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『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』
2008年 06月 09日 |
雪は悲しみを覆い隠してくれるのだろうか。

結婚して44年になるグラントとフィオーナは平穏に暮らしていたが・・・。



1979年生まれの女優サラ・ポーリーが、長編第一作目の監督作品に、結婚して44年になる夫婦のドラマを選んだというから驚いた。そして、他の作品で先に共演したジュリー・クリスティに白羽の矢を立ててこの物語は紡がれ、見事にその主演女優に映画賞受賞の快挙をもたらしたのだから大したものだよね。少女時代から優れた個性派監督と組んで映画の仕事をしたきただけのことはあるその鋭い嗅覚が見事。鬼才監督アトム・エゴヤンからも多くの影響を受けたに違いなくて、時折エゴヤン的なエッセンスを感じる研ぎ澄まされた描写からは、とても初長編作品には思えないほどの才気とセンスがあふれていたと思う。エゴヤンの映画も真っ白な雪景色が印象的なものがあるけれど、本作もまた挿入されるクロスカントリーの場面には心掴まれた。目の前に広がる静まりかえった雪の大地の美しくも冷酷な姿にフィオーナの不安と悲しみが重なる。

選ばれた一つ一つのショットとその重ね方が巧みなので、始まってものの数分で仲睦まじく上品なこの夫妻に好感をもち、やがて襲いかかった不遇に心痛めずにはいられなくなって、この切ないドラマにどっぷりと浸かってしまうのだった。ポーリーが作り上げた空気と、ジュリー・クリスティとゴードン・ピンセントの素晴らしい存在感と演技によって、そこにいるのは紛れもなく44年連れ添った歴史ある夫婦だと感じられるの。紆余曲折はあったようだけど、固い絆で結ばれているお似合いのステキな2人。そして、ジュリー・クリスティの気品ある清楚な美しさにも感銘を受けずにはいられない。結んだりせずに肩に垂らした白髪がこんなに自然で魅力的だなんて。品よく格別におしゃれだったフィオーナが服装に無頓着になっていく姿を見たグラントはどんなにか失望をしただろう。

物語のあらすじを知り得た段階でこういったドラマに向き合うとどのような感情が引き出されるのかは予想はついていたはずなのに。老いというものを見つめる時、自分自身がそれに対峙することを具体的に想像することはもうちょっと先延ばしにしているものだから、こうやって映画の主人公に感情移入してそれを疑似体験することは、思いのほか心を揺さぶられるものなのだった。初めは、アルツハイマーの症状を認識し、その病に対する恐怖と、自分が自分でなくなっていくことへの不安に打ちひしがれるフィオーナの心情に囚われる。やがて、心寄り添う人物はグラントへと移行し、妻がかつての妻ではなくなっていく姿を目の当たりにする彼の戸惑いと心の慟哭に共鳴するのだった。『アイリス』を観た時にも思ったことだけど、妻の方が病におかされて、夫の方が平常であるという状態の方が、その逆のケースよりも見ていて居たたまれなくなっちゃうのだよね。

発病してほどなく、メドウレイクのような設備の整った施設に入ることができるのは恵まれているのじゃないかな。自宅で介護をしなければならないとしたら、また別の苦難のドラマが生まれるに違いない。それでも、一見恵まれた境遇にある人間にとっても、人生は皮肉に満ちていて、いくつもの試練が降りかかってくるものだなんて。世代が上の親などが相手ならば、もう少し冷静に現実に対処できるのだろうけど、年下の妻がまさか先に健康を害し、長年連れ添った夫の存在をも認識できなくなるということを簡単に受け入れられるはずはない。まさかこんな場所で嫉妬心を抱くことになろうとは。フィオーナは自分を罰するためにフリをしているのじゃないか、なんて疑いをつい言葉にしてしまうほどに気持ちが追い詰められてしまったグラントの憔悴がただただ切ないの。

悩めるグラントと共に気を病んだ後、彼の一つの決断に胸が締め付けられる。それが100%の目的ではないのだろうけれど、妻の健康回復のために、オーブリーを施設に戻すことを画策したから、マリアンの誘いを受け入れたのだよね。それはあまりにも屈折したカタチで表れたのだけど、迷走しながらも深い愛情に裏打ちされていると感じられるから、深く溜息をついてしまう。きみ読むのような単純にきれいな心温まるラストなどとは大違いの何とも複雑で込み入った状況。これもまた人生だと達観できるようになる日は来るのだろうか。そこには一目瞭然のハッピーエンドなんて訪れはしなくて、グラントの真剣さをただ見守るしかできないのだった。愛は無償のもの。

でも、彼らがステキな夫婦であったことは揺るぎない事実なのだし。
一筋縄ではいかないけれど、心に染みわたる味わい深い作品。
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by CaeRu_noix | 2008-06-09 23:40 | CINEMAレヴュー | Trackback(26) | Comments(20)
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Commented by えい at 2008-06-11 09:09 x
こんにちは。

>でも、彼らがステキな夫婦であったことは揺るぎない事実なのだし。

なるほど。
いろんな解釈が成り立つ映画ではありましたが、
この観点から読み解けば、一本の筋が通ってきますね。
自分は、ちょっとひねくれているのかも、
なんて思ってしまいました。
Commented by margot2005 at 2008-06-11 20:40
こんばんは!
このご夫婦素敵でしたね。
設定では夫は恐らくかなりで年上で、年若い妻が認知症になるなんて、さぞかし辛いことだったでしょう。
“フィオーナはあのような安物のセーターは着ない。”というグラントの台詞にはジーンときましたわ。
ノルディック・スキーのシーンもとても美しく、久しぶりに心洗われる映画を観た思いです。
Commented by ぺろんぱ at 2008-06-11 21:53 x
TBありがとうございました。
複雑で、幾つもの想いが交錯し、どれも(現事象としては)報われないという居たたまれないラストでしたね。
かえるさんの仰る通り、「深い溜息」をつくしかないような・・・。

>彼らがステキな夫婦であったことは揺るぎない事実

そうなんですよね!
そこを、観ている我々も忘れてはいけないことなんですよね!
そしてやっぱり、その時その時のその一瞬の大切さというものをしみじみ感じるのです。
Commented by CaeRu_noix at 2008-06-12 00:49
えいさん♪
多様な受け止め方ができるところが味わい深いですよねぇ。
時間軸が組みかえられていたせいもあるんだけど、自分の後味としてはマイナスな気分ではなかったんですよね。
運命の皮肉さに溜息をつきつつも、回想シーンのキラメキやら、やっと思い出してくれたことの刹那の喜びやら、紆余曲折あっても44年夫婦の絆を保ってきたこと、彼がこれほどに苦しむほどに彼女を愛していたこと、などに豊かな気持ちになれたという感じです。せつなさmixな潤いリッチ感。
やるせないことはいくつもあるけれど、悪意はどこにもなくて、愛があるーってことはやっぱり感動的に思えるのかもしれません。
私はひねくれ者ですが、何かに感動をする時はいつも単純なパターンを踏んでいる気がしますー
Commented by CaeRu_noix at 2008-06-12 00:53
margot さん♪
完璧、理想的にステキな夫婦でしたねぇ。上品でハイソ。
冒頭の2人で静かに食事をするシーンからして穏やかで仲睦まじい感じが伝わってきて。
こういった場所に住んでいるからこそなんでしょうけど、2人でクロスカントリーをするなんていうのもすごくステキだなぁって。
フィオーナは品よく美しく、あんなにおしゃれでファッションセンスもよかったというのに、野暮ったいセーターを着ていたのはショックでしたよね。
美しく素晴らしい妻というのは罪つくりな存在ということでしょうか。
カナダの大自然、ロケーションの素晴らしさが物語にマッチしていましたよねー。
雪景色が自分の心にも広がるようなカンカクがあったかもしれません。
Commented by CaeRu_noix at 2008-06-12 01:00
ぺろんぱ さん♪
複雑でしたよね。皮肉でしたよね。
でも、報われなかったから居たたまれない、という心境には私はならなかったような気がしますー。
時間軸入れ替えのせいでガツンとショッキングに感じられなかったというのもあるのかな。
思いが届かないことそのものにはやるせなさを感じたのだけど、思い描いた通りにコトが運ばなかったことについては、そんなに心に引っ掛からなかったようなカンジなのです。
そんなものかもしれないなーって思ったのでしょうか。
ただ、グラントのまっすぐな思いがそこにあったことにジーンとしたのかな。
終わりよければすべてよし、というわけでもないはずだし。
グラントには、現状を受け入れて、今までとは違う愛し方をしてほしいなぁと思いますです。
そこにある思いと一瞬の輝きに感じ入りますよね。因果よりも。
Commented by minori at 2008-06-14 12:19 x
かえるさん、こちらではお久しぶりー。
若いサラ・ポーリーがいくら原作があるとはいえこんなテーマをもってくるなんてちょっと意外でした、が、彼女らしいっちゃあそうかもしれないですね。ジュリー・クリスティーの上品で、でもかわいらしいフィオナがステキでした。ゴードンさんのこのグラントの演技もそれはもう見事でしたよね。ラストは確かに皮肉だけど、それはそれでよかったのかなぁとも思えたり…何だか考えさせられました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-06-16 08:06
minori さん♪
訪問ありがとう。
今回は二度目ということで、サクッとネットも始め、映画もご覧になっているのねー。というわけで、こちらも英語での鑑賞とは尊敬しちゃいます。
ホント、他の同じ年の女優がこういうテーマで映画を撮ったりなんてしたら、何を背伸びしてんだかーって思うかもしれないのですが、サラの場合はらしいよなぁって思えますね。
ジュリー・クリスティーは本当に美しくてビックリしました。そして、ゴードンさんの演技も素晴らしかったです。彼の複雑な心情にはググっとハマってしまいましたもの。
シニカルさもまたオツながら、それほどに悲劇的とは思っていないのですよね。ホント、いくらでも、よい部分をとらえることはできるわけで。しみじみ味わい深いのです。
minoriちゃんのご実家は、地震の被害はなかったでしょうか?
Commented by minori at 2008-06-16 22:17 x
どうもです。かえるさん、『ノーカントリー』は見ました?ってここに書くのもなんですが…ごめんなさい。さっき見終わったんですが、これはさすがにアメリカ英語が厳しく、多分半分も理解できなかったかも、と思ってこちらにお邪魔したんですけど。ケリー・マクドナルドのブリティッシュイングリッシュしかわかりませんでした(笑)アメリカ英語とは相性の悪い私です。
この映画もノーカントリーも静かな映画、という意味合いでは似ていますがやっぱり味わい深い(まぁある意味あれも味わい深いものの)こっちのほうがすんなり入り込めました。ゴードンさんはカナダ人ですよね。サラもカナダでしたっけ?

あ、地震は大丈夫だったみたいです。ご心配ありがとうございますー。
ネットはようやくつながったんですよー。一ヶ月、長い道のりでしたー。
と関係ない話でお邪魔してすみませんでした!
Commented by CaeRu_noix at 2008-06-17 01:28
minori さん♪
ノーカントリーはもちろん観ましたよ。
が、コーエン兄弟好きな私として、それほどにしっくりとこず、引っ越し等で忙しい時期でもあったのでレヴュー書きは省略しちゃいました。
アメリカ英語、それもテキサス訛りという感じだったのかしら?
そんなに台詞が多い作品ではなかったかもしれませんが、トミーリー保安官の台詞などがわからないとちょっと面白みがないかもしれませんね。
ってか、字幕ありでも、意図がわからない部分もあったりしたのだけど・・・。
おかっぱハビエルの不気味さを味わえればほぼOKという話もあります。(笑)
サラポーはカナダ人です。アンチハリウッドを貫いているのがカッコよく。
ゴートンさんの出演作、これまでに3本も観ているのに名前と顔を覚えていなかったです。素晴らしい俳優ですねー。
カナダ映画ってあまり日本には来ないけど、卓越したものが多いと思うのです。

ご実家、ご無事でよかったです。前も大きい地震あったというのにね。
いえいえ再訪ありがとうー。また日記を読みにうかがいますー。
Commented by cinema_61 at 2008-06-20 21:16 x
こんばんはかえるさん。
今日友人3人と観てきました。感想はみなさんがおっしゃるとおり、ジュディの気品ある風貌や、年老いてもお互いを思いやる愛に感動!これは大人の童話なのかなと思いました。現実にアルツハイマーになった人をみているので、こうはいかない・・・・・・。
ところで、ラストですがフィオーナはグラントに迷惑をかけたくないので、オーブリーとの恋を演出したのではないのですか?それともグラントへの復讐のつもりでしょうか?彼女のほうからプロポーズしたのでしたよね。アルツの特徴として、直近のことはすぐ忘れるということもあって、ラストではフィオーナはオーブリーのことをすっかり忘れていたと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2008-06-21 22:41
cinema_61 さん♪
ジュディの気品には惚れ惚れしてしまいましたよね。
でも、そうですね。大人のおとぎ話という感じではあるかもしれません。
ものすごく、シビアな現実を描いていながらも、彼らの姿は決してみっともなくなるようなことはなく、美しいままなのですよね。
現実にはなかなかこうはいかないのかもしれないなぁとは思います。

私は、フィオーナが作為的に何かをしたとは全然思わなかったのです。アルツハイマーになった人の精神状態などをよくわかってはいない私ですが、彼女がグラントへの復讐なんてするはずはないと思いました。(もちろんその言葉は彼の方の苦境においての勝手な被害妄想的な思いつきだったんじゃないかと。)オーブリーのことも、グラントに対する当てつけでも、思いやりでも何でもなく、本当に恋をしてしまったのでしょうって。とにかく私はフィオーナが、演技をしたり、グラントを騙そうとしたりしたなんて一切思わなかったですよ。なるほど、そういう解釈もあるのですかね。
Commented by 真紅 at 2008-06-22 01:45 x
かえるさん、こんにちは。これ、なんとも複雑な映画だったと思います。
観る前に予想していたのとは、全然違うお話でした。
まず、ずーーーっとグラント目線じゃないですか。
自分は女だから、どうしてもフィオーナの立場になって観てしまうわけですが、段々グラントの気持ちになってくるんですよね。
いや、あの看護士さん目線だったかも・・・。
「彼女は僕を罰してるのかもしれない」「えー、そんなことないって!」と心で言ってる私。
無償の愛も感じたけれど、人間の心の複雑さを一番感じたかもしれません。
ではでは、またですー。
Commented by CaeRu_noix at 2008-06-23 00:10
真紅 さん♪
なんとも込み入った複雑なことが描かれておりましたね。
その一筋縄ではいかないところ、皮肉なところがまた見ごたえありましたが。
そうですね。ほとんどずーっとグラント目線でありました。
まぁ、アルツハイマーの人の主観で物語られているものってあまりなさそうだし。
で、私は描写に沿って、主にグラントの立場で見ていたような気がします。
男の人の方がこういう事態には弱いのかもしれないなぁって思います。
『アイリス』のだんなさんは素晴らしかったけど、入院後はどんな感じだったのでしょうか。
サラポーの嫌いなハリウッドものは、人間がとても単純に描かれることも多々あるので、こういうのはらしいなぁって思いました。
にしても、30前の初長編でこうくるのはすごいですよね。
Commented by jester at 2008-06-25 18:38 x
こちらにも。
EPの前に見た作品なのに、今頃やっとレビューを書きました。ふう。

>ジュリー・クリスティの気品ある清楚な美しさにも感銘を受けずにはいられない。

本とにね、美人は年取っても得ですわ。いや、努力もしてるんでしょうけどね。
jesterは彼女にすごく感情移入して見てしまいました。
だってグラントが若い頃浮気してた時、彼女はどれだけ傷ついて寂しかったか、って考えると、グラント、許せねえ! はあはあ。(つい興奮してしまいました)

>メドウレイクのような設備の整った施設に入ることができるのは恵まれているのじゃないかな。

この辺は日本との格差に驚きました。
まあカナダでも恵まれているのでしょうけれど、日本の老人病院やアルツハイマー施設って、私の知る限りもっと暗い感じがします。

ああいうところなら今すぐにでも入りたい(違

しみじみといろいろ考えさせられた良作でした。


Commented by CaeRu_noix at 2008-06-26 00:23
jester さん♪
このお歳でこんなに美人な女性ってなかなかいないですよね。
若い頃には正統派の美女でも、ある程度の年齢になると、バランスが崩れてしまうのが普通かと・・・。
特別な美容方法があるのでしょうかね。自然なものだったら素晴らしいです。

フィオーナに感情移入しましたかー。
私もフィオーナのせつなさには共鳴したのですが、ドラマの語り口に従って、後半はグラントの立場から見ていた私です。
「アイリス」でもそうでしたが、ずいぶん昔の浮気のことなんかが、忘れ去られることはなく、蘇ってくるものなんですね・・・。
フィオーナも苦しみ、今になってグラントもそのことを苦にすることになるというのは痛々しいです。
あの施設はなかなかゴージャスでしたね。日本でもお金持ち用にそういったこぎれいなところがあるのかもですが、一般的な病院や施設はもっと無機質な感じですよね。そう、彼女の個室は私の部屋より居心地ヨサゲでしたし。w
味わい深い作品でしたねー
Commented by mchouette at 2008-07-07 16:16
かえるさん、TBありがとう。
いつもながら人気のブログ!
みなさん、それぞれ素敵な感想よせられているから、私はスルーばかりです。
それにこれは感想はかけなかった。自分と重ね合わせたり、とっても現実問題としてみてしまったわ。
いまも思うのが彼女の選択は良かったのだろうかって思う。
介護の問題と絡むんだけど、夫婦の問題として二人の間で葛藤してほしかったなって思いも強いの。オーブリーとの間に本当に愛があれば救われるのだけれど。最後まで彼女は夫への愛から逃げていたんではないかなって思うとこもある。
Commented by CaeRu_noix at 2008-07-08 23:06
シュエットさん♪
ありがとうございます。
や、たぶん、人気とかじゃなくて、自分が語りたいミニシアター系作品については、余裕があれば自分からもお仲間探しをしているからなんですよ。
お返しの義理抜きでコメントが多いところは本当の人気ブログなんでしょうね。
トラックバックについては、その作品を観ている人、記事を書いている人の多いものは、何もしなくても多くついたりするので、それこそ人気とは関係ないですよね。
私個人的には大勢が観ている拡大上映系作品は基本的にどうでもよくて(でも、JUNOはとびきり感動したので例外)、こういう大人な作品の方で語り合いたいと思うのですよー。

私はどうも、こういう展開とか、死ぬまでにしたい10のこととか、ぼくを葬るとか、みたいに孤独な決断にグッときてしまう傾向にありますが・・。
「夫婦の問題として二人の間で葛藤してほしかった」とおっしゃるシュエットさんは素晴らしいです。そうあるべきなんですよね、本当なら。
Commented by Nyaggy at 2008-08-04 13:06 x
かえるさん、こんにちは♪お久しぶりです。
テーマがシビアだけに、上映中は色々と考えながら見ていたのですが、
不思議と後味は悪くないんですよね。ハッピーエンドという訳でもないんだけれど。
痛いとか悲しいというよりも、グラントの一途な愛情が、ひたすら切なかったです。
ジュリー・クリスティとゴードン・ピンセンの夫婦役は素晴らしかったですね。
本当に、長年連れ添った夫婦のように見えました。

サラ・ポーリー、良いですね~。
女優としてもモチロン好きですが、これから先の監督業も楽しみです。
Commented by CaeRu_noix at 2008-08-05 00:38
Nyaggy さん♪
お久しぶりですー。暑いですねー。
この暑さの中で、カナダの雄大な雪景色の映像を見るのは涼みますねぇ。
そうなんですよ。私も後味は悪くなかったです。
なんて、シビアでへヴィーなことをつきつけるのだろうと、やるせなくなったり考えさせられたりしたものの、そんなにドヨンと気が滅入ったりはしなかったんですよね。きみ読むのような映画もあったからこそ、この切実なリアルに、おおっ!と思わせられたり。こういう状況になってやっと自覚したのは皮肉だとしても、2人の思いの強さには心打たれてしまうのでした。グラントの心情がホントにせつなかったですよね。
そんなふうに観客の気持ちを引き寄せた2人の演技がまた見事で。冒頭の数分間ですぐさま、長年連れ添った夫婦に見えましたよね。
そんな演出をサラリとやってのけたサラもまた恐るべしなのでした。
女優業も監督業もがんばってほしいですねー。
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