かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『 ダージリン急行』 The Darjeeling Limited
2008年 03月 25日 |
まさに珍道中。

長男フランシスの呼びかけで、次男ピーターと三男ジャックのホイットマン3兄弟は、インド北西部を走るダージリン急行で旅をする。



ウェス・アンダーソン印の旅ムービーだなんて、そりゃあもうワクワク。それも行き先はインドだなんて、私にとってはすごーく魅力的。ウェスがインドを舞台に撮ろうと思ったキッカケは、スコセッシ監督に見せてもらったジャン・ルノワールの『河』で感銘を受けたことっていうエピソードからして好感度倍増。(河は来月にフィルムセンターで観たいな。)列車内のシーンなんかはセット撮影も可能だったはずなのに、ちゃんと現地へ赴いて、ロマン・コッポラ、ジェイソン・シュワルツマンと共に3兄弟を演じながら旅をしつつ、脚本を書き上げていったというのだから、ほほえましい限り。ウェスって、イメージ的にちゃちゃっとセット撮影で済ましちゃいそうなタイプかなぁと思いきや、ロケすることの大切さをかみしめていたのだね。そんな姿勢にも嬉しくなっちゃって、愉快な旅を満喫ー。

『ホテル・シュヴァリエ』のいでたちそのまんまの裸足のジェイソン・シュワルツマンは愛嬌満点だし、ゴシップのあったオーウェン・ウィルソンの姿を見るのも何だか感慨深くって。そして、新顔のエイドリアン・ブロディの存在感がまたすごくいいじゃない。演技派な彼がシリアスドラマのありがちキャラを演じるよりも、コメディの方が個性的な持ち味を発揮できるタイプだとは新発見。と新しいフレーバーが加わりつつも、主要キャラは毎度お馴染みのコテコテのウェス・アンダーソンふぁみりーカラー。そんな彼らがこのたびは異国の地で、多くは俳優でも何でもないという素朴なインド人と出会ってコミュニケーションをとるのだから、異質なシチュエーションだけで独特の面白おかしい雰囲気に包まれちゃう。すっとぼけた小ネタの一つ一つから目が離せない。

インドの交通事情は凄まじいものがあって、私にとって強烈だった思い出は、二車線の道路の向かいから、2台の車が並んだまま道を譲ることもなく進行してきたこと。こちらの車がやむなく路肩へ回避して、衝突は免れたけど、そんなことがあるなんてビックリさ。でも、そんな秩序もへったくれもないエキサイティングな国インドの旅だからこそいいのだよね。へんてこ個性派キャラではあるけれど、それゆえに頑固というか、三兄弟はそれぞれ独自の性質、価値観や考え方が凝り固まっている風に見えるのだけど、それがこの旅を通じて、刺激を受けて、アタマやココロが揉み解されていくような感じ。彼らの欠点やケンカの原因、意固地になっているポイントはいつも変わらないようでそれが可笑しさをうみ、でも最後には変化が見て取れたところにジーンとしてしまうのだった。

コメディしているのにとことんこだわりオサレなファッション、インテリアにも楽しませてもらったし。とりわけ目を引くのは、旅のお供なマーク ジェイコブスデザインの旅行鞄一式なのだけど、まさかその高級バッグが最後にそんな運命を遂げるとは思いもよらず、これまた感無量。フランシスが当初目論んでいたスピリチュアル・ジャーニーは計画通りではなかったけれど、高級品好きなモノにこだわりと執着心をもつ兄弟が、それを捨て去れる心境に到達したなんて。それは大いにすぴりちゅあるな旅だったに違いない。父親のしがらみから解き放たれたのねーっていうことも含めて、心とらわれていたものを脱ぎ捨てたことが感動的だったな。『サンジャックへの道』で重い荷物を捨てたシーンを思い出すような瞬間。それが、列車に飛び乗るというビジュアル的にも最高に気持ちいい、躍動感のある映像によって表現されたのだから、グッときてしまうよね。大爆笑も号泣もしないけど、ワクワクして、クスクス笑って、ウルっときて、お気に入り印。

★★★★
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by CaeRu_noix | 2008-03-25 22:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(14) | Comments(12)
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Commented by 哀生龍 at 2008-03-26 12:42 x
>心とらわれていたものを脱ぎ捨てたことが感動的だったな
兄弟ってどこもかんな感じで、良いよなぁ~
なんて、ゆるゆると見ていたはずなのに、ラストの曲が流れ始めた途端、泣くかと思うほど突然ジーンと来てしまいました。
全てを捨て去った彼らに残ったもの、得たもの、これから新たに拾い集めていくもの、色んな事が一緒くたになって押し寄せてきて・・・
Commented by 真紅 at 2008-03-26 19:34 x
かえるさま、ナマステ(でいいんでしょうか?)。
ユルさの中にも計算されたこだわりを感じる映画でした。
冒頭の「ザ・インド」な無秩序ぶりの描き方は見事でしたね。
しかも客がビル・マーレイだなんて、なんて贅沢なんでしょうか・・。
色彩もカラフルで、小物や衣装を観てるだけで楽しかったです。
ではでは、またです~。
Commented by CaeRu_noix at 2008-03-26 22:32
哀生龍 さん♪
ゆるゆるでありつつ、彼ら三兄弟の関係性は結構屈折してましたよねぇ。
関係が2人兄弟よりも難しいようにも思え、でも逆に、三人だからうまくバランスがとれるのかなぁ?
と私の場合、笑いながらも、ささやかな痛さもたびたび感じちゃうっていた旅路でした。
それゆえに、ラストの吹っ切れ方には感動があったんですよねー。
実際、彼らの性格はそんなには変わらないでしょうけど、素晴しき瞬間でしたよね。
その思いを共有したのだから、兄弟の絆は深まったことは確かですよね。
Commented by CaeRu_noix at 2008-03-26 22:37
真紅 さん♪
なますてー。だんにゃわーど。
喧騒の街を慌ただしく旅しているのに、何だかユルいんですよねー。
でも、やっぱりそのテンポ、空気感が魅力ですよねー。
そして、ディテールにはウェス・アンダーソンお馴染みのこだわりがいっぱいでしたよねー。
そうそう、ビル・マーレイはたったあれだけの出演なのに、わざわざインドにまで行ったのねーってことにも感動しちゃいました。
インドといえば元もと鮮やかな色彩の国なんだけど、それがおしゃれにポップなデザインにまとまっていて、眺めているだけで楽しかったですよねー。
Commented by SGA屋伍一 at 2008-03-30 01:23 x
かえるさん、こんばんは

かえるさんは実際にインドに行ったことがあるんですね。彼の国に行った人は「何度も行きたくなる!」派と「二度と行かない・・・」派に分かれると聞いたことがありましたが・・・

日本の人もそうですけど、アメリカ人もやっぱりインドには神秘的なイメージを抱くんでしょうかね。そこを茶化しつつ、さらっと大事なことを伝えていくスタイルがいかしてました。うん、そうですね。やっぱ旅の荷物は少なめにしとかないとね(笑)

ラストシーンも良かったですけど、無愛想な車掌が毒蛇をあっという間に捕獲するあたりとか、こともあろうに列車に投石する(笑)シーンが気に入ってます
Commented by mchouette at 2008-04-01 00:14
かえるさん、観ようとおもいつつ、なかなか時間とれず、やっと月曜日仕事帰りに見に行き、なんだかいい気分が失せない間に記事アップしました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-01 23:39
SGA屋伍一さん♪
インドはおもしろかったですよー。
他にも行きたい国はたくさんあるのでインドばかりに何度も行きたいとは思わないけど、私はとても楽しい旅ができたので機会あればまた行きたいかもです。で、二度と行かないって思う人よりも、そもそも最初からインドに行こうなんて思いもしない人の方が多そうな気がしますー。
日本人はインドに神秘的なイメージを抱いていますかねぇ?私は欧米人の方がむしろそういう傾向がある気がして、宗教に重きをおかない普通の日本人はあまりそうインドをイメージしている人は少ない印象かも。でも、日本もスピリチュアルぶーむでそういうのを求めてインドに行く人もいるのかしらん?
なんて前ふりにいちいち首をかしげてごめんなさーい。とにかく映画はおもしろかったですー。
私は引越しであれこれものを捨てました。って、関係ないですね。
そうそうそう、列車に投石するシーンは私も大のお気に入り!
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-02 15:21
シュエットさん♪
いい気分になれる粋な旅ムービーでしたよねー。
やっぱりウェス・アンダーソンはいいなーって思いました。
私も忘れないうちに書かなくちゃいけないものがたまってきて・・・
Commented by Nyaggy at 2008-04-03 13:46 x
かえるさん、こんにちは。
やはりというか、インドにも行かれたことがあるんですね。
実際に体験された車のこと…ほんと、ビックリですね!
でも、インドは憧れの国の一つ。いつか行ってみたいですー。

あの鞄を放り投げる所…じんわりきちゃいました。
同じロードムービーだし『サン・ジャックへの道』も思い出してしまいますよね~。
ゆるやかだけど、ディテールが凝ってて、ほんわか幸せで、私もお気に入りの作品です。
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-04 09:10
Nyaggyさん♪
インド映画が一般公開されなくて寂しい今日この頃なんですが、今年は「その名にちなんで」に本作にとインドな映画を味わえて嬉しいのです。
ラテンの国なんかとはまた違う熱いエキゾチックな魅力のある国です♪
整然とした小綺麗な近代都市がお好みの人には勧めませんが、ラテン好きなNyaggyさんにはオススメしたいかも。
本作はディテールが愛しいんですよね。
ただのコネタ映画と思いきや、じんわりしっかり感動もさせられて~。
Commented by 狗山椀太郎 at 2008-04-06 22:06 x
こんばんは、コメント&TBありがとうござました。
あ、やっぱりインドに行ってられたのですね。私といえば、過去に妹尾河童や中谷美紀の旅行エッセイを読んでほのかな憧れを持っているくらいなんですが、一度は訪れてみたい国のひとつであります(かえるさん的お勧めスポットはどこですか?)。
それで映画についてですが、さして印象に残らない作品かと思いきや意外とグッと来るところもあって楽しめました。冒頭でビル・マーレイが出てくる意味がよく分からなかったけれど、彼が電車に乗り遅れるスローモーションのところがラストと対になっていて巧い演出だなあと思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-07 01:40
狗山椀太郎 さん♪
インドに行って、象にも乗りましたよー。
おお、中谷美紀の旅行エッセイっていうのがなにやら興味深いですね。
インドは北の方しか回っていないので人様におすすめできるような感じでもないのだけど、私はジャイプールなんかが好きでした。あとねー官能的な彫刻の建築物があるカジュラホの雰囲気なんかもよかったし。別の旅行でトランジットでちょっとだけ滞在したボンベイも強烈なインパクトがありました。カルカッタじゃなくてコルコタとか南の方も面白そうですよね。そうはいっても、とりあえずはタージマハールにガンジス川かなぁ。
こじゃれたイメージのウェス・アンダーソンがまさかインドで映画を撮るとは思いもよりませんでしたが、なかなかどうしてよい映画だったですよねー。おちゃらけ映画のようでいて、人間ドラマは本質をついていて、グッときたり、感動させられたりするんですよねー。ビル・マーレイづかいも見事だったなぁと。うまいですよねー
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