かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
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『コレラの時代の愛』
2008年 09月 04日 |
情熱のラテンアメリカの風景にうっとり。

内戦とコレラの蔓延に揺れる19世紀後半から20世紀初めにかけてのコロンビアを舞台に、愛を貫いた男の壮大な人生を描いた一代記。



コロンビアのノーベル文学賞作家、「百年の孤独」のG・ガルシア=マルケスの著作が原作。
1897年のコロンビア・カルタヘナ。郵便局員のフロレンティーノは、配達先の令嬢フェルミナと恋に落ちる。

これは、あまりよい評判をきいていなかったので、期待していなかった分、大河ロッマーンの壮大さを思いのほか満喫。主人公の男は結局ただのストーカーみたいなもので、共感も何もあったようなものじゃないっていうようなコメントをどこかでちらりと目にしたのだけど、確かにラブストーリーというわりには、主人公に心寄り添って、感情移入して味わうというタイプではなかったね。そういうんではなくて、そんな男が生きた遠いコロンビアという国のそんな激動の時代をやや俯瞰しながら眺めることに醍醐味を感じるのだった。

そもそも名作小説がうまく映画化できると思ってはいないから、物語運びにはそんなに期待はしていなくて、映画化の意義は、まずは映像につきる。スペイン語ではなく、英語劇だったのが残念ではあったけれど、スクリーンに広がるラテンアメリカは魅力的で圧巻。そして、ラテンならではの音楽に彩られて、味わいが深まるの。現代劇では犯罪がらみで映し出されるものしか見たことがないコロンビアだから。雄大な自然も、活気溢れる市場も、素晴らしい。この時代のコロンビアの人たちの暮らしが、再現されていることこそが見どころ。女たちが身にまとう衣装もとてもステキだったな。ベンジャミン・ブラットとカタリーナ・サンディノ・モレノがよかったな。大勢登場した女たちもそれぞれに魅力的。

50年の歳月による風貌の変化を表すメイクがあまりナチュラルに感じられなかったことは少し残念。フロレンティーノの青年時代は別の若い俳優に演じさせるのなら、フェルミーナの方もそうすればよかったのに。最初はまるで、年上女性に恋した若い青年の物語なのかと思ったもの。途中では男の方ばかりがどんどん老けていった印象で、ある時点を境に、女の方もガーっと白髪頭になって、結局のところ同年代だったんだなぁと最後にやっとわかったほど。それほどに長い年月を表すのは難しいことだと思うけれど。

かなり屈折しているけど、五十一年九ヵ月と四日、初恋の女性への思いを貫くというのはある意味感動的。どんなに一途な人間だって普通はもう少し早く諦めるんじゃないかと思うから、あり得ないと思うからこそ、それはやっぱりロマンチックにも感じられるの。出会いの頃には熱い情熱をもっていた医師の夫との夫婦関係も、長い結婚生活を振り返れば、多くの負のお思いが浮かび上がってくるというのがまぎれもない現実。それが、結ばれなかった男とは何のしがらみもなくて、出会った頃のピュアな気持ちを彼が持ち続けているなんて。

フロレンティーノの一途な恋の物語と思いきや、中盤はフェルミーナの生活が主に描かれている感じで、そこも見どころであった。2人が離ればなれになってからの、それぞれの生活がリアルに活写されているからこそ、最後の再会の時の恋の成就の場面は、もはや突き抜けたファンタジーという感じで、肯定的に受け止めることができるのだ。老いた体なんかは映してくれなくてもよかったのに、と思ってしまったけど、船は素晴らしかったな。愛は熱病。
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by CaeRu_noix | 2008-09-04 07:14 | CINEMAレヴュー | Comments(6)
Commented by しねまま at 2008-09-11 12:09 x
お久ぶりです。私もギリギリセーフで見てきました。
久しぶりに南米の濃いお腹いっぱいのファンタジーを堪能でき、満足です。

仰る通り、ベンジャミン(色気)とカタリーナ(包容力)、魅力的でしたね。
もちろん主役の2人もですが、この2人の好演は嬉しいオマケ♪

確かにフェルミーナも2人の女優で演じたほうが良かったと思います。
一途な恋の物語以上に、51年のそれぞれの人生に深い味わいを感じてしまった私でした。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-12 01:09
しねままさん♪
劇場鑑賞、間に合ってよかったですー。
これはどうせなら、映画館で見るべき、スケール感のある作品だと思いますのでー。しねままさんってば、もうすっかりラテンな映画への興味は薄まってしまったのかなと思いましたが、見逃さずにいてくれてうれしいです。
ベンジャミンはホント、ラテン男ならではの色気がありましたよねー。カタリーナもすごくよくて、彼女主人公の物語を観たいなと思うほどでした。ハビエルだけをずっと見続けるのはたぶんつらいと思うのでw、この二人がいてくれてよかった。(でも私、実は、ベンジャミンをマーク・ラファロだと思い込んでました・・・。このマークはジョニデに似てるなぁってずっと思いながら見てました。誰と誰が似ているのやら・・・)
その恋の一途さはもはやとち狂ったものであるので、純粋にその思いに感動なんてしないのですけど、年月の経過、経験が屈折愛さえもまろやかに熟させてくれるという感じで、その大いなるものに心揺さぶられた気がします。51年の人生というものには本当に、深ーい味わいがありましたよね。
Commented by ゆるり at 2008-09-15 01:33 x
えぇー、この映画評判悪いんですか。。。なんでやろ?!
可笑しいし、せつないし、見ごたえあるし、結構映画の醍醐味って感じしたんですけどねぇ。
ハビエル!ある意味彼にピッタリの役だった気がして満足です。

ただかえるさんもおっしゃる通り、上手く老けてませんでしたね。
冒頭、ベンジャミン・ブラットがオウムを追うシーンから、
彼のメイクとかカツラがちょっとコント(?)っぽかったし。(笑)
あと、スペイン語だったらもっとテンション上がったのになぁと
ちょっと残念。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-16 20:29
ゆるりさん♪
いや、統計をとったわけじゃないので、正確な評価・評判はわからないのですが、「よかった」という声をほとんど聞いていなかったもので・・・。
なんでかっていったら、やはりハビエルがキモいから・・・かな?w
主人公に共感、感情移入できるか否かが、映画を楽しむポイントという人には、これはビミョウだったのかもしれません。
いやしかし、私はもうちょっと俯瞰した感じで、大河ロッマーンな感じで見ごたえありましたけどね。
壮大で映画の醍醐味を大いに感じられましたよねぇ。
原作の主人公のイメージはどんな感じだったのかなぁと気になりつつ、ハビエルならではの存在感を見せてくれましたよねぇ。
わはは、カツラとメイクはコントっぽかったですかぁ?!
私は女性たちの衣装のすてきさに釘付けだったので、そのへんはあまり気になりませんでしたが、自然な老け顔づくりという点ではメイクさんはもうちょっとがんばってほしかったなぁと思いますー。
そうそう、スペイン語が聴きたかったー。
Commented by Nyaggy at 2008-10-02 20:27 x
かえるさん、こんばんは♪
コメントありがとうございました。
大河ロマンでしたねー。
主人公は、ストーカーで片付けるには純粋過ぎる気がします。
普通でないことは確かだけれど、想いを貫くには51年は長すぎるもの。
ヒロインの人生も順風満帆では行かないし、ラテンアメリカだったら
連続テレビ小説になりそうな話だなぁ、と思いながら見てました。
衣装やコロンビアの自然が素敵でしたね~。
特に川くだりの映像が美しくて、映像化した甲斐はあったと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-02 23:52
Nyaggy さん♪
こちらこそ、ぐらっしあーす。
年月の長さと、南アメリカの大地と海の広がりにより、そして、そこにある情熱と一途さにより、味わいのある大河ロマンになっておりましたよね。
そもそも名作の長編小説をうまく映画化することなんて、まず無理なのですから、映像で見せてくれればそれでいいのよって感じなのです。
説明的になり過ぎるよりも、雰囲気で伝えてほしいんですよね。
普通のストーカーはもうちょっとエゴイスティックで狙いの矛先が狭いような気がします。フロレンティーノのそれは海のごとく、もっともっと大らかな感じなんですよね。瞬時に燃え上って、みるみるうちにしぼんでいく恋というのも多いことを思うと、じっくりじっくり51年思いを保ったというのは、怖いと思うより、純粋に感動をおぼえてしまいますよね。
なるほど、連続テレビ小説にもなりえますねー。それもいいかも。
衣装は思いのほかよかったです!コロンビアのイメージが変わるほどに。
そして、川下り、航海のシーンもすばらしかったですよねぇ。
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