かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『百万円と苦虫女』
2008年 08月 05日 |
トホホなのに清涼感があふれる蒼井色。

短大を卒業後、フリーターをしている鈴子は、バイト仲間からルームシェアを持ちかけられて実家を出る事にした。



蒼井優ちゃんはいいよねぇ。3年ぶりの主演作だそうで。なにしろ、私が日本映画の中で最も溺愛しちゃっている1本ともいえる『リリイ・シュシュのすべて』の中で、私の最もお気にいりといえるシーン、川原でカイトを揚げていたのが蒼井優扮する津田詩織ちゃんなんだもの。可愛いだけじゃなくて、あれから着実に名女優の道を歩んでいるのは喜ばしい限り。

といっても、蒼井優目当ての鑑賞というわけではもなくて、ミニシアター系ならではのナチュラル等身大女子映画は好みなもので見逃せず。でも、やっぱり蒼井優あってこそだよね。他の女優が演じていたら、こんなに好感がもてたり、共感を覚えたりはしなかったかもしれないなぁ。物語設定上の人物造形はどうもイマヒトツ不自然な気がしないこともない。人づきあいを苦手としたら、友人とルームシェアなんて絶対しないよなぁとか、住み込みバイトは気を使うから耐えられないでしょうとか、私の感覚ではしっくりこないアンバランスさがあったり。でも、スクリーンの中の鈴子はナチュラルで、こういうマイペースさもありえるかもって思えてしまうほどに、魅力的なキャラクターになり得ているの。

旅ムービーになっていたのもツボだったな。これって、そこだけ見たら、『マイ・ブルーベリーナイツ』 みたいだよねー。それまでの自分と決別すべく?旅に出て見知らぬ土地で働いてみるなんていう身軽さはちょっと羨ましい。オシャレ度は低いけど、日本でもこういう気ままな旅ムービーが成り立つのは嬉しいじゃない。海の家に桃の摘み取りっていうのもいいなぁ。いやー、実際、百万円はそんなに簡単にたまらないんじゃないのって思うんだけどね。住み込みは出費が少なくていいけど、短期バイトなわけだし。地方都市だって、賃貸暮らしでバイト生活じゃトントンじゃないのかなぁ。あっという間に90万円超えていたのがすごく不思議。ファンタジーかなぁ。

これが洋画だったら、細かい部分はそんなに気にならないと思うのだけど、日本映画の等身大ドラマにおいてはついつい不自然なことが目についてしまいがち。自宅暮らしのフリーターがあえて実家を出る理由というのに説得力をもたせるために、前科者にしちゃうというのはいいアイディアだと思うのだけど、数時間やそこらで人の部屋の家財道具一式を捨てることは無理だろうって思ってしまうのだもん。粗大ごみはすぐに出せるものじゃないし、不用品処分してくれるところもまず見積もりが必要だったりするからね。猫捨てられた仕返しにそういうことをやっちゃう女の子ってキャラ的には好きなんだけど、引越しの大変さが身にしみている私はそんなバカなーって思ってしまったよ。

ところどころがややブラックにコミカルなんだけど、その笑いにはスッとのりきれない部分もあったかな。出て行く宣言をした家族の団欒の言い争い場面やら桃娘会議の会合場面。そして、弟がいじめられるシーンがあまりにも執拗に繰り返されたことの意図がよくわからなかった。弟が姉ちゃんの勇敢な姿を見て、元気づけられるいうエピソードにはジーンとしたけれどね。その感動のうねりはリズムよく訪れなかったような気もするな。と、笑いと人と人とのふれ合い模様から得られる感動はそれほどにストライクではなかったな。それよりももっと何気ないところでの、鈴子のトホホな気分だとか、先行きの見えない不安感だとか、投げやりな気持ちだとかにキューンと共感させられた。そんな心もとなさがリアルに描かれていたのが一番の味わいどころだったかな。

何だか泣けちゃったりもしたし、こういうのってやっぱり好きだなーと思ったの事実だけど、あともう一歩という思いも残る。脚本か、演出か。感覚の違いに過ぎないのかもしれないけど、台詞のニュアンスやちょっとした間が、惜しいなぁって感じ。シャバダバシャバダバ~だとかも。『人のセックスの笑うな』の井口さんの世界にはそういう違和感を全く感じないのに比べるとね。あり得るとかあり得ないとかは気にならないほどにハマっちゃうとまではいかなかったってことね。好み系ではありましたが。
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by CaeRu_noix | 2008-08-05 07:36 | CINEMAレヴュー | Trackback(5) | Comments(6)
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Commented by D at 2008-08-05 10:41 x
蒼井優…Dも”リリィ”の頃から好きです
カイトのシーンの”空とびたい”でやられました、ガツンと!

日本人でさらに日本のこと良く知ってるので
映画での微妙なこと(粗大ごみとかお金事情とか)は気がついちゃうんですよね
自分と同じ職業の人が出てくる映画とかでもそういうのありませんか?
”いや、そんなことしないよ!”とか・・・
旅ムービーは極力見ないようにしているDでございます
(理由・旅に出たくなるんで、自分が)
Commented by ぺろんぱ at 2008-08-05 23:29 x
再びこんばんは。
私も実は簡単にお金が給ってくことに非現実的な違和感を抱き、あんなに真っ直ぐだったナカジマ君が凄く幼い引き止め方を選んでしまったことに、(それも監督の計算かも知れないのですが)「人生は何ともトホホで苦いものなんだぁ」と感じてしまいました。
しかしそんなこんなも、蒼井優ちゃんの放つ魔力がさぁ~っと輝き色に変えてくれた感じがしました。

『リリイ・シュシュ』・・・また新たにお題作品にリストアップです。(*^_^*)
Commented by CaeRu_noix at 2008-08-06 06:02
Dさん♪
リリィの頃から好きだったとは嬉しいですー。
そうそうそう!「空飛びたい」とポツリとつぶやくところ、すんごい好きです。
ガツンとやられましたよねっ。
Dさんとは共通の感性をもっているかもー♪

そうなんですよ。知らない国の知らない時代の物語だと、そんなもんかなぁと細かいことは気にならないんですが、現代の日本のドラマの場合は、ちょっとしたことにもリアリティを求めてしまいがち。
そうですね。自分の経験したもの、自分がよく知っていることにはとりわけ手厳しい目で見ちゃいますね。職業的なこともそうですよね。
「そんなに簡単なもんじゃないよー」ってツッコまずにはいられない。

旅ムービーは大好きですよー。
行きたくなりますよねー。
そうそう行けないので映画で旅気分を味わうのですー。
Commented by CaeRu_noix at 2008-08-06 15:27
ぺろんぱ さん♪
百万円はそう簡単にたまらないですよねー!親元暮らしならともかく。
それがタイトルにもなっているだけに、気にせずにはいられませんでした・・。
鈴子キャラにしてもナカジマキャラにても、今一つその人物造形がしっかりとしていない印象を受けました。このコはこういうことしないんじゃないのかなーっていう違和感がいくつかありました。まぁ、自分とこの監督の感覚が違うってことなんでしょうけどね。
そういうわけで、彼があんな手段に出るばかりで、直接的には肝心なことを言わないというのはちょっと不自然でしたよね。その前までの彼は、シャイではあるけど、やる時はやる誠実さはもっていた印象だったから・・。本心が言いづらいのはわかるけど、誤解されちゃあ元も子もないわけで・・。と思うと、この展開は切ないというよりは、書き手の意図に納得がいかないという感じだったかも・・。
と物語設定・展開にはあれこれ思ったことも事実ですが、映画の雰囲気は好みでしたー。優ちゃんの存在感あってこそ。

リリイシュシュはストーリー的には痛くて不快なほどのものなんですけど、映像や音楽にしびれまくりで私は大大好きなんですよー。
ぜひ試してみてくださーい♪
Commented by はらやん at 2008-08-17 12:56 x
かえるさん、こんにちは!

この役は蒼井優さん以外に考えられないですねー。
ニコニコ笑顔だけの役じゃないですから、ああいう存在感は若手の女優さんのなかでも希有ですね。
家族の喧嘩とか桃娘会議というのは、利己的な他の人との関係の面倒臭さというのがでていたような気がします。
ああいう状況、逃げ出したくなる気分わかります。
農家の青年(?)とか中島くんとかちょっとは救いもあったのはよかったです(でも鈴子は見てない)。
鈴子は旅を続ける中で彼らのような人がいるということに段々と気づいていくのかもしれませんね。
Commented by CaeRu_noix at 2008-08-18 01:20
はらやんさん♪
蒼井優ちゃんありきの映画でしたよねー。
苦虫をかみつぶしたような顔をしても結局はカワイイんですけどね。
見た目は爽やかにかわいいのに、その素晴らしき演技力で、逃げ腰キャラもハマってしまうからサスガです。
そうですね。家族団らんの喧嘩、桃娘会議のシーンは、身勝手な大人たちにうんざりする効果的なエピソードだったと思います。個人的には、そのリズム、テンポや、演出と編集の仕方が、それほど効果的に感じられなかったので、ブラックユーモアとしても、うんざり気分のおとずれにしても、中途半端に思えたというのがあったのですけどね。
逃げ出したくなる気分というのは大いにわかりますよー。
中島くんとの出会いは本当は心温まるものであったはずなのに、鈴子の立場では誤解したままってことなんですよね? 観客の自分は、成長物語として、こういうのもアリかなーっておおらかにとらえることもできるけど、実際問題、21の女の子が、男に信頼を裏切られるってかなりショックじゃないかと思うわけで、複雑な思いも残るのでした。人間不信にはならずに、旅を続けながら、いろんなことに気づいていけるといいですけどね。
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