かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ファクトリー・ガール』
2008年 05月 04日 |
かつてあったそんな時代のきらめきがまぶしい。

アンディ・ウォーホルのミューズとして60年代を代表するポップアイコンとなったイーディ・セジウィックの物語。



イーディ・セジウィックに興味があったわけでもないんだけど、ウォーホルのファクトリー、華やかなるニューヨーク・カルチャー・シーンが再現されるなんてワクワクしちゃうよね。『潜水服は蝶の夢を見る』という素晴らしい映画に出会って、ウォーホルと交流のあったジュリアン・シュナーベルに再び注目したこともあり、『バスキア』とは違った角度から描かれるファクトリーに興味津々。『バスキア』のウォーホル役はデヴィッド・ボウイがやっていたけど、こちらは、ガイ・ピアースなのだ。久しぶりのガイ・ピアースが実在したアーティスト役を作り込んで演じるなんて何だか新鮮で、エキセントリックなその存在感がよかったの。シエナ・ミラーは、登場時に絶世の美貌をもつ女性には見えなかったので、「なんて美しいコなんだ」というような率直な台詞が使われた最初の出会いのシーンには少し違和感があった。でも、だんだんとそれらしく見えていったかな。

イーディ・セジウィックのことは、EDIE ANDY.com でちょっと予習した。父親との複雑な関係性が彼女の人生に影響を及ぼしていたのだね。そして、劇中にもそんな背景、エピソードが描かれていたので、興味深くせつない気持ちで見入ってしまった。お嬢様なのに牧場育ちというのも好感がもてて、まさかNYの街の真ん中が舞台で、主人公が馬を愛でるシーンに出会うなんて予想外で感激。そんな掴みによって、よくは知らないイーディを好意的に見つめてしまった。その悲劇のヒロインは、好感をもてるように描かれていたのかもしれないし、本人が本質的に魅力的な女性だったのかもしれないし。とにかく、由緒正しき名家の令嬢が、最先端の映画やファッション誌で華々しく活躍する時代のミューズになるなんて、絵にかいたようなドラマチックストーリーだもの。そして、それは一時の華やぎに過ぎず、やがてウォーホルは別のミューズを見つけ、イーディはドラッグで堕ちていく。そんな悲劇的な末路が待っているから、その栄光が儚いものだと知っているから、頂点にいるその時の輝きが眩いばかりなの。

ガイ・ピアースの演じるウォーホルだけでも充分な見どころだったのに、ヘイデンくん扮するロック・ミュージシャンが、見るからにボブ・ディラン風のなりで登場したことに興味は倍増。イーディがアンディと仲良くつき合っているのと同じ頃に、ビリーという名のボブと出会い、2人の時間を過ごしていたなんて。ちょうど同じ時期に映画の日本公開というのは計画的なものだったのか、本作の一週間後に『アイム・ノット・ゼア』が公開で、私自身もほんの何日か後にそちらを鑑賞予定だったから、ボブ・ディラン的人物の登場にはひと際心が躍ってしまった。どこまでが本当の話でどこまでが作り話かはわからないものの、彼女にとってこんなに重要な男であったという位置づけには感慨深いものがあったな。時代の流れの中で、いくつものムーブメントが生まれては消えていくんだけど、ボブ・ディランは現在進行形の伝説になっているんだよね。そんなことに思いを馳せつつ、イーディ・セジウィックの儚き人生にもしみじみとさせられた。実在の人物を描いた映画としては、特に褒める所やけなす所もないスタンダードなつくりのものだったけど、再現されたものたちがイントラスティングでエキサイティングだったから充分に楽しめたという感じ。
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by CaeRu_noix | 2008-05-04 01:52 | CINEMAレヴュー | Trackback(10) | Comments(9)
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Commented by manimani at 2008-05-04 17:13 x
こんにちは
ああ、そうか、牧場を持っているというのは、あの馬のエピソードとつながるのか、気がつかなかったワタシは間抜け。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-05 23:14
manimani さん♪
ここ、大事なトコです。(笑)
何で、わざわざ大変そうな馬を撮るシーンを採用したのかといったら、馬を愛でる牧場育ちという部分を見せたかったんでしょうね。
おかげさまで、私はここでイーディに好感をもってしまったのですが、さらりと流してしまう可能性も大ですよね。
Commented by manimani at 2008-05-06 00:56 x
あ、いや、さらりとは流しませんでした(言い訳)
馬と交感するなんてなんてステキな女性だ〜とあそこで始めてワタシは思いましたね。でもなんで?とかも思いましたけど(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-07 09:36
manimani さん♪
すみませーん。
そうそう、時代の最先端をいっていたおしゃれな女の子が馬と仲良しっていうのはめちゃめちゃグッときますです。
というわけで、惜しかったです。(笑)
Commented by maru♪ at 2008-05-09 02:47 x
TBさせていただきました。
映画としても魅力よりも、登場人物たちそのものの魅力がすごいですよね。
どのくらい脚色されているのか分かりませんが・・・
イーディが痛々しかったです。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-09 23:15
maru♪ さん♪
ありがとうございます。
そうなんです。映画としては、まぁ正直いって、平凡な感じでした。
でも、とりあえず、そこにファクトリーがあって、アンディとイーディがいるっていうだけで楽しめちゃいましたよね。
そしてあんなに華やかな時期があったからこそ、彼女のおちていく様は見ていてつらかったですね・・・。
Commented by たかこ at 2008-05-15 15:25 x
この日は身支度からイベントが始まるということでお気に入りだった古着を着て出かけ、家に着くまでが遠足だぞーという先生の言葉を思い出し安全に留意して帰宅しました。

とまぁそれはともかくとして。
そんなに思ったほどダメダメではなかったでしたネ。
>馬
彼女の悲しい“生まれ”の中でも良いモノとしてちょこちょこ使われていて、そういうのはホっとする場面でした。
馬のデッサンもたくさん貼ってあって。
その馬が彼女を好意的に観られる大きなポイントとは、さすが乗馬&映画好きのかえるさんならではだと思いました。
Commented by たかこ at 2008-05-15 17:58 x
これ書くの忘れてました。
先日「毛並み」を辞書で調べたのですが、人間の家柄も指すんですね!知りませんでした。わたしだったら
「イーディは毛並みがいいですね」
「馬がですか?」
ってなりそうですが。。

どうしても伝えたかったのでした。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-16 01:46
たかこさん♪
そうそう、家に帰るまで遠足は終わらないのです。おやつは300円以内。
おお、どんなファッションで出かけたのでしょう。そういうのってステキですね。ベティ・ペイジの時もそれっぽい格好で行ったのかしらん。
いつもどうでもいいようなただ楽な格好で映画館にでかけることの多い私はちょっと反省。

そうなんです。こういう題材の映画って、チープな仕上がりという可能性も高かったのに、かなり楽しめちゃいました。伝記的にはどうなのかと思いますが、その当時のカルチャー、ファッションを切り取ったエンタメ作品としては合格点。
イーディをよく知らない私も、彼女の半生の一局面を知ることができたし。まぁ、ホント、この映画の中で描かれていたのはほんの一部なんでしょうけれどね。彼女の家のことや父親のことをもっと描いた方がより彼女の人生に迫れるのじゃないかという意見も見かけましたが、これはこの華やかシーンメインでいいんじゃないかなと・・。
と都会の中ゆえ、お馬の登場やロッカーなライダーとのツーリングシーンなどに心洗われた感じです。

あんど、貴重な豆知識をありがとう!<毛並み
毛並みを辞書で調べた経緯もまた気になりますが。(笑
馬並ー
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