かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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「フランス映画の秘宝」 鑑賞メモ
2008年 09月 16日 |
「日仏交流150周年記念 フランス映画の秘宝~シネマテーク・フランセーズのコレクションを中心に~」
9月5日(金)~7日(日)、12日(金)~15日(月祝) 有楽町朝日ホールで催された「フランス映画の秘宝」の鑑賞メモ



座談会のメモは別記事 にー

さてさて、会場設備には文句たらたらの朝ホーにまた通ってしまいました。何しろ、1930年代から最近までの日本ではほとんど見る機会がなかった貴重なフランス映画13本が上映されるというのですから。そんな企画をメルシー、メルシー。
でも、やっぱり、朝ホーはイヤだぁ。750人収容なのに、スクリーンは小さくて、遠い・・・。平らな前方席は、前の人の頭でスクリーンが全部見えないし。最前列という選択肢もアリなんだけど、連続鑑賞するのにあのイスはまた辛い。というわけで、全面指定席制になってから、段差のある席を取るようになったんだけど、やっぱり遠いよねぇ。全く同じ映画を、バルト9のスクリーンで観たなら、陶酔度は5割増になると思うんだけどなぁ。とりわけ、サスペンスフルな映画って、こういう大ホール向きじゃないなぁって思った。ガラガラのミニシアターの方がドキドキ感はアップすると思うんだけどな。せっかくの貴重な機会なのに、こういう環境で見るしかないというのは残念です。いえいえ、企画してくれてメルシーメルシー。ココで1500円は高ーい。作品と作品の間、律儀にしっかりほぼ1時間空くのも辛いですよね。メルシー、メルシー。

今回の注目作は、まずは日本未公開という感じだったロメールの『三重スパイ』でしょうかね。そして、『肉屋』は必見と教授されたり。初めて聞く監督の名前もあれば、名前は知っているけれど作品をほとんど観たことがない監督のものもあり。フィルムセンターの特集でかかっている名作ラインナップとはまた違うこのセレクションに、興味を持たずにはいられないのです。モノクロ作品は睡眠誘引力強いから困っちゃうんだけど。

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『曳き船』 Remorques 1941年
監督:ジャン・グレミヨン (Jean Gre'millon 1901~59)
曳き船サイクロン号の船員たちは、仲間の結婚を祝っていた。その会場に、船が遭難しているという連絡が入るやいなや、船員たちは救助に向かう。妻がいるにもかかわらず船長のアンドレは、救助に成功した遭難船の船長の妻カトリーヌにひかれていく。若かりし頃のジャン・ギャバンとミシェル・モルガンというスターの共演が見物のリリシズムに満ちたドラマ。

ジャン・ギャバンはどうも船乗りには見えない都会派優男な感じなのですが、スターの存在感ですね。せつなくメロローン。

『最後の切り札』 Dernier atout 1942年
監督:ジャック・ベッケル (Jacques Becker 1906~60)
南アメリカのある都市のホテルで、一人の男が撃ち殺される事件が起こる。捜査を担当するのは、警察学校の生徒で甲乙付けがたく優秀なクラランスとモンテスの二人。良き仲間でありライバルでもある二人は、先に事件を解決することでどちらが優秀か決めることにする。アメリカ映画の影響が見受けられる刑事もので、ベッケルの長編デビュー作。

父ベッケルはいろんなタイプのを撮っているのですね。陽気な仲間たちの軽快なテンポがサクサク楽しく。

『罪の天使たち』 Les anges du pe'che' 1943年
監督:ロベール・ブレッソン (Robert Bresson 1907~99)
ブルジョワの娘アンヌ=マリーは、自らドミニコ会の修道院に入り、修道女になる。その修道院は、刑務所で服役を終えた女性たちをも受け入れていた。アンヌ=マリーは、刑務所で出会ったテレーズという反抗的な若い受刑者に関心を抱き、出所後は修道院に来るように誘う。罪と魂の救済というブレッソンならではの題材が扱われている長編第1作。

これの前にFCで『バルタザールどこへ行く』を観て、ブレッソンの素晴らしさが俄かにわかってきた次第。シャープな辛辣さにシビレます。

『あなたの目になりたい』 Donne-moi tes yeux 1943年
監督:サッシャ・ギトリ (Sacha Guitry 1885~1957)
彫刻家のフランソワは、美術展の会場で出会った若い女性カトリーヌにほれ込み、モデルを頼む。相思相愛になり、順調に見えた二人だったが、突然フランソワはカトリーヌに冷たい態度を取るようになる。理解できないカトリーヌだが、彼のそのような態度には理由があった。監督と当時の妻が、実際にカップルを演じたエレガントなメロドラマ。

オヤジが若い娘と結ばれる+病ネタ付なんて、鼻白みそうなものなのに、ついつい感動してしまったり。それは実夫婦だったからこそ、厭味がなかったのか、その事実を知らずに観たから感動できたのか? シャンソンもよかった。

『最後の休暇』 Les dernie`res vacances 1947年
監督:ロジェ・レーナルト (Roger Leenhardt 1903~85)
高校生のジャックは、南仏にある売却が決まった先祖代々の領地で、親族揃っての最後の休暇を過ごすことになる。彼は、いとこのジュリエットとともに売却を阻止しようとする一方で、彼女にひかれていく。思春期の少年が一夏に経験した出来事がみずみずしく描かれる。ヌーヴェル・ヴァーグの精神的な父と見なされるレーナルトの長編デビュー作。

精神的な父といわれれば、そうかなという感じの、みずみずしい感触がやっぱり魅力。フランスの田舎の夏休みはいいなぁ。

『肉屋』 Le boucher 1969年
監督:クロード・シャブロル (Claude Chabrol 1930~)
女教師エレーヌと、戦争帰りで今は肉屋のポポールは、結婚式で知り合い仲の良い友達になる。その後、女性の連続殺人事件が起こり、エレーヌはその現場に誕生日の記念にポポールに贈ったライターが落ちているのを発見するが…。スリラーの巨匠シャブロルを代表する作品の一つで、当時の妻ステファーヌ・オードランがエレーヌを演じている。

オープン・クレジットがカッコよくて、最初から緊張感でいっぱいになるのがオミゴト。このドキドキな不穏感が持続するのだからすごい。授業中に、「いい羊肉が入ったよ」って持ってくる男とは絶対に親しくなりたいとは思わないけど、そんな妙さをも飲み込んじゃうって感じ。

『野蛮な遊戯』 Un jeu brutal 1983年
監督:ジャン=クロード・ブリソー (Jean-Claude Brisseau 1944~)
生物学者として輝かしい地位を築いたテシエは、突然全てを捨てて故郷に戻り、久方ぶりに下半身不随でわがままな娘イザベルと再会する。厳格な父に反発する娘だが、父との再会を契機に、次第に新しい世界が開けていく。その一方で、村では子供が犠牲となる連続殺人事件が起こっていた。高い評価を受け、一躍注目を集めた鬼才ブリソーの長編デビュー作。

車椅子のイザベルの思いにハラハラと心つかまれてしまい、遠いスクリーンを眺めるっていう感じで観ていたものが多かった中、コレは一番どっぷり釘づけになったかも。少女の体験は波乱万丈ながら、この経験が彼女を大人に近づけてくれたのねっていう感銘。サイコな事件ものがありなのに、哲学的なのが面白いなぁと。読んでいた伊坂幸太郎の「重力ピエロ」に勝手にかぶるものがあったり。

『三重スパイ』 Triple agent 2003年
監督:エリック・ロメール (Eric Rohmer 1920~)
スペイン内戦が起こった1936年、ロシア帝政軍の将校が、ギリシャ人の妻と共にパリに亡命する。妻が隣人の共産党員と親交を深めている間、内密の任務を帯びた夫は頻繁に家を留守にする。夫はスパイであることは明かすが、誰のために働いているかは教えない。実話から創意を得たロメールのスパイ、裏切り、騙し、隠蔽に満ちあふれた痛快サスペンス劇。

クラシカルな雰囲気が素晴らしくて、その会話に興味深く聴き入ってしまう。そもそも、元軍人と画家の夫婦なんて。「青春のロシア・アヴァンギャルド」展の記憶が新しいゆえ、キュビズムがどうのっていう芸術談義が興味深かったなぁ。いやしかし、ファシズムとコミュニズムって、とイズムの関係図が自分の中では曖昧で、結局、夫の立場がよくわからなかったんですけど・・・。ああ。何がどう三重だったのか。不勉強ですみません。面白かったけど、肝心なところがわかんなかった・・・。解説求ム。


熱海の秘宝館にブリソー監督を連れて行ってあげたい。
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by CaeRu_noix | 2008-09-16 22:46 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2008-09-17 01:31 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-17 08:34
ありがとうございます!めるしー、めるしー。
台詞の中でも、いわば三重スパイだって、説明している箇所があったかと思うのですが、そこウトっと見逃しました・・・。
本当は、、、というんだと二重スパイになるだけじゃ?という疑問があったんですが、ナチスにも情報を流していたっていうのがあるから、三重ってことだったんですかね。なるほどー。
そもそもいわゆる白軍のことがよくわかってなかったです。
ひとえに共産主義といっても、その体制の国の中のものとそうでない国の中の活動はスタンスが真逆のような気もして、混乱しちゃうんですけど、主義は主義なんですよね・・・。ううむ。
とにかくどこのどういう任務のものであれ、スパイな生き方はしんどいですね。妻の悲劇にもしみじみ・・・。
しかじかありがとうございましたー。
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