かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『王妃の紋章』 満城尽帯黄金甲
2008年 04月 29日 |
モーレツ、イーモウ
ゴールデンの極地。菊のイメージが180度変わる。

中国、五代十国、史上もっとも華やかな唐王朝、後唐の時代。
9月9日の重陽節に際し、王家の人々が王宮に集う。



金の円柱600本!シルクの絨毯1000m!蹴散らす菊の花300万本!ですって。どっ派手な美術・衣装に度肝を抜かれた。豪華絢爛という言葉は何度となく使ってきたけれど、本作を観たら、これまでに他の映画のレヴューで使ったその言葉のいくつかを取り下げたくなった。豪華絢爛とはこういうことだ。景気のいい中国で、北京オリンピックで総合演出をも務めるという巨匠チャン・イーモウが大スターを結集させたわけだから、予算はたっぷりなのだな。そのゴージャス、きらびやかな美術世界は悪趣味紙一重だったりもするだけど、ここまでめいっぱい派手に金キラ金だと気持ちいいくらいに見ごたえ満点。さすがのチャン・イーモウの仕事は天晴。チャン・イーモウの赤に映えるゴールドがまぶしいぜ。

最近はハリウッド映画でその姿を見るばかりだったコン・リーがチャン・イーモウの映画に戻ってきたことがとても嬉しい。女王様たるものこうでなくちゃ。苦悶の表情も絶品で人間らしい感情も滲ませながら、あくまでも強く気高い王妃姿がハマりすぎ。『女帝 エンペラー』のチャン・ツィイーはまるで小娘に思えてくる。気丈な女をやらせたら天下一品のコン・リー王妃と互角の気迫を見せてくれたチョウ・ユンファ王の演技も見事。豪華な美術衣装に見劣りしない鬼気迫る演技を主役の王と王妃が存分に見せてくれるから素晴らしい。演劇調にハデ目な演技も、この金ピカ世界にはふさわしいのである。

『HERO』、『LOVERS』のようなスケール感のある作品なのだけど、そこにある愛憎劇は、『紅夢』や『菊豆』を思い出させる部分もあって、嬉しくなっちゃった。広い王宮とはいえ、ひとつ屋根の下の家族の間にメラメラと愛憎の炎が燃えたぎるのってとってもドキドキさせられるんだよね。物語の筋は仰々しく古典的なんだけど、夫が自分の命をなきものにしようとするという恐ろしい事態に見舞われた王妃の痛ましき心情などには引き込まれてしまうのだ。そうやって、遠巻きに眺めるばかりじゃなく、辛くも切迫した不穏な思いに引っ張られ、心理的にスリリングな愛憎劇も楽しめたのだった。

それでいてやっぱり、王妃様が薬を服するのをとっても、儀式ばった行程が激しくて面白くて、目で見て満喫する比重が高かったかな。美術の凄さはそれだけじゃすぐ飽きちゃうけれど、そこに人間の動きが加わると見ごたえもアップ。もはや、物語のための場面じゃなくて、フェスティバルの出し物として提供されているかのような終盤のパフォーマンスもすごかったな。北京オリンピックの祭典の予行演習かと思ってしまうようなサービス満点のエンタメ映像におなかがいっぱい。マリーアントワネットやエリザベスのような西洋の宮廷の豪華さとはまた違った原色アジアン・ビューティなゴールデン歴史絵巻もこれまた圧巻。ああ、楽しかった。

★★★★
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by CaeRu_noix | 2008-04-29 10:38 | CINEMAレヴュー | Trackback(5) | Comments(4)
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Tracked from まてぃの徒然映画+雑記 at 2008-04-30 22:35
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Commented by acine at 2008-04-30 10:30
かえるさん、こんにちは!
ほーんと、ここまでやってくれるとアッパレ!悪趣味そうな色使いだな~と
半分楽しみ、半分怪訝な気持ちで見に行ったけど、本当に楽しかったですよね~!
決して後味もいい映画じゃないし、あの豪華な舞台、大道具・小道具に
比べて、あの昼ドラ的コテコテ劇、凄いバランス、いかにも中国的な
誇張ぶりに呆れながらも、爽快、感嘆!でした(笑)。2回目見に行く予定です私(笑)。
そして、コン・リーの前にはツィイーなんぞ薬係の末端みたいなもんです。
あと、リウ・イエが凄くよかったなぁ・・・。
Commented by まてぃ at 2008-04-30 22:39 x
かえるさん、こんにちは。
わたしもキンキラキンと人の数に圧倒されました。
いっくら中国が15億人いるからって、あんな人海戦術されたらもう唖然とするしかないですぅ。
北京五輪の開会式はどうなることやら、イーモウプロデュースですから、興味が増してきました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-02 00:37
acine さん♪
あっぱれでした。ここまでやってくれるとは痛快ですよねー。
もとの演劇は現代劇なんですってね。それをこのきらびやかな唐の時代の王宮ものに置き換えてくれるなんてさすがのチャン・イーモウですよねー。
「LOVERS」は後半が竹林になってちょっとさみしかった記憶があるのだけど、今回はめいっぱい内から外から紫禁城と金キラ金に包まれていて、大満足でありました。
物語だけを切り取ったら、どうということもないのだけど、この舞台で仰々しくやってくれると悲劇さえもノリノリで観れちゃいましたし。
クサめ芝居もあまりにも情熱的ゆえについつい引き込まれてしまったし。
久しぶりのお祭りムービーって感じでした。
リウ・イエはわたし的にはこういうのよりも自然な演技の方が似合う俳優じゃないかなぁと・・・。
二度目も楽しんできてくださいー
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-02 00:42
まてぃさん♪
圧倒されましたよねー。こんなに金キラ金なのは初体験かも。
人民の数もさすがの中国って感じでしたよねー。
何かと問題の多い北京オリンピックへの道ですが、チャン・イーモウの演出というのはそれは楽しみですよねー。
お祭りごとの演出というと、スピルバーグより適役じゃないかなぁと。
まぁ、さすがにこの映画みたいなことはやらないとインタビュー記事では語られていましたが。(笑)
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