かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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「イタリア映画祭2008」
2008年 05月 08日 |
5月1日~6日28日有楽町朝日ホールにて開催されたイタリア映画祭2008の鑑賞メモ。



6作観ました。


-短編-

・『たまご』 Uova  2006/5分
 監督:アレッサンドロ・チェッリ(Alessandro Celli)

・『代理教師』 Il supplente 2006/15分 
 監督:アンドレア・ユブリン(Andrea Jublin)

『ヨーロッパ2005年、10月27日』 Europa 2005 - 27 Octobre
 2006年/12分
 監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ(Jean-Marie Straub, Danie`le Huillet)

夫妻の最後の作品なんですね。そんな貴重なものにお目にかかれるとは感激です。
いや、しかし、意味がよくわからない作品でした。
静かに映し出されるのは塀の外からの変電所、聞こえるのは犬の鳴き声ばかり。
スーパー・インポーズで「ガス室 電気椅子」と。
その映像が5回ほど繰り返されるのでした。
その日付にここで何が起こったの?何を訴えているの?と鑑賞中はハテナ状態だったのですが、後でパンフレットを立ち読み・・してようやく理解しました。
「2005年パリ郊外暴動事件」は、2005年10月27日に、北アフリカ出身の三人の若者が警察に追われ逃げ込んだこの変電所で感電死したことがきっかけで起こったのですね。


-長編-

『いつか翔べるように』 (Lezioni di volo)」

監督:フランチェスカ・アルキブージ(Francesca Archibugi)

インドで生まれてイタリアで養子として育てられたカリーは、親友のポッロを伴って、初めて故郷インドに旅立つ。

2人の高校生の成長物語、ボーダーを乗り越える物語、それでもってインドの旅ムービーというのがとても好みでした。親との確執や、アイデンティティの問題に悩みながら、カルチャーギャップいっぱいの異国の地で冒険をするのです。『ダージリン急行』の殿様旅行とは違った距離からとらえた喧噪のインドの人々の姿が印象的。出会った「国境なき医師団」の女医キアラの活動にも胸を打つものがありました。インド顔のカリーが自分は現地人じゃないと訴えても、キアラが聴く耳をもってくれなかった時、イタリア語でクソったれと叫んだところでわかってもらえたなんていう描写は爽快なものでした。カリーの母の不安を表わすシーンもリアルなせつなさがありました。ポッロの進路にもジーンとして、感動的によくまとまっていた作品。


『湖のほとりで』 (La ragazza del lago) 

監督:アンドレア・モライヨーリ(Andrea Molaioli)
モレッティ作品で長らく助監督をしてきたモライヨーリが、ノルウェーの女流作家のミステリー小説を映画化した長編第1作。
小さな町のはずれにある湖のほとりで、若い女性の死体が発見される。敏腕刑事が調査を進めるにつれ、穏やかな生活の下に潜んでいた住民たちの複雑な思いが浮かび上がってくる。

まぶたが閉じがちだったので、"穏やかな生活の下に潜んでいた住民たちの複雑な思い"をよく味わえないまま、犯人があがってしまいました・・・。


『百本の釘』 (Nuovomondo) →『ポー川のひかり』

監督:エルマンノ・オルミ(Ermanno Olmi)

ボローニャ大学の哲学科教授が、ある日突然、全てを放り出して失踪する。
ポー川の川岸にたどり着き、無人の小屋に住み、地元住民と交流しながら日々を送る。

才能と地位のある学者が、自分の人生に疑問を感じ、自然と親しみながら人と交流する素朴で温かな暮らしの素敵さに目覚めていく・・・なんていう物語は大好きなのですが、総合的にはそれほどにグッとくるドラマにはなっていなかった感じです。前半の方が見どころが多かったかな。逃亡前の学生との議論の内容だとか。パン屋の娘のキャラやお祭りも楽しかったです。百本の釘は最初だけ?


『まなざしの長さをはかって』 (La giusta distanza)

監督:カルロ・マッツァクラーティ(Carlo Mazzacurati)
撮影 ルカ・ビガッツィ

ポー川の河口の小さな町に、非常勤講師として若い女性マラがやって来る。
彼女の美しさに魅了された、チュニジア人の自動車修理工ハッサンと18歳でジャーナリスト志望のジョヴァンニの二人が、彼女に思いを寄せる。

ハッサンの行動にしながらも、マラと彼の関係の進展を中心におもしろく見られたのだけど、後半の展開が思いもよらないものでした。恋愛ものにほど近いヒューマンドラマと思いきや・・・。最初は、ジョヴァンニが主人公のような描写だったのに、途中からマラがメインになっていて、でも結局はジョバンニが主役と思えば、青年の経験この顛末もありなのでしょうけど、マラとハッサンを中心に見ていた自分としては、ショッキングでした。面白かったけど、こんなお話にしなくてもなぁという思いも残り・・・。


『ひばり農園』 (La masseria delle allodole)

監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ(Paolo & Vittorio Taviani)

第一次世界大戦中にトルコで起こったとされるアルメニア人虐殺を描いたA・アルスランの小説の映画化。
トルコの裕福なアルメニア人家族は、イタリアに居住している親族を久々に歓迎する準備をしていた。

邸宅の部屋のたたずまい、光の差し込み方がとても素晴らしいと、初めはウットリしていたのだけど、場面が緊迫していくにつれ、古典劇風味というか舞台劇風の演出などにあまりのれなくなりました。
この題材には、『アララトの聖母』という大好きな作品があるもので、比べてしまったかもしれません。


『考えてもムダさ』 (Non pensarci)

監督:ジャンニ・ザナージ(Gianni Zanasi)

ステファノは、35歳のパンクロック・バンドのギタリスト。
自分の人生を見つめ直すために、しばらくぶりに実家に帰るが、父、母、兄、妹はそれぞれ問題を抱えており・・・。

パンクな彼は実家の近所の人たちにヤク中だとこっそり噂されているだとか、笑える場面がいっぱいでした。テンポと間の取り方がなかなかウマくて、しっかと笑えました。そして、にじみ出てくるペイソス。悩める大人たちは悲哀と滑稽さの両方をかもし出し、せつなく共感したり、クスリとさせられたり、感情を揺さぶらつつ楽しく見られました。兄が父の工場を継いだものの経営状態がうまくいってなくて、ステファノと妹とで協力して奮闘したり、家族の物語に、それぞれの物語が挟まっていたり、群像劇的に進んでいくところもよかったです。パンクロッカーにサクランボ工場に水族館のイルカにと好きな素材だったし。母の告白もそれはもう最高でした。


お腹いっぱいで睡魔に襲われつつの鑑賞となったものもありましたが、自分の不調を別にすれば、どの作品もそれぞれに楽しむことができました。

とりわけ気に入ったのは、『いつか翔べるように』と『考えてもムダさ』ですかね。
ここの会場で見るなら、楽しく笑える作品の方が向いているような気がします。『考えてもムダさ』の時は和やかな笑いが会場に沸き起こっていい感じでした。ここでの映画祭って、シリアスな作品もわりと多いのだけど、そういうタイプの作品は、100席程度のミニシアターでひっそり浸って観る方があっているんじゃないかなぁと。ここのイスの座り心地は辛くて、陶酔も持続できずに、体勢を変えてばかりだったり・・・。

一般公開される『カラヴァッジョ』も楽しみです。

それと、何度も予告が流れたフェリーニの『8 1/2』にめちゃめちゃ心躍りました。フェリーニ作品のニーノ・ロータ音楽は最高です。こちらの修復版もイメフォに観に行かなくちゃ。ふぇふぇー
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by CaeRu_noix | 2008-05-08 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(4)
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Tracked from シャーロットの涙 at 2008-05-17 13:34
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Commented by マダムS at 2008-05-12 22:20 x
短編3本ご覧になれたんですね^^ 「ヨーロッパ~」は解説見なくちゃ誰も意味わかりませんよねー。 「代理教師」はなかなか面白かったっす。
オルミも今回ばかりはさっぱりワカリマセンでした(^^;)
やっぱり「考えてもムダさ」 は面白かったようですね!
座談会で主役の俳優さんの話を聞けたんですが、あの彼のキャラクター見ただけで、やっぱり見れば良かったなーと思って(^^;)
うーん一般公開しないだろうしね~ この機会に『8 1/2』をスクリーンで観なかったのと同じくらい後悔しました!残念です。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-13 22:12
マダムS さん♪
短編は4本中、3本にあたりました。
イタリア映画祭の短編って、単なるおまけって感じなんだけど、時々長編よりも面白い作品に出会えたりするんですよねー。
オルミ作品は、やりたいことはわかるんですが、わりとありがちなアプローチという気もして、わたし的にはそんなにガツンとはこなかったんですよね。
序盤のミステリーな雰囲気は肩透かしに終わったし。(笑)
『考えてもムダさ』はホントに面白かったですよー。マダムも気に入られるタイプじゃないかなーって思いました。
主演俳優さんに会えたというのは逆に羨ましいですー。あの人写真だと、長ーいモミアゲでへんてこに見えるせいが、全然惹かれるものはなかったのに、動く彼をスクリーンで眺めたら、結構イイ男かもーって思えてきたんですよ。(笑) 
今回は私のベストはマダムの観ていないもおので、マダムテッロ賞も私の観てない作品に授与され、互いに悔しい思いをした感じですねー。
『8 1/2』は、初夏に渋谷のイメフォへ行きませうー
Commented by シャーロット at 2008-05-17 13:32 x
こんばんは♪
そうそう、その「ヨーロッパ2005年、10月27日」は、私、間違い探しをしちゃいました;犬の吠え方が違う!とかチェックしていたのになあ;笑
今年はパンフを買わなかったので、余計に意味がわからずにおりました。
「いつか翔べるように」・・・記事を書いたらお邪魔しようと思っていましたのに、なかなか来れくて…遅くなりました;今日ははじかれないとよいのですが;
成長物語は後味が良いものが多いので、かなり好きです。
主人公の少年(青年?)2人だけでなく、母やキアヌの心の変化もすごくよかったですよね。
今更ですが、自分を探して実母を訪ねていくストーリーって息子のパターンが多いんですな。
なかなかイタリア映画を見る機会も少ないので、今年も映画祭に来られてよかったですー。来年もGWは有楽町であいませう。
で、、、今年のドイツ映画祭、どうなのかしらね。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-19 00:32
シャーロット さん♪
ストローブ=ユイレの作品ですから、わかりやすくなくて当然なのですが、その日付に認識がなく、全く意味不明でしたよね。犬の鳴き声にヒントが隠されていると踏んでいましたが、全然関係なかったし。(笑

コメントできなかったですか。すみませーん。先日、緊急でメンテが行われたので、そういった不具合があったからなのかもしれません。はじかれるっていうのはよくわからないんですが、禁止ワードがあるとか字数オーバーしているとかのエラーメッセージは出ないのに、ボタンを押しても反映されないという現象なのでしょうか??

キアヌ・リーブス? 「いつか~」はカリー&ポッロばかりじゃなく、30代女キアラも主人公格だったのがよりよかったですよね。そして、カリーの母の心情描写もきめ細やかで共感できるものでしたよねー。そんな感じで群像劇テイストだったのがすこぶるツボでした。
確かに、母だの父だのに会いに行くのって、息子と相場が決まっていますよね。娘ものも稀にあったような気がするけど、息子の物語が圧倒的。そういう冒険は男の子の方が似合うからかしら?三千里。

当面、GWは有楽町ってパターンですなー。
ドイツ映画祭はないってホント?
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