かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『接吻』
2008年 04月 14日 |
眠れる森の犯人は・・・。

一家惨殺事件の犯人坂口秋生は自らマスコミを呼んで逮捕の模様をTV中継させた。それを見たOLの遠藤京子は坂口に興味を持ち・・・。



たまたまTVで見た知り合いでも何でもない残酷な殺人犯に特別な感情を抱いて近づいていく女・・・。予告を見るたびに、そんなのバカげているよ、あり得ないよって思えたんだけど、それをいかに説得力のある物語として作り出しているかということに興味はあった。まぁ結局、説得されないままに力ずくで引っ張られる感じ?ありえる得るかあり得ないかという二者択一ならば、あり得ないんじゃなーいって思ってしまうのだけど、型にはめられないような人間の奇妙な行動や不可思議な関係性が確かにこの世界にはいくらでもあるわけで、こういう女ってどこかにいそうだよなぁという余地はあって、現実味というのはさておき、『UNloved』同様にグイグイと引き込まれる面白さのある男と女の物語だったかな。

でも、せっかく緊迫感にあふれた興味深い心理劇なんだから、もっとそれらしいキャスティングの方が私はいいと思ったの。小池栄子はがんばっていたかなと思うけれど、健康的で明るく元気なイメージを覆せるほどの演技だったとも言えず、周囲の人に見下される陰気な孤独女には見えないのであった。あれほどに周到に振る舞える女なら職場の人間関係もそつなくやれそうな気がするのだけど・・・。不器用でもルックスが小池栄子なOLだったら、そこそこに異性ウケはよさそうだし?。というわけで?主人公京子の人間像の全貌は明らかじゃないながら、私にとってはどうも、屈折している以前に嘘っぽいキャラクターだったかも。弁護士長谷川役もいかにももてないタイプの人の方がハマる気がしたし。

と一抹の不自然さを感じつつも、こんな風に歪んだ形でしか、自らの存在価値や愛を実感することができない女の一挙一動に興味深く見入ってしまった。こういう思い込みの激しさというのは彼女に限ったことではなくて、似たようなケースはいくらでもどこにでもあるかなって思えるから面白く見られるの。普通はどこかで自分を客観視して理性的にブレーキをかけちゃうものだと思うので、そこまで突っ走ってしまうことはなかなかないとは思うけれど。私には、京子の行動はもはや、危うくてヤバい域に見えたのだけど、弁護士長谷川は常に、彼女のことを一途だとか純粋だとかいう風に形容していたんだよね。

映画の宣伝文句は何でもかんでも愛という言葉一文字で全てを表そうとするけれど、この一部始終が丸ごとあってそこに芽生えた感情は単純に言葉には表せないもの。特異な関係性の中で育まれた屈折した彼らの思いに、異物感を感じながらも咀嚼しようと歩み寄ろうとすることこそが本作の味わいどころかな。TVドラマ並に激しく劇的なんだけど、TVドラマにはない緻密さで過程が描かれているから手ごたえがあるの。そのタイトルが何を指すのかなんて考えもしなかったので、その熱情の接吻もなかなか面白かったかな。マイ・ブルーベリーナイツな甘いキスとは大違いなんだけど、それは甘美なものだったのかもね。

★★★
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by CaeRu_noix | 2008-04-14 23:09 | CINEMAレヴュー | Trackback(8) | Comments(0)
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