かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『小さな赤い花』 看上去很美
2008年 09月 25日 |
「カワイイ~」という言葉が発せられない子ども映画。震撼の幼稚園ドラマ。

全寮制の幼稚園を舞台にした4歳の男の子チアンの物語。



これはある意味、すごい映画であった。決して好きな映画とは言えないし、感動があったわけでもない。どちらかといえば、不安感と歯がゆさを感じるばかりだった。だけど、それが負の感情であれ、それほどに心が囚われてしまったのだから驚異的。幼稚園の日常が描かれているだけの地味でシンプルなドラマに過ぎないというのに、まるでホラー映画のような怖ささえ押し寄せて、いたたまれない気持ちになってしまうのだった。

小さな子どもが主人公の映画といったら、子どもの無邪気な可愛さに微笑ましい気持ちになって、そのみずみずしい生命力に感動をしてしまうものと相場がきまっているはずなのにね。くりんとしたお目目のチアンは、見た目はとっても可愛い子どもなんだけど、その行動はいい子にはほど遠くって、始終ハラハラさせられっぱなし。大人目線で気をもんでしまうばかりなんだけど、主人公の彼に同化してしまうような作りにはなってなくて、客観的に見つめざるを得ないのだ。その距離感が絶妙。

これは中国という国の恐ろしい側面を描いているとも言えるんだけど、決して中国限定のことでもないよね。日本の学校教育の中にだって、共通する部分は見いだせるもの。集団をまとめる機関には、どこにだって多かれ少なかれ規律があって、管理体制が敷かれているものなんだよね。それはごく常識的なことなんだけど、その光景を改めてじっくり見せられるとゾッとしてしまうものがある。それぞれの個性をもった子ども達が、自由に振舞うことを抑制されて、ルールに従った同じ行動を強いられる姿にはおぞましさを感じてしまう。でも、これはごく当り前の社会の仕組みなんだよな・・・。集団と個について、考えさせられるのだった。

そして、日本では見受けられない中国ならではのものとして、印象深かった戦慄のシーンは排泄関係のもの。中国のトイレにはドアがないなんて話はずいぶん前に聞いていたものだけど、間隔を開けることもなく、ずらっと一列に並ばされて、用を足すのが当たり前だなんて、今更ながら、カルチャーショック。抗菌だの音姫だの日本のトイレ事情はデリケート過ぎるにしても、こんなんじゃー絶対出ませんって。先生が笛をピーっと笛を吹くごとに、順番に子どもたちが駆け寄って、お尻を拭いてもらうシーンも何やら強烈。

リー先生の存在感にも圧倒された。自分の記憶では、小中学校にはちょっと怖いほどに厳しい先生がいたものだけど、幼稚園の先生というのは大体みんな優しい印象だったから。小さな園児相手に、笑顔さえ見せずにここまで徹底的に厳しくできるなんてすごい。でも、これが指導者して望ましい姿ということなんだろうか。そうやって、国が求める画一化された国民がつくられていくのかな。リー先生の徹底ぶりの極みは、ジェスチャーゲーム?でオランウータンの真似をした時に、素晴らしくウマくって、魔物のような恐ろしさを体現していたこと。このシーンを撮っちゃう監督はすごいよって思った。

私の大好きな『緑茶』を撮った張元(チャン・ユアン)監督は、作風が偏らずに多彩であることに感心。麻薬所持で逮捕のニュースは残念なものであったけど、せっかくの才覚をもった映画作家なのだから、道をはずさずにがんばってほしいなぁ。
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by CaeRu_noix | 2008-09-25 07:06 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(2)
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Commented by peridot at 2008-10-02 22:53 x
そうそう、この映画、コワかったです。
おしりフキのシーンは強烈でしたね。
人格無視の教育がやがて女工哀史の世界につながり、
中国を形成していると思うと、やっぱり怖い。

え〜、監督は捕まったんですか?
そういう意味じゃ、振り幅が大きい国ともいえますね〜。

いろいろコメントありがとうございます。
トラバとめててごめんなさい!
トウキョウソナタ、待ってます。
砂浜オープンカーって、そうですね、既視感あるある。
なんだろ?
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-04 01:02
peridot さん♪
下手なホラー映画より断然怖かったですよー。
お尻拭きはビックリでしたよね。あんな部屋の真ん中でやるとはー。
アジアのコメディには、欧米のものよりも、小学生男子レベルの排泄ネタな笑いが多いよなぁと、『少林サッカー』の頃に思ったんですが、ひょっとして、こういうのが関係するのかなぁとふと思ったりしました。
私も幼稚園嫌いだったけど、全寮制というのは地獄ですね。
一連の中国な映画は本当に興味深いですー。
そう、監督逮捕のニュースがありました。その後どうなったんでしょう?
さすがに人口の多い国ですから、教育は画一化を目指していても、いろんな人がいるんでしょうー。

砂浜に車で、まず思い出したのはヴェンダースでした。
何にオマージュをささげているのでしょうー?
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