かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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第17回東京国際L&G映画祭
2008年 07月 22日 |
今年17回目の開催という歴史ある「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」に初めて行ってみました。



興味を持ちつつも、去年までは参加に至らず。が、今年は、カンヌ映画祭にも出品された私好みのフレンチポップなミュージカルが、上映作に含まれていることを知り、これは行かなくちゃーってことになり。

おまけに今回は会場が、恒例の青山スパイラルホールだけじゃなく、新宿のシネコン、バルト9も加わって、設備もよさげなのもポイント。そういう独自色の強い映画祭にはちょっと行きにくいと思う人たちも新宿のシネコンならば気軽に足を運べるわけだし、コアな人たちも新宿二丁目に流れやすいし?

結局、スパイラルホールにも行ったのだけど、独特の熱気が感じられるような気がして、なかなか面白かったです。ドラァグ・クィーンな装いの方も見かけ。でも、やっぱり純粋に映画を観るのが目的である場合、あの座席は快適ではないなぁ。というわけで、個人的にはバルトな会場が加わったことはかなりよかったな。

この映画祭に行きたいとこれまで思わなかった理由の一つは、そういうテーマの作品を集めたに過ぎないというんじゃ、それほどの水準のものは望めないんじゃないかという気がしたから。でも、思った以上にちゃんとしていたというか、世界の映画祭で好評だったものが選ばれていることもあり、ほとんどが楽しく見ごたえのある作品でした。

題材として、ゲイムービーに特に惹かれるというのはないんだけど、フランソワ・オゾンやペドロ・アルモドヴァルの映画が大好きな私ゆえに、同性愛者が登場する映画にはごく自然に馴染んだ気がするわけで。ガス・ヴァン・サントもジョン・キャメロン・ミッチェルもトッド・ヘインズも好き。彼らの素晴らしき感性を思うと、差別どころか崇拝すらしたくなるセクシャリティかもね。

といっても、芸術の世界とは違い、一般の社会はマイノリティに冷たかったりもするわけで。同性愛行為が犯罪という国もあるわけで。こういった映画やイベントが追い風になるなら何より。

自分はヘテロとして生きてきたのですが、こういう映画ばっかり見続けていると、誰でもちょっとしたことでバイセクシャルになれちゃうのかもしれない?と思えてきたりして・・・。

--鑑賞した作品メモ

『愛のうた、パリ』 Love Songs  のレビューは別記事にて。
動画を何度リプレイしたことかというほどに中毒症状をもよおした・・・
とびきり気に入ったミュージカルなシークエンスがありました。
サニエたん萌え~。 って、そういうのもレズッ気?



『ニーナの幸せレストラン』 Nina's Heavenly Delights
 UK
突然の父の訃報で3年ぶりに故郷スコットランドに帰ってきたニーナ。だけど悲しみに浸っている場合じゃなかった! 父が残したインド料理レストランがカレーコンテストにエントリーしていたことを知り、ニーナは代わりに出場を決意。幼なじみでレストランの共同経営者でもあるリサと、オリジナルカレー作りに挑戦。キッチンでニーナとリサは恋に落ちるが…。ライバルカレー店、家族や親戚、ニーナの親友でドラァグクィーンのボビも加わり、華やかに展開するロマンティック・コメディ決定版!

カレーを作るシーンやらダンスのレッスンシーンやら、エンタメ要素にあふれたとにかく楽しい作品でした。インド系でレストランもので群像劇なんて、題材的に好みの要素がいっぱいだったのだけど、映画祭で皆で笑って観るにふさわしいものでした。ボビのキャラがよかったなぁ。


『シェイエンヌを探して』 Looking for Cheyenne
 France
ジャーナリストのシェイエンヌと高校教師のソニアはパリに住むレズビアン・カップル。でも、仕事にあぶれたシェイエンヌは都会暮らしにうんざり、と、田舎に引っ越す一大決心をする。一方、仕事も今の生活も捨てられないソニア。お互い愛しているのに、仕方なく別れてしまうふたり。パリに残されたソニアは、シェイエンヌを忘れるため次の相手を探そうとするけれど、やっぱり難しくて…。「愛」だけじゃ生きられない女の子たちの恋と悩みを等身大に描き出すモダン・ラブ・スケッチ。

これは、題材ではなくて、まりちの字幕が鑑賞動機だったのだけど、エンタメ度は低いながら、こんなふうにぷち哲学しちゃったりするものは結構好きなので、興味深く観られました。シェイエンヌはジャーナリトだったわりには、思想が偏り過ぎな気がしたのだけど、ゆえにハラハラ。


『彷徨(さまよ)う花たち』 (漂浪青春) Drifting Flowers
 台湾
第1話の中心は8歳の少女メイ。年の離れた姉の恋人でボーイッシュなディエゴにメイが抱いた淡い恋心は悲しい結末に…。第2話は偽装結婚をしたレズビアンのリリーとゲイのイェンの物語。老いた旧友同士が再会した時、ふたりはアルツハイマーとHIVという問題をそれぞれ抱えていた。第3話ではボーイッシュなディエゴが主人公。10代の彼女の悩み、恋そして成長が描かれる。ユーモアとペーソスに彩られた3つの物語は繊細に絡み合い、やがてひとつの感動へとつながる。

三つの物語が交差するという構成も好みだし、主人公が目の見えない歌手だったり、映画的要素にあふれた詩的なものだったのが好感触。台湾ニューウェーブの作風は好みなのです。せつなくてよかったんだけど、映写トラブル?で2話目は字幕なしで観ることになったのが残念。それでも充分な手ごたえはあったけど。


『シェルター』 Shelter
USA
オレンジ・カウンティ、カリフォルニア。アートカレッジへの進学をあきらめ、姉と5歳の甥との暮らしを支えるためダイナーで働くザック。彼の平凡な毎日を変えたのは、小説家、ショーンとの出会い。失恋から立ち直るためLAから故郷に戻ってきたショーンはザックの優しさに惹かれ、すぐに意気投合。海でサーフィンを楽しみ、ビールを片手に互いの作品について語り合いながらふたりは恋に落ちる。西海岸の眩しい太陽の下、悩み、迷いながら自分の道を選んでいく青年のフレッシュな夏物語。

青い海でサーフィンシーンも爽快で、カメラワークや音楽のセンスのよさを感じた好みのタッチの作品でした。主人公がサーファーで絵も描くなんてズルいほどにツボ。でもって、このゲイカップルは見た目も絵になる魅力的な2人だったなぁ。2人が接近する過程がとても丁寧に描かれていて、ドラマにもハマれた。


『シェイクスピアと僕の夢』 Were the World Mine
 USA
夢見る男子高校生ティモシーはミュージカルが大好き。学校の授業でシェイクスピアの「真夏の夜の夢」の妖精パックを演じることになったティモシーは、台本に出てくる伝説の媚薬のレシピを偶然見つけてしまう! まずは薬で学年の人気者ラグビー選手を自分に夢中にさせ、ティモシーの次なる野望は...町全体をゲイ・フレンドリーにすること! 世界各国の映画祭で数々の賞に輝いた、観たらゼッタイ幸せになる、ホットでキュートなハートフル・ミュージカル。

「真夏の夜の夢」のきらびやかミュージカルが目的だったんだけど、それは学園祭の演目ゆえにさほどエクセレントでもなく、曲調が好みじゃなかったです。これは会場大爆笑だったんだけど、ひょっとして私は笑いのマイノリティかもって思うほど、ホレ薬で惚れちゃう描写の連続にいちいち笑うことはできませんでした。鑑賞環境が悪かったというのもあるのですが・・・。


こうやって、いろいろな国の作品をまとめて観ると、ひとえにゲイセクシャルを描いた物語といっても、国の文化の違いによって、テーマ、方向性も異なるのがわかっておもしろいです。同性愛者が当然のように存在して、それをむやみに隠そうとはしないフランスのような国もあれば、それは秘め事となり、葛藤の材料となる国も多い。当事者同士の関係の問題の前に、その愛の形を自身が素直に受け入れることや、周りの人たちにもわかってもらうことが、まだまだ大きなテーマの一つとして、立ちふさがっているのですね。
なんて考察もしつつ、基本的にはテーマに気負わず気軽に楽しめる作品がほとんどでした。
フェードアウトしちゃう映画祭も少なくはないけど、これはずっと続けてほしいですね。
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by CaeRu_noix | 2008-07-22 22:42 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(10)
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Commented by kusukusu at 2008-07-23 00:33 x
こんばんは。僕は『愛のうた、パリ』しか見なかったのですが、かえるさんはしっかり6本も鑑賞されたのですね。脱帽です。
ゲイの映画がレベルが低いなんてことはまったくないような気がします。むしろ、ゲイの監督のほうがレベルが高い、いい監督が多いような気がします。
日本の若手監督でも、橋口亮輔、大木裕之、鈴木章浩、いずれも素晴らしいですよ。
だからこの映画祭、気にはなっているんですが、なかなか通うまではいかなくて・・。
そういえば、「海から始まる」さんの記事を見て思い出したけど、昔、この映画祭にいってコンドームを配っていて面喰らった覚えがあります(笑)。あれ、なんの映画を見たのかが思い出せない。グレッグ・アラキの映画だろうか?
Commented by D at 2008-07-23 01:59 x
Were the World Mineがものすごい見たいDです
なんか、いいよ!!って友達に言われたのは数ヶ月前なんですけど
いまだに映画祭に出るような映画なのでDVDもまだだろうし
一般公開は・・・たぶんオーストラリアだからないだろうし
葛藤

とりあえずかえるさんとは映画の趣味が合いそうな気がしてきました
フランソワ・オゾンが好きという時点で!
とりあえずジャンルを気にせず雑食のDでございます
Commented by BC at 2008-07-23 22:05 x
かえるさん、こんばんは☆

画期的な映画祭ですね。
東京は映画祭や特集上映が充実していますね。
(大阪でもやってほしいなこういう映画祭。)

同性愛を通じて、国々の文化や思想が見えてくるというのも
観ていて様々な発見がありそうですね。


P.S.
私はこういう映画祭って昼間に誰か誘って観に行くというよりも
夜に一人でこっそりと観に行きたいかも?
Commented by CaeRu_noix at 2008-07-24 00:25
kusukusu さん♪
結局、6本観ちゃいました。それも、愛のうたは2回。(笑)
何の映画祭でも、どうせ足を運ぶなら、何本か観ようという方向に向かう私なのです。
ゲイ監督の方がむしろレベルが高いかも、というのは同感です。ただ、この映画祭は、監督がゲイっていうんじゃなくて、物語の内容がそういうものを集めているわけなので、オゾンクラスの上映作があるというものでもないじゃないですが。実際、ちょっと素人くさいつくりと思える作品もあったし・・・。でも、わりと厳選はされているようなので、他の映画祭と変わらない水準といえるのかな。ゲイ監督映画祭だったら、質の高さはより確信がもてますね。
昔は来場者にプレゼントもあったのですね。
映画祭じゃないけど、『メルシィ、人生』の初日プレゼントかなんかで、サガミオリジナルをもらったことはありますー。
Commented by CaeRu_noix at 2008-07-24 00:28
D さん♪
「Were the World Mine」も楽しいミュージカル作品でしたよー。
ご覧になれる機会があるといいですねー。
英語の作品だから、そのうちDVDリリースされるかもしれないですしね。

おお、趣味が合いそうですか。
オゾンが好きというなら、お友達になれそうですね。w
私もジャンルはあまり問わないんだけど、メジャーなものにはあまり興味がなくて、日本の普通の映画ファンの支持の少ないものがどうも好みなのでした。
Commented by CaeRu_noix at 2008-07-24 00:37
BC さん♪
こういうテーマの映画祭が17年も開催されていたとは素晴しいですよね。
90年代の初めなんかだったら、自分ももうちょっと色眼鏡で見ていたような気がするので、関係者の皆さんはよくがんばってきたのねって思います。
いろんな映画祭が大阪でも開催されているように、これも関西会場でもやってほしいですよね。
大阪人のドラァグクィーンさんもまた愉快そうだし。
そうなんです。国際映画祭だけあって、いろんな国の作品が観られるのも魅力でした。
当事者の皆さんはわりと連れだって来ていた印象ですが、夜1人でこっそりというのもいいかもしれません。
Commented at 2008-07-24 23:03 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by CaeRu_noix at 2008-07-24 23:55
 ♪
前にコレ試したことがあるのですが、大した数字は出なかったような・・。
で、今やってみたら、私も0.0でしたよ・・・。
他のURLで試したら、ちゃんと数値は出たので、ブラウザ環境等の問題じゃないみたいだけど、自分とこは何度やっても0.0でした・・・。
というわけで、自分で高数値を確認できなかったので、その結果はあまり信じていないのですが、とりあえずありがとうございます。
でも、実際、私のとこはそんなに大したことはないっすよ。ホント。
トホ
Commented by とらねこ at 2008-07-27 21:52 x
>彼らの素晴らしき感性を思うと、差別どころか崇拝すらしたくなるセクシャリティかもね
まさに同感!の一言です。むしろ、彼らの方がセンスがあるんですよね、ヘテロより。絶対www
最近、オンラインで毎日のように話す、中国は重慶に住む女性が、11年下のレズビアンの方なんですyo。
とってもかわいくって、ブログがついおろそかになってます^^;
リアル友にも是非とも欲しいですね~。ホモセクシャルな方♪
前のバイト先には結構居ましたが、素敵で面白い人が多いって気がします。
Commented by CaeRu_noix at 2008-07-27 23:30
とらねこ さん♪
ゲイセクシャルなアーティストの感性って、本当に素晴らしいですよね。
女性的な繊細さを持ちつつ、理性的にクレバーで、バランスがよいなぁと。

中国って、まだ同性愛者への風当たりは強そうなイメージがあるんだけど、屈託なくそういうお話をしてくれるっていうのは楽しいかもしれないですね。
全てがそうとは限らないのかもしれないけど、ゲイの人ってやっぱり面白い人が多そうですよね。お友達には是非ほしいかもー。『ハッシュ』の片岡さんになりたいと思ったし。『猫が行方不明』のゲイのルームメイトってのも羨ましいーって思ったし。ゲイ男性ならば、勘違いされることにバリアを張ることなく、親しく接することができそうなので、男友達としていいよなーって昔から思ってました。といいつつ、身近にはいなかったっす。そんな知人がたくさんいるとらねこさんはサスガー。
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