かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『12人の怒れる男』
2008年 09月 14日 |
来年5月に裁判員制度が始まる国の皆さん、必見。
ハラショー、芸術系社会派娯楽作。ミハルコフに惚れなおす。

チェチェン人少年が元ロシア軍将校の養父を殺害した事件を12人の陪審員が審議する。



法廷劇の傑作、シドニー・ルメットの『十二人の怒れる男』(57)がロシアを舞台にリメイク。

ニキータ・ミハルコフは大好きな監督。そんなミハルコフの作品が、アカデミー賞の外国語作品賞にノミネートされたというニュースはとても嬉しいもので、楽しみにしていた本作だった。ミハルコフといえば、文芸ドラマのイメージが強い芸術家たる映画作家だと思っていたので、アメリカ映画のリメイクで法廷劇を手がけたというのには少し驚いた。法廷劇といったら、アメリカの十八番だし、ロシア舞台の映画でそのシチュエーションのものを見た記憶はないに等しいような。というわけで、ミハルコフでなくても、現代の社会派ロシア映画というものにお目にかかるのは珍しいよね。芸術家肌の名匠が、そういった題材で映画を作ろうと思うような社会情勢のロシアなのかな、というところも興味深いのだった。

オリジナル作品を思い出す限り、これは陪審員の会話で成り立つ室内劇だから、いつものミハルコフ映画のように、芸術的な美しい映像を期待しようとは思わなかった。ところが、その辺はやはりさすがなもので、オープンニングからセンスが光る。冒頭の広がる草原の中を少年が颯爽と自転車を走らせる様を捉えた映像の清々しい煌めきにハッとさせられて、ああ、これはやっぱり定番のアメリカ製法廷劇とは違う映像文法による、紛れもないミハルコフの映画なんだということに初っ端から嬉しくなってしまうのだった。単なるサスペンスならば、密室劇として徹底した方がよりスリリングな緊迫感を生むのだろうと思う。そうではなくて、映像が審議の場から時間空間を自由に行き来することによって、人間や社会を描いたドラマとしての、芸術作品としての魅力と味わいが増すの。

審議をする場所にしても、狭い一室にはせずに、体育館を舞台にしているところから冴えている。広い空間を捉えるカメラの動きにも躍動感が生まれるし、12人の男たちも座って話すことを限定されずに、動き回りながら語ることができ、より熱い芝居が展開されることになるのだ。舞台演劇でもよいと思える類の脚本でありながら、それを他でもない映像で見ることの歓びを感じさせてくれるミハルコフ。迷い込んだ鳥の羽ばたきが幻想的な味わいをもたらす。12人がぶつかり合う体育館と対照的に静まり返った少年の監房の光と陰影の美しさがまたたまらなく。法廷劇となれば、音楽が登場するシーンなんてあるはずはないと思いきや、軽快なピアノ演奏まで聴けちゃうのだから、私はウキウキするばかり。そして、剣の舞のシーンの高揚は格別に素晴らしいものだった。ナイフは殺人凶器という固定観念を振り払って、気高く舞い踊るなんて。カフカス、LOVE.

筋書きのわかりきった長い会話劇だというのに、目の離せない面白さだった。最初は12人、みんながみんなオジサンばっかりで、1人くらい目の保養になるイケメン青年がいてもいいんじゃないかと思ったというのに、熟年実力俳優たちの演技にすっかり惹きこまれてしまった。審議を進める中で、彼らが自身の話をすることで、それぞれの人生や人間性が見えてくるから味わい深いの。とりたてて優れた魅力的な人物がいるわけでもないのだけど、苦労話や屈折した感情が見えてくるたびに、共感したり、人間はどこの国でもおなじだよなぁと考えさせられるのだった。カネのためなら、利権をまもるためなら、何だってする奴らは、カネが力を持つ国ではどこにでもいるんだよなということにため息をつきつつ、こうやって、十二人が真摯に話し合うことによって、人が進むべき道、人にできることが、見えてくるという物語には胸が熱くなる。

法より慈悲という言葉もよいよね。善悪についてを、法律上の犯罪行為か否かという物差しでのみ判断する人が多いと感じる社会ゆえ、

Lily's note

ミハルコフの俳優デビュー作 『モスクワを歩く 』

ピロスマニの絵を見た「青春のロシア・アヴァンギャルド」展
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by CaeRu_noix | 2008-09-14 08:23 | CINEMAレヴュー | Trackback(18) | Comments(14)
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タイトル : 12人の怒れる男
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Tracked from サーカスな日々 at 2009-09-22 18:12
タイトル : mini review 09393「12人の怒れる男」★..
シドニー・ルメットの名作『十二人の怒れる男』を、巨匠ニキータ・ミハルコフが舞台を現代のロシアに置き換えてリメイクした社会派ドラマ。ヴェネチア国際映画祭で特別獅子賞を受賞したほか、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされている。継父殺しの殺人容疑がかかったチェチェン人少年の裁判をめぐり、12人の陪審員がさまざまな思惑を交錯させながら審議を展開。現代ロシアの抱える社会問題を浮き彫りにした、骨太な味わいのある作品となっている。[もっと詳しく] <法廷ドラマの原点>とされる元作品を、こんなに見事にリメイ...... more
Tracked from 新!やさぐれ日記 at 2009-10-07 22:45
タイトル : 【DVD】12人の怒れる男
▼状況 レンタルDVDにて ▼動機 三谷版をみてからいつかは見ようと ▼感想 あんまりすきじゃない ▼満足度 ★★★☆☆☆☆ あんまり ▼あらすじ ロシア人将校である継父を殺害した容疑にかけられたチェチェン人少年の裁判が開始。隣人の目撃証言や物的証拠などから、当初は明らかに有罪だと思われていた事件だったが、いくつか腑に落ちない点があった一人の陪審員(セルゲイ・マコヴェツキー)が、ほかの陪審員に疑問を投げ、審議は二転三転し始める。 ▼コメント 最後はとても良かった。 しかしそ...... more
Tracked from 虎党 団塊ジュニア の .. at 2009-10-11 21:27
タイトル : 『12人の怒れる男』'07・露
あらすじチェチェン人の少年が、ロシア人の養父を殺害した罪で裁判にかけられる。目撃者もあり、容疑は明白。さまざまな分野から任意に選ばれた陪審員たちも審議は簡単に終わると思われたが・・・。感想ヴェネチア国際映画祭金獅子賞『ウルガ』カンヌ国際映画祭審査員特別...... more
Tracked from KINTYRE窶儡DIARY at 2010-12-31 17:58
タイトル : 映画『12人の怒れる男』を観て
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Commented by ぺろんぱ at 2008-09-17 20:51 x
かえるさん、こんばんは!
私もこの連休中に観てまいりました!

リメイクという名を超えての「新しき世界」でした。観に行ってよかったと感じています。
エンディングの言葉「慈悲の力は法をはるかに凌ぐ」に、監督の本作に込めた祈りを感じた私です。
スタイリッシュな映像にも惹かれました。

私は実は恥ずかしながらミハルコフ監督に付いて無知でした。俳優さんとしても牽引力・大のビジュアルで驚きました。
氏の「監督作」でお勧めがあればお教え下さいね。(*^_^*)
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-19 01:38
ぺろんぱさん♪
グッド・チョイス!
上映時間の長い法廷ものということで、お気に入り監督の作品でありながら、実はそんなに足取り軽く観に行ったわけじゃなかったんですよね。が、実際は長さを感じさせない、見ごたえ満点の映画でした。大いにエンタメ。雰囲気的には惹かれなくとも、そう、「観に行ってよかった」と多くの人が感じられる作品に違いないと思うのでした。「SATC」を観にいく女子たちにも観てほしいー。
57年版のアメリカ作品ももちろん素晴らしいものでしたが、VIDEO鑑賞だったせいか、こんなにググッときた記憶はないんですよね。劇場鑑賞したこちらの細部や新しさにはより心つかまれたという感じ。このジャンルの映画をこういうアプローチでつくった場合、単にリメイク作品と呼ぶのはふさわしくない気がしますね。
慈悲の力にはホント、心うたれましたよね。人間讃歌ー。

私はオレグ・メンシコフの出ていた「太陽に灼かれて」「シベリアの理髪師」がとても好きだったので、ミハルコフ作品は結構追っかけたのですよ。俳優としてもステキですよね。ミハルコフ作品はスクリーンで観てほしい系なのですが、レンタルにありましたらぜひ。新しめのものはあるかな?
Commented by 真紅 at 2008-09-25 22:12 x
かえるさん、こんにちはー。TBさせていただきました。
すっごいお気に入り印のレビューですね♪
私は一応、『SATC』も観た女子なんですが(爆)、この映画の重厚さにビックリでした。
オリジナルを割と最近(1、2年以内に)観たので(BSでやってたのを)、コンパクトな印象が強かったんです。
だから「160分もあるのか!」ってまず驚いたんですが、長さは気にならなかったですね。全く。
と言うか、みんなすっごいしゃべってましたよね。。朝まで生テレビか、くらいに。
そんな会話劇の合間に入る少年のダンスが、また印象的でした。
ミハルコフって『黒い瞳』しか知らないんですが、名匠なんですね。
ではでは、また来ます~。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-26 09:11
真紅さん♪
お気に入り印です。
社会派よりの映画って、感動や見ごたえはあっても"お気に入り"という言葉は使えない手ごたえのものがあったりするんですが、本作はそのへんもクリアできるツボにはまるテイストでした。
主人公はおっさんばっかりなのにすごく不思議なんですけどね。

わはは、『SATC』を観るのもOKです。
私はこれを水曜の夕方に観たのですが、通りがかった有楽町で長蛇の列に遭遇しまして、何かなと思ったら、SATCのチケット売り場に並ぶ女子の列だったんですよー。私はそれを横目に、本作を観るべく、空席も目立ち、観客の年齢層が高めのの劇場にたどりついたので、SATCのことを持ち出したくなったのでした。w 仕事帰りのOLちゃんはそりゃあ、あっちの方が観たいでしょうけどねー。

私もこんなにみんながべらべらしゃべるロシア映画って初めて観るかもしれません。
演劇界で活躍している人も多いらしく、圧巻演技でしたね。
ロシアのアート系映画は映像で見せるものが多いから、全体的にもっと寡黙だし。
ホント、少年のダンスに私もググッと心つかまれました。
ミハルコフの新作が劇場で見られるのは嬉しかったですー
Commented by 樹衣子 at 2008-09-27 23:35 x
かえるさん、こんばんは☆
実は、法廷ものの室内劇だから自宅でDVD観賞と決めていたのですが、かえるさんのブログを読んでやっぱり映画館で鑑賞!と決意して行って来ました。

>映像が審議の場から時間空間を自由に行き来することによって、人間や社会を描いたドラマとしての、芸術作品としての魅力と味わいが増すの。

おっしゃるとおりですね。本当に重厚で優れた作品でした。またオープニングの自転車の淡いモノトーンも、さすがっ!と胸がわくわくしました。もっとミハルコフを体験したいのですが、なかなかレンタルでは見つからないのが残念です。では、私の重い腰をあげてくれたかえるさんに感謝。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-28 23:43
樹衣子 さん♪
うわーい。それは嬉しいです!
私の駄文で、樹衣子様を映画館に連れ出すことができちゃったなんて♪
ですよね。私も俳優の演技合戦が見どころの室内劇なんかはDVDで充分かなぁと思ってしまいがちなんです。オリジナルの方はVIDEOでも十分に楽しめた印象ですし。

でもでも、これはやはりミハルコフの映画なんですよねぇ。
映画館でじっくり味わうことができてよかったなぁと思っています。
そうなんですよ。序盤の自転車のシーンから、心は鷲づかみにされました。美しくて、躍動感にあふれていましたよねー。

ミハルコフ作品はそこらのレンタルショップではあまり品数はないかもしれないですね。私はロシア映画特集上映などの際に、地道に見ていった感じです。本作のDVD化の際に、旧作もついでにDVDになってくれないかなぁと淡い淡い期待を・・・。

こちらこそ、ブログをやっていてよかったと思える嬉しいお言葉をありがとうございます♪
Commented by 狗山椀太郎 at 2008-09-30 22:04 x
こんばんは、コメント&TBありがとうございました。
ヘンリー・フォンダのスマートさが目を引いたオリジナル版とは違って、こちらはどうも垢抜けない感じのメンバーばかりでしたが(苦笑)映像面ではいろいろと趣向が凝らされていましたね。ピアノ演奏の場面は私も気に入りました。
プーチン絶賛!の話を聞いて、他のブログ記事も読んでみたのですが、ナイフという武器で端的にチェチェンの人々を表現したところが、結果的に良くも悪くも作用してしまったかなあ・・・という気になりました。
あの剣舞自体はとても美しいものでしたけれども、少数民族に対するシンパシーではなく、下手をすれば好戦的なイメージを鑑賞者に植え付けてしまうかも知れませんし(本国においては大多数を占めるロシア民族が、ああやっぱり物騒な奴らだなあ・・・的な印象を持つのでは?とか)そういう風に考えるとなんだか複雑な気分になってしまいます。
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-01 23:39
狗山椀太郎 さん♪
すみません。ぷーちんの件ですが、違ってました。
私が言いたかったのは、TBいただいた「論駄な日々」で紹介されていたパンフの中の文章のことだったのでした。勝手に紹介させていただくと、沼野さんという方が、"プーチンもミハルコフも、力強いロシアが周辺少数民族の「養父」になることを積極的に肯定しているのではないかと分析する。"と執筆されていたそうです。この物語の中の養父な結びはとても感動的なものでしたが、政治的にとらえてしまったらちょいと複雑・・・。
でも、ジャーナリストが何人も死んだ話なんかは、リトビネンコ暗殺事件をすぐに思い出し、体制批判な方向を感じたりもしたんですけどね。
ロシア劇場占拠事件は陰謀であって、チェンチェンテロリストが起こしたものではなかった件など思い出しつつ、ミハルコフの思いが気になりました。チェン・イーモウ的なんすかね・・・。
ナイフのシーンが民族の好戦的なイメージを植え付けるのでは?というのは思いもよりませんでしたが、娯楽映画として多くの人々に見られるなら、そういう要素だって、負の方向に捉えることも可能ですね。
その点に関しては、私は慈愛を感じたのですけどねぇぇぇぇ。
Commented by Nyaggy at 2008-10-02 20:38 x
これは、劇場に観にいって良かったな!と本当に思えた作品でした。
時間の長さも気になりませんでしたし。
さすがはかえるさん、お詳しいですね!私は今回が初ミハルコフでした。。。
というより、ロシア映画自体、あまり見た事がないかも…。

カフカスの少年のダンスには、思わず見惚れてしまいました。
鳥もうまく生かされてましたね~。もちろん、オープニングの映像もお気に入りです。
映像に魅せられつつ、オジサン達の人間臭い議論や思いに考えを巡らせる
こともできて、十分に見応えアリでした。
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-04 01:00
Nyaggy さん♪
手ごたえを感じていただけて嬉しいです。
節操のない欲張りな私なので、ラテンな映画も大好きなのだけど、ロシアや東欧なんかのものも異様に好きなんですよー。
カンヌ映画祭コンペ出品作だったソクーロフの『チェチェンへ アレクサンドラの旅』も公開がきまってよかったなぁと。(あ、また名前がアレクサンドラだ♪ってこっちの話ですがー) もう1本のアカデミー賞ノミネート作品だった『モンゴル』のセルゲイ・ボドロフも好きですし。でも、最初に注目したのはタルコフスキーでもなくって、ミハルコフだった気がします。そして、カフカスに執心ー。

少年の舞はステキでしたよねー。チェチェン人は剣の名手なんですよね。ホドロフの『コーカサスの虜』にも、『イースタン・プロミス』にもつながり。まさか、法廷ものでこういう民族的な舞踊が見られるとは感無量でした。この手のジャンルの映画で映像美に心動かされるとは思っていなかったのでー。
オリジナル版が好きな人には、そんなに高評価でもなかったりもするみたいですが、私の好みに合うのはこちらの方でした。Nyaggy さんにもご満足いただけてよかったー。
Commented by とらねこ at 2008-10-14 00:51 x
おおっ、かえるさんと自分とは見方や感じ方がだいぶ違う点が、面白く、興味深く読ませていただきました。
そして、かえるさんは、ミハルコフの他監督作品についてもお詳しいのですねー。
私も今度是非見てみます!

ロシアの作品て(といっても自分は映画はほとんど見ていなくて、文学作品しか馴染みはないのですけど)、いつも大きな命題として、いかにロシアたるべきか、という問題を抱えているように思ったりもする私です。
チェチェンの問題に関しては、むしろ議論をまとめるではなく、
皆が考えるべき点として、より風呂敷を広げていく、議論が拡がっていく方向へと推し進めるように感じました。
なので自分は、終わり方にしても、全ての人に権利があり、陪審員でもあると感じることができ、満足だったのでした。

一番のイケメンオジサンは、ミハルコフ監督でしたよね?w
ただ自分の好みなんでしょうか^^* 凛々しいオジサマでした!
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-15 00:59
とらねこさん♪
違いましたかー。自分としては、そこんところがよくわかってないですが・・。
タルコフスキーやソクーロフなどに比べたら、ミハルコフ作品はもっとハッキリとドラマを描いている感じです。ぜひご覧くださいー。ロシアな大地の素敵さは同じ。
なるほど。ロシア文学は常にそういった問題を抱えているのですか。
ドストエフスキーの生きた時代と、今のロシアじゃ政治的にはまるで情勢が違っているはずなのだけど、案外とそういうのは変わらずに、今なおテーマとして内包されているのかもしれませんね。カラきょー新訳読まなくちゃと思いつつーw
チェチェンの件などは、これまではワールド・ニュースな観点で見てましたが、このたびはロシアの人たちはどんなふうに考えているのかという点から見ることができたのが興味深かったです。
そうですね。意見がまとめられて、結論に向かうという感じじゃなくて、皆それぞれが自身の人生と重ねつつ、大きく議論が展開していくというのがまた面白かったですね。ふむふむ、結論付ける必要なんてないのかもしれませんねー。
そう、ニキータはなんだかんだいって一番見栄えもしました。90年代あたりのお姿はかなりダンディでしたしー。
Commented by ちむ at 2008-10-25 21:15 x
かえるさん、初めまして! ミニシアター系の映画が好きなのですが、土日くらいしか観に行けないので、常に選択を迫られています(笑)。迷ったら、かえるさんのこのページを読み、そして何度「アタリ」の映画を観たことか(東京より上映が遅いことが幸いデス。) 土曜の夜、再度かえるさんの評を読みながら観てきた映画を反芻しつつ、お酒を飲むのが私の楽しみ・・・と言っても過言ではありません。
この映画もまた。160分にひるまず、観に行ってよかった。
終了後、50代位の女性の方が、映画館のスタッフに、『この監督の「太陽に灼かれて」が好きで観に来たんだけど、この映画も同じような「怖さ」があるわねー。「太陽に灼かれて」の怖さを思い出したワ。』 と話しかけていました。「太陽に灼かれて」を観ていないのですが、「怖い」とはどういうことなのかなあと。 社会の闇? 人間性を炙り出すこと? ナイフが本当に刺さるのではというハラハラ感? 雨の中の犬がくわえたキラリと光るものの正体がわかった時のドッキリ感? ミハルコフ陪審員長の他の映画も観てみたいと思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-26 00:58
ちむさん♪
はじめまして。コメントありがとうございます!嬉しいです。
今日もへとへとでブログに向かう気力もなかったんですが、ちむさんのコメントを読んで、活力がわいてきました!

アタリ作品が多くてよかった。
ということは好み、感性/感受性が似ているかしら?
自分的にはお気に入りでも他の人にしたら退屈な作品というのもあるわけですが、ちむさんのお役に立てたのは嬉しい限りですー

「太陽~」は、スターリンの頃の政治社会的な怖さが忍び寄るように描かれていたので、その女性はそれと共通のものを感じたということなんでしょうかね?具体的には別ものだけど、ちっぽけな人間が社会の大きな力に弄ばれるという状況を共通項とみなすこともできるかも?社会の闇。とはいえ、私は本作には前向きなものを感じたし、「太陽~」も美しい印象が残っているんですけどね。
旧作もおススメですよー

私今日、映画祭で渋谷の劇場に行ったのですが、その東京国際映画祭で特別な賞を贈られたミハルコフは、東京渋谷にいらっしゃっていたようです。私とミハルコフがかなり近い場所にいたかもしれないこの日に、こちらにコメントいただけたのは運命的♪
これからもよろしくお願いしますー
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