かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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「LATIN BEAT FILM FESTIVAL’08」  その2
2008年 09月 19日 |
というわけで、その2。スペイン・ラテンアメリカ映画の秘宝ー
第5回 スペイン・ラテンアメリカ映画祭の鑑賞メモ



   ~  その1/『デフィシット』&『ファド』

ガエルんの『デフィシット』(DEFICIT)は来年、バルト9で一般公開されるもようー。
結局さぁ、ガエルくんの初かんとくさくひーん♪とか言っている場合じゃなかったんだ。
だって日本はさぁ、人気者が出てりゃー公開されるんだよね。
だから、こういう映画祭では、その時にしか観ることのできない貴重な芸術作品を日本語字幕で劇場鑑賞できる機会を逃さないことの方が大事だったんだ・・・。
カンヌ映画祭というキーワードをひとたび思い出させてくれた方に感謝ー。

カルロス・レイガダス-Carlos Reygadas-作品をバルト9で体験できたことを自慢したーい。 その名前を憶えてさえいなかったのだけど、今度からはしたり顔で、「カルロス・レイガダスはいいよ~」とか言ってみたいかも。
この映画の質感の素晴らしさには、圧倒されましたよ。冒頭の"夜明け"で既に心を強ーく掴まれたのでした。
新星にして、既にカンヌの常連。長編デビュー作『Japon』でカメラドールを受賞して、『Batalla en el cielo』に続く二度目のコンペ出品の2007年に審査員賞を受賞。タルコフスキーやロッセリーニに影響を受けたとか。「Transparence」によりますと、"タルコフスキーやベルイマンの領域を突き抜け、ドライヤーやブレッソンに比類し得る・・・"と。 
そう、ただ研ぎ澄まされているばかりでなく、聖性が迸る感じ。

と、レイガダスを手始めに、高品質なラインナップでありました。
ラテンな映画って、陽気なイメージのはずなのに、わりとシビアだったり、寂しげだったり、ウツになっちゃいそうなものが多かった。
でも、娯楽作品ではなくて、映画祭に出品されたようなものを集めたら、そういうタイプが多くなるのも必然なのかな。
ドラマ的には気が滅入りそうなんだけど、作品の素晴らしさに満足感が広がるのでした。

というわけで、鑑賞メモ。6本。

『静かな光』 LUZ SILENCIOSA / Silent Light

監督 : カルロス・レイガダス(Carlos Reygadas) /メキシコ・オランダ・フランス・ドイツ
出演 : コルネリオ・ウォール、マリア・パンクラッツ、ミリアム・トウズ
 2007 年カンヌ国際映画祭審査員賞受賞 公式サイト
メキシコ、チワワ州に自給自足のコミュニティーを作る、宗教一派メノナイトの移民達。戒律を守り、電気も水道も引かず、その生活の大部分を自然の営みに合わせ広大な農地を耕して暮らす彼らは、オーバーオールと古風なワンピースに身を包み、一般的に多くの子を持つ平和主義者達だ。7人の子供と妻エステルと暮らすジョアンもその一人。しかし彼は、この静かで保守的な村で不可能な恋をしてしまう・・・。

メノナイトって、知らなかったのだけど、アーミッシュみたいなものかな。大自然の風景も室内の人々の映し出し方も素晴らしすぎ。あらすじは何てことはないのに、こんなに緊迫感いっぱいでせつなく格調高くなっちゃうのだからあんぐり。終りの日没もまた美しく。


『頭のない女』 LA MUJER SIN CABEZA

監督 : ルクレシア・マルテル / アルゼンチン・スペイン・フランス
出演 : マリア・オネット、クラウディア・カンテロ、セサル・ボルドン
 2008年カンヌ国際映画祭コンペ部門正式出品
アルゼンチン北部の町サルタで、歯科医として、裕福な家庭の主婦として何不自由なく暮らすベロニカは、ある日一瞬のわき見運転で何かを轢いてしまう。怯えて逃げた彼女を夫や親族は庇い、全てを無かったことにしようとするが、「誰かを殺したかもしれない」という強烈なトラウマは根深く残り、息苦しい閉塞感が彼女を襲う。カメラは、魂の剥がれたベロニカを映し、保守的な富裕層の人々を追い、その背景にぼんやりと通り過ぎる多くの混血の貧者をも捉える。

主人公の動揺、不安・不穏にすっかり同化させられちゃう見事な語りくち。


『法王のトイレット』 EL BAñO DEL PAPA

監督 : セザール・シャローン、エンリケ・フェルナンデス / ウルグアイ・ブラジル・フランス
出演 : セサル・トロンコソ、ビルヒニア・メンデス、マリオ・シルバ
 2007年カンヌ国際映画祭ある視点部門正式出品
1988年、ブラジル国境沿いにあるウルグアイの寒村にローマ法王がやって来ることになった。貧しい村人達はメディアに煽られ、5万人の観光客を見込んで一日だけの商売に知恵を絞り始める。一攫千金を狙い、家を抵当に入れ借金までして出店の準備に勤しむ人達。妻と娘と3人で暮らすベトも、自転車で国境を越え不法に品物を運ぶ仕事で何とか食繋いできたが、その日暮らしがやっとの状態。この機に貧乏暮らしから抜け出すため、ある商売を思いつく。

『シティ・オブ・ゴッド』の撮影監督だけあって、洗練された映像。その映像に見合った地味ながら胸をうつドラマ運び。思ったよりもコミカルではなかったけれど、画的にもテーマ的にも心つかまれ。


『トニー・マネロ』 TONY MANERO

監督 : パブロ・ラライン / チリ・ブラジル
出演 : アルフレッド・カストロ、パオラ・ラトゥス、エクトル・モラレス
 2008年カンヌ国際映画祭正式出品
1978年、チリの首都サンチアゴではピノチェト軍事政権による独裁体制下、秘密警察によって反政府派の市民が粛清されていた。ラウル・ペラルタは映画『サタデーナイトフィーバー』の主人公、ジョン・トラボルタ演ずるトニー・マネロに異様なまでの憧れを抱き、自らも数人の仲間とバーのショーで踊る50男。テレビ番組“トニー・マネロものまねコンテスト“への出場と優勝を夢見て、あらゆる社会生活、道徳、人間関係に背を向け、自分のアイドルに病的に傾倒していくラウルの姿を通じ、チリ暗黒時代の絶望感とアイデンティティの喪失を描く。

ものまねものなんて、コミカルなイメージしかなかったのに、あまりにも痛くてやるせなく。それゆえに圧巻。


『タイム クライムス』 LOS CRONOCRi'MENES

監督 : ナチョ・ビガロンゴ / スペイン
出演 : カラ・エレハルデ、カンデラ・フェルナンデス、バルバラ・ゴエナガ
 2008年サンダンス国際映画祭正式出品 
思わぬアクシデントから1時間前の“過去の世界”に迷い込み、自分自身と出会ってしまったエクトル。それが一連の不幸な出来事の始まりだった・・・。森の中、裸の少女。ピンク色の包帯で顔を覆った謎の人物。丘の中腹にある怪しげな施設。稀代の犯罪を操る予測不可能なパズルのピース。果たして殺人者は誰なのか?そして犠牲者は・・・?2008年サンダンス映画祭に出品され話題をさらった本作の緻密なストーリーは、デビッド・クローネンバーグにハリウッド版リメイクの製作を決意させたほど。

タイムトラベラーものとしてはそれほどに奇抜でもないけど、スペインならではの暗く鬱々とした雰囲気がよいな。『プライマー』などよりわかりやすい面白さ。


『オーパイオー』 O' PAI O'

監督 : モニキ・ガルデンバルギ  / ブラジル
出演 : ラザロ・ハモス、ディラ・パエス、ルシアナ・ソウサ
音楽 :カエターノ・ヴェローゾ
ブラジル東北部のバイア州。一大観光地へと姿を変えつつある、黒人奴隷の歴史を象徴する州都サルバドルはカーニバル最終日を迎え色めき立っていた。貧しくても陽気に生きる、ペロウリーニョ広場近くの住人たちもまたしかり。しかし、カーニバル嫌いの厳格な大家がお祭り騒ぎに対抗し断水を決行したことで大騒ぎに!満載のバイア・カルチャーと、歌、踊り、そして恋に溢れたカーニバルの一日を背景に、庶民の活気ある生活が鮮明に描かれる。

群像劇な音楽映画。テンションの高い黒人ブラジル人の日常も、歌ったり踊ったりのシーンも楽しかったー。


日程の都合で、今年はあんまり観られないと当初は思っていたのに、心変わり。結局は欲張って、8本を満喫。
ラテンな映画にはやっぱり独特の味わいがありますなぁ。
一国限定の映画祭じゃないから、秀作の候補が多様なのがポイントかな。
そして、やっぱり連続鑑賞してもへたれない設備のよさもポイント。
バルト9ができた頃、レディースデーのないシネコンなんて用なし!って思ったものだったけど。
映画祭の会場となってくれたことには、感謝感激。
この機会にしか観られない映画をこの設備で鑑賞できるのは素晴らしいー。
でも、お願いだから、ロビーに座るところをつくってほしいー。

あと、せっかく新宿で、せっかく秀作揃いなんだから、もっと盛り上がるとよいのにねー。
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by CaeRu_noix | 2008-09-19 01:45 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(4)
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Commented by Nyaggy at 2008-09-19 12:54 x
かえるさん、こんにちは♪
いいなー、スペイン・ラテンアメリカ映画際!
8本鑑賞だなんて、満喫されたようですね~。
『デフィシット』はずっと前から気になってたんですが、ガエル監督ってことで
うま~く名古屋でも一般公開されないかと、淡い期待を寄せてます(笑)

チワワには行ったことがありますが、メノナイトのことは知りませんでした。
『法王のトイレット』も、面白そうですね。
こういう素敵な(でも一般的ではない)イベントが、他の地方にも少しは
広がってくれると嬉しいんですけど。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-20 01:34
Nyaggy さん♪
反応嬉しいです。ぐらっしあすー。
8本も見ちゃった欲張り者ですー。
『デフィシット』は来年一般公開されるので、ミニシアター系でしょうけど、全国主要都市では順次公開されるんじゃないでしょうかね?名古屋あたりならきっと、きっと!『ブラインドネス』の公開もあるし、きっとガエルくんの知名度はまたアップするに違いないと信じてー。

おお、チワワに行かれたことがあるんですね。メノナイトのことなんて私は初めて知りましたよ。これ、スペイン語字幕が入っていて、出演者の台詞はドイツ語みたいな言葉だったのでした。独特の雰囲気に釘づけになりましたよー。
『法王のトイレット』もすごくよかったですよー。貧しい人々の奔走ぶりに心打たれました。で、映画の作りもエクセレントな上質感で。ウルグアイ映画侮れじーって感じです。
この映画祭は、今は東京と大阪の開催のみだけど、もうちょっと全国展開するようになったらいいですよね。集客次第なんでしょうかね?
拡大上映系のハリウッド映画ばかりが洋画じゃないんだよーってことが世の中に認識されていくといいのになぁ。広げましょうー
Commented by Minita at 2008-10-07 10:08 x
かえるさん、お久しぶりです~。URLを変更したのでご挨拶に。
結局、8本も見られたのですね~。私は3本だったのですが、
「鶏肉、魚そして蟹」が一番好きだったかな。
この料理コンクールが「料理の鉄人」の元ネタって初めてしりました。
まさにガチンコ対決でくいしんぼな私としては満足でした(笑)

「法王のトイレット」見たかったです・・・残念。
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-08 00:48
Minita さん♪
はっぽーんも観てしまいましたです。
バルト9って、新宿三丁目で降りれば、有楽町の帰りにサラリと寄れることにも気づき・・・。
おお、料理ドキュメンタリーよかったですかー。
すごーくおいしそうで気になってはいたのだけど、欲求不満になりそうな恐れもあって。(笑) 
そうなんですか。スペインのものが元ネタだったんですね。
そして、またスペイン料理な気分になってくるー。w
神楽坂のスペイン料理さん行きは実現していないですが、こないだは渋谷のスペイン料理屋さんへ行きました。
日仏学院に行った時などに、ゆっくり神楽坂にも足を踏み入れたいと思いつつ、いつも映画のハシゴで忙しく・・・。

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