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『タパス』&『チーズとジャム』 in 「EU Film Days 2008」
2008年 05月 19日 |
今年もまたとーっても私好みの映画に出会えました。



フィルムセンターにて絶賛開催中の「EU Film Days 2008」 にて。
まずは、スペイン、スロヴェニア代表の2作を鑑賞。


『タパス』 Tapas

スペイン  2005年 監督: ホセ・コルバチョ、フアン・クルス

--年金で暮らすマリアノとコンチは病や孤独の不安を抱き、中年女性ラケルはインターネット上の愛にしがみつく。スーパーで働く2人の若者セサルとオポは漠然とした将来に不安を感じている。5人の行きつけのバールの経営者ロロは、新しい料理人マオを雇って、仕事以外の人生を発見する。登場人物それぞれの人生が交錯する、ちょっぴりほろ苦いが心温まるコメディ。--

大好きな群像劇。その舞台の中心となるのが、おいしそうなタパスの並ぶBAR<バール>っていうのがまた最高。舞台となるお店空間は三つ。ロロおやじが営む皆の憩いの場のBARに、ラケルが働く食料雑貨店、セサルとオポが勤務するスーパーマーケット。場所ごとにそれぞれが、従業員になったり、お店の利用客になったりしながら、言葉を交わし、それぞれ人生が交錯するのだ。皆それぞれに心配ごとを抱えていて、先行き不透明なんだけど、人との出会いや何気ない出来事を通じて、小さなハッピーを見つけ、また前に進んで行く。群像劇お馴染みのストーリーなんだけど、そのアンサンブルは素晴らしいものだったな。老夫婦が映し出される時は上質な落ち着きの中にせつなさが浮かび、若者コンビの登場時はハイテンショントークをかましてコメディ色が炸裂するっていうそれぞれのトーンに味わいがあった。極めつけのナイスキャラは、BARで働くことになった中国人のマオ。マオの名コックぶりはそれはもう見ていて気持ちがよくて、アジア人に対する偏見から解き放たれて、マオが認められていくのは嬉しくて。ずっと落ち込んでいたマリアノとコンチの2人のパーティもしみじみステキだったし。笑いと感動が散りばめられた愛すべき作品。演出、画作りにもセンスのよさを感じたのでこの監督はチェック。


『チーズとジャム』 Kajmak in marmelada

スロヴェニア  2003年 監督:ブランコ・ジュリッチ

--ボスニア出身のボージョとスロヴェニア人のシュペラは、チーズとジャムのように一風変わった組み合わせのカップル。生まれ育った環境は違うが、強い愛情で結ばれている。だが、働かないボージョについに愛想をつかしたシュペラは、彼が仕事を見つけるまで戻らない、と出て行ってしまう。ボージョは密入国者の搬送など怪しい仕事に手を染め、シュペラは懸命に働く彼を見直す。だが、そのシュペラにも実は秘密があった…。--

スロヴェニアの映画って初めてだなぁ。スロヴァキアじゃなくて。スロヴェニアもEUなんだ・・・なんてことに改めて気づく。映画としては、旧ユーゴの中で、ボスニアなどの方が馴染みがあったもの。でも、スロヴェニアの方が断然、景気がよくって、この国に移り住むボスニアの人々は偏見を持たれていたりするのだね。ボスニアやセルビア人は南部人なんていう言い方をされて、犯罪を起こすだのレッテルを貼られているのだね。それは結局、どこの国でも同じように、移民はよい仕事につけずに、負のスパイラルに巻き込まれるってやつ。そんな境遇のボスニア人のボージョを演じる監督でもあるブランコ・ジュリッチは、『ノー・マンズ・ランド』の主人公を演じたあの人ではないですか。味のあるよい俳優さんで、その上監督までしているとは知らなかった。その上、実生活の奥さんが美しい女優で相手役のシュペラを演じているのだ。役と同じスロヴェニア人。だから、この映画にはきっと実生活のリアルが詰まっているのかな。彼女に愛想をつかされ、何とか仕事をしようと奮闘するボージョ。笑えるエピソードがいっぱい。危ない仕事にはドキドキしつつ、こんなふうに不法入国させているのって現実なんだろうなぁと思う。2人のロマンス模様も、これがブランジェリーかなんかだったら勝手にやってくれーと思う所だけど、愛しの旧ユーゴなカップルの活躍は興味津々で嬉しいもの。ご勝手にーとは思わず、劇中の2人の思いにもグッと心掴まれたし。ブランコ・ジュリッチファンになっちゃった。


世の中では、映画といったら、英語圏のものっていうのが大多数のようだけど、私は身近でない国のものほどに惹かれるのだよね。そんなわけで、わりと馴染みのあるイギリスやフランスにとどまらず、EUの名の下、異文化体験できる遠い国の作品を味わえることはとても有意義。それがこんなにも好みな楽しい作品だったりするのだからもう言うことなし。
本当なら全ての未見作品を観たいくらい魅力的なラインナップなんだけど、フィルムセンターのスケジュールはなかなか行きにくいのが残念。でも、もう1日は訪れたいな。
ルクセンブルク作品、日本語字幕なしになったのは残念。
『西欧』が観たかったよー。
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by CaeRu_noix | 2008-05-19 23:58 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(4)
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Commented by シリキ at 2008-05-20 19:32 x
ああ、その映画二作とも私好みの気がします。行きたかったなあ。とにかく旧ユーゴというだけで(笑
そういえば、フィルムセンター、長いこと行ってません。
遠いし、スケジュールが...
『キンキーブーツ』観たい!
Commented by CaeRu_noix at 2008-05-21 00:16
シリキ さん♪
きっときっと、シリキさんも気に入られると思いますよー。
とりわけ、めったに観られないバルカンな映画には心躍りますよねー。
残念ながら、こちらはもう上映がないのだけど、スペインの「タパス」などはもう一度上映がありますです。
ご都合がつきましたら、是非足を運んでみてくださいー。
こんなによい作品が500円で観られるなんてやっぱり有難いです。
休日は混んでて、たいへんなフィルムセンターですが。
キンキーはこれからまだ2回ありますしー。
Commented by めも at 2010-02-12 13:00 x
CaeRu_noix様はじめまして。ブランコ・ジュリッチさんのお名前検索でやって参りました。当方、ブランコ・ジュリッチさんの情報を収集しつつ彼の応援をしております。
ブランコ・ジュリッチさんの作品を見て、ブログに感想を書いておられる方を見つけると、私はとても心強い思いで嬉しいです。
チーズアンドジャム観ました。最後にボージョとシュペラが別々の道を歩んでゆくのが印象に残りました。
次は「Triage(トリアージ)」という作品にブランコ・ジュリッチさんが出演するようです。
CaeRu_noixさんも心身ともにお達者で、映画を沢山ご覧になって多くの方を勇気付けてくださいね、応援しております。
Commented by CaeRu_noix at 2010-02-13 01:56
めもさん♪
はじめまして。訪問ありがとうございます。
『チーズ&ジャム』、よかったですよねー。
おお、ブランコ・ジュリッチさんを応援されているのですね。
めもさんはブログなどはやっていらっしゃらないのでしょうか?
日本ではなかなか情報を集めることも難しいかと思いますが、バルカン贔屓の私ゆえ、めもさんのような方がいらっしゃることが嬉しいです。
日本でも世界各国の映画がもっと多くの人に観てもらえる環境だといいのですが、旧ユーゴ圏の映画なんて全く珍しいものになってしまっていますよね。
私もぜひ、彼の新たなる出演作などが観たいので、どこかで上映される機会があることを待ち望みたいです。
ありがとうございます。バルカンな映画、世界各地の身近でない国の映画、これからもたくさん観たいです。
めもさんのジュリッチさんの応援を、その後ろから私も応援していますよー。
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