かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『コントロール』
2008年 04月 08日 |
儚く。

23歳の若さで自ら命を絶った、70年代イギリスの伝説的ポスト・パンク・バンド、ジョイ・ディヴィジョン(JOY DIVISION)のフロントマン、イアン・カーティス(IAN CURTIS)-



マンチェスター、ファクトリーといえば、マイケル・ウィンターボトムの『24アワー・パーティ・ピープル』を思い出すくらいのもので、ジョイ・ディヴィジョンのことなんてほとんど何も知らなかったし、何の思い入れもないんだけど、映画としてはかなり好みのタイプだったな。モノクローム映像がとてもステキなんだもの。ビョークやU2を撮ってきたフォトグラファーのアントン・コービンの初監督作ということで、やっぱりビジュアル・センスはよくって、過ぎさりし日々の儚さと憂いを感じさせる美しい映像で魅せてくれるの。監督はかつてそのバンドと交流もあったということで、その当時の空気がリアルに切り取られているんじゃないかと思えるきらめきがあって、自分にとってはなつかしい世界でも何でもないのに、引き込まれてしまった。本物のイアン・カーティスとジョイ・ディヴィジョンを体験していないことはむしろよかった気がして、サム・ライリーの演じるイアンが私にはこの上なくリアルなイアンに見え、この時代の雰囲気とイアン・カーティスの抱える憂鬱や焦燥感にとらわれた。

サム・ライリーは歌っていたからスゴいなぁと思ったら、本人もUKインディー・バンドのヴォーカリストなのだってね。俳優としての輝きも大いに感じさせてくれる、蔭りのある表情がすごくいい美青年。ステージのパフォーマンスも研究して、リアルに再現したらしい。音楽そのものは私の好みじゃないんだけど、興味深さも手伝って、その熱狂LIVEシーンは楽しめちゃった。日常の風景のシーンでは音楽がほとんど使われていなかったから、その静寂との対比によって、彼らの奏でる音楽が鮮烈に訴えかけてくる感じ。歌詞もおもしろかったな。トニー・ウィルソンはやっぱり私の中ではスティーヴ・クーガンなんだけど、こちらのキャラもよかったな。血の契約書のエピソードはいいなぁ。バンドメンバーのフッキー役の人が気になったのだけど、敬愛なるベートーヴェンの甥っ子役だったのね。今年3度目のサマンサ・モートンはいつも違う表情を見せてくれるのだけど、今回はやけにエミリー・ワトソン風味だった。でも、いつもより感情移入をさせないキャラクターだった。この物語の原作は、モートンが演じた妻であるデボラ・カーティスの著書だというのに、それほどにはデボラ目線では描かれていないようにも感じられた。とにかくそう思えるほどに私には、不憫な妻に同情するより何より、儚きイアン・カーティスのその苦悩とやるせなさが全てだったの。繊細なる感傷がたまらない。

★★★★
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by CaeRu_noix | 2008-04-08 23:56 | CINEMAレヴュー | Trackback(10) | Comments(10)
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タイトル : コントロール DVD
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Commented by とらねこ at 2008-04-09 14:13 x
こんにちは!
アントン・コービンの撮ったカート・コバーンの写真を、ずっと壁に貼り付けていた、とらねこです。
画になるシーンがすごくたくさんあって、白黒が本当映えるんですよね・・
でも自分、やっぱりフォトグラファーが監督した作品て、ちょっと苦手かも・・
かえるさんは楽しめたようですね、さすがです☆
Commented by シリキ at 2008-04-10 00:19 x
新人監督って肩すかしの事が多くて迷っていたけど、とっても行きたくなりました。大好物のテーマですし(笑)今月は『愛より強い旅』の再上映もあるしどうやって都合つけるかなあ。『24アワー・パーティ・ピープル』は大好きだったんだけどこれもドキュメンタリタッチなのかしら?
そういえば、かえるさんは『魔法にかけられて』はご覧になりました?(mixiに長々と書いてしまいました)
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-10 23:21
とらねこ さん♪
アントン・コービンはカート・コバーンも撮っていたのですね。
とらねこさんって、結構ブロマイドちっくなポートレイト写真がお好き?
ニジンスキーのポストカードやらいろんなものを貼っているのですね?
そういう私は、絵画でも風景や静物画が好きだったりして、写真にしても人物がフィーチャーされたものを好んで貼ったりすることがない近年でした。
あまり見慣れていなかったからこそ、『アニー・リーボヴィッツ』なんかは興味深く観られたんですけどね。
カート・コバーンというと、本物よりも、『ラスト・デイズ』のことを思い出したりする私は、その手の音楽やミュージシャンには疎いんですが、ラスト・デイズも好きだし、本作も気に入っちゃったというこの手の映画とは合うらしい私。
フォトグラファーな監督はやっぱりビジュアル重視っぽい感じでしょうかね。
私は相性いいかも。
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-11 00:44
シリキさん♪
そうそう、これはシリキさんのご専門じゃないですかー♪
いえ逆に、思い入れのある人の方が受け入れにくい作品なのかもしれない可能性もありますが、私個人的には魅せられ気に入った作品でしたよー。
『24アワー・パーティ・ピープル』は賑やかで明るい印象が残っているんですが、こちらは静かなトーンのフィクションです。
雰囲気が真逆な感じがむしろ面白かった感じ。
『24アワー~』も久しぶりにまた見たくなりましたー。
『愛より強い旅』はレイトですけど、行かれます??
『魔法』はまだ観ていないのですが、近日中に観たいなぁと思ってますー
Commented by tangerine at 2008-04-19 19:03 x
かえるさん、どうもご無沙汰しております。
『コントロール』、私のようなジョイ・ディヴィジョンのファン歴28年のマニア
でも深く感動できた作品でした。ミュージシャンの伝記もの映画にロクなもの
がないなかで、想い入れのあるバンドの映画をヘタに作られたらどうしよう
と思いますが、アントン・コービンが監督するということで、完全に信頼できる
内容だと確信しておりました。そしてそれを圧倒するような一分の隙もない
映像に圧倒されました。

サム・ライリー、本物のジョイ・ディヴィジョンのライブ映像と比較しても、
演奏シーンがあまりにリアルでびっくりしました。
妻のデボラ役のサマンサ・モートン、けなげな演技が素晴らしかったです。
彼女の出演作は『ギター弾きの恋』くらいしか見てないんですが、今年3本も
出演作が公開されてるんですねー。

今年は『潜水服~』や『ダージリン急行』と単館系も個人的ヒットが多くて
後半も期待したいです
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-22 07:20
tangerine さん♪
おおお、ファン歴28年ですかー。
そうか、そんなマニアなファンのtangerine さんから見てもよくできた映画だたんですねー。でもそう、これって、カンヌや英国インディペンデント映画賞で賞をとっているくらいですから、当時のバンドのことを知っている人の評価もあってのことに違いないですもんね。深く感動できたなんて素敵ですー。
ジョイ・ディヴィジョンやイアン・カーティスのことをちいとも知らない私がこの映画をよかったって思うことの何倍もtangerine さんが本作を評価されたということには意味があるなぁって思います。でも、そう、彼らを知らない私でも、モノクロ映像の美しさにはググっと引き込まれ、それだけでお気に入り度はアップしました。
サム・ライリーの存在感も素晴らしかったですが、本当にそっくりのLIVEシーンだったんですね。サマンサ・モートンは好きな女優の一人ですが、いつもいいですよー。『モーヴァン』なんかがお気に入りでした。最近は『ミスターロンリー』。
単館系も素晴らしい映画が目白押しですよー。ぜひ注目をー。
Commented by 豆酢 at 2008-04-25 09:55 x
かえるさん、どうもです。

私自身、ローティーンの頃、ジョイ・ディヴィジョンの「アンノウン・プレジャーズ」は良く聴いていました。なんだかね、映画を観ながらその頃のことを思い出しちゃったりしました(_ _。)。

写真家の映画作品というと、大概独り善がりな感じが見え隠れするものですが、「コントロール」に限っては、それはなかったと思いますね。描く対象に充分にリスペクトを払いつつも、独自の解釈をきちんと盛り込めていたのではないかなあ。デビュー作でこれだけのものができたら、立派ですよ。

みなさん仰ってますが、サム・ライリーくんは、本物が降りてきてるのかっていうぐらい(笑)似ています。特にパフォーマンス・シーン。劇中の演奏をすべて俳優が本当にやっているということからも、製作陣の入魂振りがうかがえますね。
いや、ほんと、いい映画だったなあ…としみじみ思いました。サマンサ・モートンの二の腕と太ももの太さにも愛着を感じましたし(笑)。
Commented by CaeRu_noix at 2008-04-27 11:31
豆酢さん♪
ジョイ・ディヴィジョンを聴いておられたんですねー。
私はそんなBANDの存在は微塵も知らなかったです・・・。
知らない私でもえらく気に入ってしまった魅力的な映画でしたが、どうやら本作は、ジョイ・ディヴィジョンに思い入れのある方たちにもなかなか好評のようで何だか嬉しいです。
なつかしい音楽を聴くと、聴いていたその当時の自分の思い出がよみがえることってよくありますよね。
ローティーンの頃に聴いた洋楽といったら、私の場合はもっとミーハーなものばかりでしたが・・・。

初監督作品とは思えないほどにエクセレントな作品でした。
そうか、アントン・コービンの対象に対するリスペクトというのが重要だったのかもしれませんね。

5月に『ジョイ・デヴィジョン』のドキュメンタリーも上映されるようで、最近私はその劇場予告で、本物の彼らのLIVEシーンを見ることができたのですが、ホント、サム・ライリーくんのパフォーマンスは似ていたんだなーってことがわかりました。そうそう、LIVEの再現が吹き替えなんかじゃないところがまた素晴らしかったと思います。
サマンサ・モートンはちょっとむちむちしてましたよね。
Commented by acine at 2008-05-21 00:43
かえるさん こんばんは!
ほんと、この映画は直接このバンドとイアンを知らなくても、映画としても
すごく出来のいい作品ですよね~。こういう伝説の悲劇のアーティスト系
映画でも抜群でした。
サム・ライリーは本当に素晴らしかった!イギリスの若い役者はほんと
地に足がついてますよね。サマンサ・・・確かにエミリー・ワトソン風だった!
あの体のゴツさも。あの辺りも、旦那が可愛いベルギー人に惹かれていって
しまうのも妙に説得力ありましたねぇ。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-22 00:08
acine さん♪
エクセレントな作品でしたよねー。
出来事をなぞるだけの映画には終わっていなくて、アートとして際立つものがありました。でもって、それだけでもなく、ちゃんと主人公の苦しみが共有できてしまう繊細な描写がされていて、ドラマの味わいも確かなものでした。
いくつかの賞を取っていなかったら、イアン・カーティスなんてよく知らないしーとスルーしてしまうところでしたが、出会えてよかったお気に入り作品です。
サム・ライリーもホントよかったですよねー。
イギリス俳優って、舞台などでしっかりと演技を習得した確かな演技力の俳優さんが多いですけど、ミュージシャンでほとんどフリーターで俳優業はほとんど新人に過ぎないこのサム・ライリーが、こんなに輝く存在感があるからビックリでした。
ベルギー人の彼女はチャーミングでしたよねー。ハマってしまう恋の相手として説得力があったし、映画的にもステキなのでした。フレンチ系な存在に弱い私・・・。
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