かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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ミロス・フォアマン!!
2008年 08月 03日 |
「第30回ぴあフィルムフェスティバル」の「巨匠ミロス・フォアマンの世界」鑑賞メモ



ミロス・フォアマンの初期の作品が上映されるというのはこれまた嬉しい企画でありました。フォアマン監督がチェコの出身だということは知っていたけれど、政府に作品の公開を妨害されたことやソビエトの侵攻がきっかけでアメリカに移住したということは認識していなかったなぁ。そして、両親をアウシュヴィッツで亡くした戦争孤児だったということも。そんな人生の中、映画作家としての才能を花開かせたなんて素晴しい。

フォアマンといったら、アカデミー賞を受賞している『カッコーの巣の上で』(75)や『アマデウス』(84)が代表作ということになるのだろうけど、初期のチェコ時代の作品も外国語映画賞にノミネートされていたりしたのだね。私は去年レンタルDVDで 『ブロンドの恋』 (65)を観て、テイストを大いに気に入ったので、他にレンタルでも見かけていたタイトルもあったけど、この時代の他の作品も是非ともスクリーンで観たいなぁと思ったの。というわけで、今回鑑賞した三作品もとても気に入りました。やっぱりヌーヴェルヴァーグなみずみずしさって大好き。

歳を重ね経験を重ね円熟していく映画作家も多いのでしょうけど、やっぱり若い頃の感性というのってこの上ない魅力があるんだよなって思う。今年観たロイ・アンダーソン監督の『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』(69)、ゲオルギー・ダネリア監督の『モスクワを歩く』 (63)もそうだったのだけど、モノクロームの映像がキラキラと輝いているのだよね。躍動感とみずみずしさに理屈抜きで心掴まれて、愚かで滑稽な人々を微笑ましいと感じさせてくれる。評価されるのは決まって高尚なテーマを描いた重厚な映画の方なんだけど、コミカルに軽やかに弾むこんな映画たちが私はとても好き。

ミュージカル映画 『プラハ!』  のことを思い出しつつ、この頃のチェコの様子がとても興味深くもあった。ダンス・パーティのようなイベントがしょっちゅう行われていたのかな?そこにあるドタバタは抑圧の挟間にある自由なのかなって思うと、青春を謳歌する彼らがとても愛おしいの。


『黒いピーター』 BLACK PETER 1964
1947年を舞台にした原作小説を、1960年代に置き換え映画化。主人公ピーターは、セルフ・サービスの食料品店で万引き監視人の職を得る。父と店主は、彼にに責任ある人間になって欲しいと願うが、それは密告者になること。ピーターは抵抗する。
前例のない斬新なカメラワーク、素人の出演者たちのみずみずしい演技など、チェコ映画界にニューウェイブを巻き起こした革命的デビュー作。

ピーターじゃなくて、ペトルくんですね。字幕はちゃんとそうなっていたけど、タイトルは変えられないんだろうか。
ペトルくんったら、なかなかカッコいいじゃない。おまぬけさんなのかと思えば、意外と計算高かったりして、愛嬌満点。登場人物はみんなどこか抜けていたりしてリアルで人間くさいのだ。
これがチェコ・ニューウェイブの到来だったのか。カッチリとした起承転結のある映画が当たり前であったのなら、確かに斬新な試みだったのかもしれないね。気まずい空気だとか、じわじわと醸し出されるあふれるおかしみが最高。


『消防士の舞踏会』 THE FIREMEN'S BALL 1967 (DVDタイトル「火事だよ!カワイ子ちゃん」)
アメリカ移住のきっかけとなった風刺喜劇。消防士たちが先輩慰労のためのパーティーを企画する。美人コンテストや商品満載の福引など、どんどん混乱の高まる会場。遂には火事が起きてあたふたと現場に駆けつけるも家は全焼。焼け出された老人の行く先は?最近見かけない“いい顔”した消防士や老人たち満載の暗喩に満ちた力作だが、政府の逆鱗に触れお蔵入りに。
大阪ヨーロッパ映画祭
厳しい検閲に引っ掛かったのか政府に公開妨害されたという作品。これをまずいと思うほどに政府の人たちは自覚があったということか。その当時のチェコに限らず、どこのお役所もどこの組織も多かれ少なかれこういう側面をもっているよね。体裁ばかりにこだわって、私利私欲を満たすことに職権利用しちゃうオジサンたちは万国共通。そんな彼らの思惑通りにはいかず、それをシニカルに笑い飛ばすのは痛快。


『パパ/ずれてるゥ!』 TAKING OFF 1971  
アメリカで撮影されたが、フォアマン自身は「自分の最後のチェコ作品」と呼ぶ。ニューヨーク郊外に暮らす10代の娘ジーニーと、親の溝をユーモラスに描きながら、ヒッピー文化に迎合しようと無理をする中年世代を冷ややかにみつめる。グリニッチ・ビレッジ、セントラル・パーク、イースト・ビレッジなどにたむろする若者に取材し3人がかりで書き上げた脚本を演じるのは、多くが素人で構成された出演陣。若き日のカーリー・サイモンやキャシー・ベイツの歌唱も目撃できる、驚くべき皮肉と批判の込められた快作。主演は脚本家のバック・ヘンリー(「卒業」など)なのも話題に。

オーディション会場で歌う女性たちの姿が、ドキュメンタリー風に次々と映し出される冒頭から心掴まれる。音楽映画のような始まりがいいなぁ。チェコからアメリカへ渡った監督自身が、その地で出会った文化に興味と興奮を覚えていたことが伝わってくるかのような。そして、そんな子どもたちの姿を知ることもなく、家出娘を案じる親たちの奔走ぶりがおもしろおかしいったらありゃしない。これまたアメリカならではという感じで、マリファナが登場。酔っぱらい映画も好きだけど、プラスマリファナは更にパワーアップしてハイテンションで面白すぎ。
同じ渋谷東急でのせいか去年観たアルトマン作品の喜劇を思い出し。
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by CaeRu_noix | 2008-08-03 21:11 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(0)
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