix at 2008-03-01 01:25
真紅さん♪
早稲田松竹いいですよー。
二本立ての二番館はいくつもありますが、こういう名作な旧作をかけてくれるのは重宝です。これぞ、名画座。
アジア映画は、チェン・カイコーやチャン・イーモウあたりから入った私ですが、結局のところ、トータル的に最も心掴まれたのは、カーウァイって感じです。同じ作品も観れば観るほどにその魅力にハマっていくのでした。
たぶん、アン・リーの作品もそうなんでしょうね。
私は、映画のワンシークエンスを見れば誰の監督作品かわかってしまうほどに、作家性の強い監督が好みだったりするんですけど、そういう意味ではアン・リーの特徴は掴みづらいんですよね。私にとってはそうなんだけど、好きな人にとってはたぶん、アン・リーの持ち味・魅力というものは把握されているんでしょうね。
そこにある人間ドラマの解釈のし甲斐のあるタイプのようですよね。確かに、ハマった人は、しつこいほどに熱く語りますもんね。(笑)
『愛より強く』の激しさには釘付けになるのに、本作の激しいドラマには傍観モードになってしまいましたー。すみません。
Commented by kenko at 2008-03-03 18:50 x
こんばんは!

かえるさんが「好きじゃない」って言ってる映画にコメつけるの
なんとなく気が引けるのですが、
ところどころのキャッツアイ♪がツボってしまったのでコメっちゃいます(笑)

観ている間はぐぐーっと引き込まれたし、タン・ウェイもスゴイなぁ〜と思ったにもかかわらず、
かえるさんのツッコミに激しく頷いてしまう私もいます。。。
噂のベッドシーン、笑えるってのも分かるなぁー
よりにもよってなんでそんな体位??って思っちゃうの、どうしても(笑)
と言いつつ、しっかりと見ました♪
Commented by CaeRu_noix at 2008-03-05 15:50
kenkoさん♪
ウィゲッチュー!
いや~、本作に関しては熱く語れないのですけれども、ミステリアスガーァ!
大胆描写は素晴らしいと思うんですけど、披露する体位はもう少し厳選してもよかったなんじゃないかなぁと。ダイジェスト版チックでちと違和感を覚えました。あんなにめいっぱい脚を広げる必要はあるんかいなとか雑念が次から次へと…。いえ私もしっかと見入ったことには変わりないんですが。行為の時もサザエさん頭でしたっけ?
Commented by jester at 2008-03-06 08:13 x
かえるさん~~!
お邪魔します!!
なんかコメントさせていただいたと思ってたけど送れてなかった? みたいですわ・・・ごめんなさい。

>一番好きだったのは、『ウェディング・バンケット』だぁね

わたしもです!あれは笑えたし、それでいて心の描写が細やかで、アン・リーいいじゃん、と思ったのですわ。

>いろんな体位が次々とあらわれるたびに、半笑いになりそうだったりして・・・。

わたくしは自分のところでも書いたけど「霊長類の生態」とかみてる気分でした・・・・

送信しようとしたら文字数が多すぎると怒られたので、改めてもう一度書きますね。(前回もこれだったのか??)


Commented by jester at 2008-03-06 08:14 x
続きです~(何度もごめんなさい!)

>実力のある監督なんだと思うけど、個人的にそれほどに気に入っている作品はない。

これ、ほんとに激しく同感しちゃいます!
あああ~うれしいです!
「ブロークバック」は絶賛して、酔いしれている方が多くて、素直に感想はいえなかったですわ・・・・ある掲示板でちょっとだけ疑問を呈しただけで、すごく感情的に反論されたかたがいて、その後も後をひいちゃってまいったのでした。
きっとアン・リーと世界観が一致する人には、素晴らしい映画なんだとおもうのですが。
わからんもんはわからん。(殴

でもいい部分もあるので、彼の作品はレビューが難しいです。
「わかるけど、そこまで描写しなくても」っていうのが最近のため息に含まれるんですよね・・・
Commented by CaeRu_noix at 2008-03-07 01:00
jester さん♪
きゃー、お呼び立てしてしまったようで、すみません。
ありがとうございますー。
私も以前は、アン・リーって、わりと好きな監督に入れていた気がするのですが、徐々に苦手監督寄りになってきているかも・・・。
BBMも、自分にとって単純に、それほどでもなかった映画の1本に過ぎないっていうだけなのに。巷に熱狂的なファンが大勢いらっしゃったために、ダメ出しがしづらい雰囲気が充満していましたよね。このよさがわからない人は感受性や経験が薄っぺらいんじゃーっていうようなことまでにおわされる始末・・・。jesterさんは議論?してしまったのですねぇぇ。
実力ある監督なのは確かなんでしょうけどね。惹かれないものは惹かれないんですよね。
私はどちらかというと原作モノよりも、オリジナル脚本の作品を手がける監督が好みなのです。こういう題材の小説はそりゃあ見ごたえのある映画が作れるに決まっているけど、そのセレクトからして合わないです。
体位の数々もホントに謎。霊長類でもサルはやらなそうな疲れそうな姿勢のも多かったような。体操選手の技みたいでした。北京オリンピック?
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