かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』 (1969)
2008年 05月 17日 |
みずみずしさと甘酸っぱさに胸キュンキュン。

ストックホルム。15歳の少年ペールは、14歳の少女アニカに出会う。



本国スウェーデンでは公開当時70万人動員の大ヒットを記録した本作は、日本でも1970年に『純愛日記』という邦題で、『小さな恋のメロディ』と同時公開されていたのだね。見るからに北欧版『小さな恋のメロディ』という雰囲気だったのだけど、同じ時期に日本に届けられていたのだなぁ。でも、語り継がれる名作の本家恋メロと違って、本作のことは存在さえ知らずにいた。どうやらその当時も日本ではヒットしなかったらしく、ロイ・アンダーソン監督が時を経てもう一度撮った映画がカンヌ映画祭などで評価されるということがなかったら、リバイバル上映されることもなく、私は永遠に本作のことを知らないでいたのだろうな。と、この作品にスクリーンで出会えたことを感謝せずにはいられない、とても好みのタッチのみずみずしい青春ラブストーリー!

新作『愛おしき隣人』のレヴューに、ロイ・アンダーソン監督は、私のスウェーデン映画のイメージを変えたと書いたのだけど、今や、めいっぱいシュールでユーモラスな作風の監督もデビュー当時は、"スウェーデン映画"のイメージ通りの透明感のあふれる映画を手がけたのだね。スウェーデン時代のラッセ・ハルストレム作品のようなキラキラ感がたまらなく好き。多感な思春期の少女の揺れる思いを描いた『ショー・ミー・ラブ』なんかも、今思えば、この『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』の影響を受けていたのかもしれないなぁ。デジタルリマスター版でよみがえった美しいモノクローム映像が、38年の時を経たリバイバル上映にまさにピッタリで、ノスタルジックになつかしさを覚えるような質感がステキなの。

昔はこういうスタイルは受けなかっただろうというのも納得の、ドキュメンタリー風味の日常感。現在はフィックスのカメラづかいを自己流としている感のある監督も、自身が若いデビュー当時は、カメラをなめらかに動かしていたのだなぁなんてことに妙に感動してしまう。このカメラワークが思春期の2人のピュアな思いを、繊細に等身大に伝えてくれるのだ。カメラが動くことがこの上なく魅力的だと感じたのは、ペールが載っている原チャリの疾走感がスクリーンいっぱいに広がった時。私が求めているのはこういう映像なんだよね。日暮れの道路に動く原付のライトの明かりが白く浮かび上がる光景がとても好き。そんな美しいショットに心を奪われながら、2人の恋の物語にググっと心寄り添うのだった。ペールとアニカのドキドキ感やウキウキ感、せつない思いを共有せずにはいられない。時折照れくさくもなるほどに微笑ましい2人。甘酸っぱさがたまらなく胸がキューンとなる。

前半は、互いの思いが素直に伝えられずに気をもむ2人それぞれに感情移入。2人の視線を追うカメラがエモーショナルでまたいいんだよね。後半は、2人がすっかり両思いになっちゃって、揺れ動く思いに寄り添うという鑑賞の仕方を見失いそうになったのだけど、すると大人たちのてんやわんやの方にスポットが当たり、また別の楽しみ方ができたのだった。せっかくのパーティの場でいざこざが起こるのはいたたまれないもの。恋の幸福感でいっぱいのペールとアニカの無邪気な姿とはあまりにも対照的な大人たちの世界の軋轢なのだった。だから、森の夜明けのシークエンスも印象深いな。そして、大人というのはしがらみが多くてなんて面倒くさいんだろうと思ってしまうからこそ、2人の純度の高い思春期の恋のがより一層輝きを放つの。そんなきらめきがとても気に入ちゃった。

★★★★
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by CaeRu_noix | 2008-05-17 10:14 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(4)
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Commented by とらねこ at 2008-05-18 14:58 x
こんにちは、かえるさん。

>昔はこういうスタイルは受けなかっただろうというのも納得の
確かに、このタッチをこの時代で、というのは、きっと珍しいことなんですよね?
今でこそ、スタイルとしてすごく好きな撮り方だったりするのですが。
大人たちのてんやわんやも、おっしゃる通り別の楽しみ方が出来ましたね。
子供たちの無邪気さも、大人たちの行ってるパーティの愚かしさから遠いところにありながら、
その実、大人たちが憎めないような描き方が良かったです。
Commented by ぺろんぱ at 2008-05-18 20:56 x
かえるさん、こんばんは。
こちらの方はスルーしていましたが、『散歩・・・』とも『愛おしき・・・』とも違ったピュアな世界のようですね。
読ませて頂いていて今の作品世界との違いに驚きもし、ロイ・アンダーソン監督の若き頃の容貌に想像を馳せてしまいました。

かえるさんの「キュンキュン」に、観ていない私まで心が躍る感じでした。
できれば観に行ってキューンを共有したいですが・・・・。

しかし1970年に既に公開されていたとは驚きでした!
今しがた、手持ちのリーフを読んでみたら確かにそういう記述がありました。(ちゃんと読まないと駄目ですね^^;)
改めてリーフを眺めてみると、主演の女の子、凄く魅力的ですね。瞳に惹かれました。



Commented by CaeRu_noix at 2008-05-20 00:48
とらねこ さん♪
私もこういうタッチの映像スタイルは大大好きですー。
たぶんこの頃はこういう撮り方のものは少なかったんじゃないかと思います。
躍動感のあるドキュメンタリータッチな撮り方って、ステディカムカメラなんかが出てきてから、多用されるようになったのかなぁという気がします。
手ぶれドグマの発祥がデンマークですから、もともと北欧テイストなのかしらん?

そうなんです。2人のみずみずしい恋物語にそろそろちょっと飽きてきたかなぁなんていう頃に、大人たちのやり取りもまた新たな見どころになったのでよかったです。遅れて来た素面なパパが、もうハイテンションになっちゃっている人たちの輪に入るのって、ホントに気まずくて、ハラハラしましたし。ワインが割られて超ドキドキ。でも、そう、てんやわんやの大人たちを描く視線もあたたかったですよね。初恋物語にプラスアルファーな味わいがもたらされた感じ。
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-20 01:00
ぺろんぱ さん♪
これはもう甘酸っぱい青春ラブストーリーでしたよー。
あのロイ・アンダーソン監督が撮ったものだとは信じがたいほどに。
型にはまらずに、いろんなジャンル、いろんな撮り方にチャレンジする監督というのも多いとは思うけれど、作家性の強い監督の場合、どうしても特有のカラーが出ちゃうものですよね?ところが、これは例外中の例外です。まぁ、40年近く前の作品ですから、これほどの変化があっても不思議じゃないんですけどね。でも、ホントに意外ですー。今は偏屈オヤジになっちゃったのでしょうか?(笑)

本作は、ぺろんぱさんに以前興味を持っていただいた、ガスの『マラノーチェ』に通じるようなみずみずしさがありますですよー。

主演の女の子、すごく可愛かったです。今は、ロリコン男の増殖を防ぐためか??ローティーンの少女を艶めかしく撮っている映画って少ない気がするんですけど、本作は、主人公の男の子目線のみならず、監督やカメラマンの目線で"ロリータ""プリティ・ベビーの魅力に迫っている感じでドキドキしちゃうのがまたいいんですよー。ろりー
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