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「台湾シネマ・コレクション2008」(『シルク』他)+『言えない秘密』
2008年 09月 22日 |
シネマート六本木で開催された台湾シネマコレクション2008の鑑賞メモ。



若い才能が活躍する台湾映画界最新ベスト作品が集結 !

アジア映画の中でも、平均的に自分好みのものが多いと感じる台湾映画。
何しろ、侯孝賢映画が生まれた地ですしね。
ベネチア国際映画祭で賞をとっている『遠い道のり』が観たいなぁと思いつつ、ラインナップを眺めれば眺めるほどに興味は膨らみ、結局は5作品券コースを決行。

と、この特集とは無関係なのだけど、台湾新鋭ツナガリで、一般新作のこちらもここに取り上げておきます。↓

『言えない秘密』

台湾のトップミュージシャン・周杰倫(ジェイ・チョウ)の監督デビュー作。
ピアノを学ぶために音楽学校に転校してきたシャンルンは、取り壊しを待つ古い校舎の音楽室で、美しい曲を弾くシャオユーと出会う。

これはピアノ演奏のシーンが素晴らしくって、それだけで満足感が広がり。多くのピアノもので演奏される曲とは一味違うエキサイティングなものだったな。興奮のピアノ・バトル。というわけで、さすが人気ミュージシャンというだけのことはある彼ならではの音楽のこだわり。撮影は李屏賓(リー・ピンビン)だったりして、映像もよい感じで、青春ものの瑞々しさがあふれていた。でも、そのラブストーリーにはあまりハマれなかったかな。ジェイ・チョウが好みじゃないからかしらん。私はあんまりグイ・ルンメイちゃんのルックスも好きじゃないかもしれない。彼女は普通の存在じゃないとは初めからわかるんだけど、この世にいないコかなんかだと思っていたので、彼女の正体は面白くもあったけど、何故20なのかよくわからなかったりして、物語への感銘は少なかった感じ。ピアノにつきるな。

---

『シルク』
監督:スー・チャオピン
美術:種田陽平
出演:チャン・チェン、江口洋介、チェン・ボーリン、カリーナ・ラム
サイエンス・スリラー。死後の世界に強烈に惹かれている橋本は、少年の幽霊を捕獲することに成功。

とんでもな設定なので、陳腐に感じられることも覚悟していたのだけど、意外とちゃんと怖オモシロかった。ユーレイの姿がハッキリ映し出されていたら、怖さも感じられなくなると思いきや、母ユーレイの動きは真剣に怖かったし、謎解きな部分にものれた感じ。偏に、主人公がチャン・チェンだということの魅力につきるでしょう。アクションするチャン・チェンというのは最近は珍しい感じなんだけど、身のこなしもカッコよくて目が釘付け。主人公が他でもないチャン・チェンだったからこそ、ハラハラと楽しめちゃった。ストーリーも大胆さこそが面白く、ビジュアルも見ごたえあり。忘れな草。


『練習曲』
監督:チェン・ホァイェン(ホウ・シャオシェン作品の撮影監督)
出演:イーストン・ドン
 2007年台湾映画興収 第1位
大学卒業を前に、聴覚障害を抱える青年ミンシァンは高雄から自転車での台湾島1周の旅へ出る。

台湾一周のロードムービー。もっとまったりしたものをイメージしていたのだけど、意外と出会いやエピソードが盛りだくさんで楽しめちゃった。少し傷がいのある青年がたった一人で自転車の旅をするなんて、絵が描けるのにギターも弾いちゃうなんて、ズルいなぁと思いつつ、泣けてしまうのだった。旅の物語はやっぱりいいなぁと心洗われる。


『Tattoo-刺青』
監督:ゼロ・チョウ
出演:レイニー・ヤン、イザベラ・リョン
 2007年ベルリン国際映画祭テディ賞
強い憧れを抱いていた年上の女性、刺青師の竹子との再会を果たしたネットアイドルの女子高生ジェイド。

東京国際L&G映画祭の時に観たこの監督の前作『彷徨う花たち』の中に、本作『刺青』のポスターが登場していたので自ずと必見作に。前作同様、好みのテイスト。詩的で幻想的な切り取り方がいいんだよね。竹林、曼珠沙華、ウィッグ、刺青にインターネットな覗き部屋とそもそものビジュアルな素材が最高なんだもん。料理の仕方はモウヒトコエな部分もあるんだけど、とても魅惑的なタイプ。


『遠い道のり』
監督:リン・チンチェ
出演:グイ・ルンメイ、モー・ズーイー
 2007年ベネチア国際映画祭批評家週間最優秀作品賞
以前の住人宛に届くカセット。出口のない不倫関係から逃げるようにシャオユンはその音を探す旅に出る。精神を病んだ精神科医ツァイは旅先で恋人に向け音を録るシャオタンに出逢う。

序盤の三人それぞれの悲しく痛々しい場面の描写がいいなぁと思った。逆に、後半のハートウォーミングな展開はややありがちな語りくちだった気がした。ロードムービーな部分は『練習曲』で体験済みだったせいか・・・。ともあれ、こちらも好みのロードムービー。音を追い求める旅なんてステキ。録音技師の盗聴大作戦もおもしろかった。


『午後3時の初恋』
監督:ジョン・フェンフェン
出演:ジョセフ・チャン、グォ・ビーティン
父親の代わりに寂れた時計店を切り盛りするチンチン。ある日、店にハンと名乗る青年が水に濡れた時計を手にやって来る。

映像の作り込み方、美術的な部分がとても好みだった。並ぶ目覚まし時計はカワイイし、海の気持ちよさを描くものは多いけれど、滝というのがまた素晴らしく。現実的な切ない出来事をこんな風にファンタジックに仕上げるのはいいなぁ。ジョセフ・チャンは濃いので、あまりこういう質感の作品向きじゃない気がしたんだけど、女の子の方はよかったな。ラブリー。


と、いうわけで、概ねイメージ通りの爽やかに素敵な作品群を満喫。
好みの問題でもあるかもしれないけど、台湾映画はやっぱり韓国映画や香港映画などに比べると、洗練されていてしっかり作られているなぁという印象。
それはやはりホウさんやエドワード・ヤンのおかげかしら。
自然の美しい音を大切にしているものが多くて感動しちゃいます。
こういうエンタメ系ではない、『練習曲』のような映画が台湾映画興収第1位になるというのも素晴らしい。(でも、これに関しては、ひょっとして、台湾では年に10本くらいしか映画が作られていないのかもしれないという疑問も浮上。10本中6位とかだったら大したことないものね。)
とにかく、今後も期待の新しい台湾映画。

爽やか系でしめたので、ツァイ・ミンリャンがちょっと恋しくなった。
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by CaeRu_noix | 2008-09-22 07:51 | CINEMAレヴュー | Trackback(8) | Comments(8)
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Commented by シャーロット at 2008-09-23 01:02 x
「言えない秘密」ってまだ見てないのに、つい感想を読んでしまった。見に行かねばぁ。でも優先順位は相変わらず下の方なんですけど。笑
ピアノものって意外に見に行きたくなかったりするんです;

ところで、たいわーんシネコレ4作品みるとドリンクプレゼントというのは活用なさいましたか?笑
最近せこせこそういうのは活用しちゃうんです;
それにしてもかえるさんに「シルク」も楽しんでいただけてうれしかったわー。チャン・チェンなかなかアクションものもよかったでしょ。もう一回見ようかな~と思ったけどいつの間にか終わってました; はしもろ~爆
私はあと「遠い道のり」を見てみようかと思ってます。まだ5作品見てない私なので、他の特上ものへはたぶん行けないのです。「ホフマン物語」も結局行けなかったし;;

そういえばTIFFのチケットもそろそろ入手する時期ですねー
私はワールドシネマ部門ばかりで終わりそうです;これまたスケジュール調整に苦労しそうで。
かえるさんは今年はいくつか見に行かれますかね?またばったり会えたらお茶しませう♪

Commented by CaeRu_noix at 2008-09-23 11:10
シャーロットさん♪
言えない秘密はホント、とにかくピアノがよかったのでした。後は・・?
確かにこれは優先順位は低いですよね。私もたまたま、日仏にドワイヨンを観に行く日に、他に組み合わせ可能な作品がなかったために、観ることにしただけだったのでした。優先的には観ないです。w
きゃあ、タイワーンのドリンクは飲めませんでした。最初に、そんなやつをもらったことさえ忘れてました。
チャン・チェンはホントによかったです。呉の静の演技もこちらの動も見ごたえあり。『ブレス』のチャン・チェンの使い方はやっぱり間違っていたと思うことしきり。『遠い道のり』と『練習曲』はちょろっと上映期間が延長されるらしいですね。シルクはそう、期間が限定されていたので、それを中心にスケジューリングしましたよ。

TIFFは今年は行きますよー。
チケ発売は10/4なのでまだ先と思っていたのですが、そろそろ入手ということは、プレリザーブなどされるのでしょうか??
今年のTIFFのラインナップは素晴らしすぎてここでは語りつくせないのでまた改めて。お会いできるとよいですねー。
というか、その前にクラブ・クアトロでーw
Commented by まてぃ at 2008-09-23 22:12 x
かえるさん、こんにちは。
台湾シネマ、5作品決行ですかー、羨ましい!
「シルク」は日程が合わず断念しました。チャン・チェンを見たかったのだけど。
私が観た3作品+ジェイの「言えない秘密」のTB貼らせてもらいます。
韓流みたいに台湾シネマも毎年恒例になるといいですね。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-24 14:55
まてぃさん♪
お得な5作品券があったので、つい欲張ってしまいました。
最初見たかったのは、3作品くらいだったのに。
「シルク」ってキャスト的に一番注目度が高そうなものなのに、上映期間も短くて、小さいほうの劇場でした。
シネマートの客層だとそういうものなんでしょうかね??
シネマートといったらできた当時は韓流専門館かと思ってましたが、アジア作品を幅広く取り上げてくれるのがいいですよね。
インド映画やタイ映画というのもよかったし、台湾や香港の秀作もじゃんじゃん特集してほしいですよねー。
Commented by かりおか at 2008-09-24 15:36 x
台湾映画は初夏に「藍色夏恋」を観てから、爽やか系に目覚めました!
ツァイ・ミンリャンも好きですが、爽やかもいいですねー。
台湾映画祭のチケット2作品分あるのですが、観たかった「シルク」と「刺青」が終了なので、爽やか系の「練習曲」「遠い道のり」「午後3時の初恋」のどれかを観ようかなと思ってます。「シルク」と「刺青」は評判悪いレヴューしか読まなかったのですが、かえるさんは気に入ったのですね♪自分で観ないとわからないですね、やはり。。。DVDになるといいんですが。
「言えない秘密」も観たいです☆ジェイの魅力が映像を観て最近わかってきたので(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-25 07:15
かりおかさん♪
台湾映画って、みずみずしさがいいんですよねぇー。
今回の目玉の「遠い道のり」は「藍色夏恋」の彼女が主人公ということで、その系譜という感じですよね。
「シルク」は評判良くないのも納得なミョーな映画だとは思いますが、私は案外と楽しめましたよー。
「刺青」は、ストーリーのまとめ方だとか総合的にはモウヒトコエという部分もあったのですが、とにかくディテール、テイストが好みだったので、個人的にはぐっどでしたよー。電気が切れそうでジージーいってる青白い蛍光灯の映し出し方だとか、センスの光る描写がアレコレありましたので。ストーリー命の人にはいまいちかもしれないけど、感覚的なものを重視する人にはいいんじゃないかと思えます。王家衛作品がお好きなかりおかさんにもそこそこ気に入ってもらえるんじゃないかなぁって。DVDになるといいです。
私はまだ俳優ジェイの魅力はわからないんですが、ピアニストジェイの素晴らしさには心震えましたよー。
台湾2作品も楽しんできてくださーい。
Commented by tomozo at 2008-09-26 11:32 x
私もまとめてTB〜♪
台湾映画、いいですね〜。
ほんとにみずみずしさがあって。

ジェイの魅力♪私もさっぱりわからなかったのですが、
ここのところ立て続けに見ていたら、
なんか突然はまりました(笑)。
イケメン好きを豪語しているのに
どういうこと?って自分でもよくわかりません(笑)。

もう会期が僅かだけど、
なんとか「遠い道のり」はみたいなぁ。
いまのところ「練習曲」が一番のお気に入りです。

明日からTIFFのプレリザーブですね〜。
さて、何を見ようかなぁ。
Commented by CaeRu_noix at 2008-09-28 08:50
tomozo さん♪
台湾映画は爽やかにみずみずしくて好みですー。
香港の王家衛が別格なのをのぞいたら、今アジア映画で一番好みなのは台湾映画といえるかもしれませんー。

おお、ジェイにちょっとハマっているとはー。
私はジェイチョウとは何者なのかを最近やっと知ったばかりなのですが、見た目にはやっぱりあまり惹かれないんですよねぇ。
韓国のピっていう人の魅力もよくわかんないし。
でも、さりげなく注目していきたいですー。

私は結局、どれがお気に入りだったんだろう?甲乙つけがたし。
最も感動したのは「練習曲」ですね。

TIFFですねー。何をご覧の予定でしょうか?
tomozo さんもプレリザーブ派なんですね!
ってか、赤壁などに行かれるのかしらー。いいなぁ。
きゃあ、トニーや金城っちやチャン・チェンによろしくー。
私は作品主義で見まくるよてー
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